転職活動の自己PRで企業が評価する「柔軟性」には2つの意味がある
「柔軟性」という能力には、大きく分けて以下の2つの意味があります。
柔軟性がどのような意味で企業に評価されるのかを把握しておくことで、より効果的なアピールにつなげられるでしょう。
素直さ・謙虚さ
転職活動の自己PRにおいて、柔軟性は「素直さ・謙虚さ」をアピールすることにつながります。
自分の意見を持つことも大切ですが、謙虚さを持ち、改善点や自分の短所と向き合い、上司や同僚とコミュニケーションをとりながら業務に臨める姿勢を採用担当者は評価します。
適応力
適応力とは、環境にあわせて自身の行動や考え方を変えられる能力です。
適応力の高い人材であれば、中途入社であっても職場の人間関係や新しい仕事にも慣れやすく、早期に戦力として活躍できるのではないかと期待されます。
柔軟性があることで、突発的なトラブルにも臨機応変に対応したり、困難な課題に直面してもスムーズに解決に導いたりすることが可能です。
柔軟性を上手にアピールできれば、環境や状況の変化への対応力・適応力を評価してもらえます。
自己PRで柔軟性を効果的にアピールするためのコツ
柔軟性を活かした自己PRを伝える際は、以下の3つのコツを意識してみてください。
「柔軟性をどのように伝えたらいいか分からない」とお悩みの方はぜひお読みください。
柔軟性を発揮して状況を変えたエピソードを取り入れる
自己PRでアピールする際は、自身の柔軟性によって状況が変わったエピソードを伝えましょう。
柔軟性は物事や環境の変化にも速やかに対処・適応できる能力です。
柔軟性を発揮して状況を好転させたり、環境の変化に適応することで成果を出したりしたエピソードを提示できれば、説得力を高められます。
具体的には、以下のようなエピソードを伝えるのがいいでしょう。
- 急な仕様変更があってもすぐにスケジュールを調整して納期までに間に合わせた
- 他部署のノウハウを取り入れて、自身の部署の業務効率を向上させた
- 成績のよい先輩の仕事を観察し、実践したことで顧客獲得数を増やせた
柔軟性を発揮したエピソードがないか、これまでの業務経験を振り返ってみましょう。
入社後にどのような業務で活かせるか言及する
単に「柔軟性があります」と過去の経験をアピールするのではなく、入社後にどのような業務で活かせるのかをあわせて伝えましょう。
入社後のイメージを伝えることで、キャリアプランが明確になり志望度が高い印象を採用担当者に与えられます。
事前に企業研究をして事業内容や業務内容を入念にチェックし、これまで柔軟性を発揮したエピソードの中から活かせるものがないか考えてみましょう。
ほかの能力もあわせてアピールする
柔軟性を言い換えたり、ほかの相性のよい能力とあわせてアピールしたりすることも効果的です。柔軟性は人によって捉え方が異なるため、自分の伝えたいニュアンスにあった言葉を選びましょう。
柔軟性の言い換えでよく使われる能力として、以下のような単語があります。
- 発想力
- 適応力
- 対応力
- 順応性
- とっさの判断力
また、柔軟性と掛け合わせてアピールできる能力の例として、以下があります。
- コミュニケーション能力
- 傾聴力
- 協調性
柔軟性とあわせてアピールできそうな能力がないか、自己分析をして探し、自分の能力や強みをより具体的に伝えられるようにしましょう。
自己PRで柔軟性をアピールする際の注意点
自己PRで柔軟性をアピールする際は、以下の4つに注意してください。
自己PRで失敗しないためのポイントを確認できますので、チェックしてみましょう。
マイナスな印象を与えないようにする
伝え方によっては以下のようなイメージを与えてしまう恐れがあります。
- 優柔不断
- 受け身で流されやすい
- 継続力がない
柔軟性は周囲の意見や指示に素直に従い、状況に応じて考え方や行動を変化させられる能力です。
しかし「誰の意見にも素直に従います」のように伝えてしまうと「周りの意見に流されやすい」といったマイナスな印象を与えてしまうことがあります。
ポジティブな印象を持ってもらえるよう、表現やエピソードによる工夫が必要です。
企業や職種によっては高評価につながらないこともある
企業や業種・職種によっては、柔軟性以外の強みをアピールしたほうが効果的なこともあります。
例えば、マニュアルに沿った業務遂行を期待している企業の場合、まじめさや責任感といった長所をアピールするほうが評価につながるかもしれません。
企業の社風や募集職種の求める人物像を事前に把握し、柔軟性のアピールが本当に効果的かどうか慎重に検討しましょう。
柔軟性を発揮したエピソードを具体的に伝える
柔軟性をアピールポイントにしている転職希望者は少なくありません。
柔軟性は自己PRでよく使われているので、アピールの仕方によっては採用担当者の印象に残らない可能性があります。
差別化のために自身の業務で柔軟性が活かされたエピソードを取り入れたり、ほかの能力との組み合わせでアピールしたりなど、工夫して自己PR文を作成しましょう。
行動や受け答えと矛盾しないようにする
柔軟性をアピールできる自己PRが作れても、面接での行動や受け答えと矛盾してしまっては意味がありません。
例えば「臨機応変な対応ができます」と柔軟性をアピールしたのに、想定外の質問に対して黙り込んでしまったら、自己PRと矛盾してしまいます。
想定外の質問をされても焦らず対応できるよう、面接対策を十分にしておきましょう。
【職種別】「柔軟性」をアピールする自己PR例文6選
柔軟性をアピールできる自己PR例文を、職種別に6つご紹介します。
自分に該当する職種があれば、ぜひ以下を参考に自己PR文を作ってみてください。
例文1:営業職
営業職で柔軟性をアピールできる自己PR例文は、以下のとおりです。
「私の営業としての強みは『柔軟性』です。現職ではIT企業でセールスを担当しており、ソフトウェアの受注を増やすために、顧客にあわせた柔軟な営業を心がけています。例えば、既存のソフトウェアとの連携や引継ぎを懸念している顧客には、専門のエンジニアによる万全なフォロー体制を確立しました。また、コストパフォーマンスを懸念している顧客には低コストからはじめられるプランを検討したこともあります。営業として一社ごとに状況を把握して最適な対応を実施してきました。柔軟性を意識して対応を続けた結果、個人の受注件数を前年比125%まで引き上げています。貴社でも、柔軟性を活かしながら営業として貢献していければと考えております。」
営業職は顧客の課題や要望にあわせた柔軟な対応が求められる職種の一つです。受注件数や売り上げなど、定量的な実績を提示しやすい職種でもあるので、ぜひ取り入れてみてください。
例文2:事務・アシスタント職
事務・アシスタント職で柔軟性をアピールしたい方は、以下のような自己PR文を作ってみましょう。
「私は柔軟な対応を意識しながら業務に取り組んでいます。事務職は幅広い業務に適切に対応することが求められる職種だと考えています。現職でも顧客からの問い合わせや他部署からの依頼、トラブルへの対処など、その場の状況や優先度にあわせた対応を迫られることは珍しくありません。幅広いタスクに柔軟な対応をするために、部署の状況や商材に関する理解を深めるよう心がけました。部署内の状況や商材について十分に理解できていれば、担当営業が不在の際にも問い合わせに対応できたり、トラブルが発生しても迅速に対処法を提案したりできます。貴社でも柔軟性の高さを活かしながら事業に貢献していければと考えております。」
事務・アシスタント職は他部門のサポートに回ることが多く、幅広い業務への対応が求められます。定量的な成果を提示しにくい職種なので、エピソードを深掘りして説得力を持たせましょう。
例文3:販売・サービス職
販売・サービス職の場合は、以下のような自己PR文で柔軟性をアピールしてみましょう。
「私の販売職としての最大の強みは『柔軟性』です。販売職はその場での柔軟な対応が強く求められる仕事だと考えています。現職でも基本的なマニュアルはありますが、お客さま一人ひとりのご要望にお応えするには、マニュアルどおりの接客さえすればよいというわけではありません。例えば、お客さまのご希望の商品がなかった場合には、ニーズをきちんとヒアリングし、代わりの商品を提示して購入いただけることもありました。マニュアルを踏まえながらも、それぞれのお客さまに応じた対応を心がけてきたことで、お客さまアンケートでも高い評価をいただいています。貴社でも状況やお客さまにあわせて柔軟に対応しながら、売り上げに貢献してまいります。」
販売・サービス職は柔軟な対応が求められる代表的な職種の一つです。顧客からの要望に対して臨機応変に対応したエピソードがあれば盛り込みましょう。
例文4:ITエンジニア
ITエンジニアで柔軟性をアピールしたい方は、以下のような自己PR文を作ってみましょう。
「私はシステムエンジニアとして、柔軟性を大切にしながら仕事に取り組んでいます。現職ではプロジェクトリーダーとしてプロジェクトに参画しており、メンバーへの指示出しを含め幅広い業務を担当しています。以前、リリースが近づいた段階でクライアントから急な仕様変更の依頼がありました。クライアントには仕様変更に伴う納期の調整を依頼しつつ、メンバーには迅速に指示を出してタスクの調整を図りました。結果として、変更後の仕様に沿ったシステムを納期どおりに納品でき、クライアントからも対応力を評価していただいています。急な仕様変更やトラブルが起こっても焦らず迅速に行動できる柔軟性は、エンジニアとしての私の大きな武器です。貴社でもこの柔軟性を活かして、事業に貢献していきたいと考えています。」
エンジニアの中でも、プロジェクトリーダーのようにマネジメントや現場の統括を任される場合はとくに柔軟性が求められます。仕様変更のように突発的な事態に対処した経験を伝えましょう。
例文5:企画・管理部門
企画・管理部門で柔軟性をアピールできる自己PR例文は、以下のとおりです。
「私の強みは『柔軟性』です。現職は総務で働いており、幅広い業務を任されています。日常的な業務以外に、他部署からの依頼に対応することも多く、迅速かつ柔軟な対応が求められています。主に社内行事の企画や職場環境の改善といった業務に取り組んでおり、幅広い業務に対応する中で柔軟性を養ってきました。新規オフィスの開設に携わった際には、コンセプトや設計が度々変更になり、各部署とのスケジュール調整や業者との打ち合わせなど、状況に応じて迅速に対応しました。その結果、予定どおりの開設を実現でき、当初の想定よりもコストを15%抑えることに成功しています。貴社でも、自身の強みである柔軟性を活かして貢献してきたいと考えております。」
企画・管理部門は幅広い業務を任されることも多く、どのような事態に対しても適切に対応できることをアピールすることがポイントです。例文を参考に柔軟性を発揮して当初の想定以上の成果を出せた例があれば、なおよいでしょう。
例文6:技術職
技術職の場合は、以下のような自己PR文で柔軟性をアピールしてみましょう。
「私は施工管理の業務において、柔軟性を大切にしています。天候や周辺環境の影響から、突発的なトラブルが生じることは珍しくありませんが、さまざまなトラブルを経験したことで、柔軟な対応力と調整力を身につけられました。調整や情報共有といった事前の備えはもちろんですが、トラブル発生時の臨機応変な対応も自分の強みです。部材が入ってこないトラブルで施工を中断した際には、協力会社や業者に依頼と調整を行い、遅延を発生させずに軌道修正を行いました。これまでの経験で培った柔軟性を活かし、貴社でも事業に貢献していきたいと考えております。」
技術職の中には、施工管理のように突発的なトラブルへの対応力が評価される職種もあります。具体的なエピソードと対処方法を紹介し、説得力のある自己PRを作ってみてください。
技術職(機械・電気)の自己PR例文はこちら
技術職(化学・素材)の自己PR例文はこちら
技術職(建築・土木・不動産)の自己PR例文はこちら
自己PRで「柔軟性」をアピールする際はマイナスな印象を与えない工夫を
転職活動の自己PRにおいて、柔軟性は評価につながるアピールポイントの一つです。臨機応変な対応力や素直さといった、社会人として働く上で欠かせない能力を示せるので、上手にアピールして採用担当者の印象に残るようにしましょう。
柔軟性をアピールする際はマイナスな印象を与えないような工夫も必要です。「自分の意見がない」「継続力がない」と思われてしまわないよう、具体的なエピソードを取り入れたり、表現を工夫してみたりしてください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
【経歴】 教育業界での営業職・マネジメント職、外資系企業での事務職を経て、2007年にパーソルキャリア株式会社に入社。入社以来、キャリアアドバイザーとして、個人のお客さまの転職を支援。管理部門職種の方を中心に幅広く担当。中長期的なキャリアプランの提案・個人の価値観に寄り添った求人提案を心がけている。プライベートでは2人の男児のママ。
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