「IT」はスキルアップ、「金融」は顧客満足、「メーカー」は将来性を求めて転職

各業種の転職理由を全体平均や他業界と比較してみると、「IT／通信／インターネット」は、「専門知識・技術を習得したい」や「市場価値を上げたい」など、スキルアップを希望して転職する人が平均より多いことがわかりました。日々新たな技術が生まれる業界だからこそ、最新のノウハウや高度なスキルを身につけたいと考える人が多いと考えられます。
次に「金融」は、「顧客のためになる仕事がしたい」や「ノルマが厳しい」が平均を上回っています。高い成果を求められる仕事だからこそ、時には顧客満足より自身のノルマ達成を優先せざるを得ず、それがプレッシャーになっている人もいるのでしょう。一方、「会社の将来性が不安」「給与に不満がある」といった転職理由は平均より少なく、安定性や待遇については他業種より満足していることが見受けられます。

「メーカー」は、「会社の将来性が不安」という理由で転職する人が、他業種に比べて最も多いことがわかりました。メーカーは自動車、家電、食品など分野ごとに、景気や社会情勢によって需給バランスが変動しやすい業界です。昨今では、自動車分野が伸びている一方、家電分野は低迷が続いています。このように、自社製品の需要低下や、自身の専門領域の事業が撤退・縮小されることに不安を感じて転職する人が多いと考えられます。また、都心から離れた工場勤務の人が多いためか、「U・Iターンしたい」という転職者が比較的多いのが特徴です。

「メディカル」は、「業界の先行きが不安」の割合が、他業界に比べ最も高いという結果になりました。その背景として、ここ数年で業界再編が進み、業界の先行きが見通しにくく、不安を感じていることが考えられます。
「小売／外食」では、「残業が多い／休日が少ない」「土日祝祭日に休みたい」「不規則な勤務が不安」など、就業時間に対する不満が多いことが明らかになりました。個人顧客を相手にするビジネスのため、年中無休や土日、深夜に営業する店舗が多いことが背景にあるのでしょう。一方、「ほかにやりたい仕事がある」という転職理由は平均より少なく、仕事内容には満足している人が多いと推察されます。