「責任感」とは?企業が応募者に求めるものは?
企業が転職活動中の応募者に求める「責任感」は、大きく以下の2種類に分かれます。
「責任感」の意味を正しく把握することで、より企業に刺さりやすい自己PRにつなげられますので、ぜひお読みください。
「自分に責任がある」と考えられる「自責思考」
自責思考とは、職場でトラブルが発生したときに、自分に対応する責任があると考えて動ける姿勢のことです。
仕事上のトラブルや課題について、まず自分が行動を起こして解決させなければならないと使命感を持って動ける人は、自責思考が備わっています。
逆に何か問題が起こったときに誰かのせいにしたり、自身の責任を放棄したりする人は、責任感が欠けていると判断されてしまいます。
物事を自分ごととして捉えられる「当事者意識」
幅広く物事を自分ごととして対応できる「当事者意識」も、責任感の一つです。
自分の管轄外の場所でトラブルが起こった場合に「自分に何か手伝えることはないか」と考えて動ける人は、責任感がある人材であると期待されます。
自分に与えられた仕事を遂行できる責任感だけでなく、自分と関わりの薄い業務にも範囲を広げ、能動的に行動できる責任感も、転職活動で評価されるポイントです。
「当事者意識」は協調性もあると判断され、うまくアピールできればより高い評価につながります。
自己PRで「責任感」をアピールすることで与えられる印象
「責任感」を強みとした自己PRをすると、企業側に以下の3つの印象を与えられます。
与えられる印象を把握しておけば、より刺さりやすい自己PR文を作成できますので、ぜひお読みください。
まじめで規則やルールを順守してくれる
自己PRで責任感があることをうまくアピールすれば、まじめで会社・社会の規則やルールを順守する人である印象を与えられます。まじめな印象は、少なくとも悪い評価にはつながりません。努力をコツコツ続けられる姿勢や、仕事への誠実な取り組みを期待してもらえるからです。
規則やルールを守ってくれるかどうかは、業務の効率化や周囲との連携、コンプライアンスの順守といった点から、企業もチェックしたいポイントです。
しかし、会社・社会の規則やルールを守って働くことは、企業が転職希望者に求める最低条件でもあります。
単純なまじめさは、社会人として「できて当たり前のこと」と判断されることも少なくありません。
ほかの能力もセットでアピールしたり、優れた成果や実績につながったエピソードを盛り込んだりといった、一歩進んだアプローチが必要となる点については考慮しておきましょう。
与えられた仕事に対して成果を出してくれる
自己PRで責任感をうまくアピールすることで、依頼した仕事は確実にこなしてくれる人材であると評価されやすくなります。
業務の中でトラブルが起こっても責任を放棄せず、成果が出るまでやり遂げられる人材を企業は高く評価します。
「成果を出してくれるだろうと見込んで内定を出したのに、いざ仕事が始まると成果にこだわる姿勢が薄かった」といったミスマッチは企業としても避けたいところです。
自身のなすべき仕事に全力で取り組む姿勢や、成果が出るまで努力する意識があることを責任感といっしょに強調できると、評価につながります。
企業に長く貢献してくれる
責任感を自身の長所として伝えられれば、長期的に会社へ貢献してくれるだろうと期待してもらいやすくなります。
企業は自身の役割を投げ出さず、困難やトラブルがあってもめげずに対応できる人材を望んでいます。
採用した人材にはできるだけ長く働いてほしいと考えるものです。
責任感がある人なら、目先の成果だけでなく企業への貢献や中長期的な成果まで視野に入れて働いてくれるため、強みとしてアピールすることで内定に近づけるでしょう。
自己PRで「責任感」をアピールする際のよくある失敗
責任感を強みとした自己PRを効果的に使えれば内定に一歩近づけますが、以下のような失敗には気をつけなければなりません。
よくある失敗に注意することで、マイナスイメージを与えてしまったり、ほかの応募者の中に埋もれてしまったりといったリスクを避けられます。
できて当たり前のことをアピールしてしまう
自己PRで「できて当たり前のこと」を強みとして紹介しても、高評価につながらないどころかマイナスイメージにつながりかねません。
例えば「時間を厳守する」「連絡や報告をきちんとする」などは、社会人としてはできて当然のことで、特別な評価にはつながりません。
できて当たり前のことを強調してしまうと、社会人としての意識が低い印象を抱かれてしまう恐れがあります。
社会人なら身につけていて当然のことをアピールするのではなく、一歩進んだ経験やエピソードを使って自己PR文を作りましょう。「納期を必ず守るように努めた」といった経験ではなく「より高い成果を出すために、納得いくまで市場調査や企画の改善を行った」といった経験をもとに書いてみましょう。
具体性や独自性がなく差別化できていない
自己PRに具体性や独自性がなく、ほかの応募者との差別化ができていないと、効果的なアピールにつながりません。
責任感を使った自己PRは、転職活動において珍しくはありません。十分な差別化ができていないと、ほかの応募者の中に埋もれてしまい、採用担当者の印象に残りにくくなってしまいます。
印象に残るには、自分にしかない経験や前職のエピソードを使って、オリジナリティのある自己PR文を作ることが重要です。
「頑固」「協調性がない」などマイナスイメージを与えてしまう
責任感は伝え方を間違えると「頑固」「協調性がない」といったイメージに結びつく恐れがあります。
例えば「私は責任感が強く、誰にも頼らず一人でやりきりました」といった自己PRを考えている場合は注意が必要です。「周りを頼ろうとしない頑固な人なのではないか」「協調性が低いから、一人でやらざるを得なかったのではないか」などのマイナスイメージを与える可能性があります。
採用担当者にポジティブなイメージを与えられるよう、エピソードや伝え方を工夫することが大切です。
自己PRで「責任感」を効果的にアピールするコツ
責任感を使った自己PRを内定につなげるには、以下の3つのコツを意識してみてください。
「主体性」や「期待以上の活躍」をアピールする
責任感を使った自己PR文を作る際は「主体性」が分かる経験や「期待以上の活躍」ができた実績を盛り込んでみてください。
与えられた仕事に取り組んだ事例を示すだけでは、主体性がなく受け身な姿勢で業務に当たっていると思われかねません。企業から高い評価を得るには、積極性や能動的な姿勢をアピールすることが大切です。とくにベンチャーやスタートアップに多い、自発性や行動力が評価されやすい企業に自己PRする際は注意しましょう。
指示どおりに仕事をこなすことも大切ですが、想定を超える成果を出した実績があれば、採用担当者により良い印象を持ってもらえます。
責任感の活かし方を具体的に伝える
責任感を活かした経験・実績だけでなく、入社後の活かし方についても考慮して自己PRを考えてみてください。
ただ単に「私には責任感があります」と言うだけでは、企業への貢献の仕方が明確にイメージできません。自身の持っている「責任感」という強みが、応募先の企業にとってどのようなメリットにつながるのかを伝えることが重要です。
具体的な活かし方が伝われば、入社後のビジョンが分かりやすく提示できるため、高評価につながります。入社後の働き方について、自身の意向やキャリアプランを整理するきっかけにもなるでしょう。
企業・職種によって求められるスキルや経験にも違いがあるため、企業研究や業界研究にも力を入れ、どのような働き方が求められるかを分析しましょう。
具体的な経験やエピソードを記載する
自分の過去の経験やエピソードを、できるだけ具体的に盛り込んだ自己PR文を作りましょう。
責任感はよくあるアピールポイントの一つなので、ほかの応募者との差別化を図るために、自分だけが持つ経験や実績を踏まえたアピールが有効です。オリジナリティのある自己PR文を作ることで、採用担当者の印象にも残りやすくなります。
経験やエピソードは、できる限り定量的な効果や目に見える成果を引き合いに出しましょう。責任感を活かして成果が出たエピソードを探してみてください。数字を使うことで、より説得力のある自己PR文を作成できます。
【職種別】自己PRで「責任感」を伝えられる例文6選
責任感を伝えられる自己PR文を、職種別にご紹介します。
自身に当てはまる職種がありましたら、ぜひ参考にしてみてください。
例文1:営業職
営業職で責任感をアピールしたい方は、以下のような自己PR文を作ってみましょう。
「私は営業という仕事の中で、責任感を持って仕事に取り組むことを大切にしています。前職では、トラブルが発生しやすい案件を担当することが多々ありました。前任者の手違いから契約が打ち切られそうになった案件を引き継いだ際には、まずはお客さまからの信頼を取り戻すために謝罪に伺いつつ、状況を改善できる対処方法を整理して提案しました。その結果、トラブル発生以前よりも強くお客さまとの信頼関係を結べたと思います。次年度以降の契約の継続だけでなく、受注数も前年比の1.5倍まで伸ばしました。課題やトラブルがあったとしても、責任感を持って誠実に取り組むことが、営業として働く上で大切なことだと考えています。」
受注数や売り上げといった成果を示しやすい営業職は、説得力のある自己PRをしやすい職種です。責任感を活かして、課題や問題を解決した経験を定量的にアピールしましょう。
例文2:事務・アシスタント職
事務職・アシスタント職で責任感をアピールできる自己PR文の例は、以下のとおりです。
「私は責任感を持って日々の業務に携わることを意識しています。会社が効率的に、かつ正常に業務を続けていくには、正確な事務処理が欠かせません。私は現職で経理アシスタントを担当していますが、経理関係の業務経験がなかったため、当初は上司からの指示どおりに仕事を進めることで精いっぱいでした。しかし、ただ指示を受けて仕事をするだけでは、部署や会社への貢献が足りないと考えるようになりました。そこで、経理業務をより深く知り、効率と正確さを向上させるために、簿記3級を取得しました。経理の知識が身についたことでミスも大きく減り、より責任感を持って主体的に取り組めるようになったと考えています。」
事務職・アシスタント職は定量的な成果を示しにくい職種ですが、責任感を長所として強調できれば高評価をもらえます。エピソードを深掘りすることで、自己PRにオリジナリティと説得力を持たせましょう。
例文3:販売・サービス職
販売職の場合、以下のような自己PR文で責任感をアピールしてみましょう。
「私は家電量販店で販売をしている中で、責任感を持ってお客さまと接することを大切にしています。「自分が薦めた商品で生活が豊かになることもあれば、うまく使えず後悔することもあるだろう」と考え、お客さまが後悔しない選択ができるような提案を意識しています。お客様の要望をていねいに聞くのはもちろん、取り扱う商品についても日々研究と勉強を欠かさず、最適な商品を紹介できるように努力を重ねました。そうした接客が評価され、お客さまアンケートでは店舗内1位の評価をいただき、任せていただける業務の範囲も広がりました。貴社でも、責任感を持ってお客さまと接することを意識しながら、貢献していきたいと考えています。」
販売職は、個々のお客さまとのエピソードが中心でポイントをまとめるのが難しく再現性を説明しづらいものです。エピソードや仕事に取り組む姿勢・意識を深掘りして責任感を表現しましょう。
例文4:ITエンジニア
ITエンジニアで責任感をアピールできる自己PR文は、以下のとおりです。
「私はセキュリティエンジニアとして、責任感を持って業務に取り組んでいます。セキュリティがおろそかになると、顧客に多大な損害を与えるだけでなく、社会的に多くの人々に影響を与えるリスクがあります。Webアプリケーションの脆弱性診断を実施していますが、多くの人に信頼されるサービスであり続けるために、主体的に業務に当たってきました。複数人でのチェック体制の確立やチェックシート・診断手順書の作成を提案・実施し、ミスや見落としをなくすように努めました。なかなか目にする機会のない脆弱性を確実に指摘できた案件もあり、顧客からは高い信頼を得ています。貴社でも、常に責任感を持ちながら業務を遂行できればと考えています。」
ITエンジニアは、責任感を伝えやすい職種です。納期の遅延や仕様変更といったトラブルへの対応など、具体的なエピソード・成果を踏まえた自己PR文を作成しましょう。
例文5:企画職・管理部門
企画職で責任感をアピールしたい方は、以下のような自己PR文を作ってみましょう。
「私の企画職としての強みは、責任感を持って業務に携われることだと考えています。既存商品のリニューアル企画を担当していた際には、一時は商品の取り扱い中止も検討されるほど売り上げが落ち込んでいた商品を扱うことがありました。難しい案件ではありましたが、任された以上は全力で取り組もうと考え、マーケティング部門・開発部門と密な連携を意識し、ターゲットに受け入れてもらえるような企画を行いました。リニューアルした商品は売り上げも回復し、前年比140%のアップにつながっています。大変な案件ではありましたが、責任を持ってやり遂げられたと自分では評価しています。」
既存商品のリニューアルや新商品の開発など、確実な成果が求められる企画職で強い責任感を伝えられれば、大きなアドバンテージになります。例文のように、責任感を活かして想定以上の成果が出た実績があると、なおよいでしょう。
例文6:技術職
技術職の場合、以下のような自己PR文で責任感をアピールしてみましょう。
「私は日々の業務の中で、責任感を強く持つことを常に意識しています。製造工程に携わる私たちが雑な仕事をすると、人命が危険にさらされる恐れがあるからです。現職は自動車の部品メーカーで製造業務を担当していますが、新しい生産ラインができてミスが増えた時期がありました。個々人が責任感を強く意識するだけでは不十分と考え、全体でミスを減らせるような仕組みを検討し、生産工程の見直しとマニュアルの整備、チェック体制の確立を実施した経験があります。結果、ミスが減少し、生産性の向上も実現できました。貴社でも、常に気を引き締めて仕事に取り組むのはもちろん、具体的な施策の提案や生産性の向上といった点でも、責任感を持って貢献していければと考えています。」
技術職の中でも、とくに人命の危険など大きなリスクがある職種の場合、責任感の強さは高い評価につなげられます。責任感を活かした成果を、具体的なエピソードを使って伝えましょう。
自己PRで「責任感」をアピールする際は具体性と工夫が必要
責任感を上手にアピールできれば、自己PRによって内定にまた一歩近づけます。どのような職種でも、課題や困難に負けずに仕事をやりきる力や、当事者意識を持って主体的に行動できる姿勢は高評価の対象です。
責任感を強調する際は、頑固さや協調性のなさなどのマイナスイメージを与えないように伝え方を工夫しなければなりません。具体的なエピソードや実績を使い、ポジティブな印象を与えられる自己PR文を作りましょう。
なお、自己PR文の作成で困っている方はぜひ「自己PR発掘診断」を利用してみてください。自己PR発掘診断では16個の設問に回答するだけで、自身のアピールポイントを発見できます。
自己PRの作り方や面接対策、書類作成など転職活動全般でお悩みの方には「dodaエージェントサービス」のご利用もおすすめです。転職のプロによる幅広いサポートがすべて無料で受けられます。
転職活動を効率的に進め、より良い企業への転職を成功させるために、ぜひご活用ください。
- 16問の設問に答えるだけで、あなたのアピールポイントを発見!
- 「自己PR」発掘診断を使ってみる
- 質問に答えるだけでカンタンに職務経歴書作成ができる!
- レジュメビルダーで書類作成する
- 自己PRの書き方・まとめ方を転職のプロに相談しよう!
- エージェントサービスに申し込む(無料)
この記事を監修したキャリアアドバイザー
栗 大輝(くり・だいき)
【経歴】 新卒でパーソルキャリア株式会社に入社後、IT業界のキャリアアドバイザーを務めています。メインの担当領域はアプリケーションエンジニアで、年間200~300人のキャリアカウンセリングを担当し、転職のサポートをしています。
関連リンク
-
- 履歴書の書き方 完全ガイド
- 履歴書の基本ルールや、書き方のポイントなど、魅力が伝わる履歴書作成のコツを解説します
-
- 第二新卒・若手向け自己PRの書き方・伝え方
- 第二新卒・若手のための、自己PRの重要性、自己PRを書く手順、面接での伝え方
-
- 「キャリアの強み」を引き出す5つの質問
- 自分の「キャリアの強み」が分からない人は5つの質問に答えながら引きだそう
-
- 自己PRで「コミュニケーション能力が強みです」はなぜダメ?
- あなたがアピールしたい「コミュニケーション能力」が何なのか分解しよう