転職ストーリー
培った施工管理経験を糧に、
故郷・岐阜県の未来をデザインする
前職の大手ゼネコンでは施工管理として経験を積み、若くして現場所長として手腕を発揮された樋口さん。インフラを支える仕事に誇りを感じながらも、30代で「岐阜県」という新天地を選びました。施工管理として一つの型を築いた先に、彼が見出したのは「何を、どこに、なぜ造るのか」を地域と共に考え抜く、新しい挑戦でした。培った経験を糧に、故郷の未来をデザインする姿を追います。
樋口 喬士さん
岐阜県 県土整備部 道路建設課
大手ゼネコンで施工管理を経験後、2013年10月、岐阜県へ入庁
現場での達成感を手応えに。次は故郷の未来を構想する側へ
前職のゼネコンでは、どのような仕事を?
前職での約8年半は、首都圏を中心に巨大な雨水貯留管建設や地下鉄、高速道路といった難易度の高い地下トンネル工事に明け暮れていました。施工管理として汗を流しながら図面が形になっていく過程に携わり、技術者として大きな高揚感を得ました。若くして現場所長を任され、一つの現場を完遂させることに全力を注いだ経験は、今の私を支える大切な宝物です。一方で、一通りの役割を経験し、自分の中である種の達成感や仕事の「型」が見えてきた感覚もありました。今後も同じ立場が続いていくイメージが見えたとき、もう少し広い視野で「土木」に向き合ってみたいという想いが自然と芽生えたんです。
なぜ「行政の土木職」への転職を考えたのですか?
現場を動かす面白さを十分に味わったからこそ、次は「何をどこに造るのか」という事業の起点に関わりたいという好奇心が強くなりました。ゼネコンは発注者の想いを最高品質で具現化する存在ですが、行政の土木職は「なぜここに造るのか」という問いに向き合い、未来のグランドデザインを描く立場です。道路やまちづくりを「企画者」として動かしていける。自分にとっての次のステージだと確信しました。
数ある自治体の中で、岐阜県を選んだ決め手を教えてください
当時は横浜に住んでいたので、首都圏を検討していましたが、生まれ故郷の岐阜県が、10年ぶりに社会人採用を行うという一報を聞いたとき、かつて過ごした岐阜の風景が鮮明に浮かんだんです。「人生を懸けるなら、自分を育ててくれたこの土地の力になりたい」。その直感を信じ、岐阜県庁への転職を決めました。新しい挑戦への期待で胸がいっぱいになったのを覚えています。
100の要望を一つの形に。地域を繋ぐ「全体最適」という難題
現在の仕事内容を教えてください。
東海環状自動車道や東海北陸自動車道の整備推進に向けた調整が私の主な任務です。道路建設は、国やNEXCOが主体となる事業も多く、県は「地域の窓口」として極めて重要な役割を担います。
具体的には、どんなプロジェクトに携わっているのでしょうか?
さまざまな事業に携わっていますが、例をあげると、東海環状自動車道は計画から約40年にわたる巨大プロジェクトです。現在は岐阜県・三重県境の区間で工事が進んでいますが、地質や湧水の問題で掘削が難航している箇所もあります。こうした課題を技術的な視点から的確に把握し、沿線の市町村や地元関係者の方々へ丁寧に状況を説明し、理解を得ていくことが求められます。
あわせて担当している東海北陸自動車道では、暫定2車線で供用されている区間の「4車線化」が大きなテーマです。2車線区間は事故が発生すると通行止めになりやすく、地域の物流や観光に多大な影響を及ぼします。早期4車線化の必要性を裏付けるデータや資料を整理し、予算確保に向けた国への陳情対応などを行います。
行政の土木職ならではの達成感はどういったときに感じますか?
前職では「完成したとき」が喜びですが、行政では関係者全員が同じ方向を向き、「では、この事業を進めましょう」と合意できたときに、何物にも代えがたい達成感があります。
道路事業には、首長や議員、住民の方々の「地元を良くしたい」という純粋な想いが渦巻いています。大切なのは、対話の先に「共通の未来」を見出すこと。データに基づく論理的な説明を尽くし、隣の自治体の整備が結果的に自分たちの地域にもプラスになるという納得を得られたとき、事業は単なる工事から「地域の希望」として受け取られるようになります。また、地域の方々との対話を通じて、意外と小さな工夫で解決できる課題が見つかることも。対応の結果、地域の方々から「ありがとう」と言っていただけたときは、この仕事を選んで良かったと心から感じます。
「現場を迷わせない」がMyルール。岐阜県で磨く、普遍の技術力
前職の経験は、どう活かされていますか?
施工会社の皆さんが、どのような情報を、どのタイミングで求めているかが手に取るようにわかります。発注者の判断が数日遅れるだけで、現場の重機は止まり、職人さんの手も止まってしまいます。それは現場の円滑な進捗を阻害する要因になります。その実情を身をもって経験してきたからこそ、私はできる限り迅速かつ明確な判断を心がけています。「現場を迷わせない発注者」であることが、元施工管理としての私のプライドです。
技術的な視点から見た、岐阜県で働く魅力とは何でしょう?
岐阜県は「土木の博物館」と言えるほど、地形が豊かで変化に富んでいます。山岳トンネルや巨大な橋梁など、都市部での工事とはまた違った顔を持つ難工事の宝庫です。崩れやすい地質や厳しい気象条件といった課題を、最新技術と創意工夫で乗り越えていく。この険しくも魅力あふれる大地にインフラを刻む経験は、技術者としての引き出しを確実に増やしてくれます。災害から県民の命を守るための砂防や河川管理も含め、ここで身につく技術は普遍的な強さを持っています。今後は市町村への出向も予定しており、より住民に近い立場で「まちづくり」の根幹に携わっていきたいと考えています。
この記事の読者へ、メッセージをお願いします。
民間企業で培ってきた着実に課題を突破する現場力や調整能力は、行政というフィールドでさらに大きく輝きます。「民か官か」という二項対立ではなく、これまでのキャリアをさらに広げる選択肢として捉えてほしいですね。自分の技術が、誰かの日常を支え、数十年後の子供たちの未来を創る。そんな奥行きのある仕事に、共に挑戦してみませんか。
キャリアの変遷
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大手ゼネコンにて、都市部の地下トンネル工事を完遂 現場所長として「造る喜び」と「現場を守る責任」を学び、土木技術者としての土台を築く
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故郷への貢献を胸に、30代で岐阜県庁へ入庁 現場視点を持ちつつ、事業の公共性や説明責任を学び、多角的な「公」の視点を獲得
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東海環状道などの巨大プロジェクトを通じ、地域の未来を描く 異なる想いを束ねて一つの形にする、行政ならではのダイナミズムを体感
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地域に寄り添い、共に歩むリーダーへ 今後は市町村への出向を通じ、現場に近い視点で地域の課題を解決する立場へ






