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働く女性が知っておきたい妊娠・出産・育児の制度

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妊娠中は健康管理を第一に働き方をチェンジ

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更新日:2021年5月31日

妊娠中は体の中でさまざまな変化が起こり、身体的だけでなく精神的な面でも負担やストレスを感じやすくなります。働きながら安心して出産を迎えるためには、働き方を変えることも考えなければなりません。そのためには、周りの人の協力や理解を得ることが大切になります。そこで今回は、妊娠中に周囲の理解を得ながら上手に働き方を変える方法を紹介します。

妊娠中は働き方に注意!

母子ともに健やかに過ごすため、仕事をするうえでの身体的・精神的ストレスを緩和する必要があります。

仕事 ストレス

妊娠中は仕事で疲れやストレスを感じやすい

妊娠中は、体の中で赤ちゃんの成長のための準備が行われ、身体的・精神的にさまざまな変化が起こります。

身体的な面では、つわりや、おなかが大きくなって体が思うように動かせなくなるなどの負担があり、通常に比べて仕事での疲れを感じやすくなります。精神的な面では、ホルモンバランスが大きく変化して感情をコントロールしにくくなり、気持ちの浮き沈みが激しくなることもあります。

ほかにも、妊娠中は免疫力が低下して感染症にかかりやすくなるともいわれています。細菌やウイルスへの抵抗力が弱まるため、感染すると合併症を引き起こして重症化したり、母子感染でおなかの赤ちゃんに影響が起きたりすることもあるなど、通常よりも注意が必要です。

妊娠中はどんな働き方をすればいい?

妊娠中は、身体的な変化の影響で、これまでと同じように仕事を進めることが難しくなります。できない仕事が増えることで、周りに負担や迷惑をかけているのではないかと不安やストレスを抱えてしまうケースもあります。

働く妊婦は、自分の健康状態や心理状態を冷静に観察し、以下の2つのポイントを押さえながら働き方を変えていく必要があります。

【コミュニケーションを取る】
妊娠中の体調は不安定なため、急な休みが必要となることがあります。そのためにも、日ごろから状況を共有したり、サポートしてほしい範囲を伝えておいたりするなど、周りの人との積極的なコミュニケーションが大切です。

周囲の負担が増えることを気にしすぎるとストレスになるため、過度な配慮は不要ですが、自分の業務を抱えながらサポートをしてくれていることを忘れないように。当たり前とは思わず、サポートや心配りには必ず「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えて、ていねいなコミュニケーションを心がけましょう。

【引き継ぎの準備】
妊娠中は予期せぬ体調の変化が起こるため、先々の計画が立てにくいものです。産前・産後休業の間際になってからではなく、あらかじめゆとりを持って引き継ぎの準備を始めましょう。

顧客情報や具体的な作業内容の共有など、自分が担当している業務内容について、後任者に対してだけでなく誰が見ても理解できる引き継ぎマニュアルを作成・準備しておくことで、急な体調不良で休むことになったり、産休が前倒しになったりしたときにも、冷静に対応することができます。

「母性保護規定」を活用して身体に負担の少ない働き方を

「母性保護規定」は、労働基準法で定められた働く妊産婦を守るための規則です。
事業主の義務として、産前・産後休業や、身体に負担の少ない仕事内容への転換、また、労働時間の制限、休業についての規則が定められており、違反すると罰則が発生します。

少しでも仕事がつらいと感じたら

妊婦とおなかの赤ちゃんの健康を維持するためにも、体調がすぐれず仕事がつらいと感じるときには、母性保護規定を利用しましょう。その原因が以下の母性保護規定のいずれかに該当する場合には、会社に相談することで負担を軽減してもらうことができます。

(1)産前・産後休業(法第65条第1項及び第2項)
産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)〔いずれも女性が請求した場合に限る〕、産後は8週間女性を就業させることはできません(ただし、産後6週間を経過後に女性本人が請求し、医師が支障なしと認めた業務については、就業させることは差し支えない)。

妊娠後期に入り出産が近づくと、これまで以上に身体への負担が大きくなります。無理をせず、規定が適用される期間の休業を申請し、母子ともに健康な状態で出産に備えましょう。

(2)妊婦の軽易業務転換(法第65条第3項)
妊娠中の女性が請求した場合には、ほかの軽易な業務に転換させなければなりません。

立ち仕事や外回りの営業、また、無理な姿勢が続く作業などで身体に負担を感じる場合には、会社に相談(請求)することでほかの業務に転換してもらえます。

(3)妊産婦等の危険有害業務の就業制限(法第64条の3)
妊産婦等を妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせることはできません。

危険有害業務は妊産婦への負担が大きいため、規定により制限されています。該当する場合には、会社に相談(請求)して業務を見直してもらうことができます。

(4)妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限(法第66条第1項)
変形労働時間制がとられる場合であっても、妊産婦が請求した場合には、1日及び1週間の法定時間を超えて労働させることはできません。

(5)妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限(法第66条第2項及び第3項)
妊産婦が請求した場合には、時間外労働、休日労働、または深夜業をさせることはできません。

長時間の労働は、妊産婦にとって身体への負担が大きくなります。そのため、会社に相談(請求)をすれば、変形労働時間制がとられている会社でも、1日8時間、1週40時間の法定時間を超えない範囲で働けるように制限してもらえます。時間外や休日出勤など法定時間を超える労働が負担に感じる場合も、同様に制限をしてもらうことが可能です。

(6)育児時間(法第67条)
生後満1年に達しない生児を育てる女性は、1日2回各々少なくとも30分の育児時間を請求することができます。

生後満1歳までの乳児を育てる社員は、授乳など必要な育児のために「育児時間」を請求・確保できます。

(7)罰則(法第119条)
上記の規定に違反した者は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

厚生労働省 働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について

職場にはどんなことが相談・申請できる?

男女雇用機会均等法では、妊娠中および出産後、職場に以下の相談や申請ができると定められています。

【妊娠中の通勤緩和】
ラッシュアワーなど混雑時の通勤は、働く妊婦にとって大きな負担となり、体調悪化につながる恐れもあります。
そのため、医師などから通勤緩和の指導を受けた場合には、ラッシュを避けた時差出勤や勤務時間の短縮、自家用車による通勤などの対応について、会社に相談できます。

【妊娠中の休憩に関する措置】
妊娠中は通常の健康状態に比べて体調が不安定なため、つらいときには無理をせず休憩を取ることが大切です。この場合、健康診査で医師などから休憩に関する措置について指導を受けた旨を会社に申請することで、休憩について対処してもらえます。

具体的には、休憩時間の延長、休憩回数を増やす、休憩時間帯の変更などの方法があり、体調に合わせて会社に相談しながら休憩を取れるようになります。

【妊娠中または出産後の症状等に対応する措置】
定期健康診査の結果、医師などから症状について指導を受けた場合、妊婦から会社に申請すると、会社側には指導事項を守れるよう措置を講じる必要が生じます。
妊婦の症状に合わせて、重量物の取り扱いや全身運動を伴う作業の制限、勤務時間の短縮、休業、作業環境の変更などが相談可能となります。

上記の相談や申請をする際には、医師などが妊婦の健康状態について指導が必要な項目を記載した「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用しましょう。このカードの提出により正確な情報を会社に伝え、スムーズに対処してもらえるようになるからです。

妊娠中だから働き方も変えて

健康診査などの結果、医師または助産師から働き方について指導を受けた場合は、勤務先に伝えましょう。指導事項を守るため、以下のような対処をしてもらうことができます。妊娠中および産後1年以内の方が対象となります。

負担の少ない業務への転換

担当業務の負担が大きい場合は、より負担の少ない仕事に替えてもらうことができます。(労働基準法第65条第3項)

時間外、休日労働、深夜業の制限、変形労働時間制の適用制限

残業、休日出勤、夜勤を免除してもらえます。妊娠のため通常と違う勤務シフトを取っていても、1日8時間および1週間40時間の法令労働時間を超えて働くことは認められていません。(労働基準法第66条)

休業

妊娠悪阻(強いつわり)や切迫流産などに対応するため、症状が良くなるまで休業できます。(男女雇用機会均等法第13条)

作業環境の変更

つわりの症状を改善するため、例として、仕事場を苦手な臭いのする場所から替えてもらうなど、状況に応じた改善を求めることができます。(男女雇用機会均等法第13条)

危険有害業務の就業制限

妊産婦が重い物を持ったり、運んだりする仕事や、有害ガスが発散する場所で仕事に就くことは禁止されています。また妊娠・出産などに有害な業務に就くことは、妊産婦以外の女性でもできません。(労働基準法第64条の3)

さまざまな体調の変化が起きる妊娠中の働き方と、妊娠中に利用できる制度や支援について紹介しました。いずれの制度も働く妊婦からの申請に基づいて実施されるため、正しい知識を身につけることが必要です。また、日ごろから会社や周りの人とのコミュニケーションをていねいに行うことが大切です。安心して健康に出産を迎えるためにも、これらの制度を最大限に活用して、自分に合った働き方に変えていきましょう。

監修者:社会保険労務士法人クラシコ/代表 柴垣 和也(しばがき・かずや)

昭和59年大阪生まれ。人材派遣会社で営業、所長(岡山・大阪)を歴任、新店舗の立ち上げも手がけるなど活躍。企業の抱える人事・労務面を土台から支援したいと社会保険労務士として開業登録。講演実績多数。

社会保険労務士法人クラシコ(https://classico-os.com/)
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