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- Company株式会社Sassor(サッソー)
- 2010年に設立したハードウェアベンチャー。インターネットにすべてのモノがつながり、相互作用をもたらす仕組み"Internet of Things"におけるサ―ビスデザインをミッションに掲げ、消費電力を「見える化」する消費電力管理サービス「ELP(エネルギー・リテラシー・プラットフォーム)」を展開。現在、フルタイム、パートタイムの社員合わせて10名。本社は東京渋谷区。
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- CEO石橋秀一さん
- 1979年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告デザイン会社に勤務。その後、モノづくりを志向し、慶應義塾大学SFCの大学院に進学、インタラクション(対話型操作)デザインを研究。在学中にELPの原型となるアイデアで「E-Ideaコペンティション」(国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシル主催)に入選したのをきっかけに2010年にSassorを起業した。
身の回りにあるのに「見えない」電力。
ふと感じた疑問が発想の原点
毎月やってくる電気代の請求書。前月よりだいぶ上がったな、と感じることはあるけれど、さて、その原因がエアコンか、照明か、冷蔵庫か、内訳までは分からない。でも、もし電気製品ごとに電気代が分かれば、省エネ意識も変わってくるはず。そんなニーズに応え、電気製品それぞれの消費電力をパソコンやスマホで見られるのが、Sassorの開発したELP(エネルギー・リテラシー・プラットフォーム)だ。
Sassorの代表、石橋さんがELPの原型を作ったのは、慶應義塾大学SFCの大学院に在学中。当時、石橋さんは人間と対話型操作を行う機械やシステムを対象とするデザイン、インタラクション・デザインを研究し、社会のさまざまな課題に応えるハードウェアの開発を志していた。「卒業を機に、高校からの知人とモノづくりを通して起業したいなと、話していたんです。身近なモノで社会に何らかの価値を生み出せないかと話していた時、電力って身近なものだけど、どれだけ使っているか見えない。それを『見える化』できるモノがあれば面白いね、と思ったのがきっかけでした」。
石橋さんは友人とともにELPの原型を開発し、エコをテーマにした「E-Ideaコペンティション」に入選。起業家支援の「オープンネットワークラボ」の審査を通過し、ELPを事業化するため2010年に起業した。そして、翌年に東日本大震災が起きた。原発事故に端を発する、電力への人々の関心の高まり、電気料金の値上げ…。省エネの意識が高まったことで、ELPは一躍注目される。当初は家庭用として開発したが、ビジネス用途のニーズがより高いことから次第に商用へとシフト。現在はレストランなどの飲食店を中心に導入が進んでいる。
インターネットとつながることで、店舗経営にも直結する
ELPが注目されているのには理由がある。まず設置が簡単で手軽なことだ。ELPの形状は驚くほどシンプル。約20センチ四方のボックスから先端にクリップが付いたケーブルが6本延び、そのケーブルを分電盤の内部に留めるだけ。流れた電力をセンサーがキャッチし、無線でルータ、サーバを経由しWebサイトにデータをアップする。利用者はインターネットを通じ、電機製品それぞれの消費電力をリアルタイムで把握できるという仕組み。今までも電力監視装置やHEMSと呼ばれるエネルギー管理システムはあったが、大がかりな工事や数十万円以上の高額費用がネックになっていた。その壁を軽々と飛び越えたのが、ELPだった。
それだけではない。一番の特長はインターネットとつながり、膨大なデータを細かく分析できることだ。石橋さんはその点を力説した。「同じ規模で同じ売上の店舗があっても、なぜか消費電力が大幅に違う。そこで、電気製品や時間帯ごとの電力消費量を細かく分析していくと、機器の使い方が違っていたり、例えば、食洗機の場合、少量でも頻繁に動かすなど、スタッフのオペレーションの問題が分かった。つまり電力の『見える化』だけでなく、データ分析によって、最適な使用方法や人員配置まで把握でき、店舗経営の最適化に役立てられる。ハードウェアがインターネットにつながるからこそできたことです」。
石橋さんは、Sassorがハードウェアベンチャーと、ひとまとめに言われるのに違和感を持っている。「単なるモノづくりでなく、データマイニングまでするところが他社と決定的に違う。"Internet of Things"を実現するのが私たちのミッションなんです」。
人々の生活や世界を変える、新たなサ―ビスを求めて
"Internet of Things"とは、画像認識や無線通信の技術革新により、あらゆるモノとインターネットがつながる仕組みを意味し、今最も注目されるキーワード。石橋さんが、最初に意識したのは大学院時代。「身の回りにあるデバイスやセンサーをインターネットでつなぐことで、社会に大きなインパクトを与えられるのではないか、と予想していました」。
そのアイデアがカタチになったELP。石橋さんにとって、モノづくりの醍醐味とは何だろうか?「なかったモノを作れる、ってことですね。僕らがやっているのは単なるハードウェアで完結するものでなく、"Internet of Things"というパラダイムの中で、ネットワークに連動する、今までにないモノづくりです。膨大なデータがネットワーク上に流れていますが、これからはそのデータに対する新しいサービスが必要とされ、人々の生活を変え、世界を変えるでしょう。そこに、自分たちなりの答えを出していきたいんですよ」。
もう答えは見つかりましたか?と尋ねると、自問自答するようにこう答えた。「まだまだですね。大袈裟かもしれませんが、どうせなら人生を賭けてデザインに取り組みたいと思ってきました。だからELPも僕の中では始まりにしか過ぎない。世の中で"Internet of Things"というキーワードは盛り上がってきている。でも、世界を見渡しても、みんなが本当に欲しいな、と思えるサービスが現れていない。それをいち早く提供する先駆者になりたいですね」。
単なる省エネ製品ではない。従来のモノづくりとも違う。石橋さんが目指すのは、私たちが"今までになかったモノ"に出会える世界なのかもしれない。
Sassor(サッソー)の様子
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