インフレが続く中、周りの人の昇給の平均額がどれくらいなのか気になっている人も多いのではないでしょうか。そこで、ビジネスパーソン約5,000人に対して、2024年の1年間で基本給がどれくらい上がったのかを調査しました。20代から50代までの年代別、男女別、企業規模や勤続年数別の結果、さらには昇給理由についても見ていきましょう。
ザックリまとめると
- 基本給が上がった人の割合は48.9%
- 昇給の平均額は14,701円で、1~3万円未満の人が48.2%
- 昇給した理由は「年定期昇給(年に1・2回、年齢や勤続年数で上がる)」が最多
昇給とは?
ここ数年、ニュースで「昇給」という言葉を見ることが増えたと感じている人も多いかと思います。昇給とは、従業員の年齢や勤続年数、評価や能力・成績などに応じて基本給の金額が上がることで、大きく「定期昇給」と「ベースアップ」とに分けられます。
定期昇給は時期を定めて行うもので、従業員ごとに仕事の成績なども考慮して昇給する仕組みです。一方のベースアップは、従業員の給与水準を数%程度、一律に引き上げることをいいます。つまり、従業員一人ひとりの成果によらず、会社全体の賃金表そのものを変更する仕組みになります。
「基本給」とは?「月収」「月給」や「手取り」とどう違いますか?
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基本給は上がった・下がった・変わらなかった? 上がった人は48.9%
2024年1月に比べて2024年12月の基本給が上がったかどうかを約5,000人に調査したところ、上がった人は48.9%、変わらなかった人は44.9%、下がった人は4.3%と、基本給が上がった人と変わらなかった人でそれぞれ半数近くを占める結果となりました。
Q.基本給は上がった・下がった・変わらなかった?

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昇給の平均額はどれくらい?
ここからは、調査をした約5,000人の中で基本給が上がったと答えた人について、具体的な昇給額などの調査結果を解説していきます。
基本給が上がった人の昇給の平均額は14,701円という結果になりました。内訳は、1万円未満が38.9%、1~3万円未満が48.2%、3~5万円未満が7.5%、5~7万円未満が3.3%、7~10万円未満が0.8%、10万円以上が1.3%となり、1~3万円未満と答えた人の割合が最も多く、次いで1万円未満、3~5万円未満の順になりました。
Q.どれくらい昇給しましたか?

【年代別】昇給の平均額
昇給の平均額を年代別に見てみると、20代が15,274円、30代が14,650円、40代が14,778円、50代が14,354円となりました。20代の昇給額がほかの年代に比べてやや多い結果となりましたが、30代以降は年代によって大きな差がないことが分かります。
年代別の昇給の平均額
20代 | 15,274円 |
---|---|
30代 | 14,650円 |
40代 | 14,778円 |
50代 | 14,354円 |
【男女別】昇給の平均額
男女別に昇給の平均額を見てみると、男性が15,020円、女性が14,035円となり、男性の昇給額のほうが多いことが分かりました。
男女別の昇給の平均額
男性 | 15,020円 |
---|---|
女性 | 14,035円 |
【企業規模別】昇給の平均額
企業規模別に昇給の平均額を見てみると、1~99人では11,935円、100~999人では13,870円、1,000人以上では16,898円となり、企業規模が大きくなるにつれて昇給額も大きくなっていることが分かります。
企業規模別の昇給の平均額
1〜99人 | 11,935円 |
---|---|
100〜999人 | 13,870円 |
1,000人〜 | 16,898円 |
【勤続年数別】昇給の平均額
勤続年数別に昇給の平均額を見てみると、1年未満では10,995円、1~5年未満では15,409円、5~10年未満では14,776円、10年以上では14,406円で、1~5年未満の人の昇給額が最も高い結果になりました。
勤続年数別の昇給の平均額
1年未満 | 10,995円 |
---|---|
1~5年未満 | 15,409円 |
5~10年未満 | 14,776円 |
10年以上 | 14,406円 |
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昇給した理由は?
基本給が上がった人に昇給した理由を複数回答で聞いてみたところ、多い順に「年定期昇給(年に1・2回、年齢や勤続年数で上がる)」が61.6%、「ベースアップ(社員全体の賃上げ、物価や生活費の上昇に応じた賃金調整)」が48.4%、「考課昇給(個人の実績や評価が良かった)」が18.1%、「昇進/昇格(役職が上がった)」が10.4%、「資格取得・スキルアップ(専門知識や技術が評価された)」が4.8%、「特別昇給(プロジェクトを成功させたなど、特別な功績)」が4.1%、「業績連動(会社の業績が好調だった)」が4.1%、「交渉したため(労働組合または個人で)」が3.6%、「分からない」が2.6%、「その他」が1.5%となりました。
特に「年定期昇給(年に1・2回、年齢や勤続年数で上がる)」は60%以上、「ベースアップ(社員全体の賃上げ、物価や生活費の上昇に応じた賃金調整)」も半数に近くなっており、この二つの割合が突出して高くなっていますが、ほかにも昇給する理由が多くあることも分かります。
Q.昇給した理由を教えてください(複数回答)

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- 昇給した理由(複数回答可)
-
昇給理由(複数回答可) 割合 年定期昇給(年に1・2回、年齢や勤続年数で上がる) 61.6% ベースアップ(社員全体の賃上げ、物価や生活費の上昇に応じた賃金調整) 48.4% 考課昇給(個人の実績や評価が良かった) 18.1% 昇進/昇格(役職が上がった) 10.4% 資格取得・スキルアップ(専門知識や技術が評価された) 4.8% 特別昇給(プロジェクトを成功させたなど、特別な功績) 4.1% 業績連動(会社の業績が好調だった) 4.1% 交渉したため(労働組合または個人で) 3.6% 分からない 2.6% その他 1.5%
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昇給して変わったことは?
基本給が上がった人に対して、昇給したことで自分の心境や状況にどのような変化があったか聞いてみたところ、多くのコメントが集まりました。
・仕事に対するモチベーションが上がった
「これからも頑張れば給与がもっと上がると思うので、モチベーションが上がった」「モチベーションが上がり、大変なことも頑張ろうと思えるようになった」など、昇給したことで仕事に対するモチベーションが上がったと答えた人が多くいました。
・プライベートや生活にゆとりができた
「生活にゆとりができ、外食回数が増えた」「趣味にかけるお金が増えた」「生活水準が上がり、貯金に回せるお金が増えた」「精神的に安定感が増した」など、趣味や貯蓄などに回せるお金が増えたことで、プライベートや生活に余裕が生まれたというコメントが集まりました。
・会社への愛着や仕事への責任感が増した
「会社への愛着が深まった」「会社から認められていると感じた」「会社で継続して働きたい気持ちになった」「給料が上がった分、会社に貢献したいと感じた」「仕事に対する責任感をより持つようになった」など、会社への愛着や仕事への責任感が増したという声も多く寄せられました。
一方、「仕事の意欲は上がったが、負担も増えてワーク・ライフ・バランスが崩れている」「税金が増えて実質手取りがほとんど増えていないので、上がったという実感がない」など、昇給したものの、あまりポジティブに捉えていない人も見られました。また、「物価高で昇給分が相殺される」「物価の上昇に追いついていないので、生活水準が下がっている」など、昇給額がインフレに見合っていないと感じる意見も多く寄せられました。
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dodaキャリアアドバイザーが教える昇給額を増やして今の年収を上げるための4つの方法

今の基本給から昇給して年収を上げるためには多くの方法がありますが、以下ではその中でも主な4つについてdodaのキャリアアドバイザーが説明します。
1.昇格・昇進する
会社で成果を上げることなどにより昇格・昇進することで、基本給のアップが期待できます。昇格や降格の基準は、今の等級での在籍年数や人事評価、上司の推薦や昇格試験といった要素を組み合わせて決定されることが多いですが、評価基準が社内規定や社内イントラなどに掲載されている場合もあるので、まずはその基準を知ることがファーストステップになるでしょう。
2.資格を取得してスキルを証明する
特定の資格を持つことで専門知識や技術が証明され、企業にとっての価値が高まります。その結果、昇給や昇進の機会が増えることが期待されます。自分の仕事に関係する資格を一度調べてみてはいかがでしょうか。
3.会社に交渉する
現在の仕事内容や成果に給与水準が見合っていないと感じている場合は、会社に対して交渉することで給与が見直される場合もあります。ただし、交渉で昇給を実現するためには、その金額を要求するための説得力のある根拠が重要になります。
4.転職も選択肢に入れる
「仕事で成果を出し続けて役職が付き、仕事量が増えたが、給与は変わらない…」
このような状態が続く場合は、今までの経験を活かした転職をすることで給与(基本給)を大幅に上げられる場合もあります。今働いている業界や職種の平均給与や推移などを把握した上で、転職活動をするかどうか判断してみてはいかがでしょうか。
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doda編集長解説
米の価格の高騰など、昨今の物価高の影響で生活費の心配事が増えている方も多いかと思います。大手企業を中心にベースアップのニュースが世間をにぎわせているものの、実際はどれくらい上がっているのでしょうか。そこで、約5,000人のビジネスパーソンに対して、昇給の有無や昇給の平均額を調査してみました。
その結果、2024年の平均昇給額は14,701円と分かりました。年代別や男女別では大きな差は見られなかったものの、企業規模が大きくなるほど昇給額も大きくなる傾向が見て取れました。
昇給した理由では、「年定期昇給(年に1・2回、年齢や勤続年数で上がる)」(61.6%)に次いで「ベースアップ(社員全体の賃上げ、物価や生活費の上昇に応じた賃金調整)」が48.4%と半数近くを占めました。労働力不足による売り手市場が続くことを見据えて、企業側も人材確保のため昇給へ前向きな姿勢を見せていることがうかがえます。
続く昇給理由は、「考課昇給(個人の実績や評価が良かった)」(18.1%)、「昇進/昇格(役職が上がった)」(10.4%)でした。昇給によって仕事に対するモチベーションや会社への愛着が増したというコメントもあったように、昇給は会社からの評価を実感しやすい要素の一つといえるでしょう。
会社から適正な評価を得て希望額の昇給をかなえるためには、自身の現在の強みや、今後伸ばしたい強みを理解して、その強みを活かし、伸ばせる環境や仕事で価値を発揮していくことが求められます。そのためには、転職希望の有無にかかわらず、定期的に自身のキャリアやスキルの棚卸しをすることはもちろん、転職市場の動きを知ることも大切です。転職のプロであるキャリアアドバイザーや求人票から、業界や職種のニーズ、給与水準などの情報収集をすることも有効かと思います。
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doda編集長 桜井 貴史(さくらい・たかふみ)
新卒で大手人材会社に入社し、一貫して学生のキャリア教育や就職・転職、幅広い企業の採用支援事業に携わる。2016年11月、パーソルキャリア株式会社に中途入社。株式会社ベネッセホールディングスとの合弁会社、株式会社ベネッセi-キャリアに出向、新卒オファーサービス「dodaキャンパス」の立ち上げを牽引し、初代dodaキャンパス編集長に。その後、同社 商品サービス本部 本部長として、キャリア講座やアセスメントをはじめとした、大学生向けサービスの責任者を務める。2023年4月、doda副編集長 兼 クライアントP&M本部 プロダクト統括部 エグゼクティブマネジャーに就任、法人向け採用支援プロダクト全体を管掌。2024年4月、doda編集長に就任。サービスを通じてこれまで年間60万人以上の若者のキャリア支援に携わり、Z世代の就職・転職動向やキャリア形成、企業の採用・育成手法に精通している。
調査概要
【対象者】22歳~59歳の男女
【雇用形態】正社員
【調査方法】ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査(ネットリサーチ会社保有のデータベースをもとに実施、doda会員登録の状況については不問)
【調査期間】2025年2月12日~2月18日
【回答人数】5,074人
※ウエイトバック:正社員の地域・年代・性別に合わせて実施
※データのご利用について:引用・転載の際は、出所が転職サービス「doda」であることを明記し、Webメディアの場合は以下のリンクを貼ってください。