最終面接(役員面接)とは
一般的に、中途採用の面接は2~3回行われます。最終面接は、決裁者である社長や役員が応募者を採用するかどうか、最終的な意思決定がなされる場。一次・二次面接で現場社員からの評価は高くても、決裁者の目を通したときにその評価がひっくり返ることもあります。最後まで油断せずに臨み、内定を勝ち取りましょう。
面接時間は会社によってさまざまですが、40分程度が一般的です。
一次面接・二次面接とはどう違う? 最終面接で確認しているポイント
それでは一次・二次面接と違い、最終面接ではどういった観点で評価されているのか、それぞれ着目点の違いを説明します。
一次面接・二次面接(現場担当者、人事):実務で求められるスキルや相性の確認
- 募集ポストの業務に必要なスキルや技術を備えているか
- 応募者の人柄が社風や部署にマッチしているか
最終面接(社長、役員):会社全体の利益につながるかの確認
- 中長期的に会社に貢献してくれそうか(スキルや技術の合格ラインは超えている前提)
- この人を採用することで、企業に利益が生まれるか、採算がとれるか
増えてきたオンラインでの最終面接、どう対策する?
今はオンライン面接も増えていますが、画面越しでは熱量が伝わりづらく、印象が薄くなりがちです。
入社への意欲がより強く問われる最終面接は苦戦することも。丸暗記や手元のメモを見ながらではなく、目の前に相手がいるつもりで話すことで必ず思いは伝わるでしょう。
【回答例文あり】最終面接でのよくある質問例文
「志望動機は?」「強みと弱みは?」など、質問自体は一次・二次面接と同じであっても、最終面接では「自社にどう貢献できるか」をよりシビアにチェックしており、説得力のある返答が求められます。最終面接で想定される代表的な質問例と、その質問意図、回答例、答え方のポイントや似たような意図の質問を紹介します。
志望動機(志望理由)に関する質問
「当社に応募した志望動機はなんですか?」
OK回答例文
「アジアへの積極的なグローバル展開と事業戦略に大変魅力を感じました。前職では台湾やフィリピンにおける企画開発をしていました。アジア地域でのスキルと経験を活かし、御社のベトナムでの新たなサービスの立ち上げに貢献したいと考えています」
NG回答例文
「今の会社は海外事業から撤退することになり、得意の英語力を活かすことができません。グローバル展開に積極的な御社で力を発揮し、できれば海外で働きたいと考えています」
答え方のポイント
- 自分目線でやりたいことだけを話すのではなく、自分の経験が企業にとってどう役に立つのかを語る。
- どのようなところに魅力を感じているかを明確にする。
質問意図
企業のどういったところに魅力を感じ、企業にどう貢献していきたいのか、入社意欲や熱意を確認しています。
似たような意図の質問
- 当社にどのようなイメージを持っていますか?
- 当社のどこに魅力を感じましたか?
- 当社でどのようなことをやりたいですか?
強み・弱みに関する質問
「ご自身の強みと弱みを教えてください」
OK回答例文
「私の強みは、目標達成のために周囲を巻き込む力です。前職ではクライアントから企画の見直しを求められることが多々あり、チーム全体のモチベーションも低下していました。私は、メンバー間での企画意図の理解度に差があることが原因だと思い、クライアントへのヒアリング段階から、チームメンバーに同席してもらうよう提案しました。チーム内で課題や企画意図の理解度の目線合わせをしながら、議論を進め直したのです。お客さまの声をじかに聞くことでチームのモチベーションはアップしたうえ、お客さまにとっても満足度の高い提案になり、100万円分の追加受注をいただけました。このように、課題を一人で抱え込むのではなく、チームで一緒になって事業に貢献することで、より大きな成果を手にできることが自分の強みです。
弱みは、人の話を尊重するあまり、決断に迷って時間がかかることがある点です。そのため、客観的に最良の決断を行えるよう、資料集めなど、判断材料をできるだけ多く集めることを意識して行っています。また迷ったときには、ユーザーやお客さまはどういったことを喜ぶか、というところに立ち返り、考えるようにしています」
NG回答例文
「私は常に思いやりを持って人と接することができるので、誰とでも打ち解けることができるのが強みです。弱みは朝に弱いところです」
答え方のポイント
- 業務に活かすことができ、会社に貢献できる強みを伝える。その際、前職では自分の強みをどのように活かしていたかなど、具体的な話を織り込む。
- 自分の弱みを客観的に把握し、改善に努めている姿勢を伝える。
- 人柄や性格上の強みや、遅刻する、短気など、採用のリスクになるような弱みは言わない。
質問意図
「強み」では、応募者の人柄や人間性を知るほかに「自社の求める人物像に合っているか」「自社の業務に力を発揮できるか」などを判断しています。「弱み」では、「自分の短所を理解しているか」「その弱みを改善できそうか」などを確認しています。
似たような意図の質問
- 長所と短所を教えてください。
- あなたはどのような人だと周りに言われますか?
- これまで仕事で失敗したことや苦労したことを教えてください。
経験・実績に関する質問
「あなたのこれまでの経験を当社の事業にどのように活かしていきたいと思いますか?」
OK回答例文
「私は前職でWebマーケターをしておりました。自社サイトの訪問者数は多かったものの販売数に結びついていなかったため、ページの遷移率をもとに導線を見直し、会員登録ページの入力項目やデザインを見直すなど、約7カ月かけた改善施策によって、CV数が2倍になりました。ABテストなどを行いながら、ユーザーにとって最適なWebサイトを模索した経験を貴社でも活かし、まずは既存のメディア成長に寄与します。その後は、オウンドメディアなどの新規事業にも貢献できるものと考えています」
NG回答例文
「マネジメント経験があるので、御社でもマネジメントポジションで力を発揮したいと思います」
答え方のポイント
- 課題を客観的に分析できることをアピール。
- これまでの経験を通して得たスキル、成果を具体的に伝える。
- 自分の経験やスキルが会社の課題解決にどう役立ち、貢献できるかを具体的に伝える。
質問意図
一次・二次面接では現場の即戦力になるかどうかを判断していましたが、最終面接では会社が抱える課題の解決にどう貢献できるのかなどを判断しています。
似たような意図の質問
- 壁にぶつかったときにはどう対応しますか?
- 当社があなたを採用するメリットはなんですか?
- 当社にどのように貢献していただけますか?
入社意欲に関する質問
「当社以外に応募している会社はありますか?」
OK回答例文
「前職の食品部門の営業スキルを活かせるという観点から、食品業界でほかに2社受けています。1社でお話が進んでいますが、『食から平和な世界を創生する』という御社の理念に共感し、また風通しのよい社風にも魅力を感じており、御社が第一志望です」
NG回答例文
「〇〇社の管理部と××社のマーケティング部(他業種、他職種)に応募しています」
「御社1本にしぼっています」
「ほかに3社受けましたが、全社落ちました」
答え方のポイント
- 第一志望であれば伝え、入社志望度が高いことをアピールする。
- 応募先の他社名まで出す必要はない。
- 応募社数を伝えるのであれば、志望動機と一貫性があることを伝える。
- 他社で話が進んでいる、内定が出ている人材であるという情報はプラスになることもある。
- 応募している業種や職種が違うと志望動機に一貫性がないと思われる。
質問意図
ほかにどんな会社を何社受けているか、転職活動状況を確認しています。また、第一志望がどこであるかによって、応募者の中で自社がどのような位置づけになっているか、企業の選び方に一貫性はあるのかといったことも見られています。
似たような意図の質問
- 内定を出したら入社していただけますか?
- この業界でも当社を志望されたのはなぜですか?
dodaエージェントサービスを利用するメリットや、どんなサービスを受けられるかをご説明
キャリアアドバイザーは事前の面接対策もサポートします。
キャリアプラン・キャリアビジョンに関する質問
「当社に入社してからのキャリアビジョンを伺えますか?」
OK回答例文
「まずは、商品開発業務において新規商品・既存商品ともにヒット商品を展開できる力をつけたいです。数年後にはリーダーとして生産性の高いチームを作っていきたいと考えています。さらに5、6年後には新規事業展開にもかかわりたいと考えています。今の水産事業は国内消費量が頭打ちになっているため、今後はグローバル展開が必要だと考えているため、市場調査プロジェクトから立ち上げたいです」
NG回答例文
「まずは御社でWebエンジニアとしてのスキルを身につけて、将来的にはこれまでにない新しいアプリケーションを開発して会社の発展に貢献したいです」
答え方のポイント
- 漠然としたビジョンではなく、いつまでに何を達成したいか、具体的なプランを伝える。
- これまでのスキルや経験と今後のプランを紐づけて答える。
- 志望動機と矛盾がないプランを伝える。
- 結婚・出産など個人的なプランは伝えない。
質問意図
企業の方針や事業内容について理解した上で、この企業でどう成長していくか、どう貢献するかの具体的なイメージを描けているか確認しています。また会社と応募者の事業展開の方向性がマッチしているかも見ています。中長期的なビジョンまで考えておき、求められている人材の業務内容に紐づけて答えられるとよいでしょう。
似たような意図の質問
- 10年後、どのようになっていたいですか?
- 将来どんなポジションにつきたいですか?
- 入社後の目標は何ですか?
逆質問に対する回答
OK質問例文
「御社の〇〇事業について興味を持っています。××が課題ではないかと考えていますが、今後の展望を教えていただくことはできますか?」
質問意図
足元の業務だけでなく、その先の展開も視野に入れていることをアピールできます。
OK質問例文
「ITの導入で社内の効率化が進んだ場合、社員はどこに注力すべきとお考えでしょうか?」
質問意図
世の中のトレンドを踏まえて、今後の企業戦略と自分の行動を結びつけて積極的に考えていることをアピールしています。
OK質問例文
「入社後は早期に活躍し、成果をあげていきたいと思っています。〇〇様から見て、御社で活躍している方の共通点はどんなところにあるとお考えですか?」
質問意図
即戦力として期待できそうな仕事への積極性や意欲が感じられます。
逆質問のポイント
- 役員や社長だからと遠慮して、「特にないです」で終わらせないこと。
- 会社や事業の将来的なビジョンなど、経営層だからこそ聞きたい質問を用意しておく。
- 入社の最終判断を下す人であることを忘れずに、上から目線の言い方にならないように気をつける。
- 会社や事業、業務について具体的なことを尋ね、入社意欲をアピールする。
- 調べれば分かることを質問しない。
似たような意図の逆質問
- 異業種からの転職になります。御社の業種について学んでおりますが、勉強しておいたほうがよいことはありますか?
- 昨年の商品リニューアルによってどのような変化やメリットがありましたか?
NG質問例文
「会社の理念を教えてください」
「御社の売り上げを教えてください」
⇒会社の基本情報や事業内容を聞くと、事前に企業研究をしていないことが明らかになります。
「〇〇についてまったく未経験ですが大丈夫でしょうか」
「入社後にスキルを磨くことができますか?」
⇒自分のスキルのなさや消極的な面をアピールしてしまっています。
最終面接の前にすべき準備と4つの対策
一次・二次面接での評価が高くても、最終面接で不合格となることもあります。業務に活かせる経験のアピールだけでなく、会社目線に立って、「どうやって自分の価値を会社のために発揮するのか」といった視点で伝えることが大切です。
【最終面接でチェックされているポイント】
- 入社する意思はあるか
- 転職理由や志望動機に説得力があるか
- 入社後の長期的なビジョンはあるか
- スキルや長所を会社の業務や課題につなげ、貢献してくれそうか
- 自分の強みや弱みを理解しているか
- 社風や理念とマッチしているか
一次・二次面接と最終面接とでは、面接官(役員や社長)がチェックしているポイントが違ってきます。最終面接でアピールするべき点や、最終面接までに準備しておくべき対策を4つに分けてまとめました。
対策① これまでの面接と自分の強みを振り返る
一次・二次面接を受けた後で、必要なアピール要素も見えてくると思います。また最終面接では、より具体的な話を聞かれることも。その場合にはアピールポイントも変わってくるので、そうしたことを踏まえて、もう一度作戦を練り直しておきましょう
〈一次・二次面接の振り返り〉
- 経験やスキル、入社意欲など、一次・二次面接で十分に伝えきれなかったことがあれば、洗い出しましょう。それまでの面接で「こういうことを求められているのだな」「こういうスキルが欲しいのだな」と感じたことをもとに作戦を立て直します。そのためには、「入社後はどんな仕事を任せてもらえるのか」など、自分から情報を取っておくことも大切です。
- 一次・二次面接で現場担当者と話す中で見えてきた、社風や職場の雰囲気、業務課題、今後の事業方針などの感想をまとめます。業務とマインドの両面で振り返るとよいでしょう。
- 転職エージェント経由での応募では、ライバル候補者や企業側のフィードバックをもらえることも。情報を集め、より効果的なアピールをするために、エージェントの利用をおすすめします。
dodaエージェントサービスを利用するメリットや、どんなサービスを受けられるかをご説明
〈自分のスキルや強みの伝え方〉
- 一次・二次面接を振り返った上で、最終面接で役員や社長に響くアプローチの仕方を考えてみましょう。自分のスキルや技術がその要望に応えられること、さらに会社が抱えている課題を解決するという視点で、自分の強みをアピールするとよいでしょう。
- 「〇〇の取り組みに関して意欲がわきました」「社員の仕事に対する〇〇な考え方がとても魅力的に感じられました」「〇〇の姿勢に共感しました」など、一次・二次面接で感じたこととつながる志望動機を改めて考えてみましょう。
対策② 企業研究をさらに突き詰める
一次・二次面接の段階では、企業研究として会社の基本情報や会社を取り巻く環境などについて調べ、最終面接ではさらに踏み込んで、「業界における会社の立ち位置」や「事業を今後どう展開していくべきか」といったことも考えておきます。
例えば、コーポレートサイトに載っている情報やIR情報、競合他社のサイト、日経新聞などで最近のニュースを調べてみましょう。また「会社名」「社長名」「役員名」と「戦略」などのキーワードで検索すると、いろいろな記事が出てきます。
そうしたものに目を通し、「会社は業界何番手の位置にあるか」「今後どう事業を展開して発展させていくのか」「そのための課題は?」「課題をどうやって解決するのか」などを、自分の業務に関連づけて考えておきましょう。受け答えにより具体性が増します。
対策③ 応募先でなければいけない志望動機を考える
なぜその会社に入りたいのか、なぜそこで働きたいのか、「その会社でなければならない」志望動機を考えて、入社意欲をアピールできるよう準備しましょう。
例えば「〇〇の視点が自分に合っている」「自分のキャリアやスキルを活かして価値を発揮し、事業に貢献できる」「今後自分が実現したいことと会社のビジョンが一致している」など。これまでの自分のキャリアや考えが、会社の事業や理念、ビジョンなどに一致していることを論理的に組み立てておきます。
「対策② 企業研究」でさらに深めた、会社に対する理解を志望動機につなげることもポイントです。もともとの志望動機に加え、「企業の開発方針に共感した」など一次・二次面接で聞いた内容・感想を加えるとよいでしょう。さらに競合他社との違いを伝え、「その上で御社に魅力を感じました」と伝えれば、志望意欲とともに、企業について研究していることもアピールできます。
対策④ 応募先での将来ビジョンを語れるようにしておく
自分のビジョンをしっかり持っていることは大切ですが、最終面接では、「自分がどうなりたいか」という個人の話だけではなく、自分のビジョンと会社への貢献などをつなげて考えることが大切です。
入社後にどのようなことをしたいのか、数年後の中長期的な視点も交えて、働く意思を伝えられるように考えをまとめておきましょう。自分がどうなりたいのか、といったことに加えて、組織と顧客にどう自分の価値を発揮していくかが重要です。
〈短期・中期・長期のビジョンの例〉
- 短期(1~2年):今回の募集ポジションで一人前となり、自分の価値を発揮できるようになる。そのために足りない能力を補っていく。
- 中期(3~5年):チームのリーダーとなり、新しいアイデアを出していく。自分の成長だけではなく、自分の力や価値を組織や顧客といった周囲に対して発揮し、貢献していく。
- 長期(5年以上):担当業務のエキスパートとして、組織の方向性を示し、牽引していく。
最終面接の後にできることを確認しよう
最終面接後にできることや合否結果の通知までの期間について説明します。
お礼メール
お礼状やお礼メールは、必ずしも送る必要はありませんが、面接で伝えきれなかったことや思いを伝えたいという人は、面接のお礼と合わせて伝えるとよいでしょう。お礼状を送ったからといって選考が有利になることはありませんが、入社意欲のさらなるアピールになります。送るのであれば面接後すぐに、遅くても翌日までには送りましょう。
合否の通知はどれくらいでくる?
応募先企業によってもまちまちですが、メールや電話での連絡の場合には3日くらい、郵送の場合は1週間以内にくるのが一般的です。遅くても2週間以内には連絡がくるようです。
コロナの影響下で、これまで以上に最終面接での採用判断が厳しくなっています。一次・二次面接で手ごたえを感じていても油断せず、万全な対策で最終面接突破に備えてください。なんといっても大切なのは、「入社したい」という熱意や意欲を伝えることです。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
瀬戸口 瑞恵(せとぐち・みずえ)
国家資格 キャリアコンサルタント
米国CCE,Inc.認定
GCDF-Japanキャリアカウンセラー
【経歴】
教育業界での営業職・マネジメント職、外資系企業での事務職を経て、2007年に「株式会社インテリジェンス(現・パーソルキャリア株式会社)」に入社。入社以来、キャリアアドバイザーとして、個人のお客さまの転職を支援。管理部門職種の方を中心に幅広く担当している。
プライベートでは2人の男児のママ。中長期的なキャリアプランの提案・個人の価値観に寄り添った求人提案を心がけている。
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