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「一緒に働きたい」と思われるための3カ条

転職活動では、「一緒に働きたい」と思われることが成功への第一歩。
ここではビジネスの最前線で活躍し、社内外の仲間や顧客など、多方面から「一緒に働きたい」と思われている人の仕事術を紹介します。単なるマニュアルやノウハウではありません。どの場面で、どう活かすかはあなた次第。

【今回の提唱者】 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 山口 孝夫(有人宇宙技術開発グループ グループ長)

やまぐち・たかお。日本大学理工学部機械工学科航空宇宙工学コースを卒業。日本大学大学院文学研究科心理学専攻博士前期/後期課程にて心理学を学び、博士号(心理学)取得。1987年、宇宙開発事業団(現:宇宙航空研究開発機構)に入社。以来、一貫して国際宇宙ステーション計画に従事。「きぼう」日本実験棟の開発初期から開発完了、その後の運用準備に携わる。現在は日本人宇宙飛行士の訓練を担当。実際に宇宙に飛び立った後も技術チームの責任者として宇宙飛行士をサポートしている。加えて、現在は次世代宇宙服の研究も行うなど幅広い業務を担う。

山口氏が語る「3カ条」
1 状況認識は3段階で考える2 受信型のコミュニケーションをする3 命を預けられる人になる

1 状況認識は3段階で考える

現状だけでなく、先を見越して的確な判断をする人には仕事を任せられる。

宇宙飛行士に一番必要なことはSituation Awareness(状況認識)ができるかどうかです。これは、場の空気を読める能力と思われるかもしれませんが、そうではありません。「正確に現状を把握する」「今後の動きを予測する」「実際に行動計画を立てる」という3つの段階を的確に実行できることを意味します。多くの情報の中から必要な情報を選び、今自分が置かれている状況を把握する。次に、例えばその状況が1時間続いた場合にどうなるかを予測。そして、その対応策を計画するんです。この3つができて初めて宇宙飛行士として行動できます。

宇宙飛行士は、状況認識を瞬時にできるようにするため『T38ジェット練習機操縦訓練』をします。これはジェット機を操縦するパイロットをナビゲーター役としてサポートするもの。ジェット機が音速に近いスピードで飛んでいる中、ナビゲーター役として数多くの計器をチェックしてパイロットに伝達しながら、地上との交信も聞いてなきゃいけない。何か不具合があった時には、冷静に状況認識をして対応します。毎日毎日、訓練を重ねていくと、さっき言った3段階がスッと、1時間かかったのが10分で、さらには瞬時に判断できるようになる。この状況だと将来こうなる、ということを体で覚えていくんです。「一緒に働きたい」と思われるためにも、状況認識ができることは非常に重要だと思います。どんな時でも、現状だけでなく、先を見越して的確な判断をする人には仕事を任せられますよね。「あの人なら何とかしてくれる」と周りから思われるはずです。

2 受信型のコミュニケーションをする

コミュニケーション能力とは、ただ自分の考えをうまく発信できるだけのことではありません。

われわれは『Space Flight Resource Management訓練』と言って、目標をチーム一丸となって達成するための訓練を日々、宇宙飛行士に課しています。その訓練の一環で、コミュニケーション能力を磨くためにやっていることがあります。大がかりな規模の訓練もありますが比較的簡易なものとして、3〜4名の宇宙飛行士が別々の部屋に入って、言葉のやり取りだけでひとつのミッションを行うというものがあります。例えば、宇宙船打ち上げから火星に行って、そこでチームで作業をして帰ってくるというミッションを与えます。それぞれの部屋は完全に分断されていて、室内には通話装置しかありません。

まったく顔を合わさずに通話装置だけでコミュニケーションをとると、情報を伝えるのも、伝えられた情報を把握するのも非常に難しい。特にリーダーになる人は、フォロワー(部下や同僚)にどういうふうに言えば言いたいことが伝わるか、それも一人ずつじゃなくて複数同時に、ということを考えます。また、フォロワーもリーダーが間違った意思決定をした場合にはそれを指摘して正しい方向に導かないといけない。コミュニケーション能力とは、ただ自分の考えをうまく発信できるだけのことではありません。「相手はなぜそう言ったのか」など、発信された情報をしっかり受信し、それに対して的確に意見できることが必要。つまり、宇宙飛行士は優れたリーダーであり、優れたフォロワーであることが求められるんですよね。発信もできるし、受信もできる。そうしないと状況によってリーダーが変わる宇宙飛行士は務まりません。一緒に働きたいと思われるためにコミュニケーション能力は必要不可欠です。

3 命を預けられる人になる

いい人でも安心できないと一緒に飛べません。「自分の命を預けられる人」じゃないと一緒に飛べない。

極限の状態で予測できないようなことが発生した場合、宇宙飛行士でもパニックを起こす可能性があります。そのため、私たち訓練担当は、常に最悪な状態を想定して、いつでも冷静に状況認識できる訓練を行います。そのひとつに、フロリダ沖の海中にある実験室での訓練があります。実験室の中は宇宙とまったく同じ、外界から隔離された状態。20メートルの深さの所にあるので外には出られません。そこで3人で一週間生活をしながらミッションを達成してもらいます。また、宇宙船が雪上に不時着したケースを想定してマイナス20〜25度の環境で3日間生活をする『サバイバル訓練』というのもあります。

さらには、『山岳訓練』も行います。これは、7人でチームを組んで北米の山岳地帯で、「何時までに、どこに行きなさい」というミッションを与えるもの。持ち物は地図とコンパスのみ。目的地に到達できないと、食事にもありつけません。この山岳訓練が終わるとチームメンバー一人ひとりに紙を渡すんです。「このチームの中で一緒に飛びたくない人はいますか」という質問が書かれた紙なんですね。

宇宙飛行士が一緒に飛びたいと思う人は、いかなる状況下でもパニックを起こさずに的確な状況認識をして自分を助けてくれると信じられる人。いわば「自分の命を預けられる人」です。常に命の危険にさらされる宇宙空間においては、それぐらいの安心感がないと一緒に飛べません。どんな時でも、どんな場所でも、誰と一緒でも常に安定したパフォーマンスを出せる人は、周りから頼りにされると思います。「一緒に働きたい」と思われるはずです。

取材を終えて

「宇宙飛行士は毎日毎日、訓練と試験を行います。絶えず反復です」と山口氏。どんなに優秀な宇宙飛行士でも一度の訓練では知識も技術も身につかない。何度も繰り返して訓練を行い、時には失敗をして、その失敗から学んで成長するとのこと。一見、華やかに見える宇宙飛行士という仕事も、コツコツと地道な努力をしているのだと感じた。

Information

筑波宇宙センター 展示館

JAXAの宇宙開発の最先端研究・開発現場としての取り組みを理解していただけるよう、施設の一部を見学コースとして紹介しています(事前予約制)。また、予約なしで見学が可能な展示館では、ロケットや開発試験に使用した人工衛星、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟など実物サイズのモデル展示を行っています。書籍、ビデオ、インターネットなどを通して宇宙について学べるコーナー、スペースライブラリーも活用できます。

一緒に働きたいと思われるための3カ条
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