1.医療事務を志望する際に必要な仕事内容の理解
まずは、医療事務の代表的な仕事内容を3つに分けて紹介します。何を求められているのかを理解することが必要です。実際の仕事内容は医療機関ごとに異なりますが、医療事務の仕事を理解する参考にしてください。
受付業務
医療事務における受付業務は、来院した患者への対応が中心です。具体的には、以下の業務が当てはまります。
- 保険証・診察券の確認
- 問診票への記入依頼
- 診察券の発行
- カルテの作成
- 再診カルテの取り出し
- 次回の予約確認
- レセプトの作成
- 支払い窓口業務
- 電話対応
医療機関において最初に患者へ接することになるため、緊急性の有無や不調の訴えなど患者への配慮が求められ、高いコミュニケーション能力や臨機応変な対応力を必要とします。また、事務的な対応にならず、ホスピタリティがあるかも重要な要素の一つです。
レセプト業務
レセプト業務とは、診療費用の請求に必要な「診療報酬明細書(レセプト)」を作成する一連の業務を指します。
保険診療では、診察料や手術費等の一部を患者が負担し、残りは保険証を交付している組合(全国健康保険協会や国民健康保険組合など)から支払われるため、療報酬を請求する手続きで提出する書類を作成します。
レセプト業務では、病名や症状に加えて、処方された薬に問題がないかなどの確認・入力が求められます。診療費用を正しく請求するためにも「正確さ・ていねいさ」が必要です。
また、確認した情報についてはレセコン(レセプトコンピュータ)と呼ばれる専用のパソコンソフトを使って1カ月間の内容をまとめて入力し、レセプトを出力する必要があります。その際には、診療内容に応じた英数字(コードまたは品番など)を正しく入力することに加えて、素早く事務処理をこなすためにパソコンの操作スキルが求められることもあります。
その他の業務
受付業務とレセプト業務以外の業務の一つとして、患者と医師・看護師との橋渡しに加えて、病棟での事務作業全般を担うクラーク業務(外来クラーク・病棟クラーク)があります。
外来クラークは、外来診療に必要な事務作業を担います。呼び出し・カルテ準備・診察室への案内をします。病棟クラークは、病棟で勤務し医療従事者のサポートをします。入院患者の入退院手続きなどが代表的な業務です。
これらの業務では、書類作成などの事務作業で「正確さ・ていねいさ」を求められますし、手続き業務では手術・検査スケジュールを把握する「スケジュール管理能力」が必要です。また、患者や医師・看護師との連携が必要なことから、「高いコミュニケーション能力」も必要となるでしょう。
2.医療事務に求められる適性とは?
医療事務に求められる適性には以下のようなものが挙げられます。
- コミュニケーション能力
- 正確さ・ていねいさ
- ホスピタリティ
- 自己研鑽
- PCスキル
この中でも重要となる「コミュニケーション能力」「正確さ・ていねいさ」について、以下に解説します。
なお、医療事務として従事するために必要な資格はありませんが、転職の際に自分の知識・スキルを証明できるものとして資格を保有していれば、選考で評価につながることもあります
コミュニケーション能力
医療事務では、患者やその家族の痛みや不安を理解して共感できること、医師・看護師と密に連携を取ることなどが求められるため、コミュニケーション能力は重要な適性の一つです。
例えば、身体に不調を抱えて精神的にも不安定な患者やその家族に対しては、安心して受診してもらえるように何気ない一言にも気を配ることが必要です。また、医師・看護師に報告・確認が必要なものは適切なタイミングで簡潔にやり取りすることが求められます。
意思疎通をスムーズにするため、状況に合わせてコミュニケーションができる人は、医療事務に向いていると考えられます。
正確さ・ていねいさ
医療事務において、診察に必要なカルテや患者の取り違えは大きなトラブルにつながる可能性があるため、正確さ・ていねいさも求められます。
また、複数の患者へ応対しつつ、スムーズに業務を進めるためにはスピード感も求められます。混雑する病院では、常にスピーディーかつ正確な対応を求められることも踏まえて、志望動機を書きましょう。
3.医療事務の志望動機の書き方
医療事務の志望動機の書き方は、以下に挙げた3つのパターンのうち、どれを主軸にして書くのかで変わってきます。
その病院で働きたい理由をアピールする場合
医療事務の志望動機で、その病院で働きたい理由を志望動機とする場合には、なぜ選んだのか、ほかの医療機関にはない魅力や理念、自らが働きたい病院であることなどを具体的に志望動機へ盛り込むと、意欲をアピールできます。 そのためにも、病院の理念や診療方針、エピソードやきっかけと重なる要素をホームページ等で研究し、理解した上で志望動機を組み立てましょう。
自分の強みをアピールする場合
医療事務の志望動機で、自分の強みを志望動機にする場合には、自身の長所や強みを活かして、どのように病院に貢献できるかをアピールします。仕事内容から見える適性や、それに付随して求められるスキルを踏まえて組み立てることで、より志望する医療機関へのアピールにつながる志望動機に仕上げられるためです。
例えば、ホスピタリティや高いコミュニケーション能力をアピールできるエピソードと経営方針をセットにしたり、マネジメント能力を活かして現場の課題を解決したことを事例として挙げたりするなどが考えられます。
今までの経験をアピールする場合
医療事務の志望動機で今までの経験をアピールする場合は、これまでの職務経験で活かせる能力や実体験に基づいて記述します。応募した求人の業務内容に未経験の業務があっても、似通った経験やスキルがあることが伝われば、即戦力になると判断してもらえる可能性があります。例えば、後輩の育成経験で身につけた組織貢献のノウハウ、飲食店の経験があるなら高いコミュニケーション能力や迅速な連携・対応による業務の効率化などが挙げられます。
なお、経験をアピールする際にも病院の経営理念や診療方針等と組み合わせることで、「その医療機関だからこそ」の内容に仕上げるのがおすすめです。
4.医療事務でNGとされる志望動機
医療事務でNGとされる志望動機には、以下のような例が挙げられます。
- 待遇面や労働条件を主軸にしている
- 具体性のないことを書いている
- 仕事内容や理念と異なる志望動機を書いている
待遇面に関する内容は、転職の目的としては問題ありませんが、志望動機に書いてしまうと、「待遇が良ければどこでもいいのでは」といったネガティブな印象を与える可能性があるため注意が必要です。
また、「コミュニケーション能力にたけているから」「きちょうめんな性格なので書類作成に活かせるから」など具体性に欠ける内容では、志望度の高さが伝わりづらいため具体的な経験・エピソードを書きましょう。
仕事内容や理念と相反する動機とならないように注意し、志望する医療機関だからこその理由になるよう意識して書きましょう。理念への共感について志望動機に書く場合には、「理念に共感したから入りたい」と書くだけでなく、共感した理念についてあなたがどのような形で貢献したいかなどオリジナリティのある内容にすることが重要です。
5.医療事務の志望動機例文
ここからは、医療事務の志望動機を考える際に役立つ例文を以下の2パターンにわけて紹介します。
- 医療事務「未経験者」の志望動機例文
- 医療事務「経験者」の志望動機例文
未経験者の例文
昨年、医療事務をしている友人と会う機会があり、彼女から「専門知識を活かしながら多くの患者さんのために働いている」という話を聞いたことで、専門性を身につけられる医療事務の仕事がしたいと考えるようになりました。医療事務は未経験ですが、現職では事務職として勤務しており、日常的にExcel、Wordなどを使用して仕事を進めております。また、現在はメディカルクラークの資格取得のための勉強をしています。貴院には何度かお世話になりましたが、多くの医療事務の方が笑顔で働かれていたことや、明るく清潔感のある院内の様子が印象に残っており、ぜひ貴院の一員として働かせていただきたいと考えています。
経験者の例文
私は10床規模の内科・小児科クリニックで3年ほど医療事務の仕事をしています。担当業務は受付、カルテ入力、レセプトの作成がメインですが、患者さんが安心して来ていただけるようなクリニックにするために、迅速な会計やていねいな接客対応を心掛けてきました。やりがいを感じていた一方で、さらに大きな規模の病院で幅広い業務に挑戦してみたいと考えるようになりました。総合病院であり、私自身も通院したことがある貴院では、居心地のよい環境づくりに力を入れて取り組んでいるところが魅力的で、より多くの患者さんのために働きながら自分自身を成長させていきたいと考え、志望しました。
書き方のポイント・解説
経験者の場合は担当業務の具体的な内容に加え、勤務している病院の病床数、診療科名、スタッフの人数や1日に対応する患者数なども伝えましょう。
患者や医師との向き合い方、どのようなことを心がけて働いていたかなど、仕事への心構えやスタンスを書きましょう。
未経験の場合は、一般事務、接客など、事務作業やお客さま対応の経験があれば明記しておくといいでしょう。PCスキルやコミュニケーションスキルもアピール材料になります。
未経験の場合は、「なぜ医療事務なのか」というポイントを明確にしておきましょう。
資格よりも実務経験が重視されますが、未経験者の場合は医療事務関連の資格を持っていたり、資格取得を目指して学習したりしている事実が大きなアピールになります。
6.まとめ
医療事務の志望動機を書く際には、仕事内容の理解に加えて、それに付随して求められる適性を考慮して組み立てます。
また、「その病院・医療機関だからこその理由」をアピールできるよう、理念や診療方針をホームページ等で調べたり、これまでの経験・スキルでどのように貢献できるのかを盛り込んだりすると、より採用担当者に入社意欲の高さを伝えられるでしょう。
ぜひ本記事を参考に、医療事務の志望動機を作成してみてください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
濵田 翔子 (はまだ・しょうこ)
【経歴】
新卒で人材派遣会社に入社し、個人・法人の両手型の営業として経験を積んだ後、海外でインサイドセールスを経験。その後人事として採用に携わったのち、パーソルキャリア株式会社に入社。現在は事務職全般の経験をお持ちの方への転職支援にキャリアアドバイザーとして従事。
【メッセージ】
転職したいというお気持ちが固まっている方だけでなく、転職すべきか悩んでいる方にもしっかり寄り添い、情報提供することを心掛けております。希望をかなえるお手伝いをさせていただき、dodaを使ってよかったと感じてもらえるようなサポートができればと考えておりますので、お悩みの際はぜひご相談ください。
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