雇用保険被保険者証とは
雇用保険被保険者証とは、雇用保険に加入していることを証明する書類です。最初に入社した企業や事業主が加入手続きをして発行される書類なので、転職経験がある人でなければ目にした機会がないかもしれません。転職先でも雇用保険被保険者番号は引き継がれるため、入社時に雇用保険加入の手続きを行った後、被保険者証をそのまま会社に預けていた場合は退職時に会社からもらい、転職先の企業に提出する必要がある重要な書類の一つです。なお原則では、会社が手続きをして被保険者証が発行されたらその場で本人に渡すようになっていますが、会社で預かっている場合が多く見られます。
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雇用保険被保険者証に書かれている内容
雇用保険被保険者証に印字されている情報は以下のとおりです。なお、発行する場所によって記載内容に若干の差異があります。
- ・被保険者番号
- ・被保険者の氏名・生年月日
「被保険者番号」は、雇用保険の加入者に割り当てられている11桁の番号です。初めて社会人になったときに発行され、転職しても引き継がれます。
氏名・生年月日欄には、ご自身の氏名と生年月日が記載してあります。
また雇用保険被保険者証とセットになっている「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」には、以下の情報も載っています。
- ・確認(受理)通知年月日
- ・資格取得年月日
- ・事業所名略称
「確認(受理)通知年月日」は、ハローワークでの資格取得手続きが完了した日付です。
「資格取得年月日」には、雇用保険の加入資格を得た日付が書かれています。雇用条件の変更が完了した日もしくは入社当日の日付になっているのが基本です。
「事業所名略称」には、資格を取得した事業所の名称が書かれています。転職時には、前職の事業所名が入ったものを転職先に渡します。
なお、雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)を切り取って、雇用保険被保険者証の部分だけを転職先の企業に提出しても問題ありません。
雇用保険被保険者証が発行される条件
雇用保険被保険者証の発行には、雇用保険への加入が条件ですが、雇用保険に加入するには、次の要件を両方満たす必要があります。
- ・1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- ・31日以上引き続き雇用されることが見込まれること
「所定労働時間」とは、労働契約や就業規則で定められている就業時間のことで、勤務時間から所定の休憩時間を除いた時間を指します。
「31日以上引き続き雇用されることが見込まれる」状態とは、主に以下の場合を指します。
- ・期間の定めがなく雇用される場合
- ・雇用期間が31日以上である場合
- ・雇用契約に更新規定があり31日未満での雇い止めの明示がない場合
- ・雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合
これらの条件を満たせば、原則として雇用形態を問わず、雇用保険に加入できます。
※引用:厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか」
雇用保険被保険者証が発行されないのはどんな場合?
以下に該当する場合は、雇用保険被保険者が発行されません。
- ・雇用保険の加入条件を満たしていない
- ・会社役員など雇用保険の被保険者ではない
- ・昼間学生(※)である
- ・前職が公務員である
- ・雇用保険法が適用されない職種に従事している(していた)
(※)昼間は学校に行き夜にアルバイトなどで働いている学生のこと
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雇用保険被保険者証はいつ、どこでもらえる? 必要なタイミングは?
ここでは、雇用保険被保険者証はいつどこでもらえる書類なのか、どのタイミングで必要になるかについてご紹介します。
雇用保険被保険者証はいつ、どこでもらえる?
雇用保険被保険者証は、従業員を雇った会社側がハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出し、その届け出が受理されると発行されます。
発行された雇用保険被保険者証は、原則として入社手続きが完了した後に受けとりますが、紛失を防止するために会社が保管し、退職時に返却されるケースが多いです。
雇用保険被保険者証が必要なタイミング
雇用保険被保険者証は、主に以下のタイミングで提出を求められる書類です。
- ・転職などで再就職先に入社するとき
- ・教育訓練給付金の申請をするとき
- ・65歳未満で厚生年金保険の決定請求をするとき
雇用保険の資格取得手続きを行うために、再就職先の会社は被保険者番号を確認する必要があります。会社に雇用保険被保険者証を預けている場合は、退職するときに忘れずにもらい、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。
雇用保険被保険者証には有効期限がある
離職してから再就職するまでに7年以上経過すると、雇用保険被保険者証の有効期限が切れてしまいます。フリーランスとして働いていた期間が長い人や、介護や育児などで長期間仕事をしていなかった人、または専業主婦(夫)などで雇用保険に長期間加入していない人は注意しましょう。7年以上経って再就職する場合は、ハローワークで新たな雇用保険被保険者証を発行してもらうよう企業に依頼しましょう。
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雇用保険被保険者証をもらっていないとき、再発行はどうする?
ここでは、雇用保険被保険者証をもらっていない場合の対処法や再発行の方法ついて解説します。
退職した会社に問い合わせる
雇用保険被保険者証は「求職者本人が保管している場合」と「会社で保管している場合」があります。後者の場合は、退職のタイミングで本人に返却されるか、退職後に離職票や源泉徴収票などの書類とあわせて返送されるのが一般的です。雇用保険被保険者証をもらっていない場合は、会社側で保管していないか問い合わせてみましょう。
ハローワークで再発行してもらう
雇用保険被保険者証が手元にない場合は、ハローワークで申請すれば再発行してもらえます。ハローワークでの再発行には、以下の書類を持参するとスムーズです。
- ・雇用保険被保険者証再交付申請書
- ・本人確認ができる書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- ・前職の会社情報(事業所の正式名称・所在地・電話番号)
雇用保険被保険者証再交付申請書は、ハローワークのサイトから印刷できるので、あらかじめ記入してから窓口に持参するとよりスムーズです。
ハローワークが開庁している平日であれば、即日再発行してもらえるため、急に必要となったときも安心でしょう。
電子申請で再発行する
電子申請を利用すれば、インターネットで24時間申請ができるので、平日ハローワークに行く時間が取れない人におすすめです。
申請の手順は以下のとおりです。
- 1.「e-Gov(イーガブ)」のアプリケーションをインストールし、アカウント登録する
- 2.「e-Gov」起動後、マイページから必要事項を入力し、提出ボタンを押す
申請後、再発行の準備が整い次第、「e-Gov」からEメールで通知がきます。以下手順で書類をダウンロードしてください。
- 1.「e-Gov」起動後、状況照会画面から「到達番号」と「問合せ番号」を入力し、照会ボタンを押す
- 2.状況確認画面で、公文書一覧ボタンを押す
- 3.公文書一覧画面で取得ボタンを押すと、ダウンロードメッセージが表示されるので、
OKボタンを押して、ダウンロードする
雇用保険被保険者証の再発行申請には、運転免許証など「本人確認書類」の添付と「電子署名」が必要です。電子署名を利用するには、認証局に「電子証明書」を発行してもらう必要があるので、あらかじめ準備しておきましょう。
※参照:雇用保険被保険者証の再交付の申請
郵送申請で再発行する
雇用保険被保険者証は郵送での再発行申請もできます。申請する際は、以下の書類を最寄りのハローワークに郵送します。
- ・雇用保険被保険者証再交付申請書
- ・本人確認書類のコピー
- ・返信用封筒(切手貼付)
返信用封筒は切手貼付のほか、返送先の住所・氏名も書いておきましょう。郵送の場合は手元に雇用保険被保険者証が届くまで2週間ほどかかります。余裕を持って手続きを行ってください。また郵便事故を防ぐために、特定記録や簡易書留など記録が残る方法で送付しましょう。
代理申請して再発行する
雇用保険被保険者証は、代理人に窓口で申請してもらい、再発行する方法もあります。代理人が以下の書類を持参してハローワークに行けば再発行の申請ができます。
- ・雇用保険被保険者証再交付申請書
- ・委任状
- ・代理人の本人確認書類
- ・申請者の本人確認書類の写し
なお、委任状も雇用保険被保険者証再交付申請書と同様に、ハローワークのサイトから印刷できます。委任状は依頼者が自筆で記入します。また、委任状の有効期限は3カ月と決まっているので、なるべく早めに申請するようにしましょう。
雇用保険被保険者証の再発行ができない場合もある
すでに紹介しましたが、「1週間の労働時間が20時間以上」かつ「31日以上引き続き雇用されることが見込まれること」が雇用保険の加入条件です。前職での就業状況が雇用保険の加入条件を満たしていなかった場合、そもそも雇用保険被保険者ではないため、雇用保険被保険者証の再発行はできません。加えて前職の退職から7年以上経過している場合は、再発行ではなく、新たな雇用保険被保険者証を発行する必要があるので、注意しましょう。
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雇用保険被保険者証と健康保険証や離職票の違い
「雇用保険被保険者証」と似たような名前の書類が多くあります。その代表例である「健康保険証」と「離職票(雇用保険被保険者離職票)」との混同にとくに注意しましょう。以下に見本を載せましたので、参考にしてください。
健康保険証と雇用保険被保険者証の違い
■健康保険証
出典:協会けんぽ
見た目も用途も雇用保険被保険者証とはまったく異なる別の書類ですが、名前が似ているので注意してください。「健康保険被保険者証」とは、健康保険証(いわゆる保険証)の正式名称です。健康保険に加入していることを証明する書類で、医療機関を利用した際に提示します。健康保険被保険者証があると医療費の自己負担分は3割で済みます(年齢・収入要件により2割の場合もあります)。
なお、現行の健康保険被保険者証は2024年12月2日に廃止予定で、それ以降はマイナンバーカードと健康保険証が一体になった「マイナ保険証」に切り替わります。(マイナ保険証を持っていない場合は「資格確認書」を利用)
離職票と雇用保険被保険者証の違い
■離職票(雇用保険被保険者離職票)
離職票の正式名称は「雇用保険被保険者離職票」です(以下では離職票と記載)。こちらも雇用保険被保険者証とはまったく違う別の書類ですが、名前が似ているので注意しましょう。離職票とは退職したことを証明する書類であり、ハローワークから発行されて退職する会社を介して受け取ります。離職票は雇用保険の失業給付をもらう際に必要です。
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雇用保険被保険者証のよくあるQ&A
雇用保険被保険者証について、よくある質問をまとめました。気になる内容を確認しておきましょう。
Q1.派遣社員やアルバイトにも雇用保険被保険者証はあるのでしょうか?
A1.派遣社員やアルバイトなどの雇用形態にかかわらず、雇用保険の加入条件を満たしているすべての人に雇用保険被保険者証が発行されます。なお農林水産事業のうち、事業主もしくは事業に従事している労働者の過半数の意思に労働保険(雇用保険と労災保険の総称)に加入するかが任されている「暫定任意適用事業」は除きます。
Q2.雇用保険被保険者証は健康保険証の代わりになりますか?
A2.雇用保険被保険者証と健康保険証とでは、それぞれ加入していることを証明する保険が違うため代用はできません。
Q3.離職票で雇用保険番号は分かるのですが雇用保険被保険者証の再発行は必要ですか?
A3.雇用保険手続きは被保険者番号が分かれば手続き可能です。しかし、会社によっては雇用保険被保険者証の原本が必要になる場合があるため、転職先の担当者に確認しましょう。
Q4.雇用保険被保険者証をデー(PDF)などで持っているのですが紙では持っていません。再発行は必要でしょうか?
A4.雇用保険の手続きは、被保険者番号が分かれば手続き可能です。必ずしも紙の雇用保険被保険者証が必要になるわけではありません。しかし、転職先によっては紙を求められることもあります。転職先の担当者の指示に従って対応しましょう。
雇用保険被保険者証は転職先に提出する書類。早めに再発行しておこう
ここまで、雇用保険被保険者証がどんな書類か解説してきました。雇用保険被保険者証は転職先の企業から入社時に提出を求められることが多い書類です。もし手元にない場合は、退職前の会社に問い合わせるか、ハローワークなどで再発行の申請を行いましょう。
dodaでは雇用保険被保険者証のほか、再就職手当の申請や転職初日に必要な書類についてもご紹介しています。あわせてご確認ください。
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この記事を監修した社会保険労務士
北 光太郎(きた・こうたろう)氏
きた社労士事務所 代表 大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士資格を取得し、不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善などさまざまな取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。読者に分かりやすく信頼できる情報を伝えるとともに、Webメディアの専門性と信頼性向上を支援している。
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