内定・退職・入社
離職票が届かない!いつまで待つべき?
原因と対処法を詳しく解説
監修者:社会保険労務士 北 光太郎(きた・こうたろう)氏 (きた社労士事務所 代表)
この記事のまとめ
- 離職票が手元に届くのは退職日から数えて10日~2週間後が目安
- 離職票が届かない主な原因は、会社やハローワークの手続きが遅れているため
- 離職票が届かないときは会社やハローワークに問い合わせる
- 離職票が届かないと失業手当(失業保険)の申請ができず、受給が遅れる
離職票が届かない原因とは?
離職票は、一般的に退職日から数えて10日〜2週間ほどで会社から送られてきます。
しかし、何らかの理由で退職してから2週間以上経っても離職票が届かない場合があります。離職票が届かない原因としては、主に以下の理由が挙げられます。
<離職票が届かない原因>
- ・会社の手続きが遅れている
- ・ハローワークで手続きが遅れている
- ・会社に離職票の交付を申し出ていない
- ・離職票の発行対象外
会社の手続きが遅れている
離職票は従業員が退職後、会社が離職証明書を作成し、ハローワークで手続きしなければ交付されません。この過程で、会社の事務処理に時間がかかることがあり、結果として離職票の交付が遅れる場合があります。例えば、企業の繁忙期に重なって事務作業が遅れている場合や、ハローワークに提出する添付書類の取得に時間がかかっている場合などが考えられます。
退職後およそ2週間が経過しても離職票が届かない場合は、電話やメールなどで人事担当者に手続きの進捗について確認しましょう。
ハローワークの手続きが遅れている
ハローワーク側が繁忙期になる4月から5月上旬や連休と重なる場合は、通常よりもハローワークの手続きが遅れ、離職票発行までに時間がかかっている可能性があります。
ただし、あまりに時間がかかっている場合は、会社側の人事担当者に状況を確認してみましょう。ハローワークの処理が終わっているにもかかわらず、会社がその通知を見逃している可能性もあります。
会社に離職票の交付を申し出ていない
基本的に離職票は、退職者本人が交付を希望しない場合を除き交付されるものです。多くの会社では、退職前に離職票が必要か確認してくれますが、会社によっては会社側から確認をせずに退職者から希望があった場合のみ交付手続きを進めるケースもあります。
離職票の交付を希望していないために、会社が手続きをしていない可能性もあるので、不安な場合は人事担当者に確認しましょう。
離職票の発行対象外
離職票は雇用保険に加入していなければ発行されません。労働条件や雇用形態が雇用保険の加入条件を満たしていなかった場合には、退職しても離職票は発行されないので、注意しましょう。
雇用保険の加入の有無は給与明細書で確認ができます。雇用保険に加入している場合は、毎月支払われる給与から「雇用保険料」が引かれています。一方、雇用保険料が引かれていなければ雇用保険に加入していないため、離職票発行の対象外です。
離職票はいつまで待てばいい?
一般的には離職票が手元に届くまでは、退職日から10日〜2週間ほどかかります。その理由は、離職票は以下の流れで発行されるためです。
<退職前>
- ・退職者が離職票の発行を依頼
<退職後>
- ・会社が退職日の翌々日から10日以内にハローワークへ離職証明書を提出する(1日~10日)
- ・会社がハローワークから離職票を受領する(1日~5日)
- ・会社から退職者へ離職票を送付する(1日~2日)
そもそも離職票とは
離職票は、雇用保険に加入していた従業員が退職した際に交付される書類で、退職者がハローワークで失業手当(失業保険)の受給申請を行うときに必要な書類です。離職票には、退職前6カ月の賃金情報や退職理由が記載されており、それをもとにハローワークで失業手当(失業保険)の金額や給付日数が決定されます。
離職票が届かない場合の対処法
実際に退職から2週間が経過しても離職票が届かない場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。
ここでは、離職票が届かない場合の主な対処法を紹介します。
会社へ確認する
会社側の手続きが遅れている場合や担当者の手続きが漏れている可能性があります。2週間経っても離職票が送られてこない場合は、会社の人事担当者に確認してみましょう。
もし、会社の人事担当者から「最終給与が支払われてから手続きする」と回答があった場合、その対応は適切ではない可能性があります。会社は退職日の翌々日から10日以内に離職票の発行手続きをする必要があるため、最終給与が未計算の状態でもハローワークは受け付けてくれるからです。
また、会社がすでにハローワークへ手続きをしている状況であれば、会社からハローワークに問い合わせてもらい、進捗状況を確認してもらいましょう。
※厚生労働省「Q5:雇用保険(基本手当)の受給手続きには、離職票が必要とのことですが、会社を退職後、会社から離職票が届きません。どうしたらよいでしょうか。」
ハローワークに相談する
退職から2週間経っても会社のほうで対応してもらえない場合や、何らかの事情で会社に連絡したくない場合は、会社の住所を管轄するハローワークに相談しましょう。ハローワークに相談すると現在の離職票の処理状況を確認してもらうことができます。
また、離職票が届かないことを相談するとハローワークから会社に対して手続きを行うよう催促してもらうことも可能です。
状況を確認する際は、退職を証明する書類(退職証明書など)を持参の上雇用保険番号かマイナンバーを伝えるとスムーズです。
ハローワークで仮手続きを行う
退職日の翌日から数えて12日目以降は、離職票がなくてもハローワークで仮手続きができる可能性があります。仮手続きには、退職証明書や健康保険の資格喪失証明書など、退職日が分かるものを持参すれば手続きが可能です。まだ会社から離職票を受け取っていない場合は、ハローワークで仮手続きができるかどうか、また必要な書類は何か確認しましょう。
仮手続きを行うことで、「仮の雇用保険受給資格者証」が発行され、失業手当(失業保険)の手続きを進めることができます。ただし、失業手当(失業保険)を受給するためには、初回の失業認定日までに離職票が必要です。それまでに会社やハローワークに相談し、離職票を発行してもらいましょう。
詳しくは、お住いの地域のハローワーク(公共職業安定所)の窓口や公式サイトでご確認ください。
離職票が届かないとどうなる?
離職票が届かないことで、失業手当(失業保険)の手続きや受給の遅れにつながります。
ここでは、離職票が届かないことでどのようなことが起こるのかを具体的に紹介します。
失業手当(失業保険)の受給が遅れる
離職票は失業手当(失業保険)を受給するために必要不可欠な書類です。離職票が届かなければ、失業手当(失業保険)の申請が遅れることになり、結果として失業手当の給付開始も遅れてしまいます。
失業手当(失業保険)は、次の仕事が決まるまでの生活保障となる給付金です。十分な貯蓄がない場合は、生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。退職から2週間以上経っても離職票が届かない場合は会社やハローワークに連絡しましょう。
失業手当(失業保険)の給付額はいくら?計算方法はこちらで確認
国民年金の免除申請が遅れる
国民年金は基本的に離職して働いていなくても毎月保険料の支払が必要です。しかし、求職活動をしていて失業状態の場合は前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があります。
失業などによる免除申請には、離職票や雇用保険受給資格者証など、失業手当(失業保険)の申請に必要な書類(コピー)の提出が必要です。離職票が遅れることで免除申請ができないため、国民年金保険料の納付書が自宅に届く場合があります。
ただし、免除が認められれば退職日(喪失日)にさかのぼって適用されるため、離職票が遅れたことが原因で免除が認められないということはありませんのでご安心ください。
退職後の手続きは何をすべき?必要書類、年金の加入や税金の納付について解説
※日本年金機構「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間について」
離職票に関するよくある質問
転職先が決まっていても離職票は必要?
離職票が届かないうちに転職先が決まった場合でもそのまま放っておくのではなく、前の会社に確認して離職票はもらっておくことをおすすめします。なぜなら、もし転職後すぐに退職した場合は前職の離職票を使う可能性があるからです。
失業手当(失業保険)の受給資格は、自己都合退職の場合、退職日以前2年間で雇用保険の加入期間が12カ月以上あることが条件です。しかし、転職先を12カ月経たずに退職した場合でも、前職の雇用保険の加入期間と通算して12カ月以上あれば条件を満たすことができます。
例えば、転職して入社した会社を2カ月で退職した場合でも、転職前の会社で雇用保険を10カ月加入していれば通算して12カ月になるため、失業手当(失業保険)が受給できるということです。
そのため、転職後すぐに退職する場合に備えて、転職先が決まっている場合でも離職票はもらっておいたほう方がよいでしょう。ただし、前の会社で雇用保険を12カ月以上加入しており、すでに失業手当(失業保険)を受給した場合は、その期間は通算できません。
失業手当(失業保険)を受給したい場合、離職票の提出期限はいつまで?
退職後に失業手当(失業保険)の手続きをする場合は、原則として退職した翌日から1年以内に離職票をハローワークに提出する必要があります。退職してから1年を過ぎてしまうと受給資格があっても失業手当(失業保険)を受給できません。
なお、すでに失業保険の仮手続きをしている場合は、失業手当の初回の振り込み日までに離職票を提出する必要があります。
離職票が届く前にアルバイトをしても大丈夫?
離職票が届く前にアルバイトをしても問題はありませんが、失業手当(失業保険)の待期期間中にアルバイトをすると、その日は待期期間に含まれません。
待期期間とは、ハローワークに離職票を提出してから失業手当(失業保険)が給付されるまでに設けられている7日間のことで、失業手当(失業保険)を受給する人に必ず発生する期間のことです。
例えば、待機期間7日間のうち2日間アルバイトをすると2日間は待期期間としてカウントされず「7日+2日」で9日後に満了となります。
なお、離職票が届く前にフルタイムなど(雇用保険に加入する労働条件)で働き始めた場合は、失業手当(失業保険)はもらえないため、ハローワークに離職票を提出(求職の申し込み)せず、保管しておきましょう。前述のとおり、転職先を前職の退職日から1年以内に退職した場合は、保管していた離職票と通算して失業手当(失業保険)が受給できる可能性があります。
離職票は自分で発行できる?
離職票は、退職後に会社が手続きをしてハローワークが発行する書類です。退職者本人が離職票を新規発行することはできません。
一方、再発行は本人でも可能です。再発行の手続きは、ハローワークの窓口または電子申請で行います。
※e-Gov電子申請「雇用保険被保険者離職票の再交付の申請」
離職票が届くまでは国民健康保険に切り替えはできない?
離職票が届かなくても、国民健康保険の切り替えはできます。離職票がない場合は健康保険の資格喪失証明書、もしくは退職日が分かる退職証明書があれば、健康保険の切り替えが可能です。
ただし、退職証明書については会社に発行を申し出る必要があります。申し出ない限りは発行されないため注意が必要です。
まとめ
離職票は、失業手当(失業保険)を受給するために重要な書類です。離職票は、一般的に退職日から10日~2週間ほどで届きますが、届かない場合は会社やハローワークでの手続きに遅れが生じている可能性があります。失業手当(失業保険)の受給が遅れると生活に影響が出るため、早めに確認しましょう。また、転職が決まっている場合でも、今後のために離職票を手元に保管しておくことをおすすめします。
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この記事を監修した社会保険労務士
北 光太郎(きた・こうたろう)氏
きた社労士事務所 代表 大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士資格を取得し、不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善などさまざまな取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。読者に分かりやすく信頼できる情報を伝えるとともに、Webメディアの専門性と信頼性向上を支援している。
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