職種別の平均年収ランキング【2019年】

「専門職（コンサルティングファーム／専門事務所／監査法人）」では、全167職種の中でも4位の「戦略／経営コンサルタント」（679万円）をはじめとして、深い専門知識を駆使して各種課題解決のための戦略策定やプロジェクト支援を行うコンサルティング関連職種が上位を占めています。

年収が高いイメージのある「税理士」（447万円）は、勤務税理士と独立・開業を行った税理士との間で大きな収入の開きがあるといわれ、「専門職（コンサルティングファーム／専門事務所／監査法人）」の中では9職種中8位と、比較的低い水準にとどまっています。

「企画／管理系」では、業務の効率化やリスクマネジメントなどを行う「内部監査」が昨年から51万円アップし、平均年収709万円でトップとなりました。

全体的に昨年から平均年収をアップさせた職種が多く、その中でも「経営企画／事業企画」（619万円）や「管理会計」（563万円）、「財務」（543万円）や「購買」（513万円）、「経理」（499万円）といった経営に近い、あるいは金銭の管理や物品の購入に関係する職種は、おしなべて堅調な推移となっています。

「技術系（電気／電子／機械）」では、「先行開発／製品企画」（564万円）や「プロジェクトマネジメント」（558万円）、「回路／システム設計」（548万円）などの設計・マネジメント職が上位を占めるなか、営業職の「セールスエンジニア／FAE」（507万円）も500万円台を維持しました。

「技術系（電気／電子／機械）」の全17職種で最下位となった「CADオペレーター（機械）」（350万円）は、年齢による収入の開きが少ないことが特徴ですが、活躍次第で設計職へとステップアップするケースも多く、その場合には年収も高くなります。

全167職種でトップ10に入る職種はなかったものの、昨年の平均年収を上回っているものが多い結果となりました。

全167職種でトップ10に入る職種はなかったものの、昨年の平均年収を上回っているものが多い結果となりました。

「技術系（IT／通信）」では、主にプロジェクトの管理・推進を行う「プロジェクトマネジャー」が昨年から3万円ダウンしたものの656万円でトップとなり、全167職種の中でも9位に入りました。

「システム開発／運用」（471万円）や「SE／プログラマ」（422万円）といった開発職よりも、「ITコンサルタント」（611万円）や「IT戦略／システム企画」（592万円）などの経営戦略に関わる職種のほうが平均年収が高い傾向にあります。

「営業系」で最も平均年収が高かったのは「営業—医薬品メーカー」の659万円。営業系の職種は全体的に平均年収が減少しているなか、昨年の596万円から大きく平均年収額を上げました。同様に、「MR」（658万円）や「営業—医療機器メーカー」（543万円）など、医療に関連する職種がランキングの上位を占めています。

また、今年から追加された「営業—トイレタリー」（569万円）が営業系職種で3位にラインクインしました。
※トイレタリー：「パーソナルケア用品」とも呼ばれる、身体をケアするために使われる製品の総称。化粧品類や洗面器具などが該当する

「技術系（建築／土木）」は、2020年の大型スポーツイベントに向けた建設需要の増加の影響を受け、11職種の中で昨年から最も平均年収が増加しています。2019年の冬のボ－ナスについても、昨年から1.81％増の約172万円と過去最高を更新した旨の発表が経団連からありました。

「技術系（建築／土木）」の中では、「測量／積算」（400万円）や「大工／とび／左官／設備」（346万円）よりも、意匠設計・構造設計・設備設計を行う「設計」（516万円）や現場全体を管理する「施工管理（建設／土木）」（457万円）など、プロジェクトの管理を担う職種のほうが平均年収は高くなっています。

「金融系専門職」の上位2職種が全167職種のランキングでも1位と2位を独占する結果となりました。 「投資銀行業務」（843万円）の平均年収は、全167職種の中でも過去5年間で4度の1位を獲得しており、「日本一年収が高い職業」という呼び声も。

2位の「運用（ファンドマネジャー／ディーラー）」（720万円）も過去5年間ですべて5位以内に入っているものの、ファンドの運用成績に左右される側面があり、昨年からは83万円のダウン。2年連続で大幅な減少となっています。

「技術系（メディカル／化学／食品）」では、「非臨床研究」（562万円）が1位、2位と3位に「臨床開発／治験」（528万円）と「研究」（509万円）が続くなど、臨床試験をはじめとする研究職が上位にランクインしました。

一方で、「介護福祉士／ケアマネジャー」（325万円）や「ケースワーカー」（324万円）、「ホームヘルパー／ケアワーカー」（292万円）などの人手不足が問題となっている介護職の平均年収が昨年より3～4万円程度増加しています。

「プロダクトデザイナー（工業デザイナー）」（442万円）や「Webデザイナー」（347万円）、「グラフィックデザイナー／イラストレーター」（335万円）などのデザイナー職種の中では、雑貨から工業製品まで幅広い製品のデザインを行う「プロダクトデザイナー（工業デザイナー）」の平均年収が最も高くなっています。

また、他職種と同様に、「クリエイティブディレクター／アートディレクター」（465万円）や「Webプロデューサー／ディレクター」（446万円）など、マネジメントを主業務とする職種の平均年収が高い傾向となりました。

「事務／アシスタント系」では、「秘書／受付」（333万円）など全職種が昨年よりも平均年収をダウンさせました。

翻訳・通訳業務を行う「翻訳／通訳」（350万円）、データの入力や書類作成を行う「一般事務」（328万円）、営業のサポ－トを行う「営業事務」（327万円）、病院・クリニックで会計や受付を行う「医療事務」（284万円）など、すべての職種で全体平均を下回りましたが、その中では商品などの輸出入の際に必要な事務手続を行う「貿易事務」の平均年収が最も高く、368万円となっています。

「店長／販売スタッフ」（328万円）や「ホール／サービススタッフ」（294万円）などのサービス業が多くを占める「販売／サービス系」職種は、11職種で唯一、年収分布に占める300万円未満の層の割合が最も高くなりました。

とりわけ「美容師」（282万円）の平均年収の低さが目立ちますが、これは、美容師（スタイリスト）として正式に働くまでにアシスタントとして補助や雑務を行う期間が3年程度かかるためと考えられます。