転職ストーリー
メーカーから財務局へ。
葛藤の末に辿り着いた、公平・公正な立場で届ける「支援」の形。
前職では部品メーカーの資材調達を担当していた大塚さん。コロナ禍で経営に苦しむ中小企業を目の当たりにする中で「支援したいのにできない」もどかしさを感じ、公平・公正な立場で企業を支える道を求めて財務局へ。現在は地域銀行の監督業務を通じて、国の金融政策を地域で実行する最前線に立っています。若手でも裁量を持ち、政策の土台づくりに関わる。そんな財務局でのリアルな働き方に迫ります。
大塚 修治さん
関東財務局 理財部 金融監督第一課 課員
電子部品メーカーで資材調達担当を経て、2024年4月に入局
「公平・公正な立場で支援したい」その想いが原動力
電子部品メーカーでの経験を経て、転職を考えたきっかけを教えてください。
私はもともと、社会の基盤となる活動を陰から支えたいという思いがありました。2020年に新卒で配属された資材調達部でも、ものづくりの土台を支える一助になりたいと意気込んでいた矢先、コロナ禍が直撃。経営に苦しむ中小企業の方々の切実な声を何度も耳にしました。「力になりたい」という一心でしたが、明確に自社の利益に直結しない支援はできず、自分の無力さに胸を痛める毎日でした。
「何とかしたい」という思いがあっても、限界があったと。
はい。民間企業はビジネスを営む以上、自社の安定を守ることが第一の使命であり、自社の損失を避けるために取引縮小を検討せざるを得ない場面もありました。そうした現実に直面する中で、「どんな形であっても関係者を支えたい」という自分の中にあった願いは、営利組織という枠組みでは守り抜くことが難しいと痛感したのです。この葛藤が、自らの歩むべき道を見つめ直す大きなきっかけとなりました。
そこから、公務員の道が見えてきたのですね。
学生時代から公民の授業などを通じて国を支える公務員には興味を持っていましたが、タイミングが合わず一度は諦めた道でした。しかしコロナ禍を経て、「今度こそ制度という確かな土台の上で、困っている方々に寄り添える存在になりたい」という思いが強まり、公務員への再挑戦を決めました。
なぜ、数ある官庁の中でも「財務局」だったのでしょうか。
合同説明会で財務局には、「国と地域をつなぐパイプ役」として事業者支援に関わる業務があることを知り、強く惹かれました。前職では、社内外の間に立って物事を進める難しさを経験しましたが、その「橋渡し」の経験は、現場の声を国に届け、施策を地域に浸透させる財務局でも必ず活かせると確信し、入局を決意しました。
現場の声を、国の政策につなげる「橋渡し」の醍醐味
現在は地域銀行の監督業務を担当されていますが、具体的な業務内容を教えてください。
複数の銀行を担当し、地域銀行の財務健全性や経営状況を把握する業務を行っています。中心となるのは定期的に実施する決算ヒアリングで、今後の経営戦略などについて銀行の担当者と直接対話を重ねます。刻一刻と移り変わる環境下で、銀行がどう地域を支えようとしているのか。経営の実像を多角的に捉える意識で臨んでいます。
ヒアリングでは、どんな視点で質問されているのでしょうか。
単に数字を確認するだけではなく、「なぜその戦略なのか」「将来どう変化していくのか」といった背景や意図を掘り下げることを重視しています。財務局という公的機関だからこそ、公表資料には表れない戦略や本音の課題まで率直に話していただけるのが特徴です。その瞬間に感じるのは、私たちがこれまでに築いてきた信頼の重みです。対話を通じて、地域の明日を担う銀行の真摯な声を受け止める責任に、この仕事ならではの手応えを感じています。
ヒアリングで得た情報は、どのように活用されるのですか。
現場で拾い上げた情報は金融庁や財務省へ共有され、国の政策を検討する際の重要な材料となります。実際に、地域金融機関の実態が「地域金融力強化プラン」などの施策に反映されていきました。出先機関でありながら、地域の生の声を国の中心へ届け、日本の金融システム、そして経済の土台を支える役割を担えることは、財務局ならではのやりがいです。
民間との違いや、心境の変化はありますか。
視点が長期的になり、数字の先にある「人々の暮らし」にまで想像が及ぶようになりましたね。「地域経済の安定」という大きな安心を守ることが今のゴールです。社会全体のために知恵を絞る中で自分自身の成長も日々実感し、この道を選んで本当に良かったと感じています。
若手を「一人のプロ」として尊重し、早くから実務を任される
転職後、ギャップを感じた点はありますか。
一番の驚きは、若手を「一人のプロ」として尊重し、背中を押してくれる文化でした。前職では下積みの期間が長かったのですが、財務局では配属半年で担当を持ち、許認可の審査やヒアリングを任されました。当然、重圧はありますが、幹部説明の際も「君の意見を聞かせてほしい」と上司が背中を押してくれる環境があり、不安はいつの間にか「期待に応えたい」という前向きな挑戦心に変わっていきました。
なぜ、若手にもそれほど任されるのでしょうか。
実務を通じてしか養えない「現場の判断力」を大切にしているからだと思います。常に「自分ならどう考えるか」を問われる環境に身を置くことで、視座が一段高くなりました。任せてもらえるからこそ、一つひとつの業務に強い当事者意識が宿り、自身の成長が地域の安心に繋がっている確かな実感があります。
前職の経験が活きていると感じる場面はありますか。
異なる立場を繋ぐ調整力や交渉力は、今も私の大きな武器です。かつて生産現場と仕入れ先の板挟みの中で学んだ、相手の背景を丁寧に汲み取る姿勢は、地域と国を繋ぐ今の仕事にそのまま活きていますね。
職場の雰囲気や働き方はいかがですか。
チームは3人体制で非常に風通しが良く、困った時はすぐに相談できる温かさがあります。また、メリハリのある働き方が推進されており、週に数日テレワークを活用する職員もいる中で、私も業務状況に応じてテレワークを取り入れています。働き方の自由度が高く、私生活とのバランスも取りやすいので、常に新鮮な情熱を持って業務に向き合えています。
今後のキャリアへの展望を教えてください。
今後は銀行から証券分野まで専門性を広げ、多角的な視点を持つ存在になることを目指したいですね。どんな業務に就いても、原点である「公平・公正な立場で誰かを支えたい」という想いを忘れることはありません。信頼される存在として、地域経済の未来に誠実に寄り添い続けたいです。
キャリアの変遷
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