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マミートラックとは?産休明けの仕事対策

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更新日:2022年1月31日

育児と仕事の両立は難しいもの。産休や育休から復職した女性が頭を悩ます問題に「マミートラック」があります。そこで今回は、マミートラックとは何か、この問題の背景や意味、さらには対策についても考えていきます。

マミートラックとは

マミートラックは1988年にアメリカで生まれた言葉です。「育児と仕事の両立を希望する人とキャリアを優先させたい人とを分ける制度を作ってはどうか」という、女性のキャリア支援を行うNPOの代表、フェリス・シュワルツ氏の提案から生まれました。

当初は働く女性に配慮した働き方の提案として捉えられていました。しかし、現在はマイナスの意味合いが強く、産休・育休後に復職した女性が、「職場で責任ある仕事を任せてもらえない」「単調な業務ばかり依頼される」状態が続くことを指すようになりました。

マミートラックの「トラック」は陸上競技場のトラックのこと。陸上競技場のトラックを延々と走り続けるように、同じ状態から抜け出せないことが原因で、本人の意欲があるにもかかわらず昇進・昇給やスキルアップの機会を得にくい点が問題になっています。

陸上トラック

マミートラックをもたらす「無意識の偏見」

かつてよりは、仕事と子育ての両立はしやすくなっています。しかし、そのハードルはまだまだ高いといえるでしょう。仕事と子育ての両立支援は過剰になっても不足しても女性活躍推進のブレーキとなり、マミートラックを引き起こします。

こうしたジレンマが生じる一つの要因は、「子育て中だから、仕事は制限したほうがよい」「子育て中は大変だから、きつい仕事を任せるのは気の毒だ」といった「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)」です。誰の心にも潜在的にある無意識の偏見を理解し、そのギャップを埋めるために、周囲とコミュニケーションを図って働く意欲やキャリア形成の考えを示していきましょう。

また、会社や上司としては、「無意識の偏見」が大きくなり過ぎないように留意することはもちろん、逆に仕事を積極的に依頼する場合でも、負荷が高いのであればサポート案を示してあげるなど、復職後の女性社員がチャレンジしたいと思いやすくなる雰囲気作りが大切になるでしょう。

なぜマミートラックを受け入れてはいけないの?

産休・育休前と同じように働きたいけれど、実際には難しいもの。例えば「時短勤務の期間は決まっているのだから頑張ろう」と頭では思っていても、実際は割り切れない思いを抱えている働く女性は多くいます。そもそも、なぜマミートラックを受け入れてはいけないのでしょうか?

想定される問題点

残業や出張ができないからと担当を変えられたり、業務量を減らされたりすると、モチベーションが下がる可能性が高まるでしょう。また、責任のある仕事を任されずやりがいを感じられなくなると、今までの働き方を否定されたような気がして、劣等感を覚える可能性もあります。

産休・育休明けでなくても、業務分担の変更や部署異動は落ち着かないもの。会社がよかれと思って行った配慮でも、「しばらく休んでいたせいで」と自己否定につながることがあるのです。

仕事への影響

マミートラックに乗ってしまうと、

  • ・やりがいのある仕事を任せてもらえない
  • ・希望する仕事ができなくなる
  • ・なかなか昇進ができない
  • ・時短勤務により給与が大幅にカットされる
  • ・ボーナスが減少したり、職位が下がったりすることがある

などの影響が生じる可能性があります。例えば、「上司が配慮のつもりで、自分への相談なしに出張を伴う案件や残業の発生が予想されるプロジェクトに一切アサインしなかったり、次期リーダー・管理職候補のメンバーから勝手に外したりすることで、結果的にキャリアアップのチャンスが得られにくくなった」といったケースは、マミートラックの影響で思うように仕事ができなくなってしまう典型です。

また、上司から本人への相談や意思確認がある場合でもマミートラックに乗ってしまいやすいケースがあります。例えば、一定の負荷が見込まれる業務の場合、周囲のサポート体制がなければ、本人は周囲に迷惑をかけたくないという思いから断ってしまうこともあるでしょう。そうすると、次回以降、似た案件では上司がよかれと思って意思確認をしなくなることもあり、マミートラックからより抜け出しにくくなってしまいます。

長期的には、新しい技術の習得が困難になったり、モチベーションの低下によって人間関係の構築に悪影響が出たりする可能性も考えられます。

マミートラックに乗らないための対策

マミートラックに乗らず上述のような悪影響から逃れるため、さまざまな制度を活用する方法があります。

育児休業期間の延長を行う

育休の期間は子どもが1歳になるまでとなっていますが、期限内であれば早めに職場復職をしても問題ありません。しかし、早く職場に戻って以前のように仕事をしたいと思っても、子どもは急に発熱したり、体調をくずしたりすることもしばしば。遅刻や早退が多くなると、職場への配慮や気遣いからマミートラックに乗ってしまう可能性も高まります。

体調不良による通院や、定期的な健康診断や予防接種も必要ですから、育児と仕事の両立が難しいと思ったら、「子育てが安定するまでは休む」という選択肢を考えてみるのもよいでしょう。

また、子どもが1歳になるまでに保育園が見つからなかった場合、育休を2歳まで延長できます。見つかったとしても、保育園が自宅や会社から遠い場所にあるとかえって仕事に影響が出る場合もあるので、メリットとデメリットを考慮して最適な方法を検討しましょう。

時短勤務制度を利用する

マミートラックの原因の一つに挙げられる時短勤務は、捉え方によっては、キャリアアップのチャンスでもあります。「責任ある仕事を任せてもらえない」「単調な仕事ばかりでつまらない」と思っていても、短い勤務時間で多くの結果を出せるよう仕事の進め方を工夫して、早く対処できるスキルを身につけることは可能です。

また、会社の業務についての改善提案をするなど、今の仕事をもっと円滑にするためにどうすべきか考えてみるのもよいでしょう。ていねいな仕事で評価が上がる可能性もあります。

育児のための時短勤務は子どもが3歳になるまでです。その間、上司や同僚としっかりコミュニケーションをとり、フルタイムに戻ったらどのように働きたいのか、どのように育児と仕事を両立するのか考えておきましょう。

男性側も育児休業や時短勤務制度を利用する

育児は母親だけの仕事ではありません。父親にしっかり育児に参加してもらうことは、働く女性にとって大きなサポートになります。育休の取得・時短勤務制度の利用は父親も可能で、育休期間を子どもが1年2カ月に達するまで延長できる制度「パパ・ママ育休プラス」もあります。

こういった各種制度を上手に利用して、仕事をしやすい環境を整えられるよう、夫婦でよく話し合いましょう。

テレワークを積極的に活用する

法的な制度ではありませんが、勤務先の会社に在宅勤務などテレワークの仕組みがあれば活用を検討してみてもよいでしょう。子どもを保育所などに預けられない場合でも、通勤時間がなくなる分、自宅で育児をしながらでもこれまでどおりフルタイムの業務量を維持できるかもしれません。

出勤していると、子どもの体調不良時などに急な休みを取らないといけなくなることもありますが、自宅での業務が可能になれば、そういった予定外のトラブルに対する不安も軽減されるでしょう。

転職で環境を変えてみる

産休明けの社員に対する理解が十分に浸透している企業に転職して、自分が望む働き方ができる可能性を少しでも高めるのも一つの手です。

ヒアリングを重ねるなどして本人の意思を尊重した上で、重要な役割や本人にとってチャレンジングな案件を、周囲のサポート体制を提供しながら積極的に割り振っている企業もあります。女性の活躍を積極的に後押ししている企業を見つけるには、国が設けている指標も参考になります。以下のページもぜひご覧ください。


一度マミートラックに乗ってしまうと、抜け出すためには大きな労力を要します。そうなる前にキャリアについて会社と話し合って各種制度を活用するなど、マミートラックに乗らないための対策をできる限り早めに打てるようにしましょう。


監修者:社会保険労務士法人クラシコ/代表 柴垣 和也(しばがき・かずや)

昭和59年大阪生まれ。人材派遣会社で営業、所長(岡山・大阪)を歴任、新店舗の立ち上げも手がけるなど活躍。企業の抱える人事・労務面を土台から支援したいと社会保険労務士として開業登録。講演実績多数。

社会保険労務士法人クラシコ(https://classico-os.com/)

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