新型コロナウイルス感染症が5類に移行してから、リモートワークを廃止する企業が増えた、と聞くことがあったのではないでしょうか。その一方で、リモートワークと出社を組み合わせた働き方(ハイブリッドワーク)が浸透してきたと耳にすることもあったはずです。
リモートワークができる求人はどのくらいある? 今働いている人はどれくらいリモートワークが認められているの? どんなメリット・デメリットがある? そんな疑問を抱く方に向けて、dodaの求人データとビジネスパーソン15,000人へのアンケート調査結果から分かった、リモートワークの実態をご紹介します。
ザックリまとめると
- リモートワークの求人数は新型コロナウイルス感染症が5類移行後も増えている
- 最もリモートワーク求人を出している割合が高かった業界は、「IT・通信」で26.8%
- 自由に働き方を選べるなら「出社」を53.7%、「リモートワーク」を45.9%の人が希望
リモートワークの求人は増加傾向。ハイブリッドワーク・フルリモートなど働き方の選択肢は広がっている
リモートワーク求人数の動向とリモートワークの種類
2023年1月~2024年9月にdodaに掲載された求人の推移を見てみると、求人全体とリモートワーク求人は、ともに右肩上がりです。新型コロナウイルス感染症が5類に移行して行動制限が緩和された2023年(令和5年)5月以降もリモートワーク求人は増えており、2024年9月には約1.5倍まで増加しました。
doda掲載の求人全体とリモートワーク求人の推移 ※2023年1月を100%とした場合
【対象】2023年1月~2024年9月のdoda掲載の求人全体、リモートワーク求人
一口にリモートワークといっても、ハイブリッドワーク、フルリモートといった種類があります。それぞれの違いは以下のとおりです。
ハイブリッドワークとは
ハイブリッドワークは、出社とリモート勤務を組み合わせた働き方です。週に数日はオフィスなどの会社が定める場所で働き、残りは自宅などのリモート環境で勤務します。
フルリモート(完全在宅勤務)とは
フルリモートは、従業員がオフィスなどに出社をせずに、自宅などの完全なリモート環境で仕事をする働き方です。対面での作業が求められる場合など例外的に出社する場合もあるものの、基本的には業務はリモートで行われ、出社は例外的なケースに限られます。
ハイブリッドワーク、フルリモートなどの働き方は、必ずしも求人情報の中で明記されているとは限りません。求人情報には記載されていなくてもフルリモート可能だったり、求人情報には「リモートワーク可」と書いてあっても出社がメインでリモートワークは月に数回程度が前提となっていたりと、その実態はさまざまです。希望の働き方はかなうのか、入社後に希望した働き方ではなかったとならないように、選考の際にしっかりと確認しましょう。
リモートワーク求人が多い業界は?
dodaに掲載されているリモートワーク求人を15の業種別に分類したところ、最も割合が多かった業界は、「IT・通信」で26.7%でした。それに、「メーカー(機械・電気)」が15.5%、「建設・プラント・不動産」が11.7%で続きます。
リモートワーク求人の割合(業種大分類) ※2024年9月
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- リモートワーク求人の割合(業種大分類)
-
2024年9月 IT・通信 26.7% メーカー(機械・電気) 15.5% 建設・プラント・不動産 11.7% インターネット・広告・メディア 11.2% 人材サービス・アウトソーシング・コールセンター 10.7% 金融 5.1% コンサルティング・専門事務所・監査法人・税理士法人・リサーチ 5.0% メーカー(素材・化学・食品・化粧品・その他) 4.4% 商社 2.7% 医薬品・医療機器・ライフサイエンス・医療系サービス 2.7% その他 4.5%
【対象】2024年9月doda掲載のリモートワーク求人
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リモートワーク(ハイブリッドワーク・フルリモート)の実態を調査!
ここまでdodaの求人動向を見てきましたが、世の中のビジネスパーソンは実際にどんな働き方をしているのでしょうか。また、新型コロナウイルス感染症が5類に移行してから1年以上が経ち、リモートワーク(ハイブリッドワーク・フルリモート)が認められている人は、どのくらいいるのでしょうか。
15,000人のビジネスパーソンに調査した結果を解説します。
社会人はどんな働き方・働く場所を求めている?
「もし自由に選べるとしたら、あなたはどのような場所で働きたいですか」と尋ねたところ、最も多かったのは、「出社」で53.7%でした。次に多かったのが「ハイブリッドワーク」で32.8%、それに続く「フルリモート」は13.1%でした。「リモートワーク(ハイブリッドワークとフルリモート)」の合計は45.9%であり、「出社」を希望する人のほうがやや多いものの、リモートワークを希望する人も約半数に上ることが分かります。
Q. もし自由に選べるとしたら、あなたはどのような場所で働きたいですか?
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- Q. もし自由に選べるとしたら、あなたはどのような場所で働きたいですか?
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割合 出社 53.7% リモート
ワークハイブリッドワーク 32.8% 45.9% フルリモートワーク 13.1% その他 0.4%
リモートワーク(ハイブリッドワーク・フルリモートワーク)が「認められている」と回答したビジネスパーソンの割合は48.8%。前回調査との差は-2.4pt
現在勤めている会社で、リモートワーク(ハイブリッドワーク・フルリモートワーク)が「認められている」と回答したビジネスパーソンの割合は48.8%でした。これは、前回よりも2.4pt減少しています。
一方、「認められていない」という回答の割合は37.7%から38.9%へと1.2pt増加しました。ここから、新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後にリモートワークを「認めない」方針に変えた企業がやや増えたのではないかと推察されます。
Q.あなたのお勤めの会社ではリモートワークが認められていますか?
認められて いる |
認められて いない |
分からない | |
---|---|---|---|
2024年度 | 48.8% | 38.9% | 12.4% |
2023年度 | 51.2% | 37.7% | 11.2% |
ハイブリッドワークが「認められている」人は週に何回出社している?
リモート勤務と出社のハイブリッドワークが認められている人は、週にどのくらいリモートワークを実施しているのでしょうか。最も多いのが「リモートワークは週2~3日」という人で40.1%です。それに、「週1日」が38.0%、「週4~5日」が14.1%で続きます。
Q. ハイブリッドワークをしている人にお聞きします。リモートワークを週に何回していますか。
※週によってリモートワークの頻度が変わる場合は、直近3カ月の平均でお答えください。
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- Q. ハイブリッドワークをしている人にお聞きします。リモートワークを週に何回していますか。
-
割合 リモートワークは週1日 38.0% リモートワークは週2~3日 40.1% リモートワークは週4~5日 14.1% その他 7.8%
【対象者】20~59歳の男女のうち、ハイブリッドワークを実施している人
【有効回答数】3,112件
※【雇用形態】【調査方法】【実施期間】はページ下部の「調査概要」に準ずる
リモートワークのメリット・デメリットは?
リモートワークのメリットとデメリットのコメントをそれぞれ見てみると、 リモートワークのメリットとしては前回調査と同様に「家庭との両立」が挙げられました。また、「通勤のストレス軽減」「体力的な負担が少ない」など心身の負担の軽さを評価するコメントも見られました。
リモートワークのメリットに関するコメント
- 通勤時間がなくなることで通勤のストレスが緩和され、睡眠時間や自分のために使える時間が増加した
- 通勤で消費される体力を温存できる
- 家庭の事情やその日の体調により在宅勤務などを選びたい日は、リモートワークが認められていて良かったと感じる
リモートワークのデメリットに関するコメント
- 自宅に仕事ができる環境を用意する必要があり、電気代が上がった
- ちょっとしたことを隣の席の人に相談したりできない。また、集中力が途切れやすい
- プライベートとの区切りがつけにくい
前述したとおり、自由に働き方を選べるなら「出社したい」と答えた方が半数以上見られました。リモートワークのデメリットとして「コミュニケーションのため出社がしたい」「出社のほうが業務に集中できる」といったコメントも見られ、コミュニケーションのしやすさや業務効率の観点から出社を希望する方がいると考えられます。ほかにも、自宅などの環境で業務を行うため、仕事とプライベートの区切りがつけにくいといったコメントも見られました。
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doda編集長解説
今回の調査では、新型コロナウイルス感染症が5類に移行して1年以上が経ち、出社をしたいと考えるビジネスパーソンの声も少なからず見られるようになってきたことが分かりました。
「境界マネジメント」という言葉がありますが、リモートワークには、仕事とプライベートの境界があいまいになってしまうというデメリットもあり、仕事とプライベートをいかに管理するかが課題です。今回の結果からも「プライベートの区切りがつかない」といったコメントが上がりました。
一方で、働き方の多様化により、家庭やプライベートの事情によってはリモートワークで働くという選択肢が必須と思っている人も多いのではないでしょうか。
リモートワークを廃止する企業がある一方で、リモートワークと出社の両方を組み合わせたハイブリッドワークを採用する企業も増えてきています。
dodaの求人動向でも、リモートワーク(ハイブリッドワーク・フルリモート)が可能な求人掲載数は右肩上がりに増えており、求人の選択肢は広がっています。
今回の結果を参考に、ぜひ自分に合った働き方を考えてみてください。
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doda編集長 桜井 貴史(さくらい・たかふみ)
新卒で大手人材会社に入社し、一貫して国内外の学生のキャリア教育や就職・転職、幅広い企業の採用支援事業に携わる。2016年11月、パーソルキャリア株式会社に中途入社。
同年、株式会社ベネッセホールディングスとの合弁会社、株式会社ベネッセi-キャリアに出向、新卒オファーサービス「dodaキャンパス」の立ち上げを牽引し、初代dodaキャンパス編集長に。その後、同社 商品サービス本部 本部長として、キャリア講座やアセスメントをはじめとした、大学生向けサービスの責任者を務める。2023年4月、doda副編集長 兼 クライアントP&M本部 プロダクト統括部 エグゼクティブマネジャーに就任し、法人向け採用支援プロダクト全体を管掌。2024年4月、doda編集長に就任。サービスを通じてこれまで約60万人以上の若者のキャリア支援に携わり、Z世代の就職・転職動向やキャリア形成、企業の採用・育成手法に精通している。
調査概要
【対象者】20~59歳の男女
【雇用形態】正社員
【調査方法】ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査(ネットリサーチ会社保有のモニターに対し実施、doda会員登録の状況については不問)
【実施期間】2024年8月5日~8月13日
【有効回答数】15,000件
※ウェイトバック:正社員の地域・年代・性別に合わせて実施
※記事中の割合データは、小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%にならない場合があります。
※データのご利用について:出所が「転職サービスdoda」であること、本ページのタイトルを明記し、本ページへのリンクを掲載の上で、利用してください。