求人に応募した後の転職活動がスムーズに進まなくて焦るという人が一定の割合でいらっしゃいます。例えば、「書類選考が通らない」「面接で話が噛み合わない」「面接では手応えを感じるのに受からない」といった悩みを抱えている人です。こうした状況に陥るのは、「採用側とのギャップ」のせいかもしれません。採用側とのギャップが生じる原因と対策を考えてみましょう。
採用側と応募者、ギャップが生まれる事情
採用側とのギャップを端的に言うと、企業の採用担当者が知りたがっていることに応募者が的確に答えていない状況、ということです。dodaでも、「職務経歴書や面接では自分のキャリアをアピールしましょう」とよく言いますが、あくまでも「相手(求人企業側)の知りたいことに沿って」であることをお忘れなく。では、採用側と応募者のギャップが生まれる背景として、双方の事情を見てみましょう。
<採用側の事情>
・この部署のあの課長の下でこういう仕事をやってもらう、というポジションが決まっている
・そのポジションで1日でも早く戦力化してほしい
・未経験で応募しているなら、「この人なら未経験でも活躍してもらえそうだ」と信じられる理由を教えてほしい
<応募者側の事情>
・自分はこんなことができる、やりたい
・この自分をどこか最適なポジションで活かしてほしい
・未経験で応募しているので活躍できるかどうかは自分には判断できない
この事情の違いを知らずにやみくもに自分のやりたことや職歴をアピールしても、採用側にとっては、「こちらがリクエストしてもいない曲を、カラオケで無理やり聞かされているのと同じ…」というギャップ感が強くなるだけです。
- キャリアの強みを見つけるには自分を客観的に知ることから始めよう
- キャリアタイプ診断を受ける
よくある3つのギャップ
では次に、採用側と応募者側の間に生まれやすい3つのギャップを挙げてみます。応募者側が良かれと思って熱心にアピールしても、採用側は「知りたいのはそこじゃない…」と思うことが多いポイントです。せっかくのアピールが空回りにならないようにしたいものです。
<ギャップ-1> 何者のギャップ 〜相手はあなたのことを何も知らない〜
採用担当者は応募者であるあなたのことを何も知りません。会ったことも話したこともないのですから当然です。「Web履歴書や職務経歴書を提出済みだから読んでくれているだろう」と期待しすぎるのは禁物です。全員分を細部まで丁寧に読み込んでいるとは限らないし、仮に読み込んでいても、必要な情報が書かれていないという残念な書類もたくさんあります。「この応募者は、想定しているポジションですぐに活躍できるだろうか?」という疑問に応えなければなりません。応募時なら職務経歴書で、面接なら自己紹介で、「自分はこういう仕事を経験してきて、得意分野はこれこれです」と要約して伝えましょう。自分にキャッチフレーズをつけるつもりで、ごくシンプルに要約してみてください。
<ギャップ-2> ポジションのギャップ 〜先発か抑えか〜
採用側は、用意したポジションにはまる人を求めています。とにかく目の前にある仕事で結果を出す、あるいは、人がいなくて滞っている仕事をぐいぐい回してほしいのです。プロ野球チームの監督が、「ウチは先発完投型のピッチャーが足りない」と考えて補強しようとしているのに、「リリーフが得意です!」という選手ばかり現れても困るのです。まして、「ホームランを打ちます!」とか「とにかく頑張ります!」とアピールされても選考は通りません。このギャップを避けるには、「今までの職務経歴の中でコアになる仕事が何か、どんな役割を任されていたか」を整理して、応募する求人のポジションにどう活かせるかを考えてみましょう。
伝え方の例
法人向けにWeb広告のメニューを提案しています。出稿した広告量で費用対効果が見合っているか定期的にレポートして、より効果を出すために絶えず提案しています。リーダーと私と、数値集計・レポート作成のアシスタントとのチームで動くケースが多いです。
<ギャップ-3> 再現性のギャップ 〜結果以上にプロセスが重要〜
応募者側は自分の実力を示すために、今までの仕事を「結果」で語ろうとしがちです。売上のアベレージが○万円です、目標達成○%です、担当顧客数は○社です、といった具合です。けれども、採用側は結果以上に「再現性」を重視しています。結果として語られた「○万円」や「○%」が単なるまぐれ当たりや市場の追い風に乗っただけではないことを確認したいのです。まぐれで1000万円を売り上げた人よりも、狙い通りに100万円を売り上げた人のほうが、入社後の活躍を期待できるからです。
このギャップを避けるためには、仕事のプロセスを語ることです。
(1)意図したこと・実現しようとしたことは何か
(2)そのためにどんな策を講じたか
(3)どんな結果につながったか
(4)成功または失敗の要因は何だったか
ですから、アピールしたい実績について、(1)〜(4)を整理しておきましょう。採用側は手柄話を聞きたいわけではなく活躍の可能性を見極めたいので、むしろ失敗から学んだことを話したほうが再現性のアピールになることもあります。
ここまで、採用側と応募者側の間に生まれるギャップについてご紹介しました。「気づかずにやっていた…」という心当たりの項目があったのではないでしょうか。相手の立場になって、これを知りたがるだろうなということを簡潔に情報提供することを心掛けることで、無用なギャップはなくせるはずです。