新型コロナウイルス感染症が5類へ移行した後、ビジネスパーソンの働き方や働く場所はどう変わったのでしょうか。リモートワーク・テレワークは廃止されたのか、継続されているのか? リモートワークの働き方に変化があった人はどう思っているのか?
社会人15,000人へのアンケート調査結果から分かった、働き方・働く場所の変化と人々のホンネをご紹介します。
リモートワーク・テレワークの働き方は今どうなっている? また今後どのように変化する?
働き方・働く場所は新型コロナウイルス5類移行後、どのように変化したのでしょうか?
『通信利用動向調査』(総務省)によると、企業のテレワーク導入率は2019年の20.2%から2022年の51.7%へと倍以上に増加しました。このことから、コロナ下で急激にリモートワーク・テレワークの導入が進み、働き方の多様性が高まったことが分かります。
テレワーク導入率の推移 (2022年:n=2,426)
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- テレワークの導入推移
-
テレワークを
導入している導入していないが、
今後導入予定がある2013年 9.3% 3.3% 2014年 11.5% 3.5% 2015年 16.2% 3.4% 2016年 13.3% 3.3% 2017年 13.9% 4.3% 2018年 19.1% 7.2% 2019年 20.2% 9.4% 2020年 47.5% 10.7% 2021年 51.9% 5.5% 2022年 51.7% 3.5%
- テレワークの導入形態
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割合 在宅勤務 91.3% モバイルワーク 27.0% サテライトオフィス勤務 12.9% ワーケーション 0.8%
- ※1 営業活動などで外出中に作業する場合。移動中の交通機関やカフェでメールや日報作成などの業務を行う形態も含む。
- ※2 テレワークなどを活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすこと。
- ※3 導入形態の無回答を含む形で集計。
2023年5月8日以降、新型コロナウイルスは5類感染症となりました。その結果、ビジネスパーソンの働き方・働く場所はどのように変わったのでしょうか。その実態を探るため、20歳~59歳までの社会人にアンケート調査を実施しました。15,000人が答えたアンケート調査の結果を見ていきましょう。
リモートワーク・テレワークが「認められている」と回答したビジネスパーソンの割合は51.2%
2023年8月時点で、現在勤めている会社でリモートワーク・テレワークが「認められている」と回答した人は51.2%で、その内訳は「認められており、リモートワークを実施している」と答えた人が27.4%、「制度上は認められているが、現在リモートワークを実施していない」と答えた人が23.8%となります。
また、「認められていない」と回答した人は37.7%で、半数以上の人が「認められている」と回答したことが分かりました
Q.現在のお勤めの会社では、リモートワーク(在宅勤務・テレワーク)は認められていますか
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- 勤務先でリモートワーク・テレワークの認められている割合
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割合 制度上、認められたことはない 30.5% 制度上、認められたことはあるが、直近3カ月(6~8月)は認められていない 7.2% 認められており、リモートワークを実施している 27.4% 制度上は認められているが、現在リモートワークを実施していない 23.8% 分からない 11.2%
「認められていない」のうち、「制度上、期間限定で認められたことはあるが、直近3カ月(6~8月)は認められていない」と答えた人は7.2%です。
さらに、「制度上、期間限定で認められたことはあるが、直近3カ月(6~8月)は認められていない」と回答した人に対し、認められなくなったタイミングについて尋ねたところ、「新型コロナウイルス5類移行後(2023年5月~)」と回答した人は23.7%でいちばん多い結果となりました。
このことから、新型コロナウイルスが5類へ移行したことをきっかけに、リモートワークから出社に切り替える企業があることが分かりました。
リモートワーク・テレワークは今後も継続できる? 出社するのは何日?
今後の働く場所・働き方の動向についても見ていきましょう。
リモートワークが認められており、実際にリモートワークをしている人に「リモートワークは今後もこれまで通り継続されますか」と聞いたところ、「継続」と答えた人は57.2%、「廃止」と答えた人は9.4%でした。
Q.リモートワークは今後もこれまで通り継続されますか
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- リモートワークを継続するかどうかの割合
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割合 廃止 9.4% 変更なし 43.4% 減少 11.2% 増加 2.7% 分からない 33.5%
「継続」と答えた人のうち、「リモートワークができる日数が減少する」と回答した人は11.2%で、リモートワークの廃止だけでなく減少も一定数発生していることが分かります。
さらに、「週に何日リモートワークしているか」についてアンケートを取ったところ、いちばん多かったのは「週2~3日」(20.4%)で、それに「週1日」(19.2%)が続きました。ここから、リモートワーク継続と回答した人であっても、出社日数のほうがリモートワークの日数を上回る場合が多いことが分かります。
Q.リモートワーク・テレワークができるのは週に何日ですか
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- テレワークの導入推移
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割合 週1日 19.2% 週2〜3日 20.4% 週4〜5日 10.9% 週6日以上 6.7% 週0日(リモートワークは廃止) 9.4% 分からない 33.5%
リモートワーク・テレワークが廃止・減少となった人々のホンネと希望の働く場所
リモートワークが廃止もしくは、リモートワークができる日数が減少となった人はどのように思っているのでしょうか。
続いては、具体的なコメントもピックアップしながら、リモートワークに関する社会人のホンネをご紹介します。
リモートワーク・テレワークが廃止・減少となった結果、不安や困難、不満に感じていることは?
リモートワークが廃止、またはリモートワークができる日数が減少となった結果、不安や困難、不満に感じることの有無について尋ねたところ、「ある」と答えた人が16.1%、「ややある」と答えた人が20.8%で、合計は36.9%でした。
Q.リモートワークが廃止、もしくは減ることで、不安や困難、不満に感じることはありますか
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- リモートワークが廃止、減少になることの不安や困難、不満に感じること
-
割合 ある 16.1% ややある 20.8% どちらとも言えない 27.6% あまりない 16.8% ない 18.7%
不安や困難、不満の内容については、子育てや介護などと仕事の両立の困難に関する声が多く見られました。
回答者のコメント
- 子どもの急病時、リモートワークなら早く駆けつけられる。電車通勤だが、電車が止まり子どものお迎えに間に合わなかったことがある(女性・30代・品質管理/品質保証(素材/化学/食品系))
- 家族が病気を抱えているため、育児や家事などを考えると、できるだけリモートワークのままが望ましい(男性・40代・プロデューサー/ディレクター/プランナー(出版/広告/Web/映像関連))
- 通勤の時間帯に家事ができたので、ワーク・ライフ・バランスが改善されていた。リモートワークが減ることで、プライベートの時間を学習に充てる時間が減ってしまう(女性・30代・QAエンジニア)
また、そのほかに、通勤や、出勤することで生じる人間関係、仕事環境のストレスへの不安の声も寄せられていました。
回答者のコメント
- 暑いときや、雨風の強いときなど、出勤だけで疲れる(男性・40代・基礎研究)
- 満員電車が大変であること。通勤に1.5時間かかること(女性・20代・人事)
- リモートワークは人との摩擦に疲れなくてよい。出社するとスピーディーに会話ができるが、雑音が多すぎる(男性・30代・Webエンジニア)
リモートワーク・テレワークが廃止・減少となった結果、良かった点や満足に感じることは?
リモートワークが廃止・減少となった結果、良かった点や満足に感じることの有無について尋ねたところ、「ある」と答えた人が4.4%、「ややある」と答えた人が12.3%で、合計は16.7%でした。「ない」と答えた人は26.0%、「あまりない」と答えた人が20.4%で、いずれも「ある」「ややある」を上回っています。
Q.リモートワークが廃止、もしくは減ることで、良かった点や満足に感じることはありますか
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- リモートワークが廃止、減少になることで良かった点や満足に感じること
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割合 ある 4.4% ややある 12.3% どちらとも言えない 36.9% あまりない 20.4% ない 26.0%
良かった点や満足に感じることについてのコメントでは、出社によりコミュニケーションが取りやすくなったという声が多く上がりました。
回答者のコメント
- 直接のコミュニケーションが増えることで、状況把握やスピード感が改善される(男性・30代・インフラコンサルタント)
- 社内の方とコミュニケーションが取りやすいので仕事も進めやすい(女性・30代・営業事務)
- コミュニケーションが取りやすくなり、オンオフの切り替えがはっきりした(男性・40代・Webエンジニア)
また、作業効率が高まるなど職場が働く環境として適していることや働くための場所があること自体をメリットとして取り上げるコメントも寄せられています。
回答者のコメント
- 出社したほうが集中力は上がる(女性・30代・商品企画/サービス企画)
- 仕事上、個人情報や勤務評価などの守秘性の高いデータを扱うことが多く、リモートワーク時に持ち出す情報に関し、制限や許可手続きが煩雑であり、業務が進まないから(男性・50代・人事)
- 在宅の時間が減ることで光熱費が下がる(女性・30代・テレマーケティング/カスタマーサポート/コールセンター)
リモート、出社、ハイブリッド…、社会人はどんな働き方・働く場所を求めている?
今、社会人がどんな働き方を希望しているのかについてのデータを見てみましょう。
社会人15,000人に「もし自由に選べるとしたら、あなたはどのような場所で働きたいですか」と尋ねたところ、最も多かった回答は「ハイブリッドワーク(リモートワークと出社の組み合わせ)」で全体の41.5%でした。実際にリモートワークを経験し、メリット・デメリットを体感したことで、出社との両立を希望する人も多いのではないでしょうか。
Q.もし自由に選べるとしたら、あなたはどのような場所で働きたいですか
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- 働く場所の希望
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割合 会社が定める場所(オフィス・店舗・工場など)に出社 38.0% 自宅などでリモートワーク(在宅勤務・テレワーク) 19.7% ハイブリッドワーク 41.5% その他 0.7%
また、「自宅などでリモートワーク(在宅勤務・テレワーク)」を希望する方は19.7%でした。「ハイブリッドワーク」(41.5%)と合わせると、リモートワークができる働き方を希望している人の合計は全体の6割超(61.2%)という結果となりました。
doda編集長解説
「働き方改革」や「働き方の多様性」の推進により、リモートワークを取り入れる企業の数は年々増えていましたが、新型コロナウイルスへの感染拡大をきっかけに、リモートワークの導入は急激に進みました。
しかし、2023年5月の新型コロナウイルス5類移行後、改めて働く環境の変化に直面している人も多いようです。今回の調査では、家事や子育て、介護、通勤、心身の健康への不安といった切実な理由から、リモートワークという働き方を希望する人々のコメントをご紹介しました。リモートワークの廃止や日数の減少は、そうした方々にとって大きな負担となっているようです。一方で、出社して働くことにメリットを感じる声も見られ、働き方・働く場所への希望や価値観は多様であることが分かります。
2022年5月からのdoda掲載のリモートワークができる求人を見ると、新型コロナウイルスが5類に移行した後も掲載数は増えています。リモートワーク、出社、ハイブリッドなど多様な働き方の選択肢のうち、何が自分の希望に合うのか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。“現在の自分の働き方、働く場所が希望通りでない”という方は、ご自身の「希望に沿った働き方、働く場所」で働ける会社への転職を検討してみても良いかもしれません。
(doda編集長 加々美 祐介)
dodaのリモートワーク求人掲載数の推移 (リモートワークが可能な求人数)
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doda編集長 加々美 祐介(かがみ・ゆうすけ)
2005年、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。人材紹介事業、転職メディア事業で法人営業、およびマネジメントを担い、一貫して企業の採用支援、個人の転職支援に従事。
2013年にはカルチャー変革の仕組みづくりと推進をミッションとした新規部署を立ち上げ、企業変革を成功に導くためのチェンジマネジメントを主導。2014年には人事部門も管掌し、人事制度企画や採用、異動・配置転換、組織・人材開発など、ビジョンの実現と経営戦略の実行に向けた、戦略人事全般を担う。2019年、新しいマッチングサービスを開発する新規事業開発部門を立ち上げ、本部長に。ダイレクトリクルーティング全般、そしてハイクラス転職サービス「iX」(現「doda X」)の事業・プロダクト開発を牽引。2021年には執行役員に。2023年4月、doda編集長、プロダクト&マーケティング事業本部 事業本部長に就任。
調査概要
【対象者】20歳~59歳の男女
【雇用形態】正社員
【調査方法】ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査(ネットリサーチ会社保有のデータベースをもとに実施、doda会員登録の状況については不問)
【実施期間】2023年8月23日~9月1日
【有効回答数】15,000件
※ウェイトバック:正社員の地域・年代・性別に合わせて実施
※記事中の割合データは、小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%にならない場合があります。
※データのご利用について:出所が「転職サービスdoda」であること、本ページのタイトルを明記し、本ページへのリンクを掲載のうえで、利用してください