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- Company株式会社Gengo
- 2008年に設立されたGengoは、翻訳してほしい人と翻訳ができる人のマッチングサイト。世界中にいる約9,000人の「翻訳ができる」登録者が、年間1億5千万語(2013年実績)もの翻訳依頼に応えている。現在34カ国語に対応が可能。本社は東京渋谷。サイトの運営に携わる社員は現在12カ国籍36人。うち日本人は11人。
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- CTOマシュー・今井・ロメインさん
- 1979年生まれ。日本人とアメリカ人のハーフとしてアメリカに生まれる。小中学校を日本のインターナショナルスクール、高校から大学院はアメリカで過ごしたのち、オーディオ関連のエンジニアとしてソニーに入社。勤続4年で退社後、受託業務をメインとするWeb制作会社を立ち上げ、2008年にロバート・ラング氏とともにGengo(当時はMyGengo)を設立した。
機械翻訳じゃ不安。でも翻訳会社はハードルが高い
身近に英語が得意な人がいると、何かと助かる。「ちょっとこの一文英訳して」「この英語表記、合ってる?」など。google翻訳などの機械翻訳もあるが、「おはようございますであります」のように、ちょっとズレた恥ずかしい表現になってしまっているんじゃないか…なんて心配がつきまとう。
Gengoを立ち上げたマシューさんは、まさにそんな周囲のニーズに応える人だった。それは大学院卒で入社したソニー時代も、脱サラして立ち上げたWeb制作会社の社長時代もそう。「ソニーではハワード・ストリンガー氏が会長になってから特に。社内用資料の翻訳を次々頼まれて、Web制作会社を立ち上げてからもそれは続いて、僕は本当はもっと自分のやりたい仕事があるのに…、って。本業は翻訳者じゃなくて、エンジニアだからね。でも、そんな時気づいたんです。つまりこれはニーズがあるってことなんじゃないか。僕よりうまい翻訳者は世の中にたくさんいるはずだから、その人たちとうまくネットワークが築ければ、何か新しい価値が生まれそうだぞと」。
2008年当時はクラウドソーシングという言葉が聞かれ始めたころ。「で、Web制作のかたわらで、翻訳のクラウドソーシングをやってみようと考えました。それがGengoの前身の、MyGengoっていうサービスです」。ただし、当時の本業はあくまでWebの受託制作。ところが――。
「でき上がったサイトにちらほら来る依頼内容を見ていると、Twitterとかヤフオク、メールとか、普通の翻訳会社には頼めないような、細かい案件が多かったんです。短すぎて、頼めないんだよね。でも読みたい。そんなニーズがたくさんあることが分かった。それで、ああ、これは面白いなって思って」。マシューさんはサービス開発にのめり込んでいった。
マシューさんの思いとつながった人、世界で約9,000人
Gengoの翻訳は、世界中のスタッフが担っている。2008年から増え始めた登録翻訳者は、2013年には世界で約9,000人になった。34通りの言語に対応ができる。ワンクリックで頼め、90%以上の依頼は24時間以内に訳される、しかも翻訳会社に頼む場合に比べれば低価格。ユーザーに支持されないわけはなく、世界中から依頼が来るようになった。「通常の翻訳会社だと、依頼を受けて電話でやり取りして…って、手間がかかるし、翻訳者の数も限りがあります。でもGengoなら1週間で100万文字のオーダーにも対応できる。日々500件の商品説明文を翻訳したい、なんて依頼もこなせるし、クラウド型のサービスにしたことで、世界最大規模の依頼量をこなせる翻訳会社になれました」。
もちろん翻訳の質を担保するために、登録者には厳しい審査を課している。非常に厳しい複数選択式のテストと筆記試験を実施し、その合格率は10%ほどだとか。現在の登録者は9,000人なので、つまり約10万人もが審査を受けているということになる。この先、マシューさんはGengoをどうしていきたいと思っているのだろう?
ちょっとこの資料、ゲンゴっといてくれる?
「みんな"ググる"って言いますよね。僕はね、いつの日か、翻訳することを"ゲンゴる"って呼んでもらいと思っているんです。コミュニケーションの問題やトラブルっていうのは世界中どこにでもあって、少なくとも、言葉が通じないから生まれるそれを、世の中からなくしたい。そのために、翻訳会社じゃなくて、翻訳の『プラットホーム』になりたいと思ってる。例えばPayPalは決済のインフラですよね。Gengoも、翻訳の世界のPayPalになりたいと思うんです」。
サービス開始当初は、"ゲリラマーケティング"と称して、「街中で間違った英語を見かけたら、"なんか変?この英語。正しくはGengo.comに聞いてみよう!"ってシールを貼って歩きました(笑)」というマシューさん。そもそもは「もう翻訳を頼まれるのはイヤだから、誰かやってほしい」と、自分のために思い描いたサービスだったが、すぐに大きな可能性を秘めていることに気づき、やがて使命感を持って事業へと成長させた。そんなマシューさんに「Gengoの価値を感じた瞬間」を聞いてみると、しばらく考えた後、こんな答えが返ってきた。
「ある日見かけたツイートに"今朝、通勤の30分でGengoの翻訳して800円をゲット!これでスタバのコーヒーを買っちゃおうっと(※原文は英語)"っていうのがあったんです。あの時はうれしかったなあ。僕はこういう働き方を実現してもらいたかったんだ!って思えて。実は前からもっとフレキシブルな働き方を世の中に広めたい!という思いもあったからね」。
「ネットの国境をなくす」「フレキシブルな働き方を広める」「翻訳のプラットホームになる」。マシューさんの夢を次々とかなえようとしているGengo。幼少期からインターネットやタブレットに触れて育った世代をデジタルネイティブと呼ぶように、いつの日か、「言語の壁」そのものを知らずに成長する世代が、生まれてくるのかもしれない。
Gengoの様子
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