転職成功者のさまざまな体験談を紹介!わたしの転職エピソード
スラムダンク/26歳/男性/はじめての転職
大学で薬学を専攻し、医薬の開発をするCROの会社に新卒で入ったスラムダンクさん。でも、なかなか医薬開発のプロジェクトに参加させてもらえず、先を行く同期や大学時代の同級生に引け目を感じる日々。現場で実務経験が積めないまま1年が経過してしまいます。
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社内で“浪人”していた1年間…。いつになればプロジェクトに参加できるの!?
―新卒1年で転職を決意したのはなぜですか?
医薬開発の現場でバリバリやれると思ってたのに、なかなかプロジェクトに参加できず、ずっとサポート業務ばかりだったからです。それも開発のサポートならまだしも、郵便物の受け渡しや請求書・明細書の作成など、庶務的な業務で…。
―えっ、CROってせっかく採用した新卒に経験を積ませないことってあるんですか?
CROというのは、医薬メーカーから医薬開発や治験を業務委託される業態です。「スポンサー」である医薬メーカーから発注があってプロジェクトが立ち上がらないと仕事が発生しないんです。新卒が入社したからといって、タイミングよくプロジェクトがあるとは限らないし、プロジェクトが走り始めたと思ったら急に開発中止になることも珍しくないんです。
―プロジェクトチームに参加できるかどうかは運に左右されるんですね。
そういう面も確かにありますね。ぼく自身、参加したプロジェクトが中止になることが続きましたし…。
CROで働くぼくらはプロジェクトに参加しないと経験が積めない。でも医薬の開発って、一般の方が思う以上に時間もお金もかかるので、医薬メーカーとしてはリスクを最小限にしないといけなくて、プロジェクトには慎重になるんです。
―IT業界の事業会社と受託会社の構図に似てるかと思いましたが、IT業界のようにひっきりなしに開発案件が発生して、未経験の新人がどんどんプロジェクトに投入されて、やりながら成長していくのとはずいぶん違うんですね。
そうですね、医薬メーカーとCROの関係はIT業界の構図とは違いますね。
―タイミングが合わないのはしかたないとはいえ、社内で対策はしてもらえないのでしょうか?
上司や人事に「プロジェクトに参加させてほしい」とは何度も相談しましたが、状況は変わりませんでした。せめて、先輩が医療機関を訪問するのに同行させてもらえないか頼んでみましたが、断られました。それはそうですよね。開発中の医薬の情報はシークレットですし、治療中の患者様のデリケートな情報が多いですから…。自分で考えられる手は打ったし、先輩やリーダーも応援してくれたけど、結局サポートのままでした。
―社内にいながら“浪人”している状況はつらいですね。
同期は一人、また一人と現場に行くのに、ぼくは医薬開発とは関係ない業務に閉じ込められたままで、大学で学んだことが一つも活かせない日々にうつうつとしてましたね。
いつになったらチャンスは巡ってくるの? 外に出て自分でつかまないと!
―同期が先へ行く中で、それはつらいですね…。
現場で実務経験を積み始めた同期とは、やっぱり話についていけなくなるんです。大学時代の友人たちも医薬メーカーで開発に携わってると思うとどこか引け目を感じて、連絡できないまま距離ができてしまいました…。でも「いずれは開発に携われるはず!」と信じて、我慢していました。
―その我慢が、とうとう限界になる出来事が?
1年目の終わりごろ、大口スポンサーの医薬メーカーのプロジェクトが立ち上がり、ようやく配属されそうだと、前向きに頑張ってたんです。でもある日、そのメーカーから「新卒や未経験者はプロジェクトに参加させないでほしい」と通告がきてしまったんです。
―せっかく1年間も我慢したのに、直前で閉ざされてしまったんですね、ひどい!
リスクを取りたくないメーカー側の言い分も理解できるんですが、その通告に従うなら、未経験者はいつまで経っても未経験のままです。
それに、ぼく自身の我慢も限界でした。1年経ってもまったく実務経験が積めなかった。これはもう無理だと。ここで待っていても、この先チャンスが来るとは思えなかった。だから外に行くしかないと、そのプロジェクトへの希望がなくなってからすぐ、転職エージェントに登録しました。
書類落ちが続いても反骨精神でめげず、ついに夢にまで見た現場に!
―転職先は、どんな条件で探しましたか?
第1希望は、もともと就活のときから希望していた医薬メーカー。次にほかのCRO、さらに医療機器メーカーなど医薬以外の業種にも目を向けて、できるだけ幅は広げました。
でも、医薬メーカーに転職するには実務経験が3年は必要だと言われ、やっぱりまず書類で落ちる。社会人経験もたったの1年なので、ほかからもなかなか内定は出ませんでした。
―未経験から医薬メーカーへの転職は大変そうですね…。そんな苦戦の日々を支えたものは?
まずは反骨精神でしょうか。
―反骨精神? 誰に対してのですか?
特定の誰か、というわけではないです。1年もの間、サポート業務に閉じ込められた会社の処遇にはやっぱり腹が立っていましたから、ぼくを配属しなかったことを後悔させるぞという気持ちはありました。
あとは、友達との約束です。大学の同級生や就活で知り合った友人たちと「いつか一緒に薬の開発をしよう!」と話したことを思い出し、その約束を果たすにはここで頑張らなければと、「絶対に薬の開発に携わる!」という思いで、求人がある限り応募しつづけました。
―そして見事、念願の医薬メーカーから内定が!
臨床開発だけでなく、どんな手順・工程で試験をするかの企画から関われる仕事で、急に夢がかないました! ベンチャーなので社長とも直接話しますし、前職では接点のなかった研究や製剤の担当者とも直接やりとりして情報交換できるんです。夢にまで見た仕事をやらせてもらっている実感があります。
何より、メーカーに就職した友達も喜んでくれて、ぼくも胸を張って会えるようになったのがうれしいです。
編集後記
前職では、与えられた仕事にはつらくても前向きに取り組んだと話してくれたスラムダンクさん。転職活動の面接では、逆境にあっても腐らずに前向きでいつづけた点が評価された実感があったといいます。実務経験があるに越したことはないですが、第二新卒にあたる時期なら特に、物事を投げ出さないという仕事へのスタンスやストレス耐性も評価につながるんですね。
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