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働く女性が知っておきたい妊娠・出産・育児の制度

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産前・産後:

産休中は出産手当金を申請して出産費用の負担軽減を

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更新日:2022年1月31日

妊娠が分かってうれしい半面、それまでと同じようには働けなくなるため、産休・育休中の収入がどうなるのか心配になりますね。今回は、出産手当金の対象期間や支給金額、受給条件や転職直後に申請できるかなどについて紹介します。産休に入る前にしっかりと確認して、安心して出産に臨みましょう。

出産手当金とは?

労働基準法で産前6週間と産後8週間は原則として就業が禁止されているため、本人が希望すれば会社を休むことができます。しかし、その間の収入は保証されていないため、これを補填する出産手当金の制度があります。

出産手当金は、労働基準法で定められた就業禁止期間を「労働不能」とみなすことで、賃金に比例する形で健康保険組合(または協会けんぽ、共済組合)から給付を受けられます。ただし、一部の健康保険組合では給付制度がない場合がありますので、勤務先に確認してみましょう。

出産手当金

出産手当金と出産育児一時金の違い

出産手当金のほかに、産休中に受給できる「出産育児一時金」があります。
ともに健康保険から支給されるものですが、どのような違いがあるか確認してみましょう。

  出産手当金 出産育児一時金
受取条件 出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産翌日以降56日までの範囲に会社を休み、この間の収入がない被保険者(被扶養者は対象外) 妊娠4カ月(85日)以上で出産した被保険者(被扶養者も対象)
受取金額 標準報酬月額平均の3分の2(詳しい計算方法については「出産手当金でいくらもらえる?」に記載) 1児につき42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関の場合は40.4万円)
受取期間 出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産翌日以後56日までで、給与の支払いがなかった期間 一時金なので期間はない
手続方法 勤務実態や給与について事業主の証明が必要。産休前に書類を用意し、本人以外に医師と事業主にも記入してもらい、窓口に提出 医療機関が本人に代わって申請する「直接支払制度」が一般的。本人が出産費用を負担し、出産後に支給申請を行う方法も選択可能
申請期限 出産のため会社を休んだ日ごとに、その翌日から2年以内 出産日の翌日から2年以内
注意点 ・退職後の出産の場合、在職中に1年以上の被保険者期間があり、出産手当金をすでに受給しているか受給条件を満たしている場合に支給される
・休暇期間中に有給休暇を使うと支給額が減額(社内規則上、ボーナス支給日に会社に在籍して給与をもらう必要がある、などのケース)
・退職後の出産の場合、在職中に1年以上の被保険者期間があると、退職日の翌日から6カ月以内の出産であれば受給できる
・分娩に関連して障害を負った場合、別の制度が存在
・妊娠4カ月(85日)以上の中絶や早産も支給対象
窓口 健康保険組合(または協会けんぽ、共済組合)・勤務先 健康保険組合(または協会けんぽ、共済組合)・医療機関

※適用条件や金額については一般的なものを記載しているため、これ以外のケースも存在します。詳しくは申請時に窓口でご相談ください
※共済組合による給付の場合、出産育児一時金に対応する手当金は出産費と呼ばれます

出産手当金でいくらもらえる?

出産手当金は、出産前の標準報酬月額や出産予定日との差異によって金額が変動します。

対象の期間

出産手当金の対象となる期間は、出産日以前42日(出産日を含む)から、出産日の翌日以後56日の合計98日間となります。実際の出産日が予定日より遅れた場合は、出産予定日から遅れた出産日までの日数も対象期間に含まれます。

なお、予定日より早く生まれた場合に支給額が減る健康保険組合もあるので、詳細は各健康保険組合の窓口に確認しましょう。

申請期限

出産手当金の申請期限は「出産のため会社を休んだ日ごとに、その翌日から2年以内」です。よって出産翌日以降56日までで給与がなかった日の最終日から約2年後の直前に駆け込みで申請した場合、手当金がほとんど受け取れないので、注意が必要です。

出産育児一時金を自分で事後申請する場合も、「出産育児一時金の申請期限は出産日の翌日から2年以内だから、そこでいっしょに出産手当金も申請すればいい」と勘違いしてしまうと、出産育児一時金はもらえても出産手当金は一部しかもらえませんので、同じく注意してください。

例えば、出産予定日が2021年11月30日で予定日に出産した場合、出産手当金の支給対象期間は2021年10月20日から2022年1月25日になります。このとき、出産日の翌日から2年以内の条件を満たす2023年11月23日に出産手当金と出産育児一時金の申請を同時にするとします。

そうすると、出産育児一時金は満額もらえても、申請期限を超過した2021年10月20日から2021年11月22日に対応する出産手当金はもらえないことになってしまいます。

こういったことにならないよう、勤務先には産休前にあらかじめ出産手当金の申請をしたい旨を伝えておくとともに、申請書をダウンロードして、入院前や入院中に書き進めておくとよいでしょう。

支給される金額

支給開始以前12カ月間の標準報酬月額平均を30日で割った標準報酬日額の3分の2が1日単位で支給されます。
※標準報酬日額(標準報酬月額の30分の1について10円未満を四捨五入)の3分の2をもとに、さらに1円未満を四捨五入

支給額の計算方法について、例を見てみましょう。

<例:支給開始以前12カ月間の標準報酬月額平均が21万円の場合>
−標準報酬日額:210,000÷30=7,000円(端数が出た場合には10円未満を四捨五入)
−1日の支給額:7,000円×2/3=4,667円(4,666.6…円から1円未満を四捨五入)

この額に会社を休んだ日数をかけた額が支給されます。
最大日数の産前休暇を取得し、予定日より4日遅れて出産した場合、

−対象日数:出産日以前42日+出産予定日から4日遅れて出産+出産日以降56日=102日
−支給金額:4,667円(1日当たり)×102日=476,034円

が全体の支給額となります。

出産手当金の対象期間ともらえる額は?

対象期間は出産日(もしくは出産予定日のどちらか早い方)以前42日(多胎の場合98日)から、出産日後56日までです。給与の支給がない日またはお休み1日につき、標準報酬日額の3分の2相当の額が健康保険から支給されます。一部の健康保険組合を除き、会社の健康保険に入っていれば契約社員や派遣社員、パート、アルバイトなど、雇用形態にかかわらずもらえます。また出産手当金は産休後に勤務先を通し健康保険に申請するのが一般的ですが、振り込まれるのは産後休業の終了後1~2カ月なので、産休中の生活費に充てられないことも覚えておきましょう。

出産手当金を受けるための条件

出産手当金を受け取るには、本人が会社の健康保険の被保険者であることが条件となります。このため、国民健康保険の加入者は出産手当金を受給できません。また、会社を辞めても個人で加入できる任意継続被保険者の場合も原則として給付の対象外(健康保険法第104条による継続給付の要件を満たしている場合は対象)になるため、注意が必要です。

会社の健康保険の被保険者であれば、契約社員やアルバイト、パートでも給付対象となります。また、対象期間中に出産手当金より少ない給与が支払われている場合は、差額分が支給されます。

退職後に出産した場合でも受給対象になりますが、退職前に1年以上被保険者であったこと、退職時に出産手当金を受給しているかまたは受給条件を満たしている必要があります。

なお、出産手当金と傷病手当金が同時に受けられる場合は出産手当金が優先され、この期間は傷病手当金の支給はされません。傷病手当金の額が出産手当金を上回る場合には、差額分が支給されます。

転職直後でも出産手当金は受け取れるの?

健康保険の被保険者であれば転職直後でも受給できますが、標準報酬月額を用いた金額の算出に注意が必要なため、各健康保険組合の規約を確認しましょう。

申請の方法

出産予定日が分かったら、産休に入る前に申請書を用意しましょう。会社で用意される場合もありますが、自分で申請書を取り寄せる場合には協会けんぽ、または加入先の健康保険組合のホームページからダウンロードすることができます。

協会けんぽ 健康保険出産手当金支給申請書

申請の際は申請書に以下の内容を記載し、必要に応じて証明書類を準備します。

その後、申請書などの必要書類をまとめて会社に提出します。

出産手当金が早く欲しいときは

出産手当金を申請してから入金されるまでには時間がかかるため、産休中の生活費は貯金をしておくなど、事前に用意する必要があります。ただ、長期間収入がないとだんだんと不安になってしまうはず。そこで、出産手当金が早く欲しいときには分割申請を検討してみるとよいでしょう。

分割申請の利用

分割申請は、通常、申請から支給日まで最短で3カ月から4カ月かかる出産手当金を少しでも早く欲しい場合に、産前分と産後分を分けて申請できるシステムです。給与のように毎月申請することもできるため、気持ちにも余裕が出るでしょう。

分割申請をすると1回目の入金は早まりますが、出産前に申請をするケースでは、産後初めての申請で「医師・助産師記入欄」に出産日の記入を受けるまではそのつど申請書の作成が必要になり、文書作成代が発生することがあるため注意してください。なお、申請書の「事業主記入用」ページには、申請のつど、勤怠状況や給与の支払状況を勤務先に記入してもらう必要があります。

また、申請から支給日まで10営業日という短い期間で支給される場合もあるので、加入する健康保険組合の制度をあらかじめ調べておきましょう。

健康保険・厚生年金の支払いはどうなる?

出産手当金を分割申請しても、多くのケースでは入金まで時間がかかってしまいます。それまでは出費をできるだけ抑えたいところですが、この期間に保険料はかかるのでしょうか。

幸いにも、産休の開始月から職場復帰予定月の前月までは健康保険・厚生年金保険の保険料は免除、同時に保険期間にも算入されるため、年金の加入月数にも変動はありません。

また、出産手当金が受け取れない国民年金第1号被保険者(自営業やフリーランス)は健康保険の免除はありませんが、国民年金保険料は免除(出産予定日あるいは出産日が属する月の前月から4カ月間)されます。さらには免除期間も保険料は納付扱いとなるため、老齢基礎年金の受給額にも影響は与えません。


出産手当金は、出産のために給与を受けられない期間の収入を保障するためのお金です。出産費用の負担を軽減させ、安心して出産・育児ができるように、出産手当金や出産育児一時金を活用しましょう。

監修者:社会保険労務士法人クラシコ/代表 柴垣 和也(しばがき・かずや)

昭和59年大阪生まれ。人材派遣会社で営業、所長(岡山・大阪)を歴任、新店舗の立ち上げも手がけるなど活躍。企業の抱える人事・労務面を土台から支援したいと社会保険労務士として開業登録。講演実績多数。

社会保険労務士法人クラシコ(https://classico-os.com/)
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