データで見る国家公務員からの転職
まずは国家公務員から転職した方や転職を考えている方について、データをもとにひもといていきましょう。
国家公務員(一般職)の方の過去10年間の辞職者の割合推移を示したものが以下のグラフです。
全体の辞職者の割合は2015年を境に落ち着いていましたが、2021年から再び緩やかな上昇傾向にあることが分かります。
国家公務員一般職の方の辞職者の割合推移
(全体・年代別)
スライドでグラフ全体をご覧いただけます。
全体
20~34歳
35~44歳
※出典:人事院「一般職の国家公務員の任用状況調査」
「(1)給与法職員、任期付職員、任期付研究員、行政執行法人職員:俸給表別・項目別総集計表」をもとにdodaでグラフを作成
年代別で見ると25~34歳は全体の傾向と似ており、辞職者の割合は2021年からの2年間で緩やかに上昇傾向です。35~44歳の辞職者の割合も2021年ごろから緩やかな右肩上がりの変化を見せており、コロナ前2019年と2022年を比較してみると、約1.2倍に増えています。
「doda」へ登録した公務員
(地方・国家公務員)の方の推移
「 2019年の公務員(地方公務員・国家公務員)登録数=1と定義」
このグラフは公務員(地方・国家公務員)のdodaエージェントサービスへの登録推移です。
2021~2023年の3年間は毎年約1.3倍を超える増加率が続いており、また新型コロナウイルスの影響が出る前の2019年と2023年を比較すると、登録者は約1.8倍に増加していることが分かります。
国家公務員の方のよくある転職理由
まずはdodaのキャリアアドバイザーが国家公務員の方からよく聞く転職理由をご紹介します。
定期的なジョブローテーションがあり、スキルや専門性が身につかない
国家公務員の方に限らず、公務員として働く方の転職理由として多いのが、ジョブローテーションに対する懸念です。専門性が身につかないことを不安に感じ、転職するケースは多くあります。
配属が希望制ではないため、希望する仕事内容や部署でキャリアを構築しづらい
ジョブローテーションにより自身が希望する職種でのキャリアを構築できない、または構築し続けられない点も疑問や不安を感じる方が多い傾向にあります。別部署への異動をきっかけに転職に踏み切る方もいらっしゃるようです。
年功序列のため、成果に応じた評価やそれに伴う昇給が期待しにくい
国家公務員は俸給表に基づき年齢や等級で給与や昇給が定められており、個々の成果に対する評価が昇給や昇進に直結しにくいと感じる方も多くいます。どれだけ業務に貢献しても給与が大きく変わらないことに不満を感じ、成長機会や評価の公平性を求めて転職を考えるケースが増えています。
国会対応業務など突発的な対応が発生しワーク・ライフ・バランスが不安定
国家公務員の方の特定のポジションによっては国会対応業務など、突発的な対応が求められることがあり、この突発的な対応がワーク・ライフ・バランスの不安定さにつながることがあります。長時間労働や急な残業が続くことで、家庭やプライベートの時間を十分に確保できないと感じ、安定した勤務環境を求めて転職を考えるケースも少なくありません。
総合職の場合は定期的に規模の大きい転勤があり、生活拠点が安定しない
ポジションによっては全国規模の転勤があり、また法律で定められているため原則拒否することができず、生活拠点が安定しないことに不安を感じ、転職に踏み切るケースも多いようです。
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国家公務員からの転職でよくあるお悩み
ここでは国家公務員の方が民間企業への転職を検討する際によくあるお悩みをご紹介します。
転職して失敗するのが怖い、国家公務員を辞めて後悔したくない
現状に不満や不安があったとしても、「転職に失敗して、国家公務員を辞めて後悔したら?」と考えると、転職など新しい可能性に踏み切れなくなってしまうケースは少なくありません。転職したい気持ちと失敗への不安をてんびんにかけた結果、法律で身分保障されている安心感など、失うものを意識して足踏みをしてしまう方は多いようです。
どんな仕事がしたいのかが分からない
いざ転職を決意したとしても、自分にどんな業種・職種が合うのか、そもそも自分は何がしたいのか分からず、悩んでしまうケースも多くあります。ジョブローテーションによって、一つの業務を突き詰めづらいため、興味のある、深めていきたいと思える分野を見つけられていない方も少なくありません。
自分に活かせるスキルがあるのか、どうやって見つけたらいいのか分からない
国家公務員の方が転職を考える際、自分の経験やスキルが民間企業でどのように活かせるのか分からず、不安を感じてしまうケースも多くあります。日常的に行ってきた業務が、転職時にどのような価値を持つかイメージできずに、自信を持てずに不安を感じてしまう方が多いようです。
業務が忙しく転職準備の時間確保や面接の日程調整が難しい
国家公務員の方は、ポジションによっては繁忙期の残業や、突発的な業務対応で、転職準備に必要な時間を確保するのが難しいと感じている方も多いようです。特に職務経歴書などの応募書類を作成する時間の確保ができない、面接の日程調整を柔軟に対応できないなどのお悩みが多いようです。
民間企業では何をしているのか、どのような仕事があるのかイメージが湧かない
民間企業への就職活動を行ったことがない場合、そもそも民間企業とは何をしているのか、どのような仕事があるのかがイメージできていない方も多くいます。情報収集しようにも、民間企業の業種・職種の選び方も分からないというケースも多いので、転職活動を始める前に行き詰まりを感じてしまうのかもしれません。
国家公務員から民間企業への転職は難しい?
国家公務員の経歴をお持ちの方が民間企業へ転職することは十分可能です。また、実際に転職を成功された方の事例も多数あります。
自分ではスキルや専門性が身についていないと感じていたとしても、国家公務員ならではの評価ポイントや転職活動のコツを知ることで、気づいていなかったスキルやアピールポイントを発見することができ、転職成功に一歩近づくことができます。
さらには、公務員と民間の違いや転職活動の注意点、転職成功事例を事前に知っておくことで後悔しない転職につながるでしょう。ここからは転職活動の注意点やコツを解説していきます。
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国家公務員からの民間転職で評価されやすいポイント
そもそも国家公務員という経歴は民間転職でどのように評価されているのでしょうか。
この章では、国家公務員の方の民間企業への転職で、評価につながりやすいポイントをいくつか解説します。
論理的思考力
国家公務員はその業務の特性上、論理的思考力が養われることが多く、その点が高く評価されます。
国家公務員は国会答弁資料の作成など論理的な文章を作成する機会や、予算要求時に調査内容や資料をもとに上長に論理的な提案をするなど、情報を整理し筋道を立てて説明する機会が多くあり、論理的思考力が養われます。論理的思考力は、民間企業でも職種にかかわらず評価されるスキルなので、これらの業務経験を棚卸しすることで、大きなアピールにつながります。
交渉・調整力
国家公務員だけでなく、公務員全般に当てはまる評価ポイントとして、交渉・調整スキルがあります。
中でも国家公務員は、国会議員や取引先の法人の企画部門の方など組織内外の方とやりとりする機会があり、難易度の高い対人折衝を日常的に行っている方が多くいます。
状況をスピーディーに整理し、軋轢を生まないようなコミュニケーションを行う交渉・調整スキルは民間企業でも高く評価されるでしょう。
大きなプロジェクトや業務の進行管理・推進力
国家公務員には予算感や影響力の面でスケールの大きなプロジェクトを進める機会がありますが、これらの進行管理・推進スキルは民間企業でも評価されます。
また大きなプロジェクトを進めるには、膨大な量のタスクを短納期でこなす必要があります。社内外との連携や予算・進捗の管理など、複数の業務を同時に管理する能力があることを示せると大きなアピールにつながるでしょう。
各庁・局での専門知識や専門スキル
一口に「国家公務員」といっても庁や局ごとに具体的な業務は異なり、それに伴ってアピールできる専門知識やスキルも変化します。ここでは庁や局ごとに民間企業に評価されやすい専門知識やスキルの例をご紹介します。
・国税庁…税務や財政に関する知識、調査・分析能力、交渉力、会計事務所や財務部門に活かせるような高い専門性など
・特許庁…特許の技術や法律に関する専門知識、調査・分析能力、調整力、特許調査や知的財産戦略の策定の専門性など
・出入国在留管理庁・外務省…海外の方へ向けて語学を活用した折衝経験(出入国対応、要人対応や招聘、大使館とのやりとりなど)
自分の評価されるポイントが
分からない方へ
転職成功に向けて押さえておくべき注意点
国家公務員が民間企業への転職活動を成功させるために押さえておきたいポイントを2つ解説します。
公務員と民間企業の違いを理解する
民間企業に対する漠然とした不安を解消するためにも、まずは公務員と民間企業の違いを理解しましょう。
違いをより詳しく理解したい方はこちらの記事をご覧ください。
公務員 | 民間企業 | |
---|---|---|
活動目的 | 非営利目的 | 営利目的 |
仕事内容 | 行政サービスを通して国民・ 市民に良い社会・ 暮らしを提供する |
自社の商品やサービスの提供・ 販売を通して顧客に価値を届ける |
待遇(給与や福利厚生) | 人事院規則に従って決定 | 企業ごとの給与規定 に従って決定 |
キャリア | 基本的には年功序列 | 成果・実績による昇給が多いが 企業によってさまざま |
就職・採用方法 | 毎年決まった時期に
決まった人数を 公務員試験を経て、採用 |
企業によって募集時期や選考方法、 採用人数はさまざま |
転職活動の基礎情報を知っておく
事前に全日程が決まっている国家公務員試験とは違い、民間企業の転職活動では受ける求人ごとにスケジュールが異なります。また内定後、入社の意思決定を示す期限が短めであるなど、受ける企業数やタイミングを自分で調整しながら進めていく必要があるため、転職活動を始める前に以下記事から基本の流れを押さえておくと安心です。
また、入社後のミスマッチを防ぐためにも、求人票の見方も把握しておきましょう。給与待遇、休日・残業時間の考え方や福利厚生など、求人票のどこを確認すればよいのか、どう読み解けばよいのかは最低限理解しておく必要があります。転職活動のスケジュールや求人の読み解き方について、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
転職のプロが直伝!転職成功のコツ
この章では国家公務員の転職を数多くサポートしているキャリアアドバイザーが、転職成功のコツを解説します。コツを押さえて、不安を払拭しながら、後悔しない転職を目指しましょう。
転職活動前
転職活動を始める前に以下の3点を実行しましょう。
・転職活動のスケジュールを立てる
・これまでの経験の中から、活かせるスキルや強みを見いだす
・「転職で何を解決したいのか」を整理する
転職活動開始から内定を得るまでの期間は人によってさまざまですが、平均で2~3カ月ほどかかります。まずは今の自身の業務状況とも相談しながら「おおよそいつまでに転職を完了したいか」という目標を設定しスケジュールを立ててみましょう。
また、「これまでの経験の中から、活かせるスキルや強みを見いだす」と「『転職で何を解決したいのか』を整理する」ことで、自分の「できること」と「やりたいこと」を見つけましょう。
各ポイントの考え方について詳しくはこちらの記事で解説しています。ぜひご覧ください。
転職活動中
続いて、転職活動中(求人を探す、応募書類を作成する、面接を受けるなど)にやっておきたいポイントをご紹介します。
・「できること」と「やりたいこと」のかけ合わせで求人を探す
・具体的な「事実・根拠」を交えてアピールする
求人を探す際は、転職活動前のコツでご紹介した3つのポイントをもとに、「できること」と「やりたいこと」のかけ合わせで探していきましょう。
また転職活動中に応募書類や面接でアピールする際は、具体的な数字や実績、自分なりに工夫した点を交えると評価につながりやすくなります。必ずしも大きな成果である必要はなく、大きな成果を示すことよりも業務の中で変化した数字(例:コスト削減やミスの減少率など)をもとに、改善につながった根拠・事実を示すことが大切です。
各ポイントの考え方について詳しくはこちらの記事で解説しています。ぜひご覧ください。
国家公務員からの転職成功事例
この章では、国家公務員から民間企業へ転職成功した事例を簡単にご紹介します。転職するかどうか迷われている方はぜひ参考にご覧ください。
事例1:日系大手コンサルのコンサルティング職へ
プロフィール
名前:Aさん
年齢:20代後半
職歴:中央省庁
転職先:日系大手コンサルティング会社(コンサルティング職)
エピソード
Aさんは大学卒業後、国家公務員として中央省庁で勤務していましたが、社会人になり視野が広がる中で今の業務とは別に興味のある業界が出てきました。しかし、現職ではその業務に関われる部署がなかったこと、またジョブローテーションの影響を受けずに論理的思考力や提案力などのスキルを身につけたかったことから、転職を決意します。
結果的に、社会課題解決に対する意欲や、海外調査・予算管理など、政策立案や調査を行ってきた経験が評価につながり、コンサル職として、希望していた業界で、論理的思考力や提案力といった希望していたスキルを磨くことができる環境への転職をかなえました。
事例2:日系メーカーの人事・労務担当へ
プロフィール
名前:Bさん
年齢:30代後半
職歴:中央省庁
転職先:日系メーカー(人事・労務担当)
エピソード
Bさんが転職活動を始めたきっかけは、度重なる転勤と給与待遇への不満です。特に、担当プロジェクトや業務の課題解決途中での転勤を何度も経験したことでもどかしさを感じ、自身の手で業務を完遂できる環境で働きたいと考えていました。
結果的に、現職で培った労務全般の専門性と、担当プロジェクトや業務に対する責任感が評価され、人事・労務担当に内定。本社勤務として転勤がない環境と、これまでの経験を活かした転職による給与待遇の改善をかなえました。
事例3:外資大手コンサルティング会社の法務担当へ
プロフィール
名前:Cさん
年齢:20代後半
職歴:中央省庁
転職先:外資大手コンサルティング会社(法務担当)
エピソード
Cさんは国家公務員として中央省庁で働く中で、制度を作る側ではなく、自ら手を動かし課題を発見・解決していきたいと考えるようになり、転職を検討し始めました。
結果的に国会対応や金融商品の審査経験から調整力やミッションへの適応力を培っていたこと、大学時代に法学部で法律の基礎知識を学んでいたこと、さらにはスキル構築に対する意欲が評価され、外資系大手コンサルティング会社の法務職の内定を獲得。
法律に関する社内の課題をキャッチした上、改善に向けて動けるポジションとして入社し、転職により現職での悩みの解決をかなえました。
成功のコツを押さえて納得感が得られる転職活動を始めましょう
国家公務員の持つ調整力や推進力などのスキルは民間企業でも重宝され、十分なアピール材料になります。具体的なエピソードとともにアピールできるよう、これまでの業務経験を棚卸しすることが大切です。
一人で棚卸しするのが難しい場合はエージェントサービスの利用もおすすめ。dodaには国家公務員の方に特化したサポート実績のあるキャリアアドバイザーも多数在籍しています。ぜひお気軽にご相談ください。
国家公務員ならではのお悩みや、
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
【経歴】 2016年株式会社インテリジェンス(現・パーソルキャリア株式会社)に中途入社。約3年、法人営業として採用向けコンサルタントとして従事。その後、キャリアアドバイザーとして販売職・営業職・専門職の方を担当。2023年4月に公務員の方々を専門に担当する組織が発足し、メンバーとして参画。
【メッセージ】 これまで5,000人を超える販売職、営業職、その他専門職、公務員の方々とお会いして転職をサポートしてきました。一人ひとりにそれぞれの思いやかなえたい未来がある中で、これから転職活動に臨むことになると思います。転職活動の良い点、厳しい点も率直にお伝えしますので、後悔のない転職活動を一緒に進めていきましょう。
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