退職届・退職願はメールで送って大丈夫?
送付時の例文・注意点を解説
監修者:社会保険労務士 北 光太郎(きた・こうたろう)氏 (きた社労士事務所 代表)
この記事のまとめ
- 退職届・退職願をメールで送付しても退職の手続きは進めることができる
- 退職届・退職願をメールで送るときば事前に上司に相談することが円満退職のポイント
- メール送付する場合は、WordやPDFファイル形式での提出がおすすめ
退職届・退職願はメールで送ってもいい?
退職届・退職願は、直接上司に手渡しするのが一般的です。しかし、メールで提出しても退職の手続きは進めることができます。これは法律上、意思表示をしてから2週間後であれば会社を退職できるとされており、伝達方法は定められていないためです。
そのため、メールで退職届・退職願を提出しても法的には問題はありません。しかし、スムーズに退職手続きを進めるためにも、やむを得ない事情がない限りは、会社の就業規則にのっとった提出方法で提出することをおすすめします。
退職届・退職願をメールで送るのはどんなとき?
ここでは具体的にどのようなケースでメール提出が行われているのか、よくある事例を紹介します。
健康上の理由などで出社が困難な場合
病気やけがで長期入院している場合や身体面や精神面で不調の場合など、健康上の理由で出社が困難な場合は、メールで提出する方法が考えられます。健康上の理由で出社できないのであれば、会社側も柔軟な対応を取ってくれるでしょう。会社に事情を説明し、了承を得た上でメール提出しましょう。
そのほかやむを得ない理由
やむを得ない理由によって退職届・退職願を対面で渡すことができない場合は、メールで提出するケースがあります。
例えば、災害や事故などで出社が困難な場合や遠隔地に居住していて出社できない場合などです。ただし、やむを得ないからといって一方的にメールで退職届を送りつけるのは、上司の心証が悪くなってしまうので避けたほうが無難です。上司に事情を説明して了承を得た上で、メール送付するようにしましょう。
退職届・退職願をメールで送る前にやるべきこと
退職届・退職願をメールで送る前に、退職手続きの手順を確認しましょう。突然メールで退職届・退職願を送っても、退職を引き止められてしまう可能性もあります。スムーズに退職手続きを進めるためにも退職届・退職願をメールで送る前にやるべきことを紹介します。
就業規則を確認する
退職に関することは、就業規則に明記されています。就業規則と異なる方法で手続きを進めると退職に関する手続きがうまく進まず次のステップやキャリアに進む支障となってしまうため、就業規則に従って行動することが円満退職のポイントです。なお、退職届・退職願を提出するタイミングは下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
上司に退職の意思を伝える
退職届・退職願を提出する前に、まずは退職理由や希望する退職日などを上司に伝えましょう。退職の意思を伝えるときは対面で伝えるのが一般的です。ただし、やむを得ない理由がある場合は、メールや電話、Zoomなどのオンラインツールで伝える方法もあります。
人事部門に手続きの確認をする
退職届・退職願をメールで送る際は、上司に退職の意思を伝えたうえで、人事部門にメールでの提出が可能かを確認しましょう。
なお、実際に退職の手続きを行うのは人事・労務部門です。具体的な提出方法は人事に直接確認するようにしましょう。
退職届・退職願のメール例文・書くときの注意点
会社ではメールで送られてきた退職届・退職願を印刷やシステムに添付して、退職手続きを進める場合が多いため、退職届・退職願をメールで送る際は、WordやPDFなどファイル形式で送るのが一般的です。
メール本文に文書を書いても、正式な退職届・退職願として認められず退職手続きに時間を要してしまう可能性もあるため、WordやPDFなどファイル形式で送ることをおすすめします。
件名の書き方
メールで退職の意思を伝える場合や、退職届・退職願を送付する場合の例文をご紹介します。
受信した人がメール一覧を見たときに内容が一目で理解できるよう、できる限り簡潔で具体的に内容がわかるような件名をつけることを意識しましょう。例えば、退職届を送るのであれば、「退職届」と「氏名」は最低限書くようにします。
本文の書き方
退職届・退職願をメールで送る際は、ていねいな文面を心がけましょう。メール本文に退職届・退職願の内容を書く場合は、必ず以下の項目を記載しましょう。退職理由について、自己都合の場合は「一身上の都合」と記載する形で問題ありません。
- ● 退職希望日
- ● 退職届・退職願の提出日
- ● 所属部署・氏名
- ● 宛先(代表取締役社長など)
退職届・退職願のメール例文
メールで退職の意思を伝える場合の例文
件名:退職に関するご相談
○○さん(上司の名前)
お世話になっております。△△部の××(自分の名前)です。
突然のメールで大変恐縮ですが、退職についてご相談させていただきたく、ご連絡いたしました。
このたび、個人的な事情により、当社を○月○日付で退職させていただきたいと考えております。
直接お会いしてご相談できればよいのですが、現在の状況では難しいため、メールでのご連絡となってしまい申し訳ございません。
こちらの都合で大変恐縮なのですが、今後についてもメールにてご相談させていただければ幸いです。
突然のご連絡で大変申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。
退職願をメールで送る場合の例文
◆ファイル形式で送る場合
件名:【退職願】の送付(氏名)
○○さん(上司の名前)
お疲れ様です。△△部の××(自分の名前)です。
先日は退職に関してお時間をいただき、ありがとうございました。
ご相談させていただいたとおり、退職願を提出させていただきます。
本メールに退職願を添付しておりますので、ご確認お願いいたします。
【添付ファイル】退職願_氏名.pdf
◆メール本文に記載する場合
件名:【退職願】の送付(氏名)
○○さん(上司の名前)
お疲れ様です。△△部の××(自分の名前)です。
先日は退職について相談させていただき、ありがとうございました。
以下のとおり、退職願を提出させていただきます。
━━━━━━━━━ 退職願 ━━━━━━━━━
退職願
××年××月××日
△△株式会社
代表取締役〇〇様
私儀、このたび一身上の都合により、勝手ながら××年××月××日をもって、退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
△△部
×× ××
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お手数ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
退職届をメールで送る場合の例文
◆ファイル形式で送る場合
件名:【退職届】の送付(氏名)
○○さん(上司の名前)
お疲れ様です。△△部の××(自分の名前)です。
先日は退職の件についてお時間を頂戴し、ありがとうございました。
ご相談させていただいたとおり、退職届を提出させていただきます。
本メールに退職届を添付しておりますので、ご確認ください。
末筆ではございますが、改めて△△部長の長年のご厚情に深謝するとともに、今後のご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。今まで、本当にありがとうございました。
【添付ファイル】退職届_氏名.pdf
◆メール本文に記載する場合
件名:【退職届】の送付(氏名)
○○さん(上司の名前)
お世話になっております。△△部の××でございます。
先日は退職について相談させていただき、ありがとうございました。
以下のとおり、退職届を提出させていただきます。
━━━━━━━━━ 退職届 ━━━━━━━━━
退職届
××年××月××日
△△株式会社
代表取締役〇〇様
私儀、このたび、一身上の都合により、勝手ながら、××年××月××日をもって退職いたします。
△△部
×× ××
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
末筆ではございますが、改めて△△部長の長年のご厚情に深謝するとともに、今後のご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。今まで、本当にありがとうございました。
退職届・退職願をメールで送る際の注意点
退職届・退職願は重要な書類であるため、メールを送る際には以下の点を確認しましょう。
会社のフォーマットを確認する
捺印が必要か確認する
添付ファイルの形式(PDF・Word)やファイル名を確認する
送付先アドレスを確認する
会社のフォーマットを確認する
退職届・退職願は、会社が指定するフォーマットが用意されている場合があります。作成する前に人事部門にフォーマットの有無を確認しておきましょう。もし、会社指定のフォーマットがない場合は、こちらのWordフォーマットを活用いただき、PDFファイルに変換したものを使用するなどで対応しましょう。
捺印が必要か確認する
会社によっては、退職届・退職願に本人の捺印を求める場合があります。その場合、捺印済みの退職届・退職願をPDFや画像ファイルで送付する方法が一般的です。捺印漏れがあると退職手続きが受理されない可能性があるため、メール送付前に捺印漏れがないか確認しましょう。
ただし、近年では公的書類の捺印廃止や電子申請の普及によって退職届・退職願への捺印が不要になっている場合もあります。その場合でも、捺印に代えて直筆の署名が必要になる可能性があるので注意しましょう。
添付ファイルの形式(PDF・Word)やファイル名を確認する
会社指定のフォーマットがある場合は、指定のファイル形式(Word、PDF、画像ファイルなど)に従いましょう。
会社指定のフォーマットがない場合は、WordやPDFで提出するのが一般的です。それ以外のファイル形式だと会社側で開けない可能性があり、手続きが滞る原因にもなります。
ファイル名は「退職届_氏名.pdf」のように、内容が一目で分かるようなファイル名にしましょう。また、メール本文にも「退職届を添付しました」などと記載し、添付ファイルの有無を明示するとよいでしょう。
送付先アドレスを確認する
退職届・退職願の送付先は、基本的に直属の上司です。就業規則や退職手続きの社内ルールに明記があれば、その人宛に送付します。メールを送る際は送付者の漏れやアドレスに誤りがないか最後に確認してから送付しましょう。
また、メールで送る際は上司と人事部門の両方に送付する場合もあります。送付前に上司や人事部門に確認しておきましょう。
よくある質問
退職届・退職願をメールで送る際はいつまでに送る必要はある?
退職届・退職願をメールで送る場合も、原則として就業規則に記載されている期日までに送ることをおすすめします。法律では、退職の意思表示をしてから2週間後に退職ができるとされていますが、スムーズに退職手続きを進めるため後任の選定や引き継ぎ期間などを考慮すると就業規則にのっとって手続きしましょう。
例えば、業規則に「自己の都合により退職しようとするときは、1カ月前までに退職届を提出しなければならない」と定められているのであれば、1カ月前までに退職届をメールで送る必要があります。
手書きでないと受け付けないと言われました
法律上は、退職届・退職願が手書きでないという理由で退職できないわけではありません。しかし、就業規則や会社のルール上、手書きでの退職届・退職願が求められている場合は手書きで記載した退職届・退職願をPDFファイルにしてメール送付や、郵送で提出することをおすすめします。詳細はこちらをご覧ください。
返信がないのでメールが届いたか、見てくれているか心配です
退職届・退職願をメールで送った場合、「相手に届いたのか」「見ているのか」など心配になる方も多いと思います。
その場合は、「〇日以内に返信がなかった場合には再度送付します」など、一言添えると、万が一返信が届かなかった場合に内容に問題がなかったことの確認が取りやすくなるでしょう。
また、メール機能の一つである「開封確認」を設定すれば、開封したかどうかは判断できます。開封確認は、相手が送付したメールを開封したことを通知してくれる機能です。使用しているメールに「開封確認」機能がある場合は、メールを送る前に設定しておきましょう。
まとめ
退職届・退職願は、直接上司に手渡しするのが原則ですが、メールで提出しても法的には問題ありません。また、メールで送付した退職届・退職願で退職手続きを進めることは可能です。
しかし、退職手続きには会社と一緒にさまざまな手続きを進めていく場面もあります。そのため、やむを得ない事情がない場合は、会社の就業規則にのっとった対応を行うことで、滞りなく手続きが進み、スムーズに次のキャリアやステップに進みやすくなるでしょう。
この記事を監修した社会保険労務士
北 光太郎(きた・こうたろう)氏
きた社労士事務所 代表 大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士資格を取得し、不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善などさまざまな取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。読者に分かりやすく信頼できる情報を伝えるとともに、Webメディアの専門性と信頼性向上を支援している。
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