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転職・退職時の健康保険の切り替え|マイナ保険証で手続きはどう変わるかも解説

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北 光太郎氏/顔写真

監修者:社会保険労務士 北 光太郎(きた・こうたろう)氏(きた社労士事務所 代表 )

勤務先を退職すると、それまで加入していた健康保険の被保険者資格がなくなるため、健康保険の切り替えが必要です。次の転職先にすぐ入社する場合と期間が空く、もしくは離職期間がある場合で必要な手続きや給付の内容も変わります。健康保険の基本事項を確認しておきましょう。

健康保険の切り替え以外に必要な、退職後の年金・税金の手続きはこちら

この記事のまとめ

  • 健康保険の切り替えは、「すぐ転職する場合」と「入社まで期間が空く場合」で手続きが変わる
  • 入社まで期間が空く・転職先未決定の場合は、任意継続被保険者制度・国民健康保険・家族の扶養のいずれかを選ぶ
  • 2025年12月からマイナ保険証へ完全移行するため、退職時の保険証返却や新しい保険証の受け取りが原則不要になる

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健康保険とは

健康保険とは、病気・ケガ・出産・死亡などの不測の事態に備えるための公的な医療保険制度を指します。

特に通院時の医療費負担が3割(年齢・収入要件により2割の場合もあります)で済む制度を利用する機会は多いでしょう。ほかにも治療中や休業時の療養費や傷病手当金、出産時には出産手当金や出産育児一時金、さらに亡くなったときの埋葬料などを受け取れる場合もあります。

企業に勤務している場合は会社が加入している健康保険に加入するのが一般的です。しかし転職・退職をすると、それまで勤務先で加入していた健康保険の被保険者資格がなくなるため、自分で手続きをしなければならない場合があります。

万が一手続きをしないままの状態で病気になったり事故に遭ったりした場合、健康保険の適用を受けられず高額な医療費の支払いが発生する可能性があります。忘れずに手続きしておきましょう。

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転職・退職時の健康保険の切り替え手続きの流れ

退職後すぐに次の会社に転職する場合と、退職後に離職期間があり被保険者でない期間が発生する場合とでは手続き方法が異なります。

特に「転職先が決まっていない」または「退職から次の会社への入社まで期間が空く」場合には、任意継続被保険者制度の利用や国民健康保険への加入のための手続きが必要です。対応方法を確認しておきましょう。

なお、従来の健康保険証は2024年12月に新規発行が停止され、2025年12月に利用停止となり、マイナ保険証に完全移行しています。それにより、従来は必要だった健康保険証の返却は不要になりました。ただし、マイナンバーカードを取得していない場合や健康保険証の利用登録をしていない場合はマイナ保険証に代わる「資格確認書」が発行されています。退職時には従来の保険証と同様に「資格確認書」の返却が必要になるので注意しましょう。

失業給付金を受給するまでの流れ

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離職期間がない(すぐに転職する)場合の健康保険の切り替え手続き

離職期間を空けずに次の会社へ転職する場合、健康保険の手続きは最もシンプルです。基本的には会社で脱退・加入手続きを行うため、個人の作業は最小限で済みます。ここでは、転職時に必要となる主な確認事項と手続きの流れを解説します。

転職先に「健康保険資格喪失証明書」を提出する

転職先の健康保険に加入する際に「健康保険資格喪失証明書」が必要になる場合があります。転職先から提出を求められた場合に備えて、退職する会社に発行を依頼しておきましょう。

なお、転職先で健康保険の加入条件に該当せず、国民健康保険に加入する場合は「健康保険資格喪失証明書」が必要になります。

健康保険の再加入が完了する

入社後、転職先の担当者が手続きを進めてくれるため、あなたが何かする必要は基本的にありません。手続きが完了すれば、マイナ保険証に新しい加入情報が反映され、通常どおり医療機関を3割負担で受診できる状態になります。ただし、マイナンバーカードを取得していない場合や健康保険証の利用登録をしていない場合はマイナンバーカードを保険証として使用できません。その場合は「資格確認書」の発行を会社に依頼する必要があります。入社する際に会社の担当者へ資格確認書の発行を希望する旨を伝えましょう。

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退職後に離職期間が発生する場合の健康保険の切り替え手続き

退職後に1日でも離職期間が発生する場合、健康保険の資格は一度失われるため、自分で新たな加入方法を選ぶ必要があります。状況や収入に応じて選択肢が分かれるため、まずはどの制度を利用するかを決めることが重要です。
次のいずれかを選択しましょう。

  • それまで加入していた健康保険の任意継続被保険者制度を利用する
  • 国民健康保険に加入する
  • 家族の扶養に入る

それまで加入していた健康保険の任意継続被保険者制度を利用する

項目 内容
手続きの期間 退職の翌日から20日以内
手続きの場所 加入していた健康保険組合または居住地域の社会保険事務所
必要なもの 健康保険任意継続被保険者資格取得申請書1カ月分(退職日によっては2カ月分)の保険料(口座振替も別紙で申請すれば可能)
保険料 それまでの負担額の倍程度(ただし上限あり)
備考 健康保険に「被扶養者」として加入していた家族がいる場合は、申請書にマイナンバーを記載するか否かで添付書類が異なる。マイナンバーを記載しない場合は住民票や被扶養者(16歳未満は添付不要)の収入を証明する書類などが必要

任意継続被保険者制度とは、退職後も在職中と同じ健康保険の被保険者資格を継続できる制度で、退職前の被保険者期間が継続して2カ月以上あれば、最長2年間まで利用できます。

任意継続被保険者制度を利用するための手続きは、退職日の翌日から20日以内に行う必要があります(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)。期限を過ぎてしまうと、正当な理由がない限り受け付けてもらえなくなってしまいます。申請できる期間が比較的短いので注意してください。

手続き先はそれまで加入していた健康保険によって異なります。全国健康保険協会(協会けんぽ)以外の健康保険組合に加入していた人であればその健康保険組合、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入していた人であれば居住地を管轄する協会けんぽです。郵送でも受け付けてくれます。加入していた保険者はマイナポータルにアクセスすれば確認ができます。また、資格確認書を持っている場合は資格確認書に保険者の名称が記載されていますので、確認してください。

任意継続被保険者制度のメリット

  • 原則、在職中と同じ給付を受けられる(傷病手当金は受け取れないケースもある)
  • 保険料の最高限度額が決められている(在職中の収入が多かった場合、保険料が安くなる可能性がある
  • 申し出により、自己都合での中途脱退ができる(ほかの方法への変更ができる)
  • 条件をクリアすれば、家族を扶養に入れられる(1人分の保険料で加入が認められた家族全員に保険が適用される)

任意継続被保険者制度のデメリット

  • 保険料は全額自己負担(会社との折半ではなくなるため退職時の2倍の保険料支払いが発生する)
  • 任意継続を利用できる期間が2年間に限られる
  • 2年間は保険料が原則変わらない(収入が減っても同じ額の支払いが必要)
  • 受付窓口が自宅から遠方になる可能性がある

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国民健康保険に加入する

項目 内容
手続きの期間 退職日の翌日から14日以内
手続きの場所 住所地の市区町村役所の国民健康保険窓口
必要なもの ・健康保険の資格喪失が分かる証明書(健康保険資格喪失証明書)※自治体や条件によっては退職証明書、離職票でも可
・各市区町村で定められた届出書
・マイナンバー(個人番号)が分かるもの
保険料 市区町村により異なる

国民健康保険とは、都道府県および市区町村(特別区を含む)が保険者となる健康保険です (業種ごとに組織される国民健康保険組合もありますが、こちらは再就職した場合が対象になると想定されるためここでは除外します)。

国民健康保険の保険料は、「前年の所得」「世帯の資産」「家族の人数」などをもとにして決定されます。しかし算出方法は自治体によって異なっており、所得が同じでも住んでいる市区町村によって支払う保険料が異なってきます。 納付の方法も自治体ごとに異なるため、詳細はお住まいの市区町村の国民健康保険窓口に問い合わせてください。

手続きは退職日の翌日から原則として14日以内に行うルールになっています。 遅れても手続き自体は可能です。ただしこの場合も、保険料は退職日の翌日までさかのぼって支払わなければなりません。

国民健康保険のメリット

  • 保険料の軽減・減免申請ができる場合がある (人によっては任意継続より保険料が安くなる場合もある)
  • 各市区町村役所に担当窓口がある(自宅の近くで手続きできる)

国民健康保険のデメリット

  • 所得が上がれば保険料も割高になる
  • 傷病手当金や出産手当金がない
  • 家族を扶養に入れられない(家族の人数分の保険料支払いが必要になる)

家族の扶養に入る

あなたの年収が130万円未満の場合、家族が健康保険の被保険者になっていて、あなたの年収の倍以上であれば、家族が加入している健康保険の被扶養者になれる場合があります。 家族の健康保険の保険者(健康保険組合または全国健康保険協会)に問い合わせてみましょう。

逆にいうと、年収が加入基準の130万円以上になった場合や、パートなどをしていて労働時間や週の所定労働時間数が正社員の4分の3以上になった場合などは、審査に通らずに加入できない可能性があります。

働いている場合は勤務先の健康保険に加入する、もしくはご自身の名義で国民健康保険に加入します。

家族の扶養に入るメリット

  • 健康保険料の負担がなくなる (被保険者の支払金額も増えない)
  • 国民年金保険料の負担がなくなる

家族の扶養に入るメリット

  • 給与収入が一定金額を超えると対象者から外れる(働き方に制限が生まれる)
  • 将来もらえる年金が少なくなる

マイナ保険証に移行して、健康保険の切り替え手続きはどうなっている?

マイナ保険証への移行に伴い、転職や退職時の健康保険の切り替え手続きは大きく簡素化されています。

従来は、退職時に健康保険証の返却や、新しい保険証が届くまでの待機期間が必要でしたが、マイナ保険証ではカード本体に加入情報が自動反映されるため、保険証の受け渡しが不要です。 そのため、会社の加入手続きが終われば転職直後でも医療機関でスムーズに受診できます。

マイナ保険証を活用することで、切り替え時のトラブルや手続きの手間が大幅に減ることが期待されているのです。

項目 Before(従来の健康保険証) After(マイナ保険証移行後)
保険証の発行 会社経由で紙の保険証を発行。到着まで1~2週間かかる 新規発行停止。マイナンバーカードに自動反映
転職時の受診 新保険証到着まで「資格証明書」が必要 マイナ保険証で即日受診可能
退職時の返却 紙の保険証を会社へ返却する必要あり 保険証廃止後は返却不要、自己破棄で対応可

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健康保険の保険料の計算方法

健康保険の保険料は、給与や賞与(ボーナス)の額に応じて算出され、毎月の給与や賞与から自動的に控除されます。ここでは、給与と賞与それぞれからどのように保険料が計算・控除されるのか、具体的な仕組みを分かりやすく解説します。

健康保険の保険料を被保険者の給与から控除する方法

健康保険の保険料は被保険者と事業者とで折半します。また給与として支払う時点で健康保険の保険料は控除されているのが一般的でしょう。

毎月の給与から控除される健康保険の保険料は、下記の式に基づいて算出されます(「標準報酬月額」(※)をもとに控除額が計算され、その額が控除されます)。

※健康保険料・厚生年金保険料の計算をする際に基準となる金額(月の平均給与額を保険料額表に当てはめて決定する)

控除する金額=その被保険者の標準報酬月額×保険料率÷2

※折半した額に1円未満の端数がある場合は、端数処理(被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げ)が行われます。

賞与から健康保険の保険料を控除する方法

賞与からも健康保険の保険料は控除されます。計算式の考え方は同じですが、「給与」が「賞与」に、「標準報酬月額」が「標準賞与額」(※)に変わるのです。

また給与のように「標準報酬月額」をもとに控除額が計算されるのではありません。被保険者ごとの標準賞与額に保険料率を乗じた額の1/2が、賞与から控除されて支払われます。

※標準賞与額…賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額

控除する金額=その被保険者の標準賞与額×保険料率÷2

※折半した額に1円未満の端数がある場合は、端数処理(被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げ)が行われます。

計算例

下記の条件の下で健康保険の保険料の計算する場合の例をご紹介します。

  • 標準報酬月額(または標準賞与額)が44万円
  • 東京都の会社
  • 年齢:40歳未満(40歳以上65歳未満は介護保険料が発生します)
  • 保険料率が9.91%

控除する金額=440,000円(その被保険者の標準報酬月額または標準賞与額)×9.91%(保険料率)÷2
=43,604円÷2
=21,802円

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転職・退職時の健康保険の切り替えに関するよくあるQ&A

転職や退職に伴う健康保険の手続きは、状況により必要な対応が大きく変わります。ここでは、よくある疑問やつまずきやすいポイントをQ&A形式で分かりやすくまとめました。迷いやすい部分を事前に確認しておきましょう。

  • マイナンバーカードを持っていない。転職先の資格確認書はいつ届く?資格確認書が届くまでどうすればいい?

  • 転職先からの資格確認書は、1〜2週間程度でもらえるのが通例です。
    しかし新入社員の入社時期など状況によっては通常よりも届くのが遅れる場合もあります。資格確認書が発行される前に病院を利用する予定がある場合は、交付までの間に資格確認書の代わりとして利用できる「健康保険被保険者資格証明書」を発行してもらえないか会社に相談してみてください。

  • 転職先の健康保険の給付内容をチェックするときのポイントは?

  • 健康保険は、種類によって給付内容が異なります。
    特にチェックしたいのが「付加給付」の有無です。健康保険の給付には2種類あります。法律で定められた「法定給付」と、法定給付に上乗せされる「付加給付」です。70歳未満の人が医療機関を利用した際に3割の医療費負担で済むのを知っている人も多いでしょう。これは法定給付によるもので、医療費の7割が健康保険で給付される仕組みなのです。

    そして健康保険組合に加入している会社では「付加給付」がある場合があります。付加給付のある健康保険組合では、法定給付だけよりも支給額が増えたり支給期間が延長されたりします。

    例えば出産時に1児につき48.8万円(産科医療補償制度に加入している医療機関での出産の場合は50万円)がもらえる「出産育児一時金」は、付加給付があるとさらに10万円が上乗せされる場合があります。

    業務外での病気やケガで会社を休み給与がもらえない場合に直近1年間の月収平均の約2/3が1年6カ月間は支給される「傷病手当金」も、最長3年まで期間が延びる場合があるのです。

    ※参照:全国健康保険協会 「子どもが生まれたとき」

  • 国民健康保険の切り替え手続きに必要なものは?

  • 「健康保険の資格喪失が分かる証明書(健康保険資格喪失証明書 ※自治体や条件によっては退職証明書、離職票でも可)」「各市区町村で定められた届出書」「マイナンバー(個人番号)が分かるもの」です。

  • 国民健康保険の手続きが退職後14日を過ぎてしまったらどうしたらいい?

  • 手続き自体は可能です。
    退職日の翌日までさかのぼって保険料を支払う必要はありますが、遅れても手続き自体は可能です。医療の給付は原則として手続きが完了した日から可能となります。

    上のA3で紹介している「手続きに必要なもの」を準備しておきましょう。また国民健康保険税も加入した日までさかのぼって一度に請求されます。

  • 失業中に病気やケガをした場合、保険はおりる?

  • 退職後に加入した国民健康保険や、雇用保険の手当を利用しましょう。
    仕事に就けない期間の長さによって受給可能な手当が異なったり、受給期間の延長ができたりすることもあります。

  • マイナンバーカードに健康保険証の利用登録をしたら何が変わる?

  • 2025年12月から従来の健康保険証がマイナンバーカードに完全移行されました(マイナ保険証を保有していない方には「資格確認書」が交付されます)。マイナンバーカードに健康保険証の利用登録をした後は、転職や退職の際に健康保険証の発行を待つ必要がありません。ただし、加入手続きは引き続き必要になります。最新の情報や詳しい内容は、市区町村の窓口や会社の担当者に確認してください。

    ※参照:厚生労働省 「マイナンバーカードの健康保険証利用について」

転職・退職時の健康保険の切り替え手続きをスムーズに進めよう

転職や退職のタイミングでは、健康保険の資格が一度失われるため、自身の状況に応じた適切な手続きが欠かせません。すぐに転職する場合は会社で再加入手続きをしてくれますが、入社まで期間が空く場合は、任意継続・国民健康保険・家族の扶養のいずれかを選ぶ必要があります。

また、2025年12月からはマイナ保険証へ完全移行し、従来の保険証返却や新しい保険証の発行待ちが不要になったため、手続きがよりシンプルになりました。退職前に必要な準備を把握し、スムーズな切り替えを進めましょう。

dodaでは健康保険の切り替えのほか、失業手当(失業保険)や年金・税金など退職後に必要な手続きのやり方に関する記事を多数ご用意しています。退職後に何をすればいいか分からず、不安を感じている方も、ぜひあわせて参考にし、スムーズな転職準備に役立ててください。

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