この記事のまとめ
- 失業認定申告書とは、求職活動実績や失業期間中の収入をハローワークに申告し、失業保険を受給するために必要な書類
- ハローワークを介しての応募や転職サイトでの求人応募など、求職活動の内容によって実績記入欄が分かれる
- 「求人を見るだけ」「転職サイトに登録しただけ」では求職活動実績として認められない。ハローワークに認められる活動をして正しく申告しよう
失業認定申告書とは
失業認定申告書とは、失業手当(失業保険)を受給するために必要な書類の一つです。失業手当(失業保険)は「働く意思のある人」に支給する手当ですので、「求職活動をしているものの、仕事に就いていない(失業状態である)」という証明をしなければなりません。失業の証明をするためには、原則として4週間(28日)に1回の指定された日(失業の認定日)にハローワークに行き、「失業の認定」を受ける必要があります。その認定を受ける際に必要になる書類が失業認定申告書です。失業認定申告書には、求職活動の実績や失業期間中に得た収入などを記載し、失業の認定日にハローワークへ提出します。
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失業認定申告書を受け取るタイミング
会社を退職し、失業手当(失業保険)を受給したい場合はハローワークに「求職の申し込み」を行う必要があります。求職の申し込みとは、退職した会社から離職票を受け取りハローワークに提出する手続きのことです。求職の申し込みを行った際に失業手当(失業保険)の受給資格の審査があり、受給資格が決定すると「雇用保険受給者説明会」の日程が案内されます。「失業認定申告書」は、その説明会に出席したときに受け取ることができます。
また、雇用保険受給者説明会では「失業認定申告書」と一緒に、失業手当(失業保険)の受給資格を証明する「雇用保険受給資格者証」がもらえます。失業認定日には、「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」が必要になるので、大切に保管しましょう。
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失業認定申告書の基本的な書き方
失業認定申告書には、「いつ、どんな求職活動をしたのか」「いつ、労働をしてどのくらいの収入を得たのか」など、活動内容を詳細に記載する必要があります。何かしら活動をした場合は、カレンダーやメモなどに活動実績をまとめておきましょう。
記載する内容や基本的な書き方は次から順に説明します。
※参考:厚生労働省 愛知労働局「失業認定申告書の書き方 」
1.賃金の発生する労働の有無
「賃金の発生する労働の有無」の欄には、「仕事をしたか・していないか」を記載します。失業認定期間中に仕事をして収入を得た場合は、失業認定申告書で申告が必要です。
失業認定期間とは、原則として前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間をいいます。ただし、初回の認定日は求職の申し込み日から約1カ月後です。退職日から1カ月後ではありませんので注意しましょう。
失業認定期間中に仕事をした場合は「ア」に〇印を、仕事をしなかった場合は「イ」に〇印をつけます。なお、収入を得ていない自営業の準備やボランティア活動で働いた場合も「ア」に〇印をつけます。
もし、失業期間中に仕事をした場合(「ア」に〇印をした場合)は、1日4時間以上働いた日に〇印を、4時間未満で働いた日には×印を右のカレンダーにつけましょう。
内職や手伝い、自営業の準備やボランティア活動など収入を得ない場合でも「働いた日」として申告が必要です。
なお、1日の労働時間が4時間以上であっても、1日の収入額が「賃金日額の最低額未満(2024年4月現在は2,746円)」だった場合は、×印をつけなければならないので注意しましょう。
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2.内職・手伝いの賃金と日数
失業認定期間中に4時間未満の仕事をして収入を得た場合は、「内職・手伝いの賃金と日数」の欄に「支給日」と「金額」のほか、「その収入が何日分か」を記載する必要があります。ここでは、4時間未満の仕事が対象となるため、4時間以上の仕事で得た収入は対象外です。
例えば、12月18日と12月24日に4時間未満の仕事をして、1月10日にその分の給与が支払われた場合は、以下の画像のように×印をつけます。ただし、1月7日に働いた分は翌月(2月)に給与が支払われるので、次回の申告になります。
なお、パート・アルバイトで働いた場合でも労働時間が4時間未満の日は「内職や手伝い」に該当するので必ず申告しましょう。4時間未満の仕事をしていない場合は空欄で提出します。
3.求職活動の実績
失業手当(失業保険)を受給するには、求職活動をしていることが前提です。そのため、失業認定申告書には、前回認定日から今回認定日の前日までの間に行った求職活動を正確に記載する必要があります。
まず、「ア」か「イ」に〇印をつける欄がありますが、求職活動した場合は「ア」、しなかった場合は「イ」に印をつけます(求職活動をしなかった場合の失業認定申告書の書き方はこちら)。求職活動を行った場合は、右の「求職活動をどのような方法で行いましたか」の欄に具体的な求職活動の内容の記載が必要です。
求職活動実績として認められるものは、次で説明します。
求職活動実績として認められるもの
求職活動実績とは、失業手当(失業保険)を受給するために必要な「仕事を探すために行った活動」のことで、原則として認定期間(4週間)ごとに最低2回以上行う必要があります。
ただし、求職活動として認められる活動は決まっており、該当する活動をしていなければ実績として認められません。
求職活動実績として認められる主なものは以下のとおりです。
「求人への応募」はハローワーク経由の応募に限らず、転職エージェントや転職サイトを経由した求人応募でも認められます。また、オンラインによる面接やカウンセリング、セミナー参加なども実績として認められます。
一方、以下の活動は求職活動実績として認められません。
なお、事実と異なる求職活動実績を申告した場合は失業手当(失業保険)の不正受給となります。
不正受給が発覚した場合は、受給した金額を全額返還しなければならず、悪質な場合は、さらに2倍に相当する金額の納付が命じられ、合計で不正に受給した額の3倍の金額を納めなければなりません。
求職活動実績が足りない!認定日の前日にもできる転職活動の方法を徹底解説
・(1)欄:公的、民間を問わず『人』を介した求人応募
「(1)欄:公的、民間を問わず『人』を介した求人応募」は、ハローワークや転職エージェントなどの職業紹介事業者を介して求職活動を行った場合に記載する欄です。
以下の該当するケースに〇印をつけ、「活動日」「利用した機関の名称」「求職活動の内容」を具体的に記載します。
- (ア)公共職業安定所又は地方運輸局による職業相談、職業紹介など
- (イ)職業紹介事業者による職業相談、職業紹介など
- (ウ)派遣元事業主による派遣就業相談など
- (エ)公的機関等による職業相談、職業紹介など
・(2)欄:(1)を除く求人応募
「(2)欄:(1)を除く求人応募」は「(1)欄:公的、民間を問わず『人』を介した求人応募」以外の求職活動を行った場合に記載する欄です。具体的には、知人の紹介やインターネットで求人応募した場合などが該当します。
例えば、リファラル採用(応募企業に在籍する知人の紹介)やジョブリターン制度(退職した従業員の再雇用)による求職活動も、特定の機関を介して求人応募をしていないため「(2)欄:(1)を除く求人応募」に該当します。
「事業所名、部署」欄には、応募した事業所名と部署名のほか、その部署の電話番号をあわせて記載してください。「応募方法」欄には、書類郵送や直接訪問など、求人に応募した方法を具体的に記載します。「応募の結果」欄には「〇月〇日面接」「〇月〇日結果待ち」など、その状況を具体的に記載します。
4.すぐに仕事ができる状態か否か
「今、公共職業安定所又は地方運輸局から自分に適した仕事が紹介されれば、すぐに応じられますか」に対して、「ア 応じられる」または「イ 応じられない」のどちらか該当するものに「〇」印をつけます。
「イ 応じられない」に〇印をつけた場合は、すぐに応じられない理由を以下の中から選び、右側の記号に〇印をつけなければなりません。
- (ア)病気やケガなど健康上の理由
- (イ)個人的又は家庭的事情のため(例えば、結婚準備、妊娠、育児、家事の都合のため)
- (ウ)就職したため又は就職予定があるため
- (エ)自営業を開始したため又は自営業の開始予定があるため
- (オ)その他(理由を失業認定申告書の裏に記入)
上記の内容は失業認定申告書の裏面に記載されています。
なお、「イ 応じられない」に〇印をつけると失業手当(失業保険)の受給ができません。一般的には、翌日から就職する場合や、仕事に就くことができず受給期間の延長等を行う場合に「イ 応じられない」に○をつけます。
5.就職もしくは自営の予定
就職、もしくは自営した人、またはその予定がある人は「ア 就職」か「イ 自営」のどちらか該当するものに〇印をつけます。
「ア 就職」に〇印をつけた人は、右側の求職活動の方法「(1)公共職業安定所又は地方運輸局紹介」「(2)地方公共団体又は職業紹介事業者紹介」「(3)自己就職」の中から該当するものに〇印をつけ、就職日を記載してください。なお、見習い期間や試用期間がある場合も、その初日が就職日です。右端には就職先の情報を記載します。
提出日・受給資格者氏名・支給番号を記入
署名欄には、失業の認定日(失業認定申告書を提出する日)、氏名、支給番号を記入します。ただし、何らかの事情で支給番号がまだ付与されていない場合、記入は不要です。
氏名は、必ずフルネームで記入しましょう。自筆で署名した場合は、印鑑の押印は不要です。
「dodaオンライン転職教室」アーカイブ動画
転職活動を進めるにあたって知っておきたいポイントを6本の動画でお伝えします。動画をすべて視聴後、確認テストを受験することで、「求職活動実績」として利用できる求職活動証明書が発行されます。
直近の開催日時を見るこんなとき、失業認定申告書にはどう書く?
失業認定申告書は、求職活動実績を正確に記入する必要があります。しかし、具体的な書き方が分からない人も多いでしょう。
ここでは、失業認定申告書の記入例を具体的な事例ごとに解説します。
転職エージェントに相談した場合
転職エージェント経由で求人に応募した場合は、(1)の職業紹介に該当します。「(イ)職業紹介事業者による職業相談、職業紹介等」に〇印をつけ、その内容を記載しましょう。
ただし、利用した機関名を正式名称で記載しなければなりません。例えば、dodaの職業相談を利用した場合は「利用した機関の名称」に機関の正式名称である「パーソルキャリア株式会社」と記載します。
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転職サイトに応募した場合
転職サイトに応募した場合は、人を介して求人に応募していないため、「(2)欄:(1)を除く求人応募」に該当します。応募方法の欄には「インターネット」と記載し、応募した職種や応募結果を記載します。転職エージェントの紹介で求人に応募した場合と書く場所が異なるので注意しましょう。
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転職フェアに参加した場合
求職活動をする中で、転職フェアに参加する場合もあるでしょう。転職フェアに参加した場合は、個別の相談をしたかどうかで書き方が変わります。
ブースなどがあって個別の相談ができる転職フェアであれば求職活動実績になり、「(イ)職業紹介事業者による職業相談、職業紹介等」に該当します。
しかし、転職フェアに参加していても、相談をしなかった場合は求職活動実績に該当しません。そのため、転職フェアの申告の際には、個別相談を申し込んだことが証明できる書類などの提出を求められる場合があります。
セミナーに参加した場合
転職セミナーは、「(イ)職業紹介事業者による職業相談、職業紹介等」に該当するため、基本的に求職活動実績になります。ただし、セミナーの内容が求職活動に関わるものであることが条件です。例えば、一般的なマナー講習や生活設計などに関するセミナーでは求職活動実績として認められません。求職活動実績として認められるには、「職業紹介事業所」や「労働者派遣事業所」などが主催するセミナーである必要があります。
なお、doda(パーソルキャリア株式会社)が主催している転職セミナーは、「職業紹介事業所」が主催しているため、求職活動として認められます。
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資格試験を受けた場合
資格試験を受けた場合も、それが求職活動実績となります。ただし、再就職に役立つとハローワークが判断した資格であることが条件です。例えば、経理の業務に就職を希望している人が日商簿記検定試験3級を受験した場合は実績となりますが、危険物取扱者の資格試験を受けても業務との関連性がないため、実績として認められない可能性があります。
実績として認められる場合は、失業認定申告書の「求職活動の方法」の(ア)~(エ)には〇をつけずに資格試験の内容と日付を記載します。
なお、資格試験の応募のみで受験していない場合は、求職活動実績として認められないので注意しましょう。また、試験の合否は求職活動実績の認定に影響しません。
求職活動を行わなかった場合
求職活動を行わなかった場合は、「3.失業の認定を受けようとしている期間中に、求職活動をしましたか」の中にある「イ 求職活動をしなかった」に〇印をつけ、その理由を具体的に記載します。求職活動をしなかった場合は、失業手当(失業保険)は先送りになります。次の認定日に求職活動実績を満たしていれば、そのタイミングで支給されるので、支給額が減ることはありません。
ただし、失業手当残日数が7日未満の場合は求職活動をしなくても失業手当(失業保険)が支給されます。その場合は、理由に「残日数7日未満のため」と記載して提出しましょう。
また、「病気やケガで求職活動ができなかった」「育児で忙しくて時間がなかった」など、求職活動ができない場合もあるでしょう。病気やケガ、育児によって30日以上求職活動ができないときは、ハローワークに申請すれば失業手当(失業保険)の受給期間を延長することができます。
なお、病気やケガで求職活動ができない場合は、その期間によっても対応が異なります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
失業認定申告書についてのよくある質問
鉛筆や消せるボールペンで書いても大丈夫ですか?
失業認定申告書は、黒のボールペンのみ認められています。鉛筆や消せるボールペンの使用は認められていません。
失業の認定日とは?
失業の認定日とは、失業状態を認定する日のことで、ハローワークに求職活動実績や失業期間中に得た収入を申告する日のことをいいます。
失業の認定日は、雇用保険受給資格者証の認定日欄にある「週型」と「曜日」で決まります。例えば、「4型‐火」と印字されている場合は「4の週型」で「火曜日」という意味です。下記のカレンダーだと、週型4(横)と火曜日(縦)が交わっている3月19日が認定日となり、次の認定日は4月16日となります。毎月第4火曜日という意味ではないので、注意しましょう。
2回目の失業認定のときは申告書の書き方は変わりますか?
失業認定申告書の初回と2回目以降の書き方は、基本的には変わりません。違いがあるとすれば、1回目は雇用保険受給者説明会が求職活動実績としてカウントされることです。なお、求職活動実績は初回は1回以上、それ以降は失業認定期間ごとに原則2回以上必要です。
※参考:厚生労働省 神奈川労働局『雇用保険受給に必要な求職活動について』
書き間違えた場合はどのように訂正すればいいですか?
失業認定申告書の内容を書き間違え場合は、訂正箇所を二重線で消して、印鑑または自筆のサインをしたうえで、正しい内容を記載します。修正液やシャチハタを使用しての訂正は認められていません。
※参考:厚生労働省 東京労働局『失業認定申告書を記入する際の注意点』
ハローワーク以外で求人に応募した場合は証明書が必要ですか?
ハローワーク以外で求人応募や相談をした場合でも基本的に証明書などは必要ありません。ただし、ハローワークが実態調査を行うことがあるので、企業名や選考状況など正しく記載しましょう。
なお、ハローワーク以外の転職フェアやセミナーの参加、資格試験などで求職実績を申告する場合は証明書が求められる場合があります。
セミナー受講のみで求職活動実績になる?オンラインも対象となるのか詳しく解説【社労士監修】
認定日は変更できますか?
ハローワークが指定した認定日に来所できない場合は、以下のようなやむを得ない事情がある場合に限り変更が可能です。
認定日の変更は、原則としてハローワークへ事前の申し出が必要ですが、当日体調不良で行けない場合は、ハローワークに連絡すれば変更が認められます。
なお、事前に認定日を変更する場合は、証明書などを求められる可能性があります。必要な書類については、ハローワークへお問い合わせください。
まとめ
「失業認定申告書」とは、失業手当(失業保険)をもらうために必要な書類の一つです。ハローワークに求職の申し込みを行った際に案内される「雇用保険受給者説明会」に出席したときに受け取れます。
失業認定申告書には、失業認定日までに行った求職活動の詳細を記載しなければなりません。求職活動実績が足りない場合は、失業手当(失業保険)がもらえないため、必ず何かしらの活動をする必要があります。
求人応募だけでなく、キャリアカウンセリングや転職セミナーへの参加も失業認定申告書に記載できます。dodaで求職活動実績をつくながら、転職活動を前進させませんか。