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試用期間中でも退職できる?
理由の例文や切り出し方、円満退職の手順

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北 光太郎氏/顔写真

監修者:社会保険労務士 北 光太郎(きた・こうたろう)氏 (きた社労士事務所 代表)

試用期間中に「入社したばかりなのに、もう辞めたい…」と悩まれている方もいるでしょう。本記事では、試用期間中に退職をする際に必要な手続きや、会社への伝え方について詳しく解説します。
円満に退職するために必要なポイントも紹介しますので、試用期間中に退職を検討されている方はぜひ参考にしてください。

試用期間とは?

試用期間中に退職はできる?

試用期間中でも本採用後と同様に退職は可能です。法律では、意思表示してから2週間が経過すると退職ができると定められており、試用期間も例外ではありません。

ただし、退職する際は就業規則に則った手続きで進めるのが一般的です。例えば、就業規則に「退職する日の1カ月前までに退職届を提出しなければならない」と定められていれば、就業規則に従って手続きを進めましょう。

「試用期間だから」という理由で、いつでも退職できるわけではありません。円満に退職するためにも、就業規則や社内ルールに則って退職手続きを進めましょう。

そもそも試用期間とは

試用期間とは、会社が新たに雇用した従業員の適性や能力を見極めるために設けられる期間のことです。一般的に1〜6カ月間で設定され、適性に問題がなければ試用期間の終了後は本採用となり、引き続き会社に雇用されます。

試用期間中でも、労働者として労働基準法が適用されるため、長時間労働の制限や休暇・休日などの権利は保護されます。ただし、給与が本採用時より低く設定されることもあるため、雇用契約書(労働条件通知書)は必ず確認しましょう。

試用期間とは?

試用期間中に退職する前に知っておきたいこと

試用期間中の退職には、通常の退職とは異なる注意点があります。
ここでは、試用期間中に退職する前に知っておきたいリスクや注意点を紹介します。

失業手当(失業保険)が受給できない

自己都合で退職した人が失業手当(失業保険)を受給するためには、雇用保険の被保険者期間が退職日以前12カ月以上あることが条件となります。しかし、試用期間は多くの場合3カ月程度であり、失業手当(失業保険)の受給条件を満たすことができません。

失業保険(失業給付)を受けられないということは、退職後の生活費をすべて自己資金でまかなわなければならないことを意味します。試用期間中に退職せざるを得ない場合は、十分な貯蓄があるかどうか、あるいはほかの収入源や支援があるかどうかも考慮して判断しましょう。

次の転職活動の際に短期離職の理由の説明を求められる

試用期間中の退職を含む短期離職は、次の転職活動の面接などで経緯の説明を求められる可能性があります。短期離職にはさまざまな理由があり、必ずしもネガティブな評価にはつながりません。

例えば、実際の業務内容が提示された内容と異なっていたケースなど、個人の責任によらない状況もあります。転職活動の際は、自身の経験や学びを適切に説明できるよう準備し、前向きにアピールをすることが大切です。

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試用期間中に退職する際のよくある理由と切り出し方の例文

試用期間中に限らず、退職する際は退職理由を聞かれることがほとんどです。円満に退職するためにも、納得してもらいやすい理由をあらかじめ用意しておくとよいでしょう。単に「思っていた環境と違った」のようにあいまいな伝え方の場合引き留めに遭う可能性があります。退職理由を伝える際は具体的にハッキリと伝えるのがポイントです。

退職理由を伝える際は、たとえ会社に不満があっても表には出さず穏便に伝えることが大切です。ここでは、試用期間中に退職する場合のよくある理由と切り出し方の例を紹介します。

業務内容との相違

入社前に説明を受けた業務内容や労働条件通知書(雇用契約書)に書かれている業務内容が実際の仕事と大きく異なる場合は、まずは上司や人事担当者に相談しましょう。話し合いを通じて互いの認識のずれを確認し、可能であれば業務内容の調整を検討してくれます。

しかし、相談後も状況が改善されない場合は、「当初説明を受けた内容と実際の業務に大きな相違があり、継続が困難」と伝える必要があります。この際、自分の理解と現状との差異を客観的に説明することが大切です。

なお、労働条件通知書(雇用契約書)で明示された業務内容と実際の業務内容に大きく違いがある場合は、労働基準法違反として、労働者側は労働契約を即時解除できる権利があります。

「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。」

※労働基準法第15条第2項(労働条件の明示)(e-Gov法令検索)

【退職理由の切り出し方/例文】

私は営業職として採用され、いただいた労働条件通知書(雇用契約書)にも業務内容に「営業」と記載されておりました。しかし、実際には営業周りの事務作業がほとんどで、当初想像していた業務内容と大きく異なっていました。この2カ月間、与えられた業務に適用しようと努力してきましたが、やはり今の業務に馴染むことができません。試用期間中で誠に申し訳ございませんが、退職させていただきたいです。

社風や価値観が合わない

会社の社風や価値観は、実際に働き始めてから初めて実感できることが多々あります。
試用期間中に社風や価値観のミスマッチを感じた場合は、上司や人事担当者に相談し、疑問や違和感について相談してみましょう。

相談の際は、特定の人物や部署を批判することは避け、自身の適応力や期待値との不一致について言及するのが望ましいでしょう。

【退職理由の切り出し方/例文】

入社前は御社の高い目標設定に感銘を受け、自身も成長できると期待しておりました。しかし、職場環境は成果重視の傾向が非常に強く、個人の成果が重視されると感じています。この2カ月間、環境に適応しようと努力しましたが、力を十分に発揮できない状況が続いております。会社の方針を否定する意図はありませんが、私個人の価値観とは合致せず、継続することは双方にとって良い結果にならないと判断いたしました。誠に勝手ながら退職を希望いたします。

体調や体力面で不安がある

仕事によっては、入社前に想像していた以上に精神的、肉体的な負担が大きくなることがあります。例えば、体力的な面での限界を感じることや、職場内での人間関係や顧客対応が予想以上にストレスになる場合もあるでしょう。

試用期間は、実際の業務を通じて自分の適性が合っているかを見極める時間でもあります。体調や精神的な負担が大きく、今後の仕事の継続に不安を感じる場合は、まず上司や人事担当者に相談しましょう。

無理を重ねることで心身の健康を損なわないよう、医師や専門家のアドバイスを参考にしつつ、退職を検討することも必要です。

【退職理由の切り出し方/例文】

入社以来、新しい環境で精一杯努力してまいりましたが、ここ数週間、業務上のストレスにより心身の不調を感じております。特に、一部の顧客や同僚とのコミュニケーションにおいて、度重なる厳しい言動や度を超えた要求により、精神的な負担が大きくなっています。
このような状況下では、業務に集中することが困難であり、また長期的に見て私の心身の健康を著しく損なう可能性が高いと判断いたしました。大変心苦しく思いますが、〇月〇日をもって退職させていただきたいです。

エージェントサービス/イメージイラスト

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試用期間中に円満退職する手順

試用期間中に退職する場合でも、退職手続きは通常の退職と同様です。
一般的な退職の手順は以下のとおりです。

  1. ・直属の上司に退職の意思を伝える
  2. ・退職届を提出する
  3. ・引き継ぎをする

円満退職に向けた退職の伝え方・切り出し方は?

直属の上司に退職の意思を伝える

試用期間中に退職する場合でも、まずは上司と個別に話をする機会を設けましょう。退職を伝える際は、電話やメールではなく、直接会って伝えるのが基本です。

当日は退職理由や希望の退職日、引き継ぎの有無などを伝えましょう。 試用期間中で正式な配属先が決まっていない場合は、人事担当者に退職の意思を伝えるのが一般的です。

退職届を提出する

試用期間中であっても雇用契約は成立しているため、会社の就業規則に従って退職届を提出しましょう。

退職届をいつまでに提出するか、どのように提出するかは会社のルールによって異なります。円満に退職するためにも会社のルールに従って手続きを進めましょう。

退職届・退職願はいつまでに出せばいい?

退職願・退職届の正しい書き方は?

引き継ぎをする

入社してから間もないとはいえ、受け持っている業務がある場合は引き継ぎを行わなければなりません。

特に入社時に業務を引き継いだ担当者がすでに退職している場合は、後任に引き継ぎが必要な場合もあります。退職する前に引き継ぐ内容をまとめておき、スムーズに引き継ぎができるようにしておきましょう。

よくある質問

上司に伝えたその日に退職することは可能?

自己都合で退職する場合は、会社のルールに従って退職手続きをするのが基本です。法律上は退職を申し出てから14日後に退職ができると定められており、特別な事情がない限り伝えたその日に退職することはできません。

ただし、会社と即日退職することについて合意した場合や、やむを得ない理由がある場合は可能です。やむを得ない理由の例として、肉体的・精神的な病気により継続的に働くことが難しい場合や、過度な長時間労働によって違法行為が認められる場合が該当します。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

民法第628条(e-Gov法令検索)

退職届・退職願はいつまでに出せばいい?【社労士監修】

試用期間中に働いた分の給与は支払われる?

試用期間中でも労働者は労働基準法の適用を受けるため、会社は働いた分の賃金を支払う義務があります。
基本給はもちろん、残業をした場合は残業代も支払われます。

試用期間で退職しても履歴書に書かないとダメ?

試用期間で退職した場合でも、入社した会社については履歴書にすべて記載するのが基本です。履歴書に短期離職した職歴を書いていないと、その期間について面接で説明を求められる可能性が高まります。たとえ短期間でもしっかりと働いていたことが分かるほうが、面接官にも安心感を与えるはずです。そのため、はじめから空白を埋める形で記載しておくことをおすすめします。

また、職歴を選んで書くことで記載のミスが起こりやすくなり、結果的に「経歴詐称」と捉えられるリスクもあります。基本的に、職歴はありのままに書くことをおすすめしますが、就業期間が1カ月未満の短期バイトやパートについては、必ずしも記載する必要はありません。

履歴書や職務経歴書に短期間(1年未満)の職歴を書かなくても問題ない?

まとめ

試用期間とは、会社が採用した従業員の適性を見極める期間です。試用期間中でも退職は可能ですが、通常の退職とは異なり、失業手当(失業保険)の受給資格が得られない可能性や、短期離職の理由を次の転職活動で説明する必要があるなど、慎重な判断が求められます。退職を決意した場合でも、上司との話し合いや退職手続きは円満に進めることが大切です。

転職活動では、試用期間中の経験も含めて自己分析を行い、次のキャリアへとつなげることが重要です。ただし、転職には履歴書や職務経歴書の作成、面接対策など、さまざまな準備が必要になります。もし転職活動に不安がある方はdodaエージェントサービスを活用することもおすすめです。

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