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はたらく今日が、いい日に。doda(デューダ)

Age28 〜28歳から、今の私につながるキャリア〜

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掲載日:2016年2月22日

仕事によって「未知の自分」に出会えた
女性版「週刊文春」発売に至る道

2016年元日に「週刊文春」の臨時増刊号として発売された「週刊文春Woman」の編集長を務めた井﨑彩さん。“完全女性目線の「週刊文春」”というコンセプトや、臨時増刊号を含めると57年に及ぶ同誌史上初の女性編集長ということも話題になりました。入社以来、月刊誌、週刊誌、女性誌の編集部を目まぐるしく異動しながら積み重ねた経験が活かされたと振り返ります。そんな井﨑さんにとって28歳は、第1子の育休から復帰した年。子どもを育てながらキャリアを模索した日々がそこにはありました。

「週刊文春」編集部次長井﨑 彩さん

1975年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、株式会社文藝春秋に入社。「文藝春秋」編集部を経て「週刊文春」編集部に在籍中、27歳で第1子出産のため産休・育休を取得。翌年復職し、女性誌「CREA」編集部へ異動。その後、複数の異動と2度目の産休・育休を挟み、13年7月より「CREA」副編集長を務める。14年7月より現職。15年春、臨時増刊号プランの社内公募に出した“女性版「週刊文春」”の企画が採用され、臨時増刊号を含めた同誌史上初の女性編集長に。社内の女性編集者が中心となって編集を進め、2016年1月1日に「週刊文春Woman 2016 新春スペシャル限定版」として発売された。現在は「週刊文春」で特集班のデスクを務める。
「週刊文春Woman」電子版:
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/1600863400000000000K

~28歳の時~ 出産後の仕事復帰が編集者としての転機に
“昭和のサラリーマンみたい”と言われるほど働いた日々

父が編集者で、子どものころから私にとって「本を作る仕事」は最も身近な職業でした。一方で、多少は反発する気持ちもあったため、自分は別の道に進みたいと考えて、就職活動では商社や銀行などいろいろな業界を受け、いくつか内定もいただきました。ただ、私にとって「働く」イメージは、編集者をしていた父が基準。最終的には入社後のキャリアを思い描きやすかった出版社、中でも面接で話していて楽しかった文藝春秋に落ち着きました。決め手は「ここなら自然体で働けそう」という直感のようなものですね。

最初の配属先は月刊誌の「文藝春秋」編集部でした。右も左も分からない新人にも関わらず、仕事をさせていただく相手は大作家や有名な評論家の方々。「私でいいんだろうか」と戸惑いながらも必死で仕事を覚えていきました。当時、担当していたのが評論家の立花隆さん。「私の東大論」という連載のために、明治から昭和にかけて発行された東大の学生や教授に関する新聞・雑誌記事をよく集めていたのですが、大学図書館や国会図書館に通っては、立花さんに頼まれた記事だけでなく、「この学生グループに影響を与えた思想家の記事も探してみよう」などと先読みをして用意していました。目を通した立花さんに「あの思想家についてもっと知りたい」と言われたら、当たりです。「編集者というのはこうやって役に立つことができるんだ」と仕事の面白さを感じ始めました。

そこで2年を過ごし、次に異動した「週刊文春」では記者として事件現場などの取材に奔走しました。雑誌によってこうも違うのかと驚くくらい、仕事の内容も環境もそれまでとは大きく異なり、再び無我夢中で仕事に没頭。1年たってようやく仕事を覚えたころに妊娠がわかり、27歳のときに結婚・出産しました。

28歳で仕事に復帰したのですが、これが一つの転機になりました。当時、出産を経て雑誌編集者として働く女性はまだ社内にほとんどおらず、私が「雑誌編集の現場に戻りたい」と希望を出したことは、会社側にとっては予想外の出来事だったようです。「長時間預けられる保育園への入園も決めたし、実家の近くに転居もした。それもこれも雑誌編集を続けるため」などなど強い意思を伝えて交渉した結果、女性誌「CREA」の編集部に入れることになりました。とはいえ、ジャーナリズム誌と女性誌では仕事内容は大違い。子育てをしながら新しい環境で仕事を覚えていく日々は、想像以上に大変でした。日中はみんな撮影などで出掛けてしまうので、夕方以降でないと質問もなかなかできない状況。子育ては親にサポートしてもらい、それからは「まるで昭和のサラリーマンみたい」と同僚に言われるほど、やみくもに働きました。

「育休中、『仕事をしたい!』という思いは日に日に強まりました。仕事を覚え始めたタイミングでの妊娠・出産だったので、まだ全然仕事をやりきれていない感じがあったんです。絶対に雑誌編集の現場に戻りたいという意思は固かったですね」

~28歳から今~ “迷えるアラフォー”としての自分自身の思いを
女性版「週刊文春」の企画に反映

育休前は自分が携わるとは予想もしていなかった女性誌の仕事ですが、そこから得たものは多くあります。読者アンケートに丁寧に目を通して次の企画のヒントにするなど、「読者の興味に応える雑誌づくり」をする大切さを女性誌で学べたことは大きかったですね。その後、異動を経て再び「文藝春秋」や「週刊文春」の編集に関わった時も、読者の方を見て仕事をする意識を前より強く持つようになりました。

働く上で大切にしてきたのは、一つひとつの仕事に対して納得できるまで力を尽くすこと。私は要領がいいタイプではなく、何でも熟考してしまうため仕事をするのがとても遅いのですが、効率を追求するよりも、「自分はやるだけやった」と思える仕事をしたい。それはいつも意識しています。

2年前、39歳のときに12年ぶりに「週刊文春」編集部に異動し、現在はデスク職を務めています。「週刊文春Woman」の企画を発案したのは、仕事や生活、健康などさまざまな迷いを抱えるアラフォー女性に「これぞ私のための一冊」と感じてもらえる雑誌をつくりたいという思いが出発点でした。働く女性は40歳前後になるとポジションも上がり、大きな仕事や役職に抜てきされるなどして壁に当たることが増える年代です。実は私自身も、「週刊文春」でデスクとして記者に指示を出す立場になったものの、自信を持てずにいました。それまで在籍していた「CREA」では下っ端から段階を踏んでデスクになっていましたが、「週刊文春」では落下傘的にやって来たデスク。記事内容、記事の作り方もまったく違います。「私のキャリアはこれからどうなるのだろう」「いろんな雑誌を経験した私だからできることは何だろう」と考えた末、女性版「週刊文春」の企画が生まれました。

実は、通常の「週刊文春」の読者も約4割が女性です。女性誌にはない視点や、物事をとことん掘り下げる姿勢を支持してくださっているんですね。「週刊文春Woman」では、こうした「週刊文春」のテイストはキープしつつ、普段の男性目線の「週刊文春」では取り上げないテーマを扱いました。女性皇族を女の生き方という視点で捉え直したり、卵子凍結する女性たちをルポしたり。今年、新聞記事をにぎわせた「健康女性の卵子凍結による出産を初めて確認」というニュースは、「週刊文春Woman」で最初に取り上げているんですよ。今回は元旦にセブンイレブンのみで発売という試みだったのですが、おかげさまで発売から一週間経たずに完売となりました。

2016年1月1日にセブンイレブンで発売された「週刊文春Woman」。好評を受けて2月18日より電子書籍版が発売中。「女性が世の中に対しモヤモヤと感じていることに答える雑誌でありたい、という思いが編集の軸になっています」

~28歳の働く女性へのメッセージ~ 今の時点でのスキルや知識の範囲内で
自分の限界を決める必要はない

私にとって、育休から仕事に復帰した28歳は、女性誌の編集に関わるようになったことに加えて、2つの点でキャリアの転機だったと感じます。1つは、「会社が私を育ててくれる」という過剰な期待を抱かないようになったこと。仕事もできないのに早々に子どもを産んだことで、端的に言えば「周囲に期待されなくなっていた」と思うんです(笑)。でも、そのおかげで、自分の成長を会社に委ねるのではなく、自分自身で主体的にスキルを磨くことが大切なのだと気づきました。「こんな異動させるなんて、会社は何を考えてるんだろう」と、愚痴をこぼしちゃうことはありますよね。でも、会社には営利を追求するという大きな目的があり、働く側にとって、異動や昇進で思い通りにいかない場面が出てくるのはある意味当然のこと。若くして出産したことが、適度に距離感のある「会社と自分との良い関係」を考えるきっかけにもなりました。

もう一つは、育休でいったん仕事から離れたことで、それまで自分自身が仕事を通して得ていたものの大きさを改めて知ったことです。私はもともと、好奇心は人一倍あるんですが、人見知りが激しく、育休中は公園で会うお母さんたちと会話を続けるのもひと苦労だったほど。でも、編集者として働いている間は、別のスイッチが入るんです。つまり、「この記事を世に出したい」とか「この人から本音を引き出したい」と思うと、「相手を怒らせてもやってやろう」と変な積極性、勝ち気さが出てくる。仕事って人を変えるんですよね。

先日、母校の大学で話をする機会があり、そこで先生から聞いたのですが、最近「自分はこの程度だから、このレベルの仕事しかできない」とか、「育児と仕事を両立できるか分からないから、専業主婦になりたい」などと、今の自分が思う「できる・できない」を基準に、その先の挑戦を避けてしまう学生が増えているそうです。でも、それはとてももったいないこと。人見知りの私が、取材となったら相手の懐に飛び込んでいけたり、多くのスタッフと一緒に雑誌をつくりあげたりできるように、「仕事が人をつくってくれる」という側面は大きいはずです。これからのキャリアを模索している28歳前後の人たちにも、今の自分の力を基準にして何かをあきらめるようなことはしてほしくないですね。流れに身を任せつつも、一つひとつの仕事には着実に主体的に取り組み続ける。そうすれば、おのずとその次のチャンスは現れます。一つやり遂げるたびに自信をつけ、自分という人間がつくられていく。その過程を大切にしてほしいと思います。

「アラフォーの私から見ると、今のアラサー世代は自分の意見や考えを持っていて、それをきちんと伝えられる人が多いという印象。会社との適度な距離も保てていて、その自由さをうらやましく感じます」

今、28歳の自分にアドバイスをするとしたら?

週刊誌の仕事をようやく覚えてきたタイミングで産休・育休に入ったので、復帰した28歳のときはこれからの仕事への不安もかなりありました。でも振り返ってみると、子どもを産んだことも含めて無駄な経験は何一つありませんでした。子育てを通して「人って思い通りにならない」という根本的なことに気付けたのは、働く上でも大きな価値があったと感じます。当時の自分に一つ言うなら、「ベストは尽くせ。でも、完璧じゃなくてもいい」。仕事でも子育てでも完璧を目指すと、「私はこんなにやっているのに」と不満を持ってしまいがちですから。

編集後記

最初の配属先の「文藝春秋」編集部には新人をほめて育てる風土があったという。「できない自分を支えてもらったので、今は支える側でありたいと意識しています」と語る井﨑さん。「要領が悪い人を見ると、自分に重ねて共感してしまう」とも。温和で飾らない人柄に引き込まれました。

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「自分らしいキャリアを生きる」先輩からのメッセージ

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