雇用保険被保険者資格喪失確認通知書とは?
「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」とは、雇用保険の被保険者資格を喪失したことを証明する書類のことです。書面には雇用保険の加入日と資格喪失日、被保険者番号、生年月日、喪失理由、事業所番号などが記されています。
「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」は何のための書類?
雇用保険被保険者資格喪失確認通知書は、あくまで「雇用保険の被保険者資格を喪失したことを証明する」ために発行される書類で、何かの申請に必要なものではありません。しいて言えば、雇用保険の被保険者だった期間の確認やそれを証明するときなどに使用できますが、それらを証明できる書類は雇用保険被保険者資格喪失確認通知書以外にもあるので、基本的には届いたら保管しておけばよいでしょう。
なお、転職先が決まった状態で退職する場合や退職後に失業手当(失業保険)(※)を受給しながら転職活動を行う場合は、基本的に目にすることはありません。
※失業手当(失業保険)は、正式には「雇用保険の失業等給付の基本手当」といいます。この記事では、以後ことわりのない限りは「失業手当(失業保険)」と表記します。
雇用保険被保険者資格喪失確認通知書はどんな場合に発行される?
雇用保険被保険者資格喪失確認通知書は、退職するときに「雇用保険被保険者離職票」の発行を希望しなかった場合に、控えとして送付されるものです。何かの申請に必要だから取り寄せる書類ではなく、ただ雇用保険の被保険者資格を喪失したことを証明するためのものだと考えておきましょう。
【ケース別】「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」と「離職票」どちらを発行してもらうべき?
雇用保険被保険者資格喪失確認通知書は「離職票」の発行を希望しなかった場合に発行される書類ですが、そもそも「離職票」の発行を希望するか否かはどのように判断すればよいのでしょうか。いくつかのケースに分けて判断するための考え方を解説します。
失業手当(失業保険)を受け取りたい場合
失業手当(失業保険)を受け取るためには「離職票」が必須です。ハローワークで求職の申し込みおよび失業手当(失業保険)の申請を行う際に提出する必要があるので、必ず「離職票」の発行を希望しましょう。
誤って「離職票」の発行を希望せず「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」が届いてしまった場合、そのままでは失業手当(失業保険)を受け取れません。対処法はこちらをご覧ください。
失業手当(失業保険)を受給するか迷っている場合
迷ってはいるものの、少しでも失業手当(失業保険)を受け取る可能性がある場合は、「離職票」を発行しておいたほうがよいでしょう。「離職票」を選んだからといって、必ず失業手当(失業保険)を申請しなければいけないわけではありません。
反対に「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」が発行されたあとにやっぱり失業手当(失業保険)を受け取りたいとなると、新たな手続きが発生してしまいます。詳しくはこちらをご覧ください。
失業手当(失業保険)の受給金額は雇用保険の総加入期間や離職理由によって変化します。失業手当(失業保険)を受給せず、離職期間1年以内に再び雇用保険に加入した場合、前職での雇用保険加入期間と通算されます。これにより、将来また失業状態になった場合の失業手当(失業保険)の所定給付日数が増える可能性があります。そのため、自己都合で退職しており、離職期間中に失業手当(失業保険)を受け取らなくても生活できる場合は、あえて受給しないという選択をすることもあります。
今すぐは就職しないが就職する予定(意思)がある場合
病気・けが・妊娠・出産・育児などですぐに働けない場合など、しばらく求職活動は行わないものの、将来的に再就職する予定がある、もしくはその意思がある場合は「離職票」を発行してもらいましょう。再就職への意思があれば失業手当(失業保険)の給付対象に当てはまります。失業手当(失業保険)は、「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」では受け取ることができないので、念のため「離職票」を希望しておくと安心です。またその場合は、失業手当(失業保険)の受給期間延長手続きも忘れずに行いましょう。求職活動を始めたあとで給付を受けられます。
当分就職する予定がない場合
家庭に入るなどの理由で、今後再就職する予定がない場合は、「離職票」は希望せず、「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」が発行されるのを待てばよいでしょう。失業手当(失業保険)は再就職の意思と求職活動実績(求人への応募など)がないと受け取れないためです。
退職はしないが、今の会社で経営側にまわる場合
退職しなかったとしても社員から経営側にまわると、雇用保険被保険者資格の喪失対象になります。その場合、「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」が発行される場合があります。
勤務体系が雇用保険の加入要件から外れる場合
勤務日数や勤務時間が短縮されるなど、勤務体系の変更によって雇用保険の加入要件から外れる場合、雇用保険被保険者の資格を失います。よってこの場合も「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」が発行されます。
退職後フリーランスになる場合
退職後にフリーランスとして仕事をする場合は、2つのパターンに分かれます。
1つ目が退職後すぐに個人事業主として開業するパターンです。開業すると失業手当(失業保険)は受給できないため、「離職票」は希望せず、「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」が発行されるのを待ちましょう。
2つ目が、退職後すぐに開業しない、もしくは開業しないで転職活動をしながらフリーランスとして仕事をするパターンです。この場合、開業をしていないため、失業手当(失業保険)が受給できます。フリーランスとして仕事をしながら転職活動を並行する場合は、退職の際に「離職票」を発行してもらいましょう。
なお、失業手当(失業保険)の受給中に一定条件を満たしていれば、開業により再就職手当が受給できます。
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雇用保険被保険者資格喪失確認通知書の発行フロー
雇用保険被保険者資格喪失確認通知書が手元に届くまでの流れを詳しく紹介します。
基本的には会社が申請を行うものなので、受け取る個人が必要な対応はありませんが、どのような流れで発行されるのか押さえておきましょう。
1.在職中に雇用保険に加入しているか確認する
雇用保険被保険者資格喪失確認通知書はもちろん雇用保険に加入していなければ発行されない書類です。加入要件を満たしていない場合は、会社から「離職票」の発行を希望するかどうかを聞かれることもありませんので、念のため確認しておきましょう。
2.退職時に会社へ「離職票」の発行が不要であることを伝える
退職が決まったら、会社から「離職票」を発行するか確認が入ります。ここで発行を希望した場合は、雇用保険被保険者資格喪失確認通知書ではなく、「離職票」が後日送られてきます。
会社によっては退職手続き用のフォーマットなどに記入することもあるので、総務担当者に確認してみるとよいでしょう。
3.会社の担当者が雇用保険の資格喪失手続きをする
雇用保険の資格喪失手続きは、退職者本人ではなく退職する会社の担当が行います。担当者は該当する退職者の雇用保険被保険者資格の喪失日(≒退職日)の翌日から10日以内に所轄のハローワークに離職証明書(雇用保険被保険者離職証明書)と雇用保険被保険者資格喪失届を提出する必要があります。離職証明書は退職者本人の確認・捺印が必要なので、退職前に求められたら迅速に応じましょう。
4.ハローワークが雇用保険被保険者資格喪失確認通知控え・本人控えを発行し、会社へ送付する
ハローワークは送られてきた離職証明書と雇用保険の資格喪失届を確認し、内容に誤りがなければ、雇用保険被保険者資格喪失確認通知控えと本人控えを発行します。このとき、書類は退職者ではなく会社に送られます。
5.会社から退職者に本人控えが送付される
ハローワークから雇用保険被保険者資格喪失確認通知控えと本人控えを受け取ったら、会社の担当者は本人控えのみを退職者に送付します。本人控えは郵送で、退職日の2週間後くらいに届くのが一般的です。
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雇用保険被保険者資格喪失確認通知書の発行後に失業保険を受け取りたい場合は?
「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」とは、雇用保険の被保険者資格を喪失したことを証明するものなので、この書類では失業手当(失業保険)の給付申請はできません。失業手当(失業保険)の申請にはあくまで「離職票」が必要なので、発行の依頼をする必要があります。このとき、発行はハローワークではなく、退職した会社に依頼しましょう。
雇用保険被保険者資格喪失確認通知書に関するQ&A
雇用保険被保険者資格喪失確認通知書に関するよくある質問をいくつかご紹介します。
Q.雇用保険被保険者資格喪失確認通知書がもらえない場合は?
A.2週間以上経っても送られてこない場合は、退職した会社に問い合わせてみましょう。
雇用保険被保険者資格喪失確認通知書がもらえないのは、ハローワークから企業に送付された「本人控え」が送られてきていない場合がほとんどです。退職した会社の担当者に確認するのが早いでしょう。何度確認しても発行してもらえない場合は、ハローワークに問い合わせてみましょう。
ただし前提として、何かの手続きに使う書類ではないので、送られてこないからといって不都合があるわけではありません。控えとして手元に残しておきたい場合に限り、問い合わせるとよいでしょう。
また、離職票の発行を希望した場合は、雇用保険被保険者資格喪失確認通知書は送られてこないのでご注意ください。
Q.雇用保険被保険者資格喪失確認通知書をなくしてしまったら?
A. 最寄りのハローワークで再発行が可能です。
写真付きの身分証明書を持参のうえ、直接訪問して問い合わせるとよいでしょう。再交付申請書を提出すれば、基本的には当日中に再発行してもらえます。
Q.雇用保険被保険者資格喪失確認通知書が届いたら、どのくらい保管しておくべき?
A.最低4年間は保管しておきましょう。
「雇用保険法施行規則第143条」は、失業保険に関する書類を個人・法人ともに4年間は保管することと定めています。必要になるケースは少ないですが、念のため保管しておきましょう。
雇用保険被保険者資格喪失確認通知書の役割を理解しておこう
「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」は雇用保険被保険者の資格を失ったことを証明する書類です。一般的に、離職後に再就職の意思がない方が受け取ることが多い書類なので、転職先が決まった状態で退職する場合や退職後に失業手当(失業保険)を受給しながら転職活動を行う場合は、ほとんど目にしないものです。
また、書類の受け取りに際して、退職者本人が対応することはほとんどありません。
退職時には雇用保険被保険者資格喪失確認通知書以外にもさまざまな書類が登場します。退職後のその他の手続きも確認しておきたい方は、以下の記事をご覧ください。
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この記事を監修した社会保険労務士
北 光太郎(きた・こうたろう)氏
きた社労士事務所 代表 大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士資格を取得し、不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善などさまざまな取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。読者に分かりやすく信頼できる情報を伝えるとともに、Webメディアの専門性と信頼性向上を支援している。
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