転職ストーリー
メーカーで培った現場力を東京都庁で
「身近な行政」への挑戦
「自分が暮らすこの街の仕組みは、一体どうなっているんだろう?」。一市民として抱いたそんな疑問が、東京都への転職のきっかけになったという三田さん。大手メーカーの情報システム担当として充実したキャリアを歩んでいた彼が、行政という未知の世界に飛び込んで見えたものは何なのか。率直な思いに迫ります。
三田 恭平さん
墨田区 企画経営室 ICT推進担当 主査
2021年 民間企業から東京都に入職
驚きからの社会人スタート。転職のきっかけは私生活の中にあった
現在は墨田区のICT推進担当。前職のメーカーでも情報システムのご担当だったとか。
もともと専攻は機械系だったので、新卒ではメカ系のエンジニアになろうと思って大手電機メーカーに入社しました。ところが、配属はまさかの情報システム部門。「えっ!」という驚きからのスタートにはなりましたが、それが今のキャリアのきっかけになったのは間違いありません。
前職の仕事内容と、転職を考えるようになった背景を教えてください。
製造現場の基幹システムである、生産管理システムの開発・運用を行っていました。製品が開発されてからお客様の手に届くまでのサプライチェーン全体を動かすシステムだったため、毎日のように現場に足を運んで製造担当の社員たちと意見と交わす必要のある仕事です。関わる部門・人数が多く一筋縄ではいかないことばかりでしたが、現場を肌で感じながら業務を学べたことでどんどん仕事を楽しめるようになっていきました。入社して約4年間、夢中で仕事をしていましたね。
そんな中で、転職を考えたきっかけは、実は仕事とは別の所にありました。当時暮らしていた京都府から別の府県に引っ越したことです。そのとき、「同じ日本なのに、場所が変わればこうも生活が違うのか」と驚かされました。たとえばゴミの出し方一つを取っても、必ずしも市民の利便性を優先した仕組みになっているわけではない。「どうしてこうなっているのかな?」と、そこから“行政”というものに興味を抱くようになりました。
それから、ご友人の勧めで東京都へ転職したと伺いました。
行政に関する疑問にアレコレと答えてくれる、東京都庁勤務の友人が居たんです。彼から、「実は東京都で人材の募集をするよ」と教えてもらいました。当時の仕事にやりがいを感じてはいましたが、行政に興味を持ちつつあったことと、転勤や昇進を含めた働き方の面で将来を考えたときに、「東京都の仕事にチャレンジしよう」と。イチから行政について勉強し、就職試験を受けて東京都に入職しました。
メーカーで培った“現場主義”で、全ての住民が喜ぶサービスづくり
墨田区へは出向勤務なのですね。改めて、現在の業務内容を教えてください。
現在は企画経営室にて、手続きのオンライン化や調達支援などの業務を行っています。システムを開発するベンダー各社と折衝をしたり、窓口で働く職員の声を反映したりしながら区役所の業務をオンライン化していくことが主な役割です。加えて、行財政改革担当とチームを組んで2026年度から始まる情報化推進計画の策定なども並行しています。
前職での経験はどのように活かせていますか?
前職では開発も自分の手で行っていたので、ベンダーさんと対等な目線に立って仕事ができるという点は自信になっています。費用やスケジュールの妥当性を判断できることはもちろん、ベンダーさんに任せ切りにせずに積極的に意見することができるので、良い緊張感をもってプロジェクトを進められているのではないかな、と。
そして、前職で培った「現場主義」の働き方は今も活きていますね。区役所・営業所の窓口で働く職員が普段どのようなことに困っているのか、それはどんな仕組みがあればサポートできるのか。それらの課題を、窓口の皆さんの声に寄り添いながら解決していくことが、「現場」で育った私ならではのこだわりです。
一方で、民間企業との違いを感じた点についてもお伺いしたいです。
最も大きな違いを感じたのは、「誰のための仕事なのか」という点です。民間企業では、お客様――つまり利益をもたらす方をターゲットにして、あらゆる仕事が回っていました。一方で、行政は「地域に住まう全ての方」のために動きます。墨田区もICT化を推進してはいますが、仮に窓口業務を全てオンライン化した場合、ITに苦手意識のある区民の方は困ってしまう。そうならないようにオンラインと窓口のハイブリッド化を検討したり、一つの施策にもさまざまなバリエーションを持たせたりなど、区民全員が同じ質のサービスを受けられるように考えるのが行政ならではの視点だと思います。
東京都の行政を、もっと身近な存在へ
区民の皆さんのために、今取り組みたいと思っていることは何ですか?
私たちの仕事を、区民の方々にわかりやすくお伝えすることです。「情報化」という言葉は「コストカット」という側面から捉えられることもあり、ICT推進がどのように自分たちの生活を豊かにするのか、具体的なイメージが浮かばない方も多いのではと思っています。区民の方々と日々触れあっている窓口の職員たちに協力を仰ぎながら、行政と区民の距離を近付けて行きたいですね。
私自身、民間から東京都への転職活動をしていた際にも感じていたことなんですが、一市民から見ると行政の中のことはほとんど見えない。どんな人材がどんな仕事をしていて、それが自分の生活にどう繋がっているのか。行政を身近な存在にするためにも、もっとオープンに情報を発信していく必要があると感じています。
ご自身が「中」から見て初めて知ったことも多かった?
そうですね。東京都庁・デジタル庁・墨田区とさまざまな現場を見て一番強く感じたのは、“行政”と一口に言っても、都道府県や市区町村によって幅広い仕事があるということです。たとえば、都が施策の全体像を構想し、市区町村が住民に身近な運用として落とし込む――といったように、それぞれの役割がある。働く場として東京都を検討される方のためにも、やはり「中」の適切な情報発信は重要ですね。それが、「誰に対して・どんなことをして貢献したいか?」を明確に言語化する手助けになればとも思っています。
改めて、今後の目標を教えてください。
やがて、国や市区町村を巻き込んだ東京都全体のDX推進を担いたいと思っています。そのために、多彩な個性を持ったDX人材の育成にチャレンジしたい。さまざまな経歴をもつDX人材に入職いただくことはもちろん、人材育成にICTの目線を組み込んで“人材のバリエーション”を増やしていくことで、東京都をより豊かに成長させる力になれればと思っています。
キャリアの変遷
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メーカーで情報システム
担当に 専攻とは異なる配属に驚くも、製造現場と一体となってシステムを開発する面白さに夢中になった -
「行政」に興味を持ち始める 引っ越しをきっかけに「街の仕組み」に興味を持つ。東京都の人材募集を知って転職を考えるように
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東京都に入職 東京都庁に4年、デジタル庁に1年勤めたのち墨田区へ出向。区の仕事は住民が身近なため特にやりがいを感じる
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やがてDX人材を育成する
立場へ 東京都を「多様な個性を持ったDX人材」が活躍する場所にするために、育成にもチャレンジしてみたい







