転職ストーリー
保育士志望から航空自衛官へ。
偶然が変えた私の人生
公務員保育士を目指していた深水さんが、25歳で選んだ転職先は、任期制の航空自衛官でした。「まずは3年」と飛び込んだ仕事は、気づけば26年目。入隊後は、サーバー管理やシステム運用、秘書、広報など、幅広い業務を経験しました。偶然開いた扉の先で、人との出会いに支えられながら、多彩な職務に挑戦してきた歩みを伺います。
深水 紀子さん
科学館勤務を経て、任期制自衛官として航空自衛隊へ。
現在は、東京地方協力本部 足立地域事務所・広報官として勤務
公務員保育士を目指していた私が、自衛隊に入隊したわけ
学生時代は、何を学ばれていましたか?
短大の保育科で学び、保育士を目指していました。両親から「手に職を持ち、一人でも生きていけるようになってほしい」と言われて育ったため、将来は保育の専門性を生かし、経済的にも自立して働き続けたいと考えていたんです。保育士として子どもや保護者に長く寄り添うことに加え、地域に根差して働くことにも魅力を感じ、公務員保育士を志すようになりました。
短大卒業後は、保育士ではない仕事に就かれたそうですね。
卒業時に自治体の公務員保育士採用試験を受けたものの、合格には届きませんでした。まずは就職しようと短大のキャリアセンターに相談し、紹介された科学館へ就職。来館者対応やプラネタリウムでの星の解説を担当しながら、公務員保育士を目指し続けてきました。
公務員保育士への挑戦はどれくらい続けたのでしょうか?
仕事と並行して勉強し、希望する自治体の試験を毎年受験していました。一次試験を通過した年もあり、受験資格の上限だった25歳まで挑戦しようと決めていたんです。ところが最後の年に限って、希望する自治体で保育士の採用がありませんでした。ほかの自治体の試験にも挑戦しましたが合格には至らず、保育士以外の道を真剣に考えるようになりました。
そこから、どのように自衛隊の試験を受けることになったのでしょうか?
公務員保育士は採用枠が限られており、一次試験を通過した年もあったものの、採用には届きませんでした。それでも、専門性を磨きながら長く働き、自分の力で生活したいという思いは変わりません。これまで続けてきた公務員試験の勉強も生かしたいと考え、25歳から受験できる試験を調べる中で見つけたのが自衛隊でした。
もちろん、応募すればそのまま入隊できるわけではありません。当時の自衛隊の採用試験では、筆記試験に加えて小論文や面接を受けました。合格後、担当者から採用候補者の中でも良い評価だったと聞き、「この機会を逃したら、もう挑戦しないかもしれない」と入隊を決めました。
応募したのは、現在の「2等陸・海・空士(任期制自衛官)」にあたる採用区分です。一定期間の勤務後、継続するか別の進路へ進むかを選べる制度で、私は「まずは3年やってみよう」と航空自衛隊へ。以前から志望していたわけではありませんが、基地の中でどんな人が、どのような仕事をしているのか知りたいという好奇心はありました。航空自衛隊を選んだのも、「飛行機が好き」という素朴な理由からです。
知らない世界へ踏み出して、できることが増えていった
航空自衛隊に入隊後、どのような仕事に就いたのでしょうか?
最初の配属先は、当時「電算機処理」と呼ばれていた情報システム関連の職種です。担当したのは、サーバー管理やプログラム作成。保育科出身の私には未知の分野で、「本当に務まるのだろうか」と不安でいっぱいでした。
それでも、教育を受け、先輩に教わるうちに、少しずつ仕組みを理解できるようになったんです。昨日まで分からなかったことが、今日は分かる。そんな積み重ねを通じて、「経験がなくても学べばできる」「私にもできることがある」と思えるようになりました。
自衛隊の教育や周囲のサポートには、どのような特徴がありましたか?
基礎から学べる教育があり、配属後も先輩に相談しながら実務を身につけられる点です。ただ、待っていれば成長できるわけではありません。分からないことは自分から質問し、教わったことを一つずつ実践する。その繰り返しによって、少しずつ任される仕事が増えていきました。
また、全員を同じ型に当てはめるのではなく、本人の希望や適性を見ながら、力を発揮できる場所を考えてもらえるのも特徴です。自分の意思を伝えれば、新しい仕事に挑戦する機会もあります。私自身、入隊直後は環境の変化になじめず、辞めようと考えた時期もありました。そんな時期に休暇で実家に戻った際、上司が近くまで来て食事に誘ってくれたんです。悩みを無理に聞き出すことなく、帰り際に「休みが終わったら、とりあえず帰ってこいよ」と一言。その言葉に背中を押され、続けてみようと決めました。今でも忘れられない出来事です。
その後、仕事の幅はどのように広がっていったのでしょうか?
最初の任期が終わる頃には、このまま自衛隊に残るか、別の道へ進むかで迷っていました。そんな時、上司から勧められたのが、幹部を支える秘書の仕事です。
実際に挑戦してみると、人と関わることや、誰かを支えることが自分に合っていると実感できたんです。短大で保育を学び、科学館で幅広い年代の来館者と接してきた経験も、相手に応じた対応を考える上で生かせました。自分では気づかなかった強みを仕事の中で発見できたことで、「ここには、まだ経験していない仕事がある。もう少し自衛隊で挑戦してみたい」と思えるようになりました。秘書の経験は、任期を継続し、自衛隊でキャリアを築くことを決めた大きな転機です。
その後は情報システム関連の業務に戻り、部隊で使用するサーバーの管理を担当。日米共同訓練への参加者を募る話が出た際には、自ら「行きたい」と希望し、約1カ月半にわたってアラスカでの任務に携わりました。現地では、オーロラを目にするという忘れられない経験にも恵まれました。
募集支援を担う広報へ。今度は自衛隊に挑戦する人を支えたい
現在の仕事内容と、これまでの広報経験について教えてください。
2026年8月から足立地域事務所の広報官として、自衛隊に関心を持つ方への情報提供や、受験から入隊までの支援を担当しています。着任直後ですが、良い面だけでなく、努力が必要な時期や大変なことも率直に伝えていきたいですね。
その前は東京地方協力本部の広報係として、SNSでの情報発信や、艦艇見学、体験航海などの周知に携わっていました。動画への出演や、ブルーインパルスのパイロットへのインタビューなど、広報を担当したからこそ出会えた仕事も数多くあります。もともとSNSを使っておらず、情報発信の仕事は自分に縁遠いものだと思っていましたが、同僚から「一緒に仕事をしたら、普通では見られない景色をたくさん見られる」と誘われ、挑戦することに。そこで培った伝える力と、自衛官として重ねた経験を、今度は入隊を考える方のために生かしたいと思っています。
最後にメッセージをお願いします。
最初から強い志がなくても構いません。私自身も、はじめは「まずは3年」という気持ちで入隊しました。だからこそ、迷いや不安を抱える方にも、自分の経験を包み隠さずお話ししたいです。
「少し話を聞いてみたい」「深水さんに会ってみたい」というくらいの気持ちで、気軽に足立地域事務所を訪ねてください。一人ひとりに寄り添い、いつか「深水さんに相談して良かった」と感じてもらえる広報官になることが、いまの私の目標です。
キャリアの変遷
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公務員保育士を目指す 短大卒業後は科学館へ就職。働きながら、自治体の保育士採用試験に挑戦
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任期制自衛官として航空自衛隊へ 希望自治体での保育士採用がなく、受験可能な公務員試験を探したことをきっかけに自衛官へ
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情報システム、秘書、広報などを経験 さまざまな職種に挑戦。日米共同訓練では、約1カ月半のアラスカでの任務に携わる
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足立地域事務所の広報官へ 現在は、自衛隊に関心を持つ方への情報提供や、支援を担当。一人ひとりの不安や疑問に寄り添う







