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法人営業の志望動機の書き方を解説
~経験者と未経験者それぞれの例文も紹介~

田村 春仁/顔写真

監修者:田村 春仁(たむら・はるひと)dodaキャリアアドバイザー

この記事では、営業職の中でも、対企業の営業職である「法人営業」への転職を目指す場合の志望動機の書き方について解説をしています。
法人営業は「BtoB(Business to Business)営業」とも呼ばれ、商品やサービスを購入する消費者ではなく商品やサービスを製造、販売する企業(=法人)向けに行う営業活動です。営業職の場合、主に法人向けの営業、または消費者向けの営業に分けられることが多く、それぞれの職種の特徴をしっかりと理解し、志望動機を整理することが大切です。

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法人営業の仕事内容とは

法人営業には、これまで取引がない企業と新しい取引を開始するための「新規開拓営業」と、既に取引がある「既存顧客営業」の2種類があるため、ここでは、それぞれの仕事内容について解説をします。

新規開拓営業の場合

新規開拓営業は、取引がない企業に対して、新たに取引を開始してもらうことが、目指すべき成果になります。多くの場合、対象となる企業とは接点そのものがないため、まずは企業情報を入手し、対応窓口となる担当部署や担当者を探索して、接点を持つことから業務がスタートします。

【新規開拓営業の主な仕事内容】

・ターゲット企業の情報収集、調査:

新たに取引を開始してもらいたい企業の情報をホームページなどから収集、調査を行う。

・アポイント取得:

企業の代表番号やメールアドレスなど、入手した連絡先にアプローチをして、アポイントを取り付ける。

・商品/サービスのプレゼンテーション:

商談時に、自社商品やサービスを採用していただくためのプレゼンテーションを行う。

・契約締結業務:

新規取引の開始に伴い、主に費用の支払いなどの基本契約を締結する。

・商品納品/サービスの提供、導入:

購入していただいた商品や採用となったサービスを顧客企業に提供する。

新規開拓営業については、取引がない企業との取引を開始するまでを担当することが多いため、商品納品後または、サービス提供後のアフターフォローについては、対応しないことが一般的です。

既存顧客営業の場合

既存顧客営業は、既に取引がある企業に対して、提供している商品やサービスのフォローアップを行いつつ、取引額や規模を拡大していくことを成果として活動する営業職です。そのため、新たな顧客開拓の活動はほとんど行わず、前任者からの引き継ぎを受ける形で既存顧客を担当します。

新規開拓営業と異なり、取引先企業が固定され、定期的に行う業務も固定化しているケースも多いことから「ルート営業」と呼ばれることもあります。

【既存顧客営業の主な仕事内容】

・既存顧客のフォローアップ:

商品やサービスなどのアフターフォローやメンテナンスの計画作成などを実施する。

・継続/追加購入の営業:

消耗品や追加オプションがある場合、継続購入やオプションの追加営業を行う。

・取引規模の拡大営業:

これまでよりも多くの取引をしていただくための営業活動。

既存顧客営業については、営業先となる対象企業は決まっているため、新たな企業の発掘や開拓は必要ありません。関係性がある企業に、さらなる追加の取引や、既存取引を拡大する営業活動が中心の営業職となります。

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法人営業に求められる適性

どのようなタイプの人が法人営業に向いているのでしょうか。ここでは、法人営業に求められる適性について「スキル」「経験」「資格」という観点から、それぞれ解説をします。

法人営業に求められるスキル

法人営業は、個人顧客への直接販売と異なり、企業という組織に対する営業活動です。そのため、顧客企業が商品の購入などを決定する場合、関係する複数の部署や関係者の意思を統一し、決裁者の承認を得る必要があります。
このような法人営業では、組織全体の「課題抽出」と「決裁者への提案力」が重要になるため、必要なスキルとして以下のようなものがあります。

  • ・企業が抱える課題抽出スキル:
    企業が抱える課題を明確にし、課題解決のための商品、サービスの提案につなげるスキル。
  • ・ロジカルな提案スキル:
    課題解決に向けた提案を論理的にプレゼンテーションできるスキル。
  • ・関係者・決裁者への提案スキル:
    関連する複数の部署、関係者や決裁者を巻き込むことで、顧客全体を提案の採用に向けて意思統一ができるスキル。

法人営業に活かせる経験

法人営業では、法人取引特有の商談の流れが存在するので、そのような経験があることもPRポイントとなります。具体的に活かせる経験としては以下のようなものがあります。

  • ・接客や問い合わせ対応:
    職種などを問わず、顧客対応として接客や問い合わせへの対応の経験。
  • ・商品、サービスの提案(紹介):
    顧客への商品やサービスについて提案または紹介をした経験。
  • ・見積書の作成:
    納入価格の提示に際して使用する見積書の作成経験。
  • ・価格交渉:
    見積書をもとに、顧客企業と最終的な納入価格の交渉経験。
  • ・予算申請対応:
    購入に必要な費用を企業内で確保する際に必要となる予算申請の対応経験。
  • ・入札業務:
    販売業者選定に関わる入札への対応経験。
  • ・契約締結業務:
    購入決定後の販売契約書の作成および締結業務の経験。
  • ・請求管理業務:
    商品納入から販売代金回収までの代金請求に関わる業務経験。

そのほかにも、企業によっては「年単位の長期商談(最終的な決着まで年単位の期間を要する商談)」「億単位での高額商談(取引金額が億単位を超える商談)」「数十人単位のプロジェクト(営業担当者が数十人単位でプロジェクトを組んで商談を担当)」など、大規模な法人取引を中心に行っていることもあります。そのような企業の法人営業に転職を志望する場合は、このような経験があることもポイントになります。

  • コミュニケーションスキル
  • 事務処理の正確さ・スピード
  • スケジュール管理能力
  • 業務への臨機応変さ
  • PCスキル

「コミュニケーションスキル」では、顧客との電話やメールでのやりとり、取り次ぎにおける手際の良さや、柔軟な対応が求められます。来客があったときには応接室などへ案内し、営業部の窓口としての役割を担うこともあるため、高いコミュニケーションスキルが求められるでしょう。
また、契約書や請求書など営業に必要な書類の作成に対応できる「事務処理の正確さ・スピード」も必要です。データを正しく入力することはもちろんのこと、契約書等の書類では日付・金額・数量・宛先の記入など素早く処理することが求められるため、高い事務処理能力を発揮するためにも、PCスキルがあるとアピールにつながるでしょう。

法人営業に活かせる資格

営業職は、特定の資格を必要としないことが多い職種ですが、以下のような資格を保有している場合には、法人営業での転職でプラスになることがあります。

  • ・MOS:
    MOS(Microsoft Office Specialist)は、マイクロソフト社が認定するMicrosoft Office製品に関する国際資格です。PowerPointやExcel、Wordなど業務で利用するPCスキルを客観的に証明することができます。
  • ・語学力(TOEICなど):
    海外法人が顧客となる場合、英語などの語学力が必要となります。

法人営業の志望動機の書き方

法人営業の志望動機の書き方を、以下の3つに分けて紹介します。

なぜその業界を志望するのか

転職では、業界経験が採用ポイントになるケースもあるので、業界という要素は志望動機を考える上でも重要です。

同じ業界での転職の場合

業界経験者ということで、業界ならではの営業スタイルや習慣を志望動機に組み込むとよいでしょう。
一口に法人営業といっても、民間向け、公共向け、中小企業向け、大企業向けなど、営業スタイルが異なります。例えば、入札が中心の場合や、決裁者(経営者など)に直接提案することができる場合など、業界や顧客規模ならではの違いが出てきます。現場担当者から複数部門を巻き込んだ提案が必要なケースもあります。
具体的にどのようなスキルで貢献したいかを伝えると業界ならではのアピールができますので参考にしてみてください。

異なる業界への転職の場合

未経験からのチャレンジになるため、志望する業界に対する「正しい理解」があるかを伝える必要があります。企業のホームページ、業界全体に関するインターネット上での情報や業界誌などから情報収集をして、単なるイメージではなく、正しい業界理解を得た上で、魅力に感じる点などを伝えるようにしましょう。
具体的な商材イメージを身につけるために、導入事例やプロジェクト事例を確認することも有効です。
また、これまでの経験などから業界に通じる「共通点」があれば、その点にフォーカスすることも大切です。

なぜ法人営業を志望するのか

法人営業を志望する理由についても、法人営業から法人営業への転職と、別の職種から新たに法人営業にチャレンジするケースで志望動機の作り方に違いがあります。

法人営業の経験者の場合

これまでの法人営業での経験を通じて身につけてきた強みやスキルを伝えることが重要です。親和性があるスキルを志望企業でどのように活かすことができるかをしっかり伝えましょう。

法人営業の未経験者の場合

法人営業に求められるスキルについて、これまでの経験の中で、身につけているものや近いものを見つけ出して、そこを強調して伝えるようにしましょう。

加えて、未経験であっても目標へのコミット力も大切です。過去の経験から、目標が設定されていた仕事であれば実務経験を数字で語るとよいでしょう。目標が数字で設定されることがない業務だった場合は、努力をして何かにコミットした経験を伝えると、評価を受けやすくなります。

なぜその企業を志望するのか

「なぜその企業を志望するのか」という点は、企業側にとっては最も気になることであり、また厳しい目線で確認をする部分になります。
まずは志望企業のホームページなどから企業分析を行い、企業理解を深めるようにしましょう。
担当する顧客先の業界や、企業規模、営業スタイル、取り扱い商材から、現在の仕事との親和性を事前に把握し、なぜその企業で働きたいかを、具体的に働くイメージを持って伝えるようにしましょう。
そして、どのようなスキルを身につけたいかを明確にすることが大切です。
例えば大企業向け・公共向けの営業経験を身につけたい、代理店営業のスキルを磨きたい、商材の単価を上げていきたいなど、今後の希望についても伝えられるとよりよいでしょう。

法人営業でNGとされる志望動機

法人営業でNGとされる志望動機には、以下のような例が挙げられます。

人と話すことが好き、得意だからといった内容のみになっている

接客業やサービス業経験者の方が法人営業を志望する際に、「人と話すことが好きだから」「コミュニケーション能力が強みだから」と伝えるケースがありますが、「個人と会話をすること」と「法人を動かすこと」では求められる能力が異なります。コミュニケーション能力だけではなく、課題解決に強みがあることなども併せて伝えることが重要です。

働き方を改善したいといった内容のみになっている

例えばシフト制勤務の方が土日休みの仕事を希望して転職を試みるケースがありますが、それだけを前面に伝えてしまうと、ワーク・ライフ・バランスを改善したいことだけが志望理由のように捉えられてしまい、印象が良くないため注意が必要です。

目標への達成意欲がないと捉えられる内容

法人営業は、売り上げと利益を向上させることが主な業務となるため、企業が掲げる目標を達成するために業務を遂行することが求められます。

法人営業の志望動機例文(サンプル)

法人営業への転職で使える志望動機の例文を、経験者と未経験者のケース別にご紹介します。志望理由を企業に伝えるための書き方のポイントも併せて解説していますので、法人営業への転職をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

経験者の場合

現在は地方銀行の法人営業部にて、中小企業向け融資の営業職に従事しています。日々の営業活動を通じて、クライアントである中小企業の経営者の方々が、経営資源の確保と同様に新しい事業展開や人材不足など多くの課題を抱えていることを知り、IT技術の導入による課題解決について関心を持つようになりました。その中で、貴社が取り組まれている金融とITの融合による事業課題解決のビジネスに興味を持ち、貴社を志望しています。中でも、より便利になる時代に合わせたシステムやサービスの開発・提供に魅力を感じています。インターネットの進化に追いつき自身もスキルアップしつつ、法人営業で培った市場分析の知識や経験を活かして、貴社の領域拡大に貢献したいと考えています。

未経験者の場合

現在は、証券会社で中小企業のオーナーや富裕層向けの営業を行っています。
顧客の資産を増やすことにやりがいを感じていますが、金融業界での経験を積み、グローバルな経済動向などを理解するうちに、より大きな規模のビジネスに関与したいと考えるようになり、転職活動を始めました。その中で、事業承継やM&Aなど、企業単位での課題解決に取り組まれている貴社の事業内容に興味を持ち、志望しています。金融商品の知識に加え、簿記や中小企業診断士の資格も取得しました。証券会社の営業で培った対人スキルを活かし、法人へ向けても信頼を獲得して契約につなげることで、貴社に貢献したいと考えています。

書き方のポイント・解説

志望企業のビジネスモデルを理解し、なぜその企業を志望するのかを明確に記載しましょう。また、実現したいことに加え、将来の目標やビジョンを記載するとより現実味が感じられ注目されます。

貢献できる経験やスキルが「行動量」のみにならないようにしましょう。企業理念や事業内容に親和性がある経験・スキルをピックアップして伝えることで、説得力が生まれます。


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