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転職で年収アップするのはこんな人
年収アップ成功者に見る傾向と対策
転職で年収アップする人とはどんな人なのでしょうか?dodaエージェントサービスを利用して転職した人のデータとキャリアアドバイザーのノウハウをもとに、年収アップ転職の傾向と対策を探ります。
6,000名の転職者データから読み解く「年収アップ転職」の傾向
dodaエージェントサービスで実際に転職した方の中から「年収アップ成功者」をピックアップし、分析しました。以下の各グラフは、年齢、性別、業種、職種、転職回数、就業地などで年収アップの傾向を示したものです。「数字が大きければ年収アップの可能性が高い」、あるいは逆に「数字が低いから望みがない」と一概には言えませんが、どのような転職者が年収アップに成功しているのか、まずはその傾向から見てみましょう。

年齢と性別から見る年収アップの傾向(平均アップ額・アップ率)


実力の差が表れ始める20代後半、年収アップにも影響あり
年収アップ成功者が最も多かったのは「28歳」(9.4%)でした(グラフ1-1)。次いで29歳、27歳など「20代後半」の転職で年収アップを果たす方が多いようです。20代後半は、着実にスキルを磨いてきた人とそうでない人の差が大きく開き始める時期。年功型の給与体系であれば両者の給与に大きな差は生じないかもしれません。しかし、実力・実績評価型の企業へ転職した場合に一変するようなことも、決して珍しくはありません。一方、年収の平均アップ額のグラフを見てみると25〜29歳全体での平均アップ額が52万円であるのに対して、30歳以上の転職者は58万円以上でした(グラフ1-2)。アップする人の割合や、平均金額アップ率に目を向ければ20代後半が有利ですが、実際にアップした際の金額の幅は、30代以降のほうが上昇する傾向にあると言えるでしょう。

注目される女性の活躍推進。その実態と展望は?
女性の活躍推進に向けた動きに注目が集まっていますが、データを見る限りでは男性と女性との間で、年収や転職時の年収アップ額・金額アップ率に大きく開きがあります(グラフ2)。これは、平均年収の水準が比較的低めの事務系職種やアシスタント系職種における女性の就業比率が高いことや、結婚や出産などのライフイベントを機に、キャリアチェンジせざるを得ない女性が多いことに起因しているでしょう。 しかし、これまで男性中心に採用していた企業が、女性の積極採用を始めるといった動きや、女性が活躍できるための制度や人事研修を強化し始める企業が増えているのも事実。ライフイベントを機にキャリアチェンジしていた女性も、同職種で活躍できる職場の選択肢が広がっていけば、男女間による年収アップ額・金額アップ率の幅も狭くなってくることが予想されます。
業種・職種から見る年収アップの傾向(平均金額アップ率ランキング)

■業種別「平均金額アップ率」ランキング(表1)
順位 | 業種 | 平均金額 アップ率 |
平均 アップ額 |
---|---|---|---|
1位 | 専門商社 | 15.0% | 62.9万円 |
1位 | 人材サービス/アウトソーシング/ コールセンター |
15.0% | 57.2万円 |
3位 | 金融 | 14.9% | 58.3万円 |
4位 | 建設/プラント/不動産 | 14.6% | 59.8万円 |
5位 | 総合商社 | 14.3% | 55.4万円 |
「メーカー」「専門商社」に年収アップが目立つ、その背景とは?
転職前の業種を9つに分類し傾向を見てみると、年収アップ成功者が最も多かったのは「メーカー」で23.0%(グラフ3)、また、より細かい区分で業種別の金額アップ率ランキングを見てみると「専門商社」と「人材サービス/アウトソーシング/コールセンター」で共に15.0%の金額アップ率でした(表1)。ただ、ここで注意すべきなのは「金額アップ率が高い=元の年収が低い」というわけではない点です。多くのメーカーや商社では比較的明確な給与規定を用意しており、年齢や勤続年数、役職などによって年収額が決定することも珍しくありません。この給与規定は企業規模や業界内でのポジションなどで異なるのですが、給与規定上の年収水準がより高い企業へ転職できれば、多くの場合、年収も上がります。

■職種別「平均金額アップ率」ランキング(表2)
順位 | 職種 | 平均金額 アップ率 |
平均 アップ額 |
---|---|---|---|
1位 | 金融関連専門職種 | 20.6% | 92.6万円 |
2位 | 医療系専門職種 (医療/介護/福祉) |
15.0% | 67.6万円 |
3位 | 技術系職種(建築/ 土木/プラント/設備) |
14.9% | 65.2万円 |
4位 | 営業職 | 14.7% | 59.5万円 |
5位 | 技術系職種(素材/ 化学/食品/その他) |
14.2% | 58.9万円 |
「営業職」「エンジニア職」に年収アップが目立つ、その背景とは?
転職前の職種を6つに分類し傾向を見てみると、最も年収アップ成功者が多かったのは「営業系」で32.0%でした(グラフ4)。営業職の場合は前述の「年齢の分布」でも述べたような評価基準の違いのほか、インセンティブの有無なども含めて、実力・実績が収入の差に直結しやすいことの表れでもあるでしょう。 また、より細かい区分で職種別の金額アップ率ランキングを見てみると、金融関連専門職や医療系専門職、技術系職種(建築・土木系/素材・化学・食品系)が14%以上の金額アップ率でランクインするなど(表2)、営業職以外では専門性のある職種において年収の金額アップ率が高い傾向にあるようです。

異業界転職でも条件次第で年収アップも
グラフ5を見ると、「異業界転職」の方が多いことに驚かれるのではないでしょうか。比較的スキルや経験の汎用性が高い職種では、異業界への転職後にも高い評価を受けられるケースが珍しくはありません。商品やサービスが異なっても、確立された営業手法を持っていれば大きな強みになる営業職などは代表例といえるでしょう。一方で職種については、完全な未経験職種への転職では年収アップは難しく、「経験を活かしたキャリアチェンジ」が前提になります。システムエンジニアからITコンサルタント、あるいは薬剤師から臨床開発、店長職からSVやバイヤーなど、経験を活かしつつ業務の幅を広げられるような職種への転職などが具体例として挙げられるでしょう。
転職回数から見る年収アップの傾向(平均アップ額・アップ率)


「はじめての転職」は年収アップのチャンスが高い
転職回数別に年収アップ成功者の割合を見てみると、「0回」(53%)の人の割合が多く、次いで「1回」(26%)、「2回」(13%)と、はじめて転職をする人に年収アップ成功者が多い結果となりました(グラフ6-1)。また回数別の年収の平均アップ額・金額アップ率のグラフを見てみると、より転職回数が少ないほうが金額アップ率が高く、転職回数が多いほうがアップ額が高い傾向を示しています(グラフ6-2)。 これは、先ほどの「年齢の分布」などと合わせて考えてみると分かりやすいでしょう。求人情報などを見ても、「経験年数」として十分な評価を受けるには、「3年程度以上」という水準が一般的です。前述のとおり年収アップ成功者の多い20代後半で考えると、仮に3年ちょうどで転職をしても、転職は1、2回という人が多いといえるでしょう。
就業地別に見る年収アップの傾向(平均金額アップ率ランキング)
■就業地別「年収金額アップ率」ランキング(表3)
順位 | 都道府県 | 平均金額 アップ率 |
平均 アップ額 |
---|---|---|---|
1位 | 静岡県 | 17.1% | 71.5万円 |
2位 | 福岡県 | 15.8% | 59.3万円 |
3位 | 北海道 | 15.6% | 58.7万円 |
4位 | 千葉県 | 15.1% | 61.5万円 |
5位 | 愛知県 | 14.4% | 57.3万円 |
6位 | 神奈川県 | 13.7% | 61.3万円 |
6位 | 埼玉県 | 13.7% | 55.0万円 |
8位 | 兵庫県 | 13.6% | 53.8万円 |
9位 | 東京都 | 13.4% | 56.9万円 |
10位 | 大阪府 | 13.2% | 52.6万円 |
Uターン・Iターン転職でも年収アップ
就業地別の年収アップ成功者を見てみると、静岡や福岡、北海道といった首都圏以外の都道府県が、東京や大阪を抑えて金額アップ率のベスト3にランクインしています(表3)。 Uターン・Iターン転職と聞くと、年収ダウンをイメージしてしまうかもしれませんが、地方に本社がある企業への転職や、技術などの専門性を活かした転職などでは首都圏以上の年収アップ転職も可能です。