社会人が選ぶ“働きたい企業”第1位は？ 転職人気企業ランキング2020＜業種別＞

Apple　Japanが1位をキープ

IT・通信のランキングでは、前回1位へと返り咲いた「Apple　Japan」が首位をキープ。「ソフトバンク」（2位）と「日本マイクロソフト」（3位）も順位に変動はありませんでした。「超広角カメラ」が大きな特徴のiPhone 11を発表したAppleには「新しい発想で未来を創造したい」「社員の創造力を大切にしていそう」などの投票理由が多かったことから、技術力だけでなく、一人ひとりのアイデアが製品開発に活かされていそうとのイメージが、高い人気を維持している理由の一つと考えられます。

また、「西日本電信電話（NTT西日本）」も前年と同じく4位、「東日本電信電話（NTT東日本）」も5位（前年6位）と、いずれも安定した人気となっています。

グーグル、ヤフーなどのインターネット業界が変わらず人気

インターネット・広告・メディアのランキングでは、前年に続き「グーグル」（1位）、「楽天」（2位）が3位以下を大きく引き離しました。3位の「ヤフー」も前年の5位から順位を上げるなど、広告やメディア業界を抑えてインターネット業界に分類される企業が上位を固めています。

そのほかで目立ったのは、大手出版社の「集英社」（12位）と「講談社」（14位）の2社。いずれも前年から10位以上のアップとなり、出版業界が不況といわれるなかでも転職人気は健在です。

自動車業界から5社がランクイン

メーカー（機械・電気）のランキングでは、「トヨタ自動車」（1位）、「本田技研工業（Honda）」（5位）、「日産自動車」（12位）、「マツダ」（16位）、「SUBARU（旧：富士重工業）」（18位）と自動車業界の5社が前年に続きランクインしました。「Connected（コネクティッド）」「Autonomous（Automated=自動化）」「Shared（シェアリング）」「Electric（電動化）」の頭文字を取った「CASE」と呼ばれる新領域で技術革新が進むなか、この変化への適応が求められている自動車業界への注目が高まっていると考えられます。

上位5位までの顔ぶれは変わらず。4年連続でサントリーが1位に

「サントリーホールディングス」が4年連続の1位となり、2位から5位の企業も前年と同じ順位になりました。
食品メーカーからは、「サントリーホールディングス」を含め、「味の素」（3位）、「明治」（5位）、「カゴメ」（6位）、「カルビー」（7位）、「日清食品」（9位）の6社がトップ10にランクイン。「食に関わる仕事をしてみたい」といった食品開発へのあこがれの声が投票理由として多く集まりました。

食品メーカー以外に目を向けると、「TOTO」が前年の27位から8位へと大幅アップ。経済産業省と東京証券取引所が主催する「健康経営銘柄」に6年連続で選定されるなど、複数の健康経営に関する認定を受けている同社の、従業員の健康管理に積極的に取り組む姿勢が転職希望者から支持されたと考えられます。

マッキンゼーが9位からのジャンプアップで1位に

金融のランキングでは、「マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン」が前年の9位から大きく順位を上げて1位に。メガバンクを抑え、外資系コンサルティングファームが初めての1位となりました。「ビジネス界でも優秀な人材が集まっており、自身の成長につながると思うため」と、切磋琢磨できる環境に身を置いて自分を成長させたいという投票理由が多くを占めました。

さらに、リースをはじめとして幅広いビジネスを展開する「オリックス」（13位→4位）や「日本生命保険」（18位→6位）の伸びも目立つなど、全体的に大きな変動が見られました。

航空会社とJR各社が5位までをキープ

運輸・物流・エネルギーのランキングでは、前年に続き上位5位までを「全日本空輸（ANA）」（1位）と「日本航空（JAL）」（3位）の航空会社と、「東日本旅客鉄道（JR東日本）」（2位）、「東海旅客鉄道（JR東海）」（4位）、「西日本旅客鉄道（JR西日本）」（5位）のJR各社が占めました。

6位には、前年の13位から大幅に順位を上げた「東京電力」が続きました。各電力会社は2024年度末までを目標として全家庭へのスマートメーターの設置を進めていますが、同社はこれを2020年度末までに前倒しで完了させる計画を掲げており、このスマートメーター化によって、電力消費量のリアルタイムデータを活用した各種サービスの普及が期待されています。

武田薬品工業が前年に続き1位に

メディカルのランキングでは、「武田薬品工業」が前年に続き1位に。2位から4位も前年と同じ企業でしたが、5位には約100年の歴史をもつ医療機器メーカー「テルモ」が前年の圏外からジャンプアップ。「人財と組織の活性化」を経営テーマの一つとして掲げる同社に対して、「社風がよい」などの投票理由が挙がりました。

また、全国に病院や介護施設を展開している「恩賜財団済生会（済生会）」（12位）が前年の圏外からランクイン。製薬企業や医療機器メーカーが多くランクインするなか、唯一の医療機関として選ばれました。

三菱地所が三井不動産を抜いてトップに

建設・プラント・不動産のランキングでは、前年2位の「三菱地所」が「三井不動産」（2位）を抜いてトップとなり、3位の「清水建設」は前年の5位から順位を上げました。首都圏をはじめとした広域における新駅建設や再開発などにより、引き続き大きな需要が見込まれる建設業界や不動産デベロッパーが、安定した人気を博しています。

アマゾンが不動の人気

小売・外食のランキングでは、前年と同じく「アマゾンジャパン」が2位以下を大きく引き離して1位となりました。「社員の裁量で自由に仕事を進められそう」「流通を変えた企業のオペレーションを学びたい」といった投票理由のほかに、「新たな分野やサービスの企画・開発をしたい」という声も多く見られました。

特筆すべきは、総合ランキングでも圏外から84位へと大躍進した「コストコホールセールジャパン」。業種別ランキングでも圏外から5位に順位をアップした同社には、「バイヤーになりたい」という声が多く集まりました。

任天堂が1位に返り咲き

旅行・レジャー・エンターテイメントのランキングでは、前年1位だった旅行業界大手の「JTB」（3位）を抑えて「任天堂」が2年ぶりにトップへと返り咲きました。「世界に誇れるエンターテイメント企業なので」「会社のお客さまに対する姿勢に共感がもてる」と、事業内容と企業イメージを評価する得票を集めた同社の人気はうなぎ登りとなっています。また、社長の星野佳路氏による積極的なメディア露出なども目を引く「星野リゾート」（5位）が圏外からのランクインとなりました。

エンターテイメント業界では、「ジャニーズ事務所」（8位）が前年の圏外からランクイン。滝沢秀明氏が副社長に就任するなど、多くの話題が世間の注目を集めました。

中央省庁が7機関ランクイン。国土交通省が1位に

公共・その他のランキングでは、中央省庁である「国土交通省」（1位）、「厚生労働省」（4位）、「金融庁」（7位）、「内閣府」（9位）、「防衛省」（10位）、「財務省」（11位）、「経済産業省」（12位）の7機関が、全13位のうち半数強を占めました。就職氷河期世代を対象とした中途採用を開始（内閣府と厚生労働省が先行して実施）したこれらの省庁が「安定しているから」といった理由で得票を集め、転職先として人気になっています。