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地域で子育てを支援するファミリーサポートセンター事業とは
更新日:2021年5月31日
働きながら子育てをしていると、「ちょっとだけ子どもを見てもらえたら助かるのに…」と思うことがあるでしょう。そんなときに重宝されているのが、子どもを育てるパパ・ママを「昔ながらの助け合い」で支援する「ファミリーサポートセンター事業」です。今回は、ファミリーサポートセンター事業の仕組みや支援内容について詳しく紹介します。
子育てを支援する「ファミリーサポート」とは
子育てをしていると、このようなトラブルや悩みを抱える人が少なくありません。
- ・上の子が熱を出して病院に連れていきたいが、下の子を置いていけないので困る
- ・自分が熱を出してしまい、子どもの世話ができなくなってしまった
- ・仕事のシフト上、どうしても子どもが帰宅する時間に家にいられない
- ・保育園に連れていくことはできるが、迎えの時間にはどうしても間に合わない
こういった「ちょっと困った」問題が起きたとき、ひと昔前の日本では、ご近所同士でお互いの家族を助け合って解決していました。「ファミリーサポート」とは、まさに「昔ながらの助け合い」を各自治体で組織化し、支援を受けたい人と支援したい人をつないで子育てを支援する仕組みなのです。
支援を受けたい人は「依頼会員」、支援をしたい人は「提供会員」としてファミリーサポートセンターに登録し、アドバイザーが依頼会員と提供会員をマッチングして互助関係を成立させます。依頼会員は提供会員に利用料を支払いますが、ファミリーサポートは「提供会員のボランティア」という一面もあるため利用料は安く、ちょっとしたことをお願いしたいときにも便利です。
気軽に近所を頼るのが難しい現代社会で、ファミリーサポートはまさに「困ったときに相談できるご近所さん」の役割を担っています。
ベビーシッターとの違い
ファミリーサポートはベビーシッターと似ているためよく勘違いされやすいのですが、ベビーシッターには以下の特徴があります。
- ・仕事として行われる
- ・保育士・看護師・幼稚園教諭や、認定ベビーシッターなどの国家資格・民間資格を持っているケースが多い
- ・預ける場所が依頼者の自宅、外出先、公園など幅広い
- ・仕事として請け負うため、依頼者の要望に合わせてもらいやすい
- ・簡単な家事や家庭教師なども依頼できる
ベビーシッターは「子どもの世話をするエキスパート」のため、依頼内容も多岐にわたります。そのため、「少しの手助け」というよりも「家族のようなサポート」を求める場合に利用され、料金もファミリーサポートより高額になります。
ファミリーサポートとベビーシッターは、依頼内容・時間・場所などを考慮して使い分けるのがよいでしょう。
ファミリーサポートの支援内容
自治体によって対象範囲が異なる場合もありますが、ファミリーサポートは0歳児から小学生までの子どもが対象となる制度です。一度に預けられる人数は原則として1人ですが、例えば以下のようなケースの場合は2人以上の子どもを預かってもらえます。
対象者
ファミリーサポートの対象となるのは0歳児から小学生までの子どもです。一度に預けられる人数は原則として1人ですが、例えば以下のようなケースの場合は2人以上の子どもを預かってもらえます。
- ・2人の子どものうち、1人は幼稚園児だが上の子は小学生である
- ・提供会員が安全面に配慮して預かるようにしている
- ・提供会員がベテランで、保育士や看護師などの資格を持っている
対象者の年齢によっては複数人預けるのが難しい場合もあります。もし利用するうえで子どもの年齢や性格、人数が気になる場合は、マッチングの際に詳しく話し合っておきましょう。
利用料金
ファミリーサポートの利用料金は各自治体によって異なります。例えば、東京都北区のファミリーサポートを利用すると、料金は以下のようになります。
- ・月曜日から金曜日の午前7時から午後8時までは、子ども1人につき1時間800円
- ・上記の時間帯以外と土日、祝日、振替休日、年末年始(12月29日~1月3日)の期間は、子ども1人につき1時間900円
福岡市では、ファミリーサポートの利用料金が細かく定められています。
- ・月曜日から土曜日までの午前7時から午後7時は、1時間につき600円
- ・上記以外の時間帯は、1時間につき800円
- ・日曜、祝日は、時間帯に関係なく1時間につき800円
- ・預かり以外に子どもの送り迎えもする場合は、1回につき100円を支払う
また、「保育の必要性について認定を受けている」「認可外保育施設を利用している」など一定の要件を満たせば、ファミリーサポートの利用料金は幼児教育・保育の無償化の対象です。ただし、子どもの年齢やふだん利用している事業・施設によって無償化の上限額が異なります。
詳しい料金については各自治体のファミリーサポートセンターに問い合わせたうえで、利用頻度や利用時間帯を検討しましょう。
支援内容
ファミリーサポートで受けられる支援は、主に以下の内容です。
- ・保育園や幼稚園の送迎と送迎前後の預かり
- ・学童保育のお迎えとその後の預かり
- ・保護者の通院や急用の際の預かりと援助
- ・学校行事への参加による預かりと援助
- ・冠婚葬祭や保護者のリフレッシュ時間を設けるための預かりと援助
となりますが、支援内容が幅広いため「自分は当てはまるの?」と不安になりますよね。実際の利用ケースを参考にして判断してみましょう。
【具体的な利用ケース】
・上の子の授業参観と懇談会があるので、幼稚園児の迎えと預かりをお願いした
・実家の父親が倒れたと連絡があったので、学童の迎えと預かりをお願いした
・美容室に行きたいが赤ちゃんを連れていけないので、その時間だけ子どもを預けた
・仕事先の会議が長引いたので、保育園の迎えと預かりをお願いした
・会社のパーティーに夫婦で出席しなければならなかったので、子どもを預かってもらった
このとおり、多岐にわたる状況で預かりの依頼がされていることが分かります。「助け合い」の目的を持つファミリーサポートだからこそ、ともいえるでしょう。
ファミリーサポートセンターの利用方法
ファミリーサポートセンターは、援助を受ける「依頼会員」と援助をする「提供会員」、その両者をつなぐ「アドバイザー」の三者で成り立っています。したがって、援助を受けるためにはまずファミリーサポートセンターに依頼会員の申し込みをしなければなりません。では、ファミリーサポートセンターを依頼会員として利用する場合、どのような流れになるのでしょう。
【各自治体のファミリーサポートセンターに登録】
まずは自身がお住まいの自治体のファミリーサポートセンターへ連絡し、依頼会員として申し込みたい旨を伝えましょう。その際に申し込みに必要な講習会や事前説明会の案内があるため、出席できる日を確認して予約をしてください。
正式な依頼会員の登録は、講習や事前説明を受けた人のみが行えます。もし平日に時間が取れない場合はファミリーサポートセンターに相談し、可能な日を伝えて日程のすり合わせをしましょう。
【依頼会員登録後の流れ】
ファミリーサポートの依頼会員に登録すると、以下の流れで手続きが進みます。
1. ファミリーサポートセンターの支部へ連絡し、援助依頼を申し込む
2. 依頼を受けたアドバイザーが依頼内容を確認して、援助を行う提供会員を探す
3. 依頼を受けてくれる提供会員をアドバイザーから紹介してもらう
4. 依頼会員が提供会員に連絡して、事前打ち合わせの日時を決める
5. 依頼会員は援助内容が書かれた申込書を用意し、決められた日時に預ける子どもを連れて提供会員の家に出向いて打ち合わせを行う
6. 依頼会員がアドバイザーに話し合いの結果を報告し、問題がなければ提供会員に正式依頼を行う
7. 提供会員からサポートを受ける
8. サポート活動の終了後、提供会員に直接報酬を支払う
基本の流れはこのようになりますが、サポートの細かな内容や支払いのタイミングについては依頼会員と提供会員で話し合って決めることもあります。自治体によっては登録方法やマッチングの方法が異なるため、まずはファミリーサポートセンターに連絡を取り、理解を深めてから登録・利用しましょう。
家族以外に子どもを預けることに不安を覚える人は多いでしょう。子どもが不慮の事故で被害を被ったり、逆に子どもが提供会員にケガをさせてしまったりする場合などに備えて、ファミリーサポートセンター向けの補償保険が提供されています。
ファミリーサポートは、「子育てと仕事を頑張るパパ・ママを応援したい」という地域の温かい心で成り立っています。各自治体のファミリーサポートセンターの仕組みや決まりをよく理解して、「ちょっとのお手伝い」を上手に利用していきましょう。
監修者:社会保険労務士法人クラシコ/代表 柴垣 和也(しばがき・かずや)
昭和59年大阪生まれ。人材派遣会社で営業、所長(岡山・大阪)を歴任、新店舗の立ち上げも手がけるなど活躍。企業の抱える人事・労務面を土台から支援したいと社会保険労務士として開業登録。講演実績多数。
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