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【doda独自調査】営業職求人に見る「個人完結」から「巻き込み型」への変化の兆し〜求人要件や募集年収を分析〜

#市場動向

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本記事では、2022年と2025年にdodaで掲載された営業職求人の求人要件を集計・比較し、求められるスキルの変化と募集年収レンジとの関係を調査しました。3年前と比較して、営業職に求められる経験・スキルはどのように変化したのか詳しく見ていきます。

ザックリまとめると

  • 営業職求人では、個人完結型よりも周囲と連携して成果を出す「巻き込み型」のスキルを求める傾向が強まりつつある
  • 特にプロジェクト推進や関係者調整など、組織横断で成果を出すスキルや経験が求められ始めている
  • 業界ごとに求められる巻き込み方は異なり、それぞれ特徴的な求人要件が見られた

営業を取り巻く環境変化と求められる役割の変化

近年、顧客ニーズの多様化や商材の複雑化が進む中で、営業職に求められる役割も変化しつつあります。ここでは、営業の転職市場動向や本調査の求人データをもとに、その背景とこれからの営業に求められる役割を整理します。

営業を取り巻く環境変化と、組織横断で案件を進める役割

近年のAIやDXの進展によって、課題に対する一般的な解決策へのアクセスは早くなった一方で、顧客との最前線に立つ営業職に求められる提案内容はより専門化しているといえるでしょう。単一の製品提案だけでは顧客の課題に応えにくくなる中、営業職には複雑化した顧客のニーズや課題を整理して提案へとつなげる力がこれまで以上に重要になっています。

顧客の抱える課題や意思決定プロセスが複雑化する中、営業には顧客企業の関係者だけでなく、自社内の専門部署や技術担当とも連携し組織を横断しながら案件を推進することが求められています。

この変化が求人票の記述にどのように表れているのかを確認するため、本調査では「関係者との合意形成」や「プロジェクト推進」といった役割が記載された求人を抽出し、その数や募集年収を分析しました。まず、本調査における「巻き込み型営業」の考え方と集計対象を整理します。

営業とは?仕事内容と営業の種類

社内外の関係者を動かし、成果を創出する「巻き込み型営業」の定義

本調査では、「担当者が単独で提案から契約までを担う営業とは異なり、社内外の多様な関係者と合意形成を図りながら課題解決を進める営業スタイル」を「巻き込み型営業」と定義しました。単なるコミュニケーション力ではなく、複雑な利害関係を整理し、関係者を動かして成果につなげる力を指します(「巻き込み型営業」は、本調査における分析上の定義であり、一般的な職種分類ではありません)。

2022年→2025年の増減率

応募資格欄に、下記の5つの領域に関するキーワードを含む求人を、巻き込み型営業に関連する求人として集計しています。

5つの巻き込み型カテゴリと代表キーワード一覧
カテゴリ 代表キーワード
エンタープライズ関連 大企業/ナショナルクライアント/エンタープライズ/本部商談 など
パートナー関連 代理店/アライアンス/チャネル/パートナーセールス など
ステークホルダー関連 関係部門/社内外関係者/決裁者/巻き込み など
アカウント関連 重点顧客/アカウント/マネジメント など
ベンダー関連 開発ベンダー/外部委託/協力会社/サプライヤー など
※上記は巻き込み型キーワードの判定に用いたカテゴリごとの主なキーワードの一部です。実際の判定では、これら以外の類義語・関連用語も含めて総合的に判定しています。
  • エンタープライズ関連(大手企業を対象に、複数部署を巻き込んで進める)
  • パートナー関連(代理店や提携先と連携して間接的に売り上げ創出を図る)
  • ステークホルダー関連(多様な関係者をまとめ合意形成を図る)
  • アカウント関連(顧客との長期関係を軸に部署横断で取引を広げる)
  • ベンダー関連(開発パートナーや外部企業とともに、提案から運用までの体制を構築する)

これらの領域に共通するのは、担当者が一人で成果を出すのではなく、複数の関係者と協力して案件全体を設計・推進する点です。本調査では、こうした領域に関するキーワードを含む求人を、「巻き込み型営業」に関連する求人として集計しました。

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【2022年と2025年の比較】AI普及前後の営業求人における応募要件の変化

巻き込み型営業に関連する要件は、求人市場でどの程度表れ始めているのでしょうか。ここでは、AI普及前後の2022年と2025年を比較し、キーワードの増減率という側面から確認します。

「巻き込み型」要件を含む営業求人に増加の兆し

2022年→2025年の増減率

2022年と2025年の求人件数を比べると、前述の「エンタープライズ関連」や「ステークホルダー関連」といった巻き込み型営業に関わる領域のキーワードを含む求人件数ベースの増減率は+5.8%です。

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営業年収の中央値を比較

2025年の営業求人データでは、営業職全体の募集年収レンジ(※)の中央値は575万円でした。これを巻き込み型キーワードの有無で分けると、キーワードを含む求人は650万円、含まない求人は550万円となり、その差は100万円に上ります。

※求人票に記載された募集年収レンジの下限・上限から中間値を算出し、「巻き込み型キーワード」を含む求人/含まない求人それぞれの中間値の中央値を比較したもので計算しています。

【営業職】 募集年収中央値の差分(2025年)
【営業職】 募集年収中央値の差分(2025年)
区分 巻き込み型キーワードあり
の年収中央値
巻き込み型キーワードなし
の年収中央値
差分(あり-なし)
営業職求人全体 650.0万円 550.0万円 +100.0万円

巻き込み型キーワードを含む求人では、組織横断での案件推進に加え、専門知識や調整力などの要件が併記される傾向があります。こうした役割や要件の違いが、求人票上の募集年収レンジの差に表れている可能性があります。なお、本調査はキーワードの有無と募集年収中央値の関係を示すものであり、巻き込み型営業力が年収差の直接的な要因であることを示すものではありません。

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【業界別】営業スキルの価値はどう変わるか──巻き込み型営業力と年収の関係

巻き込み型キーワードの有無による募集年収差は、特定の業界区分に限ったものではありません。集計対象とした9区分すべてで、キーワードを含む求人の募集年収中央値が、含まない求人を上回りました。一方、差は12.5万円から100万円まで幅があり、巻き込み型の要件とあわせて求められる専門性や役割によって、表れ方が異なることがうかがえます。

ここでは、営業職求人を仕事内容や扱う商材・サービスの領域に応じて9つの業界区分に分け、比較しています。

※dodaの営業職マスタにおける「職種中分類」をもとに、営業職求人を便宜的に業界別に分類・集計しています。企業自体の業種分類とは異なる場合があります

【業界別】 営業職求人の募集年収中央値の差分(2025年)
【業界別】 営業職求人の募集年収中央値の差分(2025年)
業界区分 巻き込み型キーワードあり
の年収中央値
巻き込み型キーワードなし
の年収中央値
差分(あり-なし)
自動車・装置・機械製品営業 650.0万円 550.0万円 +100.0万円
半導体・電子部品・エレクトロニクス製品営業 625.0万円 550.0万円 +75.0万円
広告・メディア営業 625.0万円 550.0万円 +75.0万円
人材・求人広告営業 600.0万円 525.0万円 +75.0万円
原料・素材・化学製品営業 600.0万円 550.0万円 +50.0万円
IT営業 650.0万円 600.0万円 +50.0万円
食品・日用品・消費財営業 575.0万円 525.0万円 +50.0万円
建設・土木・不動産・住宅営業 587.5万円 550.0万円 +37.5万円
金融営業 612.5万円 600.0万円 +12.5万円
※医療営業はサンプル数の観点から集計対象外としています。

業界ごとに異なる求人要件の傾向と募集年収差

さらに応募資格欄を詳しく見ると、巻き込み型キーワードは営業職全体で求められる傾向であるものの、業界ごとに重視される要件は異なっていました。ここからは、業界ごとの応募資格欄の傾向を踏まえ、募集年収差の背景を考察します。なお、以下は求人票の記載傾向から読み取れる可能性を示すもので、年収差の要因を直接特定したものではありません。

自動車・装置・機械製品営業、半導体・電子部品・エレクトロニクス製品営業、原料・素材・化学製品営業では、巻き込み型キーワードあり求人で、技術・製造関連のキーワードや英語・海外対応、調整・折衝に関する要件が比較的多く見られました。顧客と自社の技術・生産部門、海外拠点、仕入先などをつなぎ、仕様調整や技術提案を担う役割が含まれやすいことが、募集年収差に表れた可能性があります。一方、半導体や素材・化学では、巻き込み型キーワードを含まない求人にも一定の専門性が求められるため、自動車・装置・機械製品営業ほど差が広がらなかったと考えられます。

広告・メディア営業、人材・求人広告営業、食品・日用品・消費財営業では、巻き込み型キーワードあり求人で、提案・課題解決や戦略・企画に関する要件が比較的多く見られました。広告施策や採用戦略、販促施策など、顧客の課題整理や企画設計といった上流から関わり、社内外の関係者と連携して実行まで支援する役割が含まれやすいことが、募集年収差に表れた可能性があります。

建設・土木・不動産住宅営業では、法人営業では設計・施工などの専門的な知識や、提案・課題解決力、組織連携力が求められます。一方、不動産や住宅の個人営業では依然として個人完結型の営業スタイルが主流であり、巻き込み力への期待が高まりつつある法人営業とは求められる力が異なるため、年収中央値の差があまり見られなかったと考えられます。

このように、巻き込み型キーワードあり求人の募集年収中央値は、集計対象の9区分すべてでなし求人を上回りましたが、差の大きさは一様ではありません。技術・製造、海外対応、課題解決、戦略・企画、マネジメントなど、あわせて求められる要件は業界によって異なります。また、キーワードを含まない求人にもともと専門性や高い年収水準が備わっているか、法人営業と個人営業がどのような構成になっているかによっても、差の表れ方は変わると考えられます。募集年収差は巻き込み型キーワードだけでなく、各業界で求められる専門性や役割、求人構成とあわせて読み解く必要があります。

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doda編集長コメント

ここまで見てきたように、営業職の求人では、顧客への提案力に加えて、社内外の関係者を巻き込みながら案件を前に進める力にも一定の関心が向けられ始めています。

求人票から見える変化の背景には、企業が顧客に提供する価値の範囲が、単一製品の販売から課題解決のための提案や運用支援へ広がっていることがあります。提案が複雑になるほど、顧客側でも複数の部門や関係者が判断に加わるため、期間もより長期化し営業には関係者の間に立ってていねいに案件を前へ進める役割が期待されます。

さらに、AIの普及も背景の一つとして考えられます。情報整理や資料作成といった業務の効率化が進む一方、顧客の課題を整理し、社内外の関係者と連携しながら案件を進める力は、人が担う役割として求人票にも表れ始めています。今後、この傾向がどのように広がるか注目されます。

今回の求人データからは、企業が営業担当者に対し、製品を説明する力だけでなく、顧客の課題を整理し、社内外の関係者と連携しながら案件を進める力にも目を向け始めていることがうかがえます。営業職として今後のキャリアを考える際は、個人の売り上げ実績だけでなく、関係者との合意形成、部門横断でのプロジェクト推進、顧客課題に応じた提案設計といった経験も具体的に整理しておくことが重要です。巻き込み型の営業力は、営業職の専門性を示す要件の一つとして、今後さらに存在感を増していく可能性があります。

▼調査概要に記載する内容

【調査対象】
dodaに掲載された東京勤務を想定した営業職求人

【対象期間】
2022年・2025年の1月~12月の期間で掲載された求人

【分析方法】
対象求人の応募資格欄のテキストを対象に、5つのスキルカテゴリごとに定義したキーワードを部分一致で判定。5カテゴリのうち、いずれか1つ以上に該当した求人を「巻き込み型キーワードあり」としています。なお、キーワードの直後10文字以内に「不問/問わない/問いません/不要」などの否定表現がある場合は、要件としてのカウント対象から除外しています。

【増減率】
比較元の年から比較先の年への求人件数の増減割合(例:2022→2025年増減率 = 2025年求人件数 ÷ 2022年求人件数 − 1)×100
※小数点第2位を四捨五入しています

【募集年収の定義】
求人票に記載された募集年収レンジ(下限・上限)の中間値から算出した中央値。
※dodaサービス登録者の決定年収ではありません。
※上限が「1,000万円以上」と記載された求人は、年収中間値が算出できないため、年収中央値の集計対象から除外しています。

【業界区分】
dodaの営業職マスタにおける「職種中分類」をもとに、営業職求人を便宜的に業界別に分類・集計しています。企業自体の業種分類とは異なる場合があります

※N数・実数の扱い:社外露出では実数の記載は行わず、集計・掲載判断はN数100以上のデータのみを対象とします(100未満は扱いません)。

※データのご利用について:引用・転載の際は、出所が転職サービス「doda」であることを明記し、Webメディアの場合は以下のリンクを貼ってください。

・出典:【doda独自調査】営業職求人に見る、「個人完結」から「巻き込み型」への変化の兆し〜求人要件や募集年収の変化〜

・提供元:転職サービス「doda」

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