あなたが求人に応募して人事や現場責任者が選考をするとき、比較対象は「自社にいる同世代の社員」になることがほとんどです。そのため、転職者に対して「年相応」の経験を積み、「年相応」のスキルを身につけていることを期待する傾向があります。一般的に20代、30代、40代の年代別ではどんなことが求められているのでしょうか。年代別に傾向と対策をまとめました。
もくじ
20代の転職活動のポイント
基本的にはポテンシャルに期待。採用担当者に納得してもらえる転職理由を伝えること
20代で転職活動をする場合、入社して数年しか働いておらず、先輩社員のアシスタントや上司から指示のあった仕事だけをしていたというケースも多く、「職務経歴書に書くことがほとんどない」と悩む傾向があります。
そこでやってしまうことが、「自己PRを長々と書く」こと。書くべき経歴がないと自信を持てない反動で、あり余る思いの丈をとりとめもなく書いてしまいがちです。そうすると「情報の整理が苦手な人」と書類選考でマイナス評価がつくことがあります。職務経歴書は、応募する企業に対するあなたの「プレゼンテーション資料」ですから、自分の強みをいくつか挙げて見出しを作り、それぞれの強みがどんな場面で発揮されたかを箇条書きにするなどして見せ方を工夫しましょう。
また、入社以来、一部署しか経験していなくても、そこに在籍した事実とやった仕事内容を書くだけではなく、小さくてもいいので自分が手を挙げてやった仕事の成果や、成果を上げるためにした工夫を書くことが大切です。
もう一つ、20代の転職活動では、面接において「なぜ転職したいのか、入社してどんなことをしたいのか」を、採用担当者に納得してもらえるように伝えることが特に重要です。20代の中途採用には、入社後に育成することを前提とする「ポテンシャル採用」の要素が多かれ少なかれあり、企業側も20代の転職者に対して、入社後すぐに会社に影響を与えるほどの大きな仕事をしてほしい、と考えていることはほとんどありません。
まずはOJTを通して自社の仕事を覚え、慣れてくればこれまでの会社で学んだことも活かして成果を出してほしい、と考えているケースが一般的です。そのため企業は面接で転職者に「転職という方法をとることで自分がどうなりたいか、どう変わりたいか」を尋ねます。内容に納得できれば、「困難が生じても乗り越えられるだろう」と採用の判断を下せますが、それが分からなければ「嫌になったらすぐに辞めてしまうのではないか」と不安が拭えず、不採用になりがちなのです。
30代の転職活動のポイント
事業にどのような貢献ができるかを、経験を基に自分の言葉で説明すること
30代になると、それなりの経験を積んで、チームリーダーやマネジャーを経験した人も出てきます。この年代は基本的には即戦力が期待されるため、こうなりたいという思いや、主観的な自己PRよりも、「実際にどんな経験を積んできたか」がより重視されます。そのため、職務経歴書では、どのような会社の、どのような役職でどのような仕事をしてきたのか、あなたのキャリアを分かりやすく伝えることが第一です。
新卒での入社以来、異動の経験が一度もなく、30代で初めての転職をするという方も少なくありません。その場合、10年近く、あるいはそれを超える経験があるわけですから、同じ部署で関わった仕事をいくつかに分類し、時系列で成長の過程が採用担当者に伝わるように書くのがよいでしょう。
また面接では、経験を基にしながら「だから私は、貴社に貢献できる」と論理的に説明することが重要です。30代の転職者は、「自分がやりたいから」という思いだけでは、採用担当者の首を縦に振らせることは難しいでしょう。異業界への転職を希望する場合も、「業界が違うから想像がつかない」では通用しません。業界・会社研究をするのと同時に、自分のスキルを棚卸しして、「私のこの経験を活かして御社でこういうふうに貢献できます」という明確なアピールをすることが必要になります。
- 自分の強みは何?アピールポイントを見つけよう
- キャリアタイプ診断を受ける
40代の転職活動のポイント
会社の課題解決ができ、会社全体にインパクトを与えられる人かどうかが見られている
40代の転職者には、30代よりも、より即戦力性が求められます。そして、企業がこの年代に求めるのは、部署の業績への貢献にとどまりません。その人が入社したことによって、会社が変わるかどうかという観点がプラスされるようになります。組織に、外部から新しい風を吹き込んでくれることを期待していることが多いのです。
さらに高いレベルになると、会社の課題解決に貢献することで、業界全体へもインパクトを与えるような働きを、40代の転職者に求める企業もあります。それだけの成果を出すためには、個人の技量だけでなんとかするのではなく、例えばチームにうまく働きかけたり、社外の人とのつながりを活用したりする力が必要です。
「ミドル層にはマネジメント経験が求められる」といわれるのも、そのような、周囲に影響を及ぼして、人を動かして成果を上げる能力が求められているのだと考えるべきです。だからといって、実際にポジションや肩書としてのマネジャー経験が必須というわけではありません。多数の人が関わる業務のフローを変え○人月分の業務削減をした、部下やチームメンバーの人材育成に努め部署全体で売り上げを△%向上させた、というような、他者に何らかの影響を及ぼした経験を、アピールするとよいでしょう。
また、注意すべき点としては、40代になるとこれまで経験してきた業界とまったく異なる業界への転職は難易度が高いということが挙げられます。業界特有の常識や不文律のようなものは、その業界で長く仕事をしたからこそ身につくものですが、それを40代で新たに身につけてもらうまで数年待てるほど余裕のある会社は少ないからです。異なる業界への転職を希望する場合は、これまで取引先として深く関わっていた業界など、いくらか接点のある業界を選ぶことをおすすめします。