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産休明けでスムーズに職場復帰するには?解雇通告を受けた場合の対処方法も

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更新日:2021年5月31日

産休・育休後に元の職場に戻る場合、ブランクがあると不安になるものです。できるだけスムーズに職場復帰するためには、社内制度を確認し、仕事と育児の両立に向けて事前に準備することが不可欠です。そこで、職場復帰前に確認しておきたいポイントや、予期せぬ解雇通告を受けた場合の対処方法を紹介します。

産休後、スムーズに職場へ復帰するには

職場復帰のタイミングは人それぞれですが、多いのは産後1年から1年半の間です。出産翌日から8週間は、法律で就業禁止と定められている産後休業、このあとに続けて育休を取得し、保育園の入園に合わせて4月に復職したいと考えるママが多数を占めています。
※産後6週間を経過したのち本人が希望し、医師が認めれば就業が可能

仕事復帰

職場への報告はいつ?

【出産報告のタイミング】
出産報告に「この日までにこのような方法で報告をしなければならない」という決まりはありません。母子の体調を第一に考えて、負担のない範囲で早めに報告を行いましょう。

最初に報告する相手は直属の上司、続いて同僚や後輩の順番が望ましいでしょう。方法は電話やメールが一般的ですが、社内に産休経験者の先輩がいる場合、どのようなタイミングや方法で報告したか聞いておくと安心です。

産休を取得するにあたり、上司や先輩、同僚には、少なからず負荷がかかっていることでしょう。「おかげさまで無事に出産しました、今後ともよろしくお願いいたします」と感謝の気持ちを伝えることが、円滑な職場復帰のための第一歩になります。

【職場復帰のタイミング】
産休・育休には法律で定められた期間があります。ですが、復職のタイミングは人それぞれで、自身の体調や保育園への入園状況によっても大きく変わります。一方、職場では復職を想定した受け入れ準備や人員配置が検討されているかもしれません。会社や上司には、保育園の入園可否が分かる時期や、復職時期に関して不安なことを、早めに報告・相談しておくとよいでしょう。

復職前に確認しておきたいこと

【仕事のこと】
復職前には必ず労働条件を確認しましょう。「早く出産前のように働きたい!」と思っても、育児には想定外のハプニングがつきもの。以前は残業や休日出勤をしていた人もまずは無理のない範囲で働ける環境を整えることが大切です。産休前と同じ条件で働くことが難しいと感じた場合、社内規定を確認し、時短勤務などの活用も考えましょう。

会社によっては、育休の終了前に会社側と話し合う復職面談の場が設けられる場合があります。面談では、一般的に以下の項目について確認されます。事前に状況を伝えておくことで会社も受け入れの準備ができるため、職場復帰がよりスムーズになります。

  • ・時短勤務を利用するのか? その場合、期間はどのくらいか?
  • ・残業、出張、休日出勤は可能か?
  • ・家族の協力は得られるか?
  • ・保育園の送迎時間、送迎者
  • ・子どもが病気の際の対処方法

産休・育休の期間は人によって異なりますが、たとえ短い期間だとしても、組織変更などによって休業中に職場環境が変わっている可能性があります。復職前に会社の状況を把握しておけば、復職後に戸惑うことも少なくなります。不安に思っていることがあれば、しっかり聞いておきましょう。また、復職後の業務内容などに希望があれば、伝えておいてもよいでしょう。

【家庭のこと】
復職すると、育児に専念していた生活から、育児と仕事を両立させる生活になります。起床時間の変化、保育園への送迎、仕事に家事に育児にと、やることは盛りだくさん。生活リズムも大きく変化します。

当然、生活リズムが変わることで体力的にも精神的にも大きなストレスがかかります。復職後の生活リズムを想定し、徐々に仕事と育児の両立に向けて準備しておくと、体にも心にも余裕が生まれ、あわてることもありません。
生活リズムが整うことは、赤ちゃんにとってもよいことです。夫婦でしっかり話し合い、スケジュールを組み立ててみましょう。

また、仕事と育児を両立させるためには夫の協力が非常に重要なポイント。出産前には夫婦でしっかり家事を分担していても、育児と仕事が加わることで家事をするタイミングにも変化が生まれます。
何をしなければならないのか、生活にどのような変化が起こるのかを夫婦でしっかりと共有し、対応方法を考えておきましょう。

もし産休中に不当な処遇を受けたら

本来あってはならないことですが、残念ながら、産休中に会社から不当な処遇を受けることがないとも限りません。泣き寝入りすることがないよう、正しい知識を身につけておきましょう。

産休を理由にした解雇は無効

産前・産後休業の期間と、その後の30日間の解雇は禁止されています。不当な解雇を言い渡された場合は、相談窓口として各都道府県の労働局雇用均等室があります。(労働基準法第19条)

産休中に解雇通告

産前・産後の休暇中と休暇明けの30日間は、事業主による解雇は法律で禁止されています。万が一解雇となった場合は労働基準監督署に相談しましょう。労働基準監督署が会社に是正勧告をすると、災害などで事業の継続が難しいなどのやむを得ない状況を除き、解雇は無効となります。ただし、事業主が解雇の30日前までに解雇予告をすることは可能です。

解雇を防ぐには

「解雇が不可能な期間に解雇を伝えられ、どうしても解雇されたくない」という場合、まず、会社に解雇理由証明書を請求しましょう。解雇理由証明書の発行を従業員が求めた場合、事業主に発行の義務があると労働基準法で定められています。解雇理由証明書には、解雇となる具体的な理由が記載されています。

証明書が用意でき次第、労働基準監督署へ相談に行きましょう。この際、産休・育休の期間が記載された書類があれば、証拠としていっしょに持参します。

不当な処遇となる扱いの例

解雇されなくても、不当な処遇を受けることがあります。産休・育休取得による降格・減給や、不利益な配置変更、不利益な自宅待機、嫌がらせは、男女雇用機会均等法によりハラスメントに該当します。

しかし、職種によっては時短勤務がかなわず、産休前と同じ職場で働くことが難しい場合もあるため、ハラスメントに該当するかどうかは状況によって異なります。また、復職後に産休前と同じ職場・役職・給与を望んでいても、会社として定められている規則がある場合は、必ずしも産休前と同じ条件になるとは限りません。

退職勧奨も不当な扱いです。しかしながら、職種の変更などは、体調や仕事と育児の両立への気遣いから提案される場合もあります。日ごろから上司や先輩、同僚などとコミュニケーションを取り、トラブルを事前に防ぐように心がけましょう。


長年働いていた職場でも、産休明けの復職は緊張するものです。スムーズな職場復帰を果たすためにも、出産したら早めの報告をし、復職予定日に合わせて生活リズムを整えておきましょう。
産休中に面談がある場合は、社内規定を踏まえ、疑問や不安に思ったことはきちんと確認を。万が一産休中に解雇通告を受けた際の対処も覚えておきましょう。


監修者:社会保険労務士法人クラシコ/代表 柴垣 和也(しばがき・かずや)

昭和59年大阪生まれ。人材派遣会社で営業、所長(岡山・大阪)を歴任、新店舗の立ち上げも手がけるなど活躍。企業の抱える人事・労務面を土台から支援したいと社会保険労務士として開業登録。講演実績多数。

社会保険労務士法人クラシコ(https://classico-os.com/)
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