自分を良く見せよう、採用担当者の関心を引こうとして、あれもこれも伝えなくてはと書いているうちに、職務経歴書がどんどん長くなってしまう…そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。職務経歴書を簡潔にまとめるには、力の入れどころと抜きどころの見極めが肝心です。
もくじ
1. まずはキャリアの全体像を伝える
まず、職務経歴書の役割を確認しておきましょう。採用担当者は、職務経歴書からどのような情報を得たいと思っているのでしょうか。それは、あなたのキャリアの全体像です。人は、物事を理解するときに、全体像から把握しようとするものです。
例えば、「Aさんは、所属していた野球チームでエースピッチャー(投手)の座を勝ち取り、ある大会で全試合を完投してチームを優勝に導いた」という情報があるとします。一見、良さそうに見える実績ですが、少し考えると疑問点がいろいろ出てきます。
- Aさんが所属していたチームには何人のメンバーがいたのか
- チームに投手は何人いたのか
- 印象的な仕事はありましたか?
- 完投して優勝した経験は過去にもあるのか
- 打者としての成績はどうだったのか
- 投手以外の守備もできるのか
- いつの話か
Aさんが「3軍まである、選手層の厚いチーム」のエースだったのか、それとも「1軍のみで補欠が数人程度のチーム」だったのかによっても評価は変わりますし、「打者としてもチームに貢献した」のか、「打者としての出場機会はなかった」のかという情報によっても印象はずいぶん異なるでしょう。また、「前に所属していたチームでは、ショート(遊撃手)を守っていた」という話があったら、守備を強化したいチームのスカウトマンの目に留まるかもしれません。しかし、その話が「小学生のときの話」だったとしたら、そもそもそんな昔話には耳を傾けないでしょう。
職務経歴書もこれと同じです。採用担当者が転職希望者を評価する際には、まず、キャリアの全体像を把握したいと考えています。そのため、職務経歴書に書くべき情報はほぼ決まっています。
- どの会社・部門で
- いつ、どのくらいの期間働いたか
- その会社の事業内容
- 組織の規模(人数構成)
- あなたのポジションと仕事内容
- 成果とその成果を出すために工夫したこと
所属した企業・部署ごとに、これらの基本的な情報を抜け漏れなく伝えて、全体像を把握してもらうのが、職務経歴書の基本的な役割になります。
2. 重要な経歴は強調して伝える
職務経歴書は一般的に、20代なら2枚程度、30〜40代で社会人経験が長くなると3〜4枚程度にまとめるのが望ましいとされています。
これは極論ですが、採用企業にとって重要な情報“だけ”が書かれているのであれば、どんなに長い職務経歴書でも問題ではありません。ただ、読んでみないと重要かどうか分からないような文章の塊が目に入ってくると、それだけで読み手は「長い」「分かりにくい」と感じてしまいます。
大事なのは全体の長さではなく、採用担当者にとって重要な経歴について十分な情報が書かれていること、さほど重要でない経歴についてはコンパクトにまとまっていること。つまりメリハリがはっきりしていることです。
どうすればメリハリのある職務経歴書を書けるのでしょうか。具体的な方法としては、最初はどんなに長くなってもいいので、自分のこれまでの経歴を思いつく限りすべて書き出してみることです。その上で、「ここは重要なので残す」「この部分は重要でないので削る」といった判断をしながらまとめていくとよいでしょう。