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転職年齢はなぜ上昇し続けるのか?

転職成功者の年齢調査(2014年下半期)

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全体:平均年齢は過去最高の32歳に。若手とミドル、キャリアへの意識がそれぞれ前向きに変化

【グラフ1】の転職成功者の平均年齢は、直近の2014年下期で32.0歳となり、前回調査の2014年上期から0.3歳アップ。調査を開始した2007年下期からは2.9歳上がり、この7年半で最高となりました。また、【グラフ2】の転職成功者の年齢割合を見ると、「24歳以下」は-0.2%、「25〜29歳」は-1.5%、「30〜34歳」は-0.1%と減少している一方で、「35〜39歳」は+0.9%、「40歳以上」は+1.0%と、35歳以上のミドル層の割合が上昇。調査開始の2007年下期と比べると、「24歳以下」は11.5%から6.6%に減ったのに対して、「35歳〜39歳」は8.0%から14.8%に、「40歳以上」は2.5%から12.2%に増え、この7年半の間で、若手層とミドル層の割合が逆転していることが分かります。

ただし「割合」では、「ミドル層が増えて、若手層が減っている」ように見えますが、【グラフ3】の「実数」だと、若手層もミドル層も2009年下期以降、増加傾向が続いています。特に「40歳以上」は、2007年下期時点から5.4倍に大幅に増加。求人数の増加に伴い、ビジネスパーソンが年代を問わず、転職マーケットに活発に参入している状況と言えるでしょう。ミドル層の増加ペースが若手層を上回っている要因としては、次のような企業の採用背景が挙げられます。

  • 金融危機後の業績回復や新規参入、大型投資をするために、スピーディーに成果を出せる人材が必要になっている
  • 商材投入や組織改編のサイクルが短縮化され、未経験の人材をじっくり育てるのではなく、「即戦力」を中途採用している
  • ITや建築など、業界によっては空前の人材不足で、従来よりも採用ターゲットが広がっている
  • 顧客ニーズの多様化に対応するため、営業など、技術や専門職種系など特定スキルが必要な職種以外でも、ミドル層の経験やスキルが求められるようになっている
  • 女性の活躍推進の動きから、管理職候補を含めたミドル層の女性を採用する企業が出ている

このような企業の状況を引き金に、転職を考えるミドル層のキャリアの考え方も変化。新卒入社から定年退職まで1社で働き続けるという意識や転職への抵抗感が薄れ、その時々のキャリアに応じた環境を選択する人が増えてきました。特に2013年以降は、中途採用の求人数が調査を始めた2008年を上回る水準まで回復したことも相まって(doda「転職求人倍率レポート」 )、「35歳以上」の割合が一段と増えるなど、ミドル層の転職への意識はより前向きになっています。

一方、若手層にも特有の事情があります。中途採用は売り手市場で、入社後のポテンシャルに期待した、未経験の業種や職種からの中途採用も多く、若手層の転職チャンスは引き続き大きい状況です。3年ほど前までは「就職氷河期」のころに新卒入社した若手層による「リベンジ転職」も見られましたが、ここ1、2年は、新卒時も企業の選択肢が豊富な状況で、転職についても「何としても今すぐ転職したい」というより、「良いところがあったら」「いつかは転職したい」と考える若手層が増えています。このようなミドル層、若手層それぞれの意識の変化が、転職成功者の年齢割合の逆転現象につながっているのでしょう。

職種別:国内企業の「グローバル化」、専門スキルの「高度化」がキーワード。7年半で5歳アップの職種も

転職成功者の平均年齢を職種別に見ると、前回調査の2014年上期から最も上昇したのは、「技術系(電気/機械)」(1.7歳)、次いで「企画・管理系」(0.7歳)、「クリエイティブ系」(0.5歳)となりました。また、全10職種中もっとも平均年齢が高いのは、「技術系(建築/土木)」の36.3歳。「技術系(建築/土木)」は、前回調査からは-0.7歳となりましたが、引き続き転職成功者の平均年齢自体は高い結果です。

また、調査を開始した2007年下期からの7年半で、「専門職系」が28.5歳から33.5歳に5歳アップ、「技術系(電気/機械)」が29.4歳から34.0歳に4.6歳アップと、それぞれ大幅に上昇しました。この7年半は、グローバル化に対応するための戦略として海外展開する国内企業が増加。経営・人事コンサルタントや金融のファンドマネジャー、不動産のプロパティマネジメントなどの「専門職系」においては、海外法人とのM&Aや、海外での新規事業の開発や企画を担う、より高度な専門性のある人材が求められるようになり、必然的にスキルの高いミドル層の採用が増えました。さらに金融危機のころにミドル・バック部門をスリム化し、今採用を再開している企業などは特に、未経験の若手を育成するよりも即戦力を求める傾向で、このことも「専門職系」の年齢を引き上げた要因と考えられます。

「技術系(電気/機械)」については、中国や韓国をはじめとした海外メーカーの台頭によるモノづくり産業の競争激化によって、事業の柱となっていた部門を閉鎖したり、今後の成長マーケットとして見込んだ医療業界へ新規参入するなど、勢力図が大きく変動した業界。これまで大手日系メーカーで長年勤めていた技術者が、国内の中堅メーカーや海外メーカーに移るという動きが見られます。また、このような状況に危機感を抱き、将来のキャリアを見据えて、自ら転職を選択するミドル層の技術者も増えています。

一方、この7年半でそれほど年齢が上がっていないのは、1.4歳アップの「販売/サービス系」と、1.5歳アップの「営業系」。ポテンシャルを評価した若手層の中途採用が引き続き多く、資格などで評価できる職種特有の専門スキルが分かりにくいことから、スキルのマッチングによる転職は少ない状況です。しかしこれらの職種においても、ミドル層の中途採用事例は徐々に増えてきており、平均年齢は緩やかながら上昇しています。今後は、BtoCの職種においても、ますます加速するであろう顧客ニーズの多様化に対応できるレベルのスキルのある人材が求められ、年齢に応じたキャリアと必要なスキルによって中途採用を進める動きが進んでいくでしょう。

最新のdoda「転職求人倍率レポート」でも、求人数が調査開始(2008年1月)以来の最高値を更新するなど、転職市場は活況な状態。そのような中で、今回のデータからも分かるように、今の転職市場は、応募者が「何歳か」ということではなく、「キャリアそのもの」が評価されています。職種特有の専門スキルはもちろんですが、自分では特別なキャリアと気づいていない、業界や職種の経験自体がキャリアとして認められることもあります。また複数の職種や業界を経験している人は、“キャリアの掛け算”で市場価値が上積みされることもあります。「今後どんな経験が強みにつながっていくのか」や「年齢に応じたキャリアとは何か」を踏まえてこの先のキャリアアップを考えていくために、キャリアの棚卸しやキャリアアドバイザーへの相談、dodaの年収査定などを使って、定期的に自分の“市場価値”を確認しておくことをおすすめします。

調査概要

2007年7月〜2014年12月の7年半の間に、dodaエージェントサービスを利用して転職したビジネスパーソン
有効回答数 約78,000

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