ビジネスパーソン5,000人の仕事に対する満足度は、平均63.8点でした。全100職種の中で、最も満足度が高かったのは運用（ファンドマネジャー／ディーラー／アナリスト）（78.3点）、次いでブライダルコーディネーター（72.4点）、コンサルタント（72.0点）という順になりました。1位の運用（ファンドマネジャー／ディーラー／アナリスト）は「仕事内容」と「職場環境」で1位、「給与・待遇」「労働時間」でも2位にランクインするなど、今回調査した5つすべての指標で満足度の高い職種であることが分かりました。回答者からは「やりたい仕事ができている」「成果主義で、仕事をしただけ自分の給与に反映される」といったコメントが寄せられています。2位のブライダルコーディネーターは、「仕事内容」と「職場環境」の指標でも2位にランクインしており、社内の良好な人間関係に支えられながら、結婚という人生の一大イベントに関われるというやりがいが、仕事に対する総合的な満足度を押し上げています。3位のコンサルタントは、5つの指標すべてがトップ5位以内にランクインしており、こちらも1位同様に全般的に満足度の高い職種と言えるでしょう。

さらに5,000人の回答傾向を探ってみると、「総合」の満足度への影響が最も強い指標は「仕事内容」であることが分かりました。次に「職場環境」「給与・待遇」「労働時間」の順で相関が強くなっています。つまり、仕事内容に満足している人は仕事に対する総合的な満足度が高くなり、一方で給与・待遇や労働時間への満足度は高くても仕事内容に満足できていない人は、総合的な満足度が低くなる傾向にあるようです。

男性と女性を比較すると、仕事満足度はともに平均63.8点という結果になり、性別による変化は見られませんでした。しかし年代を分けてみると、女性は差がほとんどありませんでしたが、男性はその内訳に違いがあることが分かりました。20代男性の満足度は60.6点でほかのどの年代よりも低く、反面50代男性の満足度は66.0点で最も高くなっています。男性は年齢を重ねるごとに、仕事に対する満足度が上昇する傾向にあることが見て取れます（表1）。

ビジネスパーソン5,000人の「仕事内容」に対する満足度は平均64.7点でした。満足度が高い職種は、1位が運用（ファンドマネジャー／ディーラー／アナリスト）（79.6点）、2位がブライダルコーディネーター（77.2点）、3位がコンサルタント（75.3点）と、総合的な仕事満足度のランキングと同じ順位になっています。そのほか、総合で20位だった編集／デスクが6位に、ランク外だったWeb編集／コンテンツ企画をはじめ、ファッション・インテリア関連、映像関連、ゲーム関連といった職種が、それぞれ8位、10位、11位、18位にランクインしており、クリエイティブ系職種の満足度が総じて高いことがうかがえます。クリエイティブ系職種の回答者からは「好きなことを仕事にできている」「やりたいことができて、仕事が楽しい」といったコメントが多く寄せられました。

在籍期間との比較では、満足度が高くなるのは入社3年目～9年目、15年目以上の層ということが分かりました。入社後3年を経過すると、自分一人の力で担える業務の幅も広がるため、やりがいを実感できる機会が増えてくるのでしょう（表2―①）。一方で、在籍期間が10年を経過すると一時的に満足度が下がってしまう理由としては、一通りの経験やスキルを積んだことで、仕事内容にマンネリを感じてしまったり、キャリアを見直す人が増えてくる結果と言えます（表2―②）。その後、15年を過ぎるとまた満足度は上がっており、これは役職を与えられることで新しい職域に手を伸ばす人や、今の会社や仕事で定年まで働き続ける覚悟を決める人が増えているためかもしれません（表2―③）。

ビジネスパーソン5,000人の「給与・待遇」に対する満足度は平均58.1点でした。これは今回調査した5つの指標の中で最も低い結果になっています。その中で給与・待遇の満足度が高い職種は、1位が先行開発／製品企画（70.5点）、2位が運用（ファンドマネジャー／ディーラー／アナリスト）（70.3点）、3位が臨床開発／治験（66.6点）でした。満足度の高い回答者からは「同業界や同年代の人に比べて給与水準が高い」「業務内容や評価に見合った給与である」といったコメントが多く見られます。また「生活に不自由していない」「今の給与で十分に暮らせるから満足」といった現実的なコメントも寄せられました。

さらに今回の調査結果からは、給与・待遇に対する満足度の高さと、年収額の高さが必ずしも連動しているわけではないことが分かりました。dodaの平均年収／生涯賃金データ2014と照らし合わせてみると、満足度のランキングトップ20位の職種の中で、平均年収のランキング20位以内にランクインしていた職種は、1位の先行開発／製品企画（平均年収602万円、平均年収ランキング10位）をはじめ、2位の運用（ファンドマネジャー／ディーラー／アナリスト）（709万円、2位）、3位の臨床開発／治験（541万円、20位）、5位のコンサルタント（602万円、9位）、6位のプロセスエンジニア（606万円、8位）、17位の財務（551万円、18位）のわずか6職種にとどまっています。これは同職種や同業界、同年代といった自分と近しい立場や状況にある“身近な人”との比較によって給与・待遇の良し悪しを判断する人が多いため、自分と“接点の少ない人”と比べて年収が高いか・低いかといった点は満足度にはあまり影響しないということなのでしょう。さらに年収額そのものよりも、業務負荷との兼ね合いや成果に対する評価などを鑑みて納得感があるかどうかが影響していると考えられます。

ビジネスパーソン5,000人の「労働時間（残業・休日など）」に対する満足度は平均65.8点で、今回調査した5つの指標の中で、最も平均点が高い結果になりました。満足度が高い職種は、1位が貿易業務（78.5点）、2位が運用（ファンドマネジャー／ディーラー／アナリスト）（77.8点）、3位が秘書／受付（75.8点）でした。満足度が高い回答者からは、「自分の裁量で働く時間を決められる」という意見が多く寄せられており、仮に残業があったとしても自分でスケジュールをコントロールできている場合に、満足度が高くなる傾向にあることが分かります。また「オンとオフがはっきり分かれている」「育児と両立できている」といった回答も多く、公私や家庭とのバランスも満足度に影響していると考えられます。

労働時間に対する満足度を、1カ月あたりの残業時間別に比較してみたところ、平均よりも点数が高くなったのは残業時間が0～30時間未満の人たちという結果になりました（表3）。その後、残業時間が長くなるほどに満足度は低くなっています。一方、残業時間は長くても満足度が90点以上と回答した人たちからは「少し忙しいくらいが自分には合っている」「土日祝の休日はしっかり休みが取れている」というコメントが寄せられました。中でも、休日の有無について言及する人は多く、「しっかりと働き、しっかりと休む」というメリハリのある働き方を好む意見が多く見られました。

ビジネスパーソン5,000人の「職場環境（社風・周囲の社員など）」に対する満足度は、平均60.7点でした。満足度の高い職種は、1位が運用（ファンドマネジャー／ディーラー／アナリスト）（77.9点）、2位がブライダルコーディネーター（70.8点）、3位がコンサルタント（69.6点）という結果になっています。満足度の高い回答者からは、「裁量を持って自由に働ける」「頼りになる上司や同僚がいる」「人間関係が良好で居心地がいい」といったコメントが寄せられました。社員に権限が委譲され、自分の裁量で自由に仕事ができる社風や、困った時に助け合える良好な人間関係が培われている環境に働きやすさを感じる人が多いようです。