ここ数年、副業を許可する企業が増えてきました。しかし、副業について職場でオープンに語られる場面は少なく、実態は分かりにくいのではないでしょうか?
本記事では、副業している人がどれくらいいるのか、どのくらい稼いでいるのかなどを明らかにし、その上で、ビジネスパーソンにとって副収入以外のメリットやデメリット、企業がなぜ今、副業を許可するのか、その狙いを紹介します。
どこからが副業? 副業とは
複数の仕事を持つことは「副業」「複業」「兼業」など、さまざまな言葉で表現されていますが、それぞれに明確な定義があるわけではありません。しかし、一般的に用いられている意味での「副業」とは、「本業を持っている人が収入を得る手段として、その種類を問わず何らかの収入を別チャネルで得るために働くこと」を意味します。
本業と競合関係にあたる場合などは就業規則により副業が禁止される場合もあるので、会社員の方が副業を考える際は、まずはご自身の会社の就業規則をチェックし、副業が許可されているかどうかを確認しましょう。
本記事では以下の15の項目を調査し、副業の実態を明らかにします。
- サービス業(接客・販売)
- ホームページ・CGなどの制作
- ネットビジネス(通販・アフィリエイト・ネットショップ運営)
- 病院事務/薬局業務
- 講師/家庭教師/試験監督
- 警備/軽作業
- 製造/土木作業
- 株/FX
- 運送/配達(Uber Eats など)
- PC・回線設定/プログラミング
- コールセンター
- 事務作業
- チラシ配り
- マーケティング・広報・編集・ライター
- ハンドクラフト(手づくり)品の販売
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最新の副業実態調査
2021年8月に転職サービス「doda」が社会人15,000人に対して行った調査によると、「あなたは今副業をしていますか?」という質問に対して、「している」と答えた人が8.0%、「していない」と答えた人が74.2%でした。
副業でどれくらい稼いでいる?
副業収入でもっとも割合が大きいのは10万円以上の34.4%でした。2番目に1万円台の18.6%、3番目が5万円台の13.3%でした。
10万円以上の高収入を得ている人の副業の内容は、株/FXが多いですが、中にはサービス業や運送業、ネットビジネスなどの副業で100万円以上の副業収入を得る人もいるようです。
副業の内容は1位「株/FX」、2位「サービス業(接客・販売)」
副業の内容でもっとも多いのは「株/FX」で21.1%でした。続いて2位が「サービス業(接客・販売)の17.9%、3位は「ネットビジネス(通販・アフィリエイト・ネットショップ運営)」の12.7%でした。
サービス業や事務作業、講師、警備といった企業などから収入を得る仕事が上位を占めますが、ネットビジネス(アフィリエイト)や「ハンドクラフト(手作り)品の販売」など個人での活動が収入になっていることも分かります。CtoCでの販売経路がより一般的となり、今後さまざまな副業が増えていくことが考えられるでしょう。
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副業しているのはどんな人?
男女別では、男性が8.1%、女性が7.6%で、やや男性のほうが多いことが分かります。
職種別では、「クリエイター・クリエイティブ職」が16.6%ともっとも多く、10%以上が副業を行っているのはほかに「専門職(コンサルタントなど)」「販売・サービス職」「医療系専門職」の3職種でした。
反対に、割合が低い職種は「技術職(化学・素材・化粧品・トイレタリー)」(4.8%)や「技術職(機械・電気)」(5.4%)など、技術系職種が中心という結果になりました。
いつ副業してる?
「休日」と回答した人の割合が69.6%と最多でした。副業をしている人の7割近くが、休日を使って仕事をしていることが分かります。また、「勤務終了後」という回答も47.5%と半数近く、休日や本業の勤務終了後を副業の時間に充てているようです。
このほか、勤務中の休憩時間を使用したり、長期休暇のみ副業を行っている人もいるようで、細かい時間を用いたり、まとまった休日のみに副業を行うなど、それぞれのスタイルで副業に取り組んでいることが分かります。
働く人にとっての副業のメリット・デメリットとは?
副業のメリットは何と言っても収入増。77.5%と8割近くの人が収入が増えることにメリットを感じるという回答をしています。また、スキルアップや人脈の広がりなど、自身の職業人生にとってプラスになることをメリットと感じる人が多いようでした。
副業のデメリットとして挙げられたのは、「プライベートの時間がなくなる」(41.7%)「心身の疲労が大きい」(36.1%)ということでした。休日や勤務終了後などプライベートの時間を圧縮し、副業をする時間に充てているため、リフレッシュする時間が減ってしまうことが原因だと考えられます。
本業で定められている勤務時間以外の時間で行うものが「副業」ですので、上記のようなデメリットは避けて通ることは難しいでしょう。自身にとっての目的を明確にした上で副業に取り組むことが必要です。
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キャリアアドバイザーに聞く、2021年副業のトレンド
今回の調査データをもとに、転職サービス「doda」でキャリアアドバイザーを務める飯島陽介に、大手企業の副業解禁の流れや副業を推奨する理由、多様化する働き方など、最近の副業事情を聞きました。また飯島自身も人材育成にかかわる副業を行っており、副業を始めたことで本業との相乗効果を得られ、仕事に対するモチベーションを上げることができた、といいます。
大手企業の副業許可から、コロナ禍を経て変化する副業とは
飯島:これまで副業は、ノウハウの流出や本業への影響や支障などを理由に禁止する企業が大半でした。しかし、ここ数年で、大手企業を含めて副業を許可する動きが進んできています。
国としても「一億総活躍社会」という言葉がありましたが、社会保障における税収の面から、副業を後押ししています。また、企業としては、未来が予測しづらい今の時代に対応するため、固定費の削減の一環として、社外の人材も利用するようになってきています。
さらにコロナ禍によって、リモートワークが一般化したことで、企業側、個人側双方においても、副業を許可する、依頼する、行うこと、それぞれのハードルが下がっていることも大きいと思います 。
企業が副業を推進する理由。本業への相乗効果
飯島:企業はこれまで、ノウハウや個人情報の流出、本業がおろそかになるなどの影響を理由に副業を禁止してきました。しかし現在では逆に、副業をすることによって個人が自立してキャリアを選択することを、ポジティブに捉える企業も増えてきていると思います。副業を許可している企業では、副業に取り組む従業員を「自己成長に対して前向き」と捉えている場合もあり、本業に対するモチベーションの向上や、スキルの向上に期待しています。副業によって本業により貢献してくれる場合もあるでしょう。
また、副業を行っている人にとっては、社外で働く機会を通しての成長実感や、本業とのメリハリをつけるきっかけになるなど、新たにプラス面を生む要素となり、本業とのバランスを取ることができることもあるでしょう。
副業による効果、本業への相乗効果
飯島:今回の調査データでは、収入増を目的として副業を行っている人がまだまだ多いですが、自身のキャリアアップのために副業を始める人がこれから増えてくるのではないでしょうか。私自身も副業を行っているのですが、副業をする前は、自身の成長を実感できる機会が少ないことにモヤモヤを抱えていました。しかし、一歩踏み出して副業を始めたことによって、前進感もさることながら、ある意味「客観視」もできたことで、本業の価値を再確認することができました。
こうした、スキル面での成長や、メンタル面でのモチベーションアップなど、副業をすることによってさまざまな形で本業への相乗効果が得られることがあり、それは人材の流出を防ぐことにもつながるはずです。
働く側、企業側双方のメリットが一致する状況にあるので、今後はより副業や、パラレルキャリアの考え方が広がっていくと考えています。
「転職」というと大きな決断になりますが、副業という手段を用いて、少しずつでも仕事の範囲を広げてみることで、自身の職場での立ち位置も見直すことができます。自分のできる範囲で、一歩踏み出してチャレンジしてみる、ということが大切なのではないでしょうか。
飯島 陽介(いいじま・ようすけ)
アパレルメーカーにMD(マーケティング職)として新卒入社。個人のキャリア支援(仕事・人生)に興味を持ち、パーソルキャリア株式会社に転職。現在までにコンサルティング職・エンジニア職を中心に、業界・職種・年齢の垣根を越え、約1,000人の転職成功をサポート。
国家資格キャリアコンサルタント。
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編集後記
副業によって自らのスキルを高め、職業人生を豊かにしていくことは、これからを生き抜く私たちの選択肢の一つです。副業を検討することは、これからの働き方を見直すきっかけの一つにもなるでしょう。もし、今あなたが副業をしようか迷っているとしたら、本記事を参考にしながら、これまでのあなた自身を振り返って、新しい可能性に挑戦してみてはいかがでしょうか。
調査概要
【対象者】20歳~59歳の男女
【雇用形態】正社員
【調査方法】ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査(ネットリサーチ会社保有のデータベースを元に実施、doda会員登録の状況については不問)
【実施期間】2021年8月19日~8月23日
【有効回答数】15,000件
※ウェイトバック:正社員の地域・年代・性別に合わせて実施
※記事中の割合データは、小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%にならない場合があります。
※データのご利用について:出所が「転職サービスdoda」であること、本ページのタイトルを明記し、本ページへのリンクを掲載のうえで、利用してください
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