STORY
先輩社員インタビュー
東京で報道制作をしていた私が、家族で高知へ移住した理由
Profile
- 高知さんさんテレビ株式会社
- 制作ディレクター
金子さん
2025年 Iターン │ 東京都 → 高知市
東京でキー局の報道番組の制作に携わっていた金子さん。担当番組の終了をきっかけにキャリアを見直し、「地域に根ざした報道」に携わりたいと高知へ移住しました。実際に移住して実現できた仕事、暮らしの変化について伺いました。
「誰に届けているか」を実感できる仕事をしたい
以前は東京で、フリーの制作ディレクターとしてキー局の報道番組に携わっていました。
番組が終了したタイミングで改めて自分のキャリアを考えたときに出た結論が、「もっと地域の視聴者に根ざした報道がしたい」というものでした。移住ありきというよりも、「自分のキャリアを叶えるために移住した」といったほうが正しいですね。
キー局の仕事は規模も大きく、世の中のトレンドを扱う面白さがあります。しかし一方で、「実際に誰に届けているのか」という実感が持ちにくい部分もありました。ローカル局であれば、視聴者の顔が見える距離感で仕事ができるのではないか——それが移住を考えるきっかけでした。
高知さんさんテレビを選んだ理由のひとつが「後発の放送局」であることでした。決まった型に沿うのではなく、地域の人に親しみを持ってもらえる番組づくりを重視している。その方向性が自分の考えと一致しました。
テレビ愛媛との共同制作、地域で向き合う南海トラフ地震
印象的だった仕事のひとつが、テレビ愛媛と共同で制作した南海トラフ地震の番組です。
南海トラフ地震は、高知だけでなく四国全体の課題です。「ひとつの局で伝えるのではなく、同じ課題を抱える地域同士で考える形にできないか」という発想から、共同制作が実現しました。
実際に制作を進める中で、同じテーマでも地域によって視点が異なることに気づきました。例えば、「防災への備え方」「住民の意識」「過去の経験の共有のされ方」など、それぞれに地域性があります。そうした違いを持ち寄ることで、単独では見えなかった部分が見えてきました。
一方で、「どう被害を減らすか」という根本は共通しています。その“共通点と違い”の両方を伝えることが、この番組の意義でした。
高知で働いて実感するのは、「目の前の人に関係する情報を具体的に伝える」ことの重要性です。南海トラフのようなテーマは遠い話ではなく、日常と地続きにあるリスクです。そのリアリティをもって伝えることが、地域メディアの役割だと実感した仕事でした。
近くのスーパーで新鮮な地場の魚が買える驚き
生まれも育ちも東京ですが、移住に大きな不安はありませんでした。もともとプライベートで高知を訪れたことがあり、気候の温暖さや過ごしやすさを知っていたからです。寒さが苦手なので、温暖な土地に移りたいという気持ちもありました(笑)。実際に暮らしてみて大きく変わったのは、通勤時間です。現在、オフィスから徒歩10分ほどの場所に住んでいて、通勤はとても楽になりました。満員電車によるストレスから解放されたのは大きな変化ですね。
また、食生活も変わりました。魚を食べる機会が増えたのですが、スーパーで地場の魚が手軽に買えることには驚きました。グレ(メジナ)やチヌ(クロダイ)だけでなく、シイラやマンボウなど首都圏ではあまり見かけない魚も、日常的に手に入ります。
子どもに「ここでしかできない経験」をさせたい
移住にあたっては、子どものことも大きな判断材料でした。住み慣れた環境を離れることへの迷いはありましたが、新しい経験ができる環境に身を置くことも大切だと考え、家族での移住を決めました。結果として、その不安は杞憂でしたね。子どもはすぐに友達をつくり、地域にも自然と馴染んでいきました。
高知市内に住んでいても、自然へのアクセスが非常に近いことも魅力です。近くには泳げる川があり、車で数十分の距離には海や山があります。自然のアクティビティが日常の中に溶け込んでいるんです。特に仁淀川の透明度には驚きました。東京ではかなり奥地まで行かないと見られない景色が、身近にあります。また、地域の人はとてもおおらかで、同僚がカツオの藁焼きを子どもと一緒に体験させてくれるなど、温かく迎えてくれました。こうした経験は、高知でしか得られないものだと思います。
教育環境は「想像と違った」一面も
意外だったのは、高知県は全国で2番目に中学受験の比率が高い※ことでした。多くが中高一貫校で、高知では有名大学卒よりも地元の有名私立卒のほうが評価される傾向があります。中学受験にあまり関心がなかった私にとって、この受験熱の高さは驚きでした。教育環境は都市部だけが充実しているわけではない——それを高知に来て実感しました。
※文部科学省の学校基本調査(令和6年度)より
高知で暮らして分かった、生活コスト以上の価値
移住して感じたのは、生活コストは住むエリアや暮らし方によって大きく変わるということです。家賃は東京より抑えられましたが、食品などの日用品の価格は大きく変わらないものもあります。高知市中心部での暮らしは、想像していたほど「何もかも安い」というわけではありませんでした。
それでも、通勤時間が短くなり、家族と過ごす時間が増えたことは大きな変化です。自然が身近にあり、休日の過ごし方の選択肢も広がりました。金額だけでは表せない暮らしの豊かさを感じています。
「立ち止まるより、一度動いてみる」という選択
移住については、「深く考えすぎないこと」も大切だと思います。実際にやってみると、意外と何とかなることは多いですし、高知の人たちは温かく迎えてくれます。もし合わなければ戻ることもできます。移住は、取り返しがつかない決断だとは思っていません。今も東京の仕事仲間とはつながりがありますし、将来どうなるかは分かりません。大切なのは、不安で立ち止まるのではなく、一度動いてみることです。移住してみて初めて見える景色もあります。
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