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Age28 〜28歳から、今の私につながるキャリア〜

Age28 〜28歳から、今の私につながるキャリア〜 Age28 〜28歳から、今の私につながるキャリア〜
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掲載日:2014年3月31日
更新日:2020年8月24日

昨日よりも今日、会社の役に立っているか?
「これをやり遂げたい」という“志”を強く持つこと

女性活躍推進の第一人者、株式会社イー・ウーマンの佐々木かをりさん。佐々木さんが28歳の時、男女雇用機会均等法がやっと前年に施行されたばかりで、フリーランスとして働く人はごく少なく、さらに女性が自ら起業して経営者になるというケースは珍しい時代でした。フリーランスの通訳として活躍し始めた佐々木さんは、「通訳者たちの多様な才能を活かしたい」と起業を決意。そこにはダイバーシティのルーツとなる強い思いがありました。

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株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長
株式会社ユニカルインターナショナル 代表取締役
米国ニューヨーク州エルマイラ大学名誉文学博士
国際女性ビジネス会議実行委員会委員長
佐々木かをりさん

上智大学外国語学部比較文化学科卒業後、1987年に国際コミュニケーションのコンサルティング会社、株式会社ユニカルインターナショナルを設立。70言語対応のコミュニケーションのコンサルティング会社として、通訳、翻訳、会議企画・運営、トレーニングなどを提供。2000年に市場創造型マーケティング・コンサルティング会社、株式会社イー・ウーマンを設立。働く女性の声を発信するサイト 「イー・ウーマン」 (ewoman.jp)では、公開ディスカッション「働く人の円卓会議」 を展開。そのほかにも新商品開発、コンセプト提案などを手がける。1996年からは毎夏 「国際女性ビジネス会議」 を開催し、日本最大級の「働く女性」による10時間の会議となっており、800~1000人の参加者が全国から集まる。

〜28歳の時〜 英語力のない自分になぜオファーが?
ダイバーシティ実現への思い

大学を卒業後、日本を訪れるビジネスマンや海外ミュージシャンなどの方に、フリーランスで通訳の仕事をしていました。当時は海外旅行経験もなく、9カ月の留学経験のみ。正直、語学力では優秀な人はほかにたくさんいると思っていましたが、リピートで指名してくださる方が多かったんです。「なぜ私を選んでいただけるんですか」と聞くと、「通訳のスピードが速くて機転が利くから」「仕事がしやすいから」などと。例えば、来日したミュージシャンには取材の合間に肩をもんであげたり、マーケティング会社の方には日本のトレンドを教えてあげたり。ただ単に流暢に訳すというだけじゃなく、必要に応じたコミュニケーション力が求められていると感じました。

一方で「こんな私がいつまで仕事をいただけるだろう」「50歳、60歳になった時、日本一の通訳でもない限り仕事はないだろう」という不安もあり、そのためには何か“仕組み”を作っていかないと、と思うようにもなりました。通訳や翻訳は単純に言語を変換するだけでなく、“メッセージを伝える”ための大切な要素がある。学術会議の同時通訳が得意な人、契約を勝ち取るための通訳が上手な人。一人ひとりのタイプや得意分野を適時適材適所できちんと活かしたい。そんな思いを実現したくて、国際コミュニケーションのコンサルティングをする株式会社ユニカルインターナショナルを立ち上げたのが28歳の時です。

それは、男女雇用機会均等法が施行された翌年の1987年。女性の総合職がまだ珍しい時代のこと、起業はなおさら注目を集め、マスコミから多くの取材を受けました。そのほとんどが仕事内容でなく「なぜ20代の“女性”が会社を作ったのか」でした。最初は驚きましたが、これがジェンダーイシューだと気づかされるきっかけになったとも言えます。

「来日したアメリカ人のビジネストレーニングの通訳をきっかけに『人生は自分で選ぶもの』と知った」と佐々木さん

〜28歳から今〜 子どもが生まれ、強制的に価値観が変えられた。
社会的な課題を知り、会社や世の中について学びたい気持ちが強くなる

プライベートでは94年に1人目、99年に2人目の子どもを出産しました。“夜中まで働くことも問題ない”と思う私のライフスタイルは、子どもができたことで一変しました。子どもを通じて学ぶことは多く、豊かなことがたくさんある。時間の使い方や健康管理、どんな生活をするか。プラスになることばかりで、すべてのスキルが高まっていると思います。また近所の商店街のおじさんやおばさんと仲良くなったのも、子どもがいたからこそできたこと。ハガキが届いて予防接種を知り、保育園や幼稚園の違いを知る、社会的な課題が次々に“自分ごと”にもなっていくのも貴重な経験でした。

自身の経験が働きやすい会社づくりの原点

私はつわりがひどかったタイプで、仕事中に気持ちが悪くなり会社のデスクの横で寝ていたこともありました。その体験から、会社には折りたたみベッドを置くようにしたり、妊娠中の社員が出張する時、家族に荷物を運んでもらったら、その分の交通費を出すことを社則に入れたり。自身の経験が働きやすい会社づくりにも活かされていると思います。

ユニカル設立後は「会社をどう経営するのか」「世の中はどんなふうに動いているのか」いろいろ学びたい気持ちが強くなり、当時、日本にはなかった女性のネットワークを結成しました。29~30歳の時です。年1回の300人近くが集まる会議をはじめ、ほぼ毎日さまざまなセミナーを開催する、とても熱心な勉強会で、これは後に「国際女性ビジネス会議」に名前を変え、現在まで続いています。

2013年8月に東京・台場で開催された「第18回国際女性ビジネス会議」の模様。毎年、全国から800~1000人の参加者が集まる

〜28歳の働く女性へのメッセージ〜 大切なのは「これをやり遂げたい」という “志”。
どうしてもやりたい情熱があるから、工夫が生まれる

多様性はチームとしての前進があってこそ意味がある

最近は、APEC(アジア太平洋経済協力)やOECD(経済協力開発機構)をはじめ、海外でも“女性”関連テーマが活発で、私も日本の様子をお話する機会を多くいただくので、これは私の一つの役割だと思っています。いろいろな生き方や国籍、年齢の人がいるのですから、一人ひとりの力が最大限に発揮できる会社や組織、政府をつくることが大切です。と同時に大切なことは「多様性」=「ありのままの自分でいい」と考えないこと です。もちろんありのままでいいのですが、前提があります。私は会社のプラスになっているのか?私がいるから会社は良くなっているのか?昨日よりも今日、会社の役に立っているか?多様性はチームとしての前進があってこそ意味がある。だから、自分の貢献について、意識してほしいと思っています。

私が仕事で大切にしていることは “志”。「こうなりたい」「これをやり遂げたい」という強い思いがあれば、工夫が生まれる。そして、なぜこの仕事をするか、目的・意図を明確にすること。目的がはっきりしていれば、たとえ壁にぶつかっても、道にトンネルを掘ったり、ジャンプしてみたり、なんとか目的を達成しようとする。私がいつも元気な理由も、「世の中がもっとこうなると良い」「これを解決したい」という“志”があるからだと思います。

「女性だけでなく、多様な人がいろいろなポジションにいて、健全な議論ができる社会や企業になるのが理想」だと話す佐々木さん

今、28歳の自分にアドバイスをするとしたら?

「もっと勉強しろ!」ですね。28歳は会社をつくり、報道番組『ニュースステーション』のレポーターの仕事も始まり、土日も夜中も関係なく働きました。仕事を通じて、いろいろな経験をさせてもらってはいましたが、もっと本を読んだり、学校に行ったり、経営や報道、マーケティングの勉強ができたのかもしれないと思います。毎年ハーバードの大学院などいくつものパンフレットを取り寄せてはいましたが、そのまま何年も経って…。もっとたくさん勉強していたら、と思います。だから、今、毎日勉強し始めています(笑)。

編集後記

編集部の質問に、的確かつスピーディに答えつつ自身のエピソードを交えながら気さくに話される佐々木さん。「年賀状を300枚以上手書きで書いていた」「10代のころは、25歳で結婚し、家で着物を着て三つ指ついて夫を待っていると思っていた」など意外な一面を話される場面も。おおらかで温かな人柄にすっかり魅了された1時間でした。

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