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連載 現役の中途採用担当者が語る 覆面リアルトーク

第4回:転職の面接に受からない人と受かる人の特徴とは?

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中途採用担当者は、転職希望者の何を見て、どう評価し、採用の合否を決断しているのだろうか。その答えを探るべく、現役の中途採用担当者に顔と実名を伏せることを条件に本音で語ってもらう『覆面座談会』を実施しました。今回集まってもらったのは、業種も企業規模も異なる三人。彼らの“視点”を徹底的に学び、転職を成功させるコツをひも解きます。第4回は「面接で受かる人と落ちる人」について。

転職の面接で受かる人、受からない人の特徴や傾向を知って、面接対策の参考にしましょう。

企業の採用担当者のプロフィール

西田雄也(仮名)
34歳
アパレル
人事歴9年
西田雄也(仮名)の写真
木村智久(仮名)
33歳
システム開発
人事歴11年
木村智久(仮名)の写真
安藤真子(仮名)
31歳
化学系一般消費材メーカー
人事歴9年
安藤真子(仮名)の写真

どんな人が面接に受かるの?落ちるの?

doda編集部(以下、編集部): 前回は「転職の書類選考で落ちる割合は?なかなか通らない?企業が見るポイント」というテーマで、書類選考を通過する書き方のコツや中途採用担当者が重視している項目などを語っていただきました。連載最終回は、採用の合否の決め手となる面接についてお聞きしていきます。まずは、多くの転職希望者が悩む「4つの疑問」をもとに、みなさんの忌憚なきご意見をいただければと思います。

志望動機や自己PRはどう語る?入念なリサーチが必要?

早速1つ目の疑問です。転職希望者の多くは、「応募した求人の志望動機や自己PRをきちんと語れないと、面接で落とされてしまうのでは?」と思っているようです。これについてはどう思われますか。

安藤(化学系一般消費材メーカー): 答えはNOですね。もちろんまったく語れないと困りますが、志望動機が明確に語れないからといって、必ずしも不採用になるわけではありません。例えば、「社外に公開できない情報がある」「配属ポジションが確定していない」などの事情により、求人票に仕事内容や募集条件を明確に書けない「ふわっと求人(第2回参照)」のときは、語れなくても致し方ないと思います。提示された情報が薄いと、ふわっとした動機しか語りようがないですし。

木村(システム開発): 僕らが求人票を作成するときに、配属が明確に決まっていなかったり、社外に開示できないプロジェクトを扱っていたりして、書ける情報が曖昧になることがあります。そんなとき、転職希望者は求められる役割やミッションを把握しないことには、志望動機が話せなかったり、その求人と自分がマッチしているか分からないと思いますので、不足分は面接時の説明で確認するか、説明がなければ最後に質問するなどして積極的に聞いてもらいたいです。質問がないと「志望度が低いのかな?」と勘違いしちゃうかもしれないので。

木村(システム開発): 自己PRに関して思うのは、キャリアの一部を切り取ってアピールできることよりも、キャリアの全体をしっかり振り返っておいてほしいということです。社会人歴10年であれば、10年分のストーリーがあります。そのときの状況や背景、問題点・課題点、それに対してどう行動し何を学んだのかを整理できている人は、自分の今後のキャリアとも向き合えるんですよね。普段ぼんやり働いてる人は、自己PRもちゃんと語ることができないと思います。

西田(アパレル): 優秀な人であっても、日々の業務に追われているとキャリアを振り返るタイミングはそうないですよ。振り返りができているということは、大きな壁にぶち当たったときなどに、腰を据えて自分なりに考える時間をちゃんと持てたということ。そういう人は自己分析がしっかりできているので、会社に合わせた適切な自己PRができるのではないでしょうか。当然、面接官の評価も高いと思います。

適性検査の結果は面接や採用にどんな影響がある?

座談会の様子

編集部: 次に、2つ目の疑問です。「選考の過程で実施する適性検査の結果は、面接での選考や採用の合否そのものにどの程度影響していますか?」

安藤(化学系一般消費材メーカー): うちの会社はSPIの検査結果をかなり真剣に見ています。検査結果が良い人は、また会ってみたくなりますし、二次面接に進みやすいです。というのも、ここ数年、自社内で“SPIは当たる”ことが判明したからです。例えばAさんの検査結果と、Aさんが入社してからのキャラクターやスキルを少し時間を置いて照らし合わせたときに、両者がダイレクトに紐付いているケースが多いことが分かりました。当社が採用しているSPI検査は、「言語能力検査」、「非言語能力検査」、「性格適性検査」の3つで構成されており、「能力検査」は地頭の良さや理解力を測定することができますし、「性格適性検査」では、募集職種の人材要件と照らし合わせ、対人能力や協調性、活動性、課題遂行力、企画力、問題解決力など職務適性が採用基準に達しているかを見ています。実際一緒に働いてみると、SPIの検査結果が良い人ほどビジネススキルも高いように感じます。

木村(システム開発): それはすごい。うちは現在、面接合格者に対し論理思考力を問う試験を行っています。あくまで参考にしている程度ですから、検査結果に大きな偏りが出た人のみ、「面接で注意深くヒアリングしよう」と、心の準備をしておく感じですね。

西田(アパレル): うちは新卒採用のみSPIを利用していますけど、今後は中途採用にも導入すべきだと思っています。僕も安藤さんの意見に賛成で、優秀な人材を獲得するためには、過去のSPIのスコアと面接の評価(誰がどのように評価したか)を照らし合わせて、入社後1年、2年、3年と時間をかけて、期待値を実態が超えたかどうかの答え合わせをする必要があるんですよね。それを新卒では行っているんですけど、中途でも行う必要性を感じています。なので、やるとしても選考ではなく、入社後の評価や職務実態との整合を見ることが主な目的になると思います。

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面接前の下調べはどのくらい必要?

編集部: 3つ目の質問です。「企業研究などの事前準備の量の多さはどのくらい気にしますか?」

木村(システム開発): 会社のビジネスモデルや、配属されるであろうポジションや求められるスキルについては知っておいてほしいですね。最低でも会社の概要くらい知っておいてもらわないと、がっかりします。求人票に書いてある情報以上のことは見えづらいとは思うんですけど……。

西田(アパレル): 特に木村さんの会社はBtoBなので、ビジネスの構造を理解してこないことには志望動機が語れないですよね。下調べは必須でしょう。

編集部: どの程度、企業研究してきたかをご本人に確認していますか?

座談会の様子

木村(システム開発): 一問一答では確認しません。会話の中で自然と透けて見える感じですかね。

安藤(化学系一般消費材メーカー): うちの会社は一次面接の冒頭で企業説明をするので、そこでやり取りしながら理解度を測っています。

西田(アパレル): 僕は、その人がどれくらい事前準備に時間を費やしたかという点では判断しません。費やした時間が5分であろうと1時間であろうと、面接本番までに必要な準備ができているのであればOKです。「時間がなかった」というのはなんの言い訳にもならない。その人の本気度の問題です。

木村(システム開発): 面接はビジネススキルが出るんですよ。スキルが高い人ほど、準備にかける時間は短縮できるでしょうから。

編集部: 最後、4つ目の疑問です。「面接の場で残業時間や休日出勤の有無、年収などの条件を細かく聞くのはNGですか?」

木村(システム開発): 入社を検討するにあたって必要な情報であれば、残業時間でも年次の有休消化率でも、なんでも聞いてもらって構いませんよ。

安藤(化学系一般消費材メーカー): 同意見です。必要なことを聞かずに終わる人より、ちゃんと質問できる人のほうがよほど好感が持てます。

木村(システム開発): ただし、条件を重視する人の価値観が、自社の働き方とマッチするかは別の話です。あんまり条件ばかりにこだわっている様子だと、うちの場合その人が目的意識を持って意欲的に働ける人なのかどうか疑ってしまいますし、結果的に不採用になるパターンもあります。

西田(アパレル): 聞くこと自体が悪いわけではないけど、単に場をつなぐだけの質問をしてくる人はセンスがないと思います。入社の判断材料にならない質問は、面接官に悪い印象を与えかねないと心得ておいたほうが安全かもしれません。

座談会まとめ

面接にあたっては、自分のキャリアを部分的に語るのではなくキャリアの全体を振り返った上で自己PRすることが重要という意見でした。また、適性検査が面接に影響するかどうかは、会社によって意見が分かれました。検査結果を通して転職希望者の能力および性格の傾向を面接の前に把握し、「面接で何を聞くべきか」の参考にしているとの意見もあれば、検査結果を重視し次の面接に進んでもらうかどうかの判断材料にしている会社もあり、適性検査の活用の仕方はさまざまなようです。

編集部
アドバイス

  • 求人票に募集要項のすべてが書かれていないことも多くあります。中でも「ふわっと求人」※などで情報が曖昧になりがちな仕事内容や配属先組織、自身の役割に対する質問は事前に用意しておきましょう。
  • 面接の場で条件の話はしてもOK。その場合は「なぜその確認が必要か」「どうして気になるのか」の理由とセットで話すことで、条件だけにこだわっているという誤解を防ぐことができます。

※「社外に公開できない情報がある」「配属ポジションが確定していない」などの事情により、求人票に仕事内容や募集条件を明確に記載できていない求人のこと(第2回参照)

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誰に面接してもらうかで運命が変わるって本当?

編集部: ここからは面接の進め方、および採用が決まるまでの流れについてお話しいただければと思います。

木村(システム開発): うちの会社は3回面接をします。一次面接は現場のプロジェクトマネジャー、二次面接は現場の役員、三次面接は副社長が担当しています。採用の最終決裁権は副社長が持っているため、副社長がOKであれば内定が出る運びになります。ただし基本的には現場の意見を尊重するスタンスであるため、現場が前向きに検討しているのであれば、副社長も同意してくれるケースがほとんどですね。肝となるのは、むしろ一次面接と言えるかもしれません。

西田(アパレル): なるほど。僕も、現場の人が面接せずに、役職者だけで採用を決めるのは不健全だと思っています。採用後に長く一緒に働く人の思いを尊重すべきですよね。

編集部: 木村さんの会社で二次の現場の役員面接はどのような位置づけなのでしょうか?割愛しても良さそうですが、3回行うことに意味があるのですか。

木村(システム開発): 現場の役員は採用の決裁権こそ持たないものの、採用後に誰にどの部署で働いてもらうかの配属権限を持っています。配属のバランスをコントロールしているので、二次面接は絶対に外せないですね。

西田(アパレル): うちは、一次面接は現場のマネジャー、二次面接は現場の部長、三次面接は採用の最終決裁権を持つ現場の執行役員が担当します。募集している求人が一定のポジション以上になると人事の面接も行うことが義務づけられていまして、それが二次と三次の間に行われることもしばしば。計4回面接をするパターンもよくあります。

安藤(化学系一般消費材メーカー): うちは、面接回数は2回です。一次面接は現場の人が行い、最終面接は社長と人事の中途採用担当者が行います。採用の最終決裁権は社長にあります。

独立志向は面接にどう影響する?

座談会の様子

編集部: では、ここで少し話題を変えます。独立志向の強い人は、面接でどう評価しますか? 「将来的には独立を考えていて、この転職も将来につなげるため」などと正直に伝えることは転職希望者にとってプラスなのか、マイナスなのか。

木村(システム開発): 一概にマイナスということはありません。どちらに働くかは、面接官次第でしょう。

安藤(化学系一般消費材メーカー): そうですね。人事としては長く働いてほしいと思いますが、面接の現場では、うちも面接官の価値観に左右される気がします。

編集部: 面接官の価値観は統一されていないのですか?

木村(システム開発): 正直なところ、されていません。ざっくりと「社内で活躍する人物像」はあるので、そこから外れないようみんなで配慮しています。

西田(アパレル): うちもゆるやかに統一されています。ただそれは、人事や役員の人間性が似ているから選ぶ人材も自然と似てくるのであって、あえて擦り合わせをしているわけではないです。

編集部: となると同じ内容でも、どう捉えられるかは、面接官次第ということになりますね。優秀な人材を見落とさないための「セーフティネット」を現場の面接官や人事部に設けていないのでしょうか。

木村(システム開発): 優秀な人を見落とさないよう、うちの会社はスキルとスタンスを切り離して見ています。一次面接は現場の人が見ますから、彼らには現場で活躍できるスキルがあるかを見てもらい、そのフォローアップとして人事の中途採用担当者が二次面接に入ってコミュニケーションをとりながら、スタンスを見ています。

西田(アパレル): 徹底してスキルとスタンスを切り離していらっしゃるのですね。

木村(システム開発): 現場の人間は人事のプロではないので、「あくまで現場で活躍できるスキルがあるかどうかだけを見てほしい」と指示しています。スタンスは、僕ら人事が見るべきことですから。

安藤(化学系一般消費材メーカー): うちは、一次面接を現場の人間が担当し、二次の最終面接は人事と社長が面接官になって行っています。ただし、スキルとスタンスは同時に見ていますね。会話をすればその人の人間性は見えてくるものなのでスキルとスタンスはセットで見ちゃいます。

最終面接で落ちる人の特徴は?

座談会の様子

編集部: 一次・二次面接は評価が良いのに、最終面接で落ちてしまう人の特徴はどのようなことでしょうか?

安藤(化学系一般消費材メーカー): そうですね。まず、最終面接まで進めたということは、スキル面での条件は満たしていると言っていいでしょう。それを踏まえた上で最終面接で見極めたいのは、転職希望者の情熱やスタンス、そして自社の風土ややり方とマッチするかどうかだと思います。ほとんどの企業の最終面接官は役員や社長クラスの方が務めるかと思いますので、会社のトップがそのあたりを厳正に見極め、マッチしない場合は残念ながら不採用になる流れだと思います。

西田(アパレル): うちも最終面接で見ているポイントは会社のスタンスに合うかどうかです。どれだけキャリアやスキルがあってもスタンスが合わない人は採用できないんですよ。この座談会の第1回でもお話ししたように、うちの会社は世間一般的に大企業とされているけど、縦割りで自分の役割だけをこなすような人は合わないんです。仕事を自ら生み出し、プロジェクトを次々と進行させるアントレプレナーシップ(起業家精神)を持つ人でないと、最終面接で落とされる可能性は大いにあります。自社の場合、アントレプレナーシップを持つ人が「自社で活躍できる人物像」なので、そういった人をどんどん採用していきたいですね。

編集部: ありがとうございます。質問は以上になります。本連載では、転職を成功させるための秘訣を全4回にわたってさまざまな角度から探っていきました。みなさま本当にお疲れさまでした。

座談会まとめ

各社、計2~4回の面接の中で見る立場や見るポイントを変えながら選考を行い、スキルや能力は行いながらも、最後はスタンスを重視する傾向が強いようです。

編集部
アドバイス

  • 面接は面接官によって見るポイントが変わってきます。傾向としては、現場の方との面接では、現場で活躍できるスキルが備わっているかどうかを中心に話し、人事面接ではスキルとスタンスの両方をセットで語れることが大切です。また、役員や社長など経営陣との最終面接に向けては、現場と人事面接の内容を汲み入れつつ、自身のスタンスが会社の風土とどうマッチしそうかを事前に考えておくなど、入念な準備をしておきましょう。
  • 一次・二次面接でスキル面を高く評価されたとしても、最終面接ではスタンスを見られることが多くあります。面接官の質問の意図を組んで、面接官やその会社が求める仕事へのスタンスを意識しながら、対話をするように心掛けましょう。

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