自己PRで企業が求める「調整力」とは?
企業が求める「調整力」には以下の3つがあります。
企業が求める人物像を把握することで、自分の強みを活かした自己PRが作成できます。それぞれ詳しく解説しますので、参考にしてみてください。
トラブルを想定して仕事に取り組める能力
全体を俯瞰して問題点を察知し、トラブルを予測できる調整力のある人材を企業は求めています。
業務においてトラブルはつきものです。しかし、調整力があれば問題が起きる前に何が起こりそうか把握できるので、トラブルの回避につながります。
例えば客先へプレゼンテーションをする際に、懸念点を考えて事前に準備できます。
また、スケジュールを作成する時点でトラブルを想定していれば、工数に遅れが生じないようにすることができます。
利害の対立を調和できる能力
お互いの利害を調整できる力も、企業に必要とされています。
仕事では社内外問わずに、利害関係者の意見が対立することもあるでしょう。利害関係者とは、組織が活動する際に影響を受ける関係者のことで、社内であれば他部署間や部署内、社外であれば取引先や消費者などです。
調整力があればお互いの利害を客観的に判断し、なるべく利害が一致するように交渉しながら進めることができます。
目標に向かって最適解を提示して合意形成できる能力
目標や目的に向かって合意形成できることも調整力の1つで、主に以下のような行動で能力を発揮してくれるだろうと企業から期待されます。
- チームメンバーと円滑にコミュニケーションを取れる
- あらゆる意見をまとめて最適解を提案してくれる
- チームメンバー間の関係性を良好にする
チームで業務を行う際、メンバー同士がそれぞれ違う意見を持っていると目指す方向がぶれてしまい、手戻りが発生したり目標達成までに遅れが出たりすることも少なくありません。
異なる意見をまとめてメンバーの合意形成をしながら、仕事を進めることで最短距離での目標の達成に導けるでしょう。
自己PRで「調整力」を効果的にアピールするコツ
自己PRで「調整力」を効果的にアピールするコツとして、以下の3つを紹介します。
自分の強みを効果的にアピールするコツを知っていれば、企業に必要な人材だと思ってもらいやすくなるでしょう。以下でそれぞれについて解説します。
具体的なエピソードを1つに絞って伝える
自己PRを作成する際には、調整力を発揮したことが分かる具体的なエピソードを厳選して伝えましょう。エピソードの数が多かったり内容が薄かったりすると、企業側が仕事での再現性をイメージできません。
強みを一生懸命アピールしても、再現性が伝わらないと企業にとって採用するメリットが感じられない可能性があります。
厳選したエピソードをさらに深掘りして、行動・結果を伝えましょう。調整力を活かして行動した結果、得られた具体的な数字や成果も盛り込めると説得力が増します。
入社後にどのように活かせるのか伝える
「調整力」があるだけでは意味がないので、仕事にどのように活かすのかをアピールする必要があります。企業研究をして業務内容をしっかりと理解し、企業の求める人物像に合った「調整力」をアピールしましょう。
職種に合わせた伝え方として以下のような例があります。
- 営業職「お客様が本当に求めているものを汲み取り、相手の利益を考えた提案をします。」
- 広告宣伝業「利害の異なる関係者の意見を調整し、最適な宣伝方法を活用して自社製品の売り上げ拡大に貢献します。」
仕事内容や職種の特徴を知ることで、自分の強みをどのように仕事に活かせるかアピールができます。
「調整力」を深掘りして伝える
「調整力がある」という自己PRはほかの転職希望者もよく使うので、深掘りして自分の強みを具体的に表現しましょう。
調整力を伝える際に活用できる表現として、以下のようなものがあります。
- 協調性がある
- マネジメント能力がある
- 目標達成能力がある
- 物事を俯瞰的に見られる
- マネジメント能力がある
例えば「メンバーのリソースや能力を把握して適切に仕事を割り振ることで、メンバーのモチベーション維持につながりチームを目標達成に導けた」というようにアピールができます。
自己PRで調整力をアピールする際の注意点
自己PRで調整力をアピールする際の注意点は以下の2つです。
せっかくの強みをマイナス印象に変えてしまわないためにも、アピールする際の注意点を理解しておきましょう。
自己主張ができないと捉えられないようにする
調整力は伝え方によって「自己主張ができない・意思が弱い」と捉えられる可能性があります。
消極的な印象を与えないためにも、主体性もセットで伝えましょう。自分の意見や意思を持って対立する他者の意見をまとめ、円満解決に導けることを伝えられればプラスの印象を与えられます。
主体的に行動できたエピソードとともに伝えるようにしましょう。
その場しのぎの印象を与えない
調整力は伝え方によって「その場しのぎ」の印象を与える可能性があります。その場しのぎで意見をまとめて解決するのは、根本的な問題解決ではないので同じトラブルを繰り返すことも考えられます。
例えば「販売スタッフの対応でクレームがあり、謝罪とおわびのクーポン券を渡して対処した」というのは一時的な対策で、今後クレームがないように改善することが、最も重要です。
改善策を考え実行し、マニュアルにまとめて全員に周知したことまで伝えられると、調整力を仕事に活かせることを効果的にアピールできるでしょう。
【職種別】転職の自己PRで「調整力」を伝える例文6選
調整力を伝える自己PRを職種別に紹介します。
希望する職種がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
例文1:営業職
営業職に転職する際に調整力をアピールする場合は、以下のような自己PRがあります。
私の強みは調整力があるところです。現職では人材派遣営業をしていますが、担当企業と派遣スタッフの間に入って調整することで、担当企業の人員増加や派遣スタッフの継続した就業に貢献しました。入社当初は、担当企業と派遣スタッフでトラブルになることがあり、継続的な就業につながらないという課題がありました。そこでまず、派遣スタッフと密にコミュニケーションを取り、抱えている悩みや不安を理解することに努めました。派遣スタッフの悩みを理解した上で、担当企業へのご提案とフィードバックを繰り返しながら調整することで、派遣スタッフが安心して働ける環境をつくり、定着率を10%改善することにつなげました。また、調整を重ねることで担当企業にマッチする人材の理解が進み、成約率は10%から20%に改善し、売り上げ向上につなげることができました。貴社でも、社内外の関係者の意見を取りまとめ、円滑に業務を進めながら貢献できるよう取り組んでいきたいと考えております。
相手が求めていることを把握し、製品やサービスを販売するためには、社内外の意見をまとめる調整力が必要です。営業職は成果を数字で示しやすいので、調整力を発揮して得られた成果を具体的にアピールできるとよいです。
例文2:事務・アシスタント職
事務・アシスタント職向けの自己PRの例文を紹介します。
私の強みは問題を円満に解決できる調整力がある点です。現職では経理事務をしていますが、以前、経費計算や請求業務での転記ミスが多く、修正が発生するという課題がありました。原因を探すために会議で問題点を聞いたところ、複数の経理スタッフから「自社の記帳ルールが複雑で、転記ミスをすることがある」という意見を受けました。そこで、上司にルールの変更を提案しましたが「できない」と言われてしまいました。ルールが複雑な部分を全員で洗い出し、ルールを変更することで得られるメリットをまとめて改めて上司にルール変更を提案しました。すると上司にもルールを変更するメリットを理解してもらえ、適切なルールに変更できました。その結果、経理の入力ミスや転記ミスが減り、1人当たりの残業時間を毎月2時間減らすことができました。貴社の業務では他部門間の連携を取ることが多いので、私の調整力を発揮して問題解決に取り組みます。
事務・アシスタント職は他部署と関わる機会が多いので、調整力を発揮しやすい職種です。課題を発見し、社内の意見をまとめて解決に導いたことをアピールできるとよいでしょう。
例文3:販売・サービス職
販売・サービス職で調整力をアピールする際の例文は、以下のとおりです。
私の強みは目標に向かってチーム内の意見をまとめられる調整力です。現職では飲食店で働いていますが、キャンペーン施策において2人のスタッフで意見が分かれて、問題になった経験があります。お互い自分の意見を曲げず、スタッフ間の空気も悪くなり、そのままではサービス品質にも影響が出る可能性がありました。そこで、私は会議でお互いの提案のメリットとデメリットを整理して落としどころを探しました。お互いに納得のいく施策案が見つかり、実施した結果、前月比130%の売り上げを達成できました。また、過去の施策をデータで整理し、今後もチーム内で意見が分かれることがあればデータを用いて全員が納得できる施策を実施できるようにしています。貴社でもチーム全員が納得して業務を進められるように行動したいと考えております。
対立した意見をまとめて落としどころを見つけられるのは、調整力がある人の特徴です。具体的にどのように解決したのかをアピールしましょう。
例文4:ITエンジニア
ITエンジニア職に転職する際に調整力をアピールする場合は、以下のような自己PRがあります。
私の強みはトラブルを事前に想定しながら業務を進められる調整力です。現職のITエンジニアでは、サブリーダーとしてリーダーの補佐とチームの統率に努めております。プロジェクトではトラブル発生やイレギュラーがつきものです。しかし、トラブルが発生してもスケジュールの遅れを最小限に抑えることが重要だと考えています。そこで私は課題解決のためにトラブルを事前に予測しておくべきだと考え、過去に起きたトラブルの防止策、解決策、解決にかかった日数などをまとめて対応マニュアルを作成しました。マニュアルによりチーム全体でトラブルへの対応策を把握しやすくなり、スケジュールに遅れが生じた場合でも全員で軌道修正できるようになりました。結果、どのプロジェクトにおいても納期より1週間は早く納品できるようになり、クライアントからも自社の納品スピードが評価されています。貴社でも自身の調整力を活かして、どのような業務もトラブルを想定して適切に対処しながら業務を進めたいと思います。
ITエンジニア職は多種多様なトラブルが起きやすい職種です。以上のようにトラブルを想定して進める力をアピールすると、調整力があることを伝えられるでしょう。
例文5:企画職・管理部門
企画職・管理部門向けの自己PRの例文を紹介します。
私の強みは調整力です。現職では人事スタッフとして勤務しており、主に社員が長く働ける環境を整えるための人事制度の構築に取り組んでいます。3年前、新入社員の離職率が10%だったことがあります。原因を各部門の上司から聞いたところ「ワーク・ライフ・バランスが取りづらかった」「周りとなじめずに会社に行くのがつらかった」などの声があったことが分かりました。そこで、新入社員の退職者数を減らすためにも、5日間の連休取得制度の導入といった待遇面の改善を提案しました。提案した当初は部門によって新制度を導入することで得られるメリット・デメリットが異なることから、話し合いは難航しました。しかし、離職率が下がることで新しい人材の採用費用や教育コストが下がることなどを説明し、人事制度の変更に納得してもらえました。その結果、多くの新入社員が快適に過ごせる環境を構築でき、2年前と去年の新入社員の離職率を2%以下に抑えられました。貴社でも社員にとって最適な環境を整備して、長年働ける会社づくりに貢献したいです。
企画・管理部門は他部署や他社と関わることが多く、合意形成できる力が求められます。具体的な数字が示せる場合は、成果をアピールする際に説得力が増します。
例文6:技術職
技術職で調整力をアピールする際の例文は、以下のとおりです。
私の強みは社内外と連携して期日までに目標を達成できる調整力です。現職では家電製品の部品開発で設計から量産体制を整備するまでの進行を担当しています。以前、新製品に使われる部品を通常なら1年のところを半年以内に開発してほしいという依頼をいただきました。そこで、生産技術や製造など他部門と連携し、生産ラインの立ち上げまで可能かを会議しました。効率化できる工程や同時並行で行える業務を精査し、上司とも相談して実現可能なスケジュールを立てました。また、自社のリソースだけでは間に合わないと判断し、試作や耐久テストを外注しました。早く試作品を作れるよう製造方法を提案し、外注先がすぐに製造できるようにもしました。結果、部品の仕様決めと生産ラインの設計が同時進行で行えるようになり、半年で生産ラインを整備できました。この経験から貴社でも部門を巻き込んで意見や業務内容を調整することで、最短期間で業務を行いたいと思います。
技術職では、製品の開発や製造に関わる業務が多く、スケジュール調整や他部署間でのコミュニケーションが重要です。調整力を発揮して、納期管理や製品の品質担保などに努めたことが伝えられるとよいでしょう。
技術職(電気・機械)の自己PR例文はこちら
技術職(化学・素材)の自己PR例文はこちら
技術職(建築・土木・不動産)の自己PR例文はこちら
まとめ:自己PRで調整力を伝えるなら主体性があることもセットで伝える
自己PRで調整力を強みとしてアピールする際は、以下の要素を盛り込みましょう。
- 問題を円滑に解決する能力
- 利害の対立を調和させられる能力
- 目標や目的に向かって行動できる能力
調整力は周りの異なる意見をまとめて、なるべくみんなが納得できる落としどころを見つけられる能力です。しかし、伝え方によっては「自分の意思がない」とマイナス印象を与えてしまう可能性があります。主体性を持っていることもセットで伝えられると、調整力をより効果的にアピールできます。
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山本 賢吾(やまもと・けんご)
【経歴】
大学卒業後、2016年に旅行会社に入社しカウンターセールスに従事。その後、2021年パーソルキャリア 株式会社に入社。現在に至るまでキャリアアドバイザーとして広告・人材など、さまざまな業界の営業職の方々の転職支援に携わり、現在は商社やメーカー の営業職の方を中心にサポート。これまで累計100名以上の方をご支援。
【求職者へのメッセージ】
キャリアについて、周囲に相談しづらいこともあるかと思います。私自身、前職 から転職する際にキャリアアドバイザーに相談したことで、自身の強みや価値観を再認識することができ、納得のいく転職ができた経験があります。ぜひお気軽にdodaのキャリアアドバイザーに相談してみてください。
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