「65歳定年制」に賛成?反対?
■「65歳定年制」、賛成派は37%、反対派は30%
「65歳定年制」についての賛否を聞いたところ、この制度に賛成と回答した人は37%(「非常に望ましい(11%)」と「どちらかといえば望ましい(26%)」の合計)。一方、反対と回答した人は30%(「非常に望ましくない(13%)」と「どちらかといえば望ましくない(17%)」の合計)で、やや賛成派が多いものの、意見は二分される結果となりました。
賛成派の理由を見てみると、最も多かった意見は『60歳以上も働いていたい』というもので、「今の60歳は体力的にもまだ若く、働く意欲やモチベーションも高いため」「働かないと毎日が充実しないから、60歳で退職させられるのは困る」といった声が多く見られます。
二番目に多かった意見は、『収入源が確保できる』というもので、「60歳で定年退職すると、年金受給開始年齢まで収入がなくなるから」「晩婚化の影響で、60歳の時点で子供がまだ成人しておらず養育費がかかる人も多い」など、60歳以上も働かないと金銭的に厳しいという人が多いようです。
また、次に多いのは『高齢者も戦力になる』という意見で、「少子高齢化が進む中で、労働力を確保するために定年を引き上げることは必要」「ベテランの方には、後進に技術や知識を伝えるアドバイザーになってほしい。若者の育成にもつながると思う」など、高齢者の労働力や知識を、社会や企業でもっと活かすべきというコメントが見られました。
一方、反対派の理由で最も多かった意見は『若者の雇用・待遇に影響が出る』で、「企業の人件費は限られているため、高齢者の雇用を確保すれば、若年層の雇用や給料が減少する」「企業の年齢構成が歪になり、組織の停滞にもつながる」「上のポストが詰まることで、若手が昇進・成長する機会が減り、次世代を担う人材が育ちにくくなる」といったことを懸念する声が見られました。
二番目に多かった意見は、『65歳まで働きたくない』というもので、「健康なうちに退職し、セカンドライフを楽しみたい」や、「65歳まで働きたくない人にとっては、制度として決まってしまうと、働かざるを得ない状況になってしまうから」「60歳で定年退職することを念頭に頑張っているので、ゴールが遠ざかっていくとモチベーションが下がる」というコメントが見られます。
次に多いのは『65歳まで働けるか心配』で、「60歳を超えると体力も低下するため、フルタイムの仕事は望ましくない」「65歳まで働ける環境や体制が整っていない企業が多い」など、自身の体力面や企業の体制面に不安を感じる人が多いことがわかりました。
「65歳定年制」賛成派の意見 TOP3
順位 | 賛成の理由 | コメント |
---|---|---|
1位 | 60歳以上も働きたい | ・今の60歳は体力的にもまだ若く、働く意欲やモチベーションも高いため ・働かないと毎日が充実しないから、60歳で退職させられるのは困る ・60歳はまだまだ元気に働ける。60歳で定年などもったいない |
2位 | 収入源が確保できる | ・60歳で定年退職すると、年金受給開始年齢まで収入がなくなるから ・晩婚化の影響で、60歳の時点で子供がまだ成人しておらず養育費がかかる人も多い ・少しでも長く働き、老後の生活費を貯めておきたい |
3位 | 高齢者も戦力になる | ・少子高齢化が進む中で、労働力を確保するために定年を引き上げることは必要 ・ベテランの方には、後進に技術や知識を伝えるアドバイザーになってほしい。若者の育成にもつながると思う ・製造業の労働人口が減少傾向にある中で、熟練された技術や勘は社会や企業にとって大きな財産だから |
《その他に、こんなコメントも…》
・60歳以上も収入が得られることで消費が活性化し、日本経済にも良い影響を与える
・医療水準や平均寿命の上昇に合わせ、年金受給年齢や定年が上がるのは当然である
・年金制度を崩壊させないためには、受給年齢と定年の引き上げを同時に行う必要があるから
「65歳定年制」反対派の意見 TOP3
順位 | 反対の理由 | コメント |
---|---|---|
1位 | 若者の雇用・待遇に影響が出る | ・企業の人件費は限られているため、高齢者の雇用を確保すれば、若年層の雇用や給料が減少する ・企業の年齢構成が歪になり、組織の停滞にもつながる ・上のポストが詰まることで、若手が昇進・成長する機会が減り、次世代を担う人材が育ちにくくなる |
2位 | 65歳まで働きたくない | ・健康なうちに退職し、セカンドライフを楽しみたい ・65歳まで働きたくない人にとっては、制度として決まってしまうと、働かざるを得ない状況になってしまうから ・60歳で定年退職することを念頭に頑張っているので、ゴールが遠ざかっていくとモチベーションが下がる |
3位 | 65歳まで働けるか心配 | ・60歳を超えると体力も低下するため、フルタイムの仕事は望ましくない ・65歳まで働ける環境や体制が整っていない企業が多い ・65歳まで働ける仕事があると思えないし、職場で必要とされているとも思えないから |
《その他に、こんなコメントも…》
・定年を65歳まで引き上げたところで終身雇用が崩壊している今、65歳まで働ける保証はない
・雇用の長期化に繋がり、人材が流動しないため
・これまでの年金受給開始年齢との差が生じ、格差を感じるため
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みんなは何歳まで働きたい?
■1位は「60歳」(33.1%)、2位は「65歳」(26.7%)。昨年と順位が逆転
何歳まで働きたいかを聞いたところ、最も多かった回答は「60歳」の33.1%、次いで「65歳」(26.7%)が続きます。昨年の同調査では、最も多かった回答は「65歳」の41.4%、次いで「60歳」(23.6%)で、昨年と比べて「60歳」が9.5ポイント増加した一方、「65歳」が14.7ポイント減少し、1位と2位が逆転する結果となりました。
年金受給開始年齢や定年の引き上げが検討される中、なぜ昨年と比較して65歳より60歳でリタイアしたい人が増えたのでしょうか?その理由を探るために、「60歳」と回答した人の理由を見てみると、最も多かった意見は『60歳以降は余生を楽しみたい』で、「体が健康なうちに、趣味やボランティアなど幅広い活動をしてみたい」「老後はできる限り長く、夫婦での時間を大切にしたい」など、セカンドライフや家族との時間を重視する人が多いことが伺えます。
二番目に多かった意見は、『体力的・能力的に60歳以上は働くのが厳しい』というもので、「60歳を超えると体も頭も思うように動かないし、若い世代にも迷惑をかける」「新たな技術や情報の習得が困難になる年齢だから」など、パフォーマンスが落ちることで組織や周囲に負担をかけることを懸念する人が目立ちました。
次に多いのは『“60歳定年”が当たり前だと思っている』という回答で、「60歳でリタイアすること前提で、既にライフプランを立てているため」「60歳で定年退職することを念頭に頑張っているので」といったコメントが見られました。「60歳定年」を前提に働いてきた人にとって、「65歳定年制」は自身のライフプランやキャリアプランの再考を余儀なくされるため、望ましくないと感じる人も多いのでしょう。
その他に、「60歳までには老後の生活費を蓄えられる予定だから」「60歳でリタイアすることを念頭に資産構築しているから」など、20〜30代のうちから老後の生活を念頭に置いたマネープランを立てている人も多いことが分かりました。
このように、60歳でリタイアを希望する人が増えたのは、家族や趣味などプライベートを重視する人や、60歳を超えて働くのは体力的・能力的に厳しいと考える人が増えていることが背景にあるようです。
一方、「65歳」と回答した人の理由を見てみると、最も多かった意見は『経済的に65歳までは働く必要がある』というもので、「年金を受給できるまでは、収入元を無くすわけにはいかないから」「住宅ローンの返済や子供の養育費を考えると、65歳までは働く必要がある」など、「65歳定年制」を望ましいと思っている人も多いことがわかりました。
また二番目に多かった意見は、『できるだけ長く働いていたい』で、「仕事が好きなので生涯現役で頑張りたい」「なるべく長く社会と関わり、社会貢献することで生き甲斐を感じたい」など、働くことに意義を感じている人も多数みられました。
今回の調査から、60歳以上は働き方や仕事内容を、個々の健康状態や能力、希望に合わせて選択できる社会が望まれていることが見受けられました。
60歳まで働きたい理由 TOP3
順位 | 60歳まで働きたい理由 | コメント |
---|---|---|
1位 | 60歳以降は余生を楽しみたい | ・体が健康なうちに、趣味やボランティアなど幅広い活動をしてみたい ・老後はできる限り長く、夫婦での時間を大切にしたい ・新たな人生(セカンドライフ)を始めるためにも、体力・気力が残っている間に引退したい |
2位 | 体力的・能力的に60歳以上は働くのが厳しい | ・60歳を超えると体も頭も思うように動かないし、若い世代にも迷惑をかける ・新たな技術や情報の習得が困難になる年齢だから ・老化に伴う健康問題やミスの増加、仕事の処理速度の低下などで、職場の迷惑になってしまう恐れがある |
3位 | “60歳定年”が当たり前だと思っている | ・60歳でリタイアすること前提で、既にライフプランを立てているため ・60歳で定年退職することを念頭に頑張っているので ・60歳定年が当たり前の常識で働いてきたから |
《その他に、こんなコメントも…》
・あまり長く会社に居過ぎると、後進への影響があるから
・定年後は全く別の分野を勉強・習得し、新しい社会生活をしたい
・このぐらいの年齢までが、仕事が満足にできる年齢の上限という感じがするので
65歳まで働きたい理由 TOP3
順位 | 65歳まで働きたい理由 | コメント |
---|---|---|
1位 | 経済的に65歳までは働く必要がある | ・年金を受給できるまでは、収入元を無くすわけにはいかないから ・住宅ローンの返済や子供の養育費を考えると、65歳までは働く必要がある ・老後の生活を考えると、なるべく長く働いて稼ぎたい |
2位 | できるだけ長く働いていたい | ・仕事が好きなので生涯現役で頑張りたい ・なるべく長く社会と関わり、社会貢献することで生き甲斐を感じたい ・「仕事=自立」という気がするので、できるだけ人に頼らずやっていきたい |
3位 | 体力的に65歳が限界 | ・そのくらいが、現役として働ける限界だと思うから ・体力や判断力、集中力があるのはそれぐらいの年齢までだと思うから ・65歳くらいならまだ働けると思う。もう少し高齢になれば、周囲の人に迷惑をかけるかもしれないので、65歳くらいが妥当 |
《その他に、こんなコメントも…》
・旅行などに行ける元気なうちに老後の生活も楽しみたい
・65歳まで働くのがこれからのスタンダードになると思うから
・今現在の自分の力量や仕事で達成したいことを考えると、65歳までは働き続けたい
70歳まで働きたい理由 TOP3
順位 | 70歳まで働きたい理由 | コメント |
---|---|---|
1位 | できるだけ長く働いていたい | ・高齢であっても、働ける以上は社会貢献したい。また、必要とされることが「いきがい」になると思う ・仕事が楽しいし、まだまだやりたい事がたくさんあります。何歳までと決めずに、働けるまで働きたい ・仕事をすることは人生の充実に繋がるから ・お金のためだけでなく、自分のため、社会のために。社会とはずっと関わっていきたい |
2位 | 体力的に70歳までは働ける | ・70歳くらいまでは体力的にまだまだ働ける年齢だと思う ・70歳くらいまでは自分の知識や経験が社会に役立てられると思う ・70歳でも元気に立ち仕事をしてる同僚がいるので、自分もそうなりたい |
3位 | 経済的に70歳までは働く必要がある | ・年金制度は信頼できないため、極力自分で稼ぐようにしたい ・老後の生活の質を向上させるために、なるべく長く働いて稼ぎたい ・住宅ローンの完済が70歳のため |
《その他に、こんなコメントも…》
・政治家や社長・役員には、70歳以上で活躍している人が多数いる。一般社員だけが60歳で退職しなくても良いと思う
・後輩の育成を考えるとこれぐらいの年まで働きたい
・70歳以降は余生を楽しみたい
50歳まで働きたい理由 TOP3
順位 | 50歳まで働きたい理由 | コメント |
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1位 | 50歳以降は余生を楽しみたい | ・元気なうちにリタイアして、自分のやりたい事を始めたい ・早めに退職し、体が動くうちに趣味や旅行の時間を作りたいため ・人生100歳だとしたら、人生の半分は働き、残り半分は趣味に費やしたいから |
2位 | 体力的に50歳が限界 | ・50歳を越えると体力、判断力などが落ちてくると思う ・現職の負荷に耐え得る年齢はこれくらい。これ以上になると体力的に足手まといになりかねない ・50歳くらいで、一度体力の限界を感じるのではないかと思う |
3位 | 経済的に50歳まで働けば十分 | ・住宅ローンが払い終わり、子供も成人しているので ・それぐらいまで働けば、一生過ごせるだけの貯金ができそうだから ・独身なので、50歳くらいまで働けば必要なお金は稼げると思う |
《その他に、こんなコメントも…》
・50歳くらいまでは第一線で働きたいが、残りは次世代へ技術継承をしたい
・このくらいの年齢になると、社会の変化に対応できなくなりそうだから
・クリエイティブな仕事に従事しているが、50歳を超えると感性が古くなりそう
調査概要
25〜39歳のビジネスパーソン5,000人を対象に、65歳定年制についての賛否や、何歳まで働きたいかについてアンケート調査を実施しました
【対象者】25〜39歳のホワイトカラー系職種の男女
【雇用形態】正社員・契約社員
【調査手法】ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査
【実施時期】2012年10月27日〜29日
【有効回答数】5,000件