退職願・退職届の理由はどう書く?
会社都合で辞めるときの具体的な例文も紹介
監修者:社会保険労務士 北 光太郎(きた・こうたろう)氏 (きた社労士事務所 代表)
退職を決意したものの、「退職願や退職届に書く理由はどうすればいいのだろう?」と悩んでいませんか。特に初めての転職では、書き方一つで円満に退職できるか不安になることもあるでしょう。そこで本記事では、退職願・退職届の理由の書き方について、分かりやすく解説します。この記事を読めば、退職願・退職届に書く理由で悩むことなく、安心して退職手続きを進められるでしょう。
この記事のまとめ
- 退職届は「自己都合退職」か「会社都合退職」かによって、提出の要否が異なる
- 自己都合退職の場合は退職願・退職届の理由に「一身上の都合」とだけ記入する
- 会社都合退職の場合、退職願・退職届の作成は原則不要
提出を求められた場合は、会社都合退職であることがはっきりと分かる理由を記入する
退職願・退職届の理由はどこに書く?
退職願や退職届に退職理由を記載する際、どこに書けばよいのか迷う方もいるかもしれません。退職理由を書く場所は、退職願・退職届の体裁によって異なります。
*会社指定のフォーマットがある場合:退職願・退職届のフォーマットには「理由欄」が設けられていることが多いです。その場合は、指定された理由欄に記載しましょう。特に設けられていない場合は、無理に書く必要はありません。
*会社指定のフォーマットがない場合:便箋などの用紙を自分で用意して退職願・退職届を作成する際は、本文中に退職理由を記載します。
会社によってフォーマットはさまざまですので、まずは会社の就業規則を確認したり、人事担当者に問い合わせたりして、適切な方法を確認することをおすすめします。
退職願・退職届の理由の記載が重要なのはなぜ?
「退職さえできれば退職願・退職届の理由は何でもいい」と感じる方もいるかもしれません。しかし、事実と異なる理由で退職したと見なされてしまうと、不利益を被ることがあるため、正確に記載することが大切です。
退職金の支給額に影響する
多くの企業では、退職金規定で、退職理由が退職金の支給額を決定する要素の一つとされています。特に、自己都合退職と会社都合退職では、退職金の受給額が大きく変わるケースが少なくありません。
会社があなたの退職理由を判断する際、あなたが提出した退職届の内容が参考にされることがあります。そのため、退職届に記載する退職理由は、退職金の金額に直結する重要な情報となるのです。
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失業手当(失業保険)の受給区分の判断材料になる
転職先が決まらないまま退職し、失業手当(失業保険)を受給しながら転職活動を行う方にとって、退職届の理由は重要です。
会社は、ハローワークに提出する離職票に「退職理由」を記載します。この内容が、失業手当(失業保険)の受給区分(一般受給資格者・特定理由離職者・特定受給資格者)に影響し、失業手当(失業保険)の給付開始時期や給付期間が変わる可能性があります。
離職票とはどんな書類? 失業手当(失業保険)の受給区分(特定受給資格者・特定理由離職者)とは?
会社が退職理由を記載する際、退職届に書かれた退職理由が参考材料の一つとなります。失業手当(失業保険)の区分は最終的にハローワークが判断しますが、企業と退職者の間で理由が食い違うと、受給区分の確定に時間を要し、失業手当(失業保険)の受給タイミングが後ろ倒しになってしまうこともありますので注意が必要です。
失業手当(失業保険)とは?もらえる条件や期間、手続き方法を解説
dodaでは失業手当(失業保険)の受給額を簡単に計算できるツールを用意しています。退職後、失業手当(失業保険)の申請をする予定がある人は、いくらもらえる可能性があるか試算しておきましょう。
自己都合退職では、退職願・退職届の理由は何と書く?
転職や結婚、介護といった個人的な事情で退職する「自己都合退職」の場合、退職願・退職届には「一身上の都合により」とだけ記載するのが一般的です。
給与や人間関係への不満、キャリアチェンジへの意欲など、具体的な退職理由を詳細に書く必要はありません。むしろ、詳細を書きすぎると、会社から引き止めの交渉材料とされたり、不要なトラブルを招いたりする可能性があります。円満退職のためにも、定型的な記載で十分です。
「一身上の都合」とは?
「一身上の都合」とは、「個人的な事情」を意味する、退職理由で使われる定型句です。
一身上の都合は、転職、結婚、引っ越し、家族の介護、病気療養など、プライベートな理由での退職全般に用いることができます。一身上の都合を使うことで、詳細な退職理由を伝えることなく、スムーズに退職手続きを進めることができます。
退職願・退職届の書き方をもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
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原則、会社都合退職では退職届・退職願の提出は不要
倒産やリストラ、退職勧奨といった「会社都合退職」の場合、労働者側からの退職の申し出ではないため、原則として退職願・退職届を提出する必要はありません。
ただし、会社によっては社内手続きのために提出を求められるケースがあります。その際は、誤って自己都合退職として扱われることのないよう、退職理由は誤解の余地がない書き方をしましょう。
会社都合退職なのに自己都合とされてしまうと、退職金や失業手当(失業保険)の受給で不利益を被る可能性があります。具体的な例文をこのあとのブロックで紹介しますので、参考にしてください。
会社都合退職とは?自己都合退職の場合との違いは?【弁護士監修】
【例文】会社都合でも退職願・退職届を提出する場合の理由の書き方
会社から退職願・退職届の提出を求められた場合は、会社都合による退職であることが明確に分かる理由を記載します。
このとき、絶対に「一身上の都合」とは書かないでください。自己都合退職として扱われ、退職金や失業手当(失業保険)の受給で不利益を被る可能性があります。
また、感情的な表現は避け、誰が見ても分かる客観的な事実を簡潔に記載することが重要です。以下に理由別の例文を紹介します。
| 場合 | 例文 |
|---|---|
| リストラ・人員削減(整理解雇)の場合 | 「事業部門縮小に伴う人員整理のため、〇月〇日付での退職に 同意いたします。」 |
| 退職勧奨を受けた場合 | 「貴社からの退職勧奨に合意し、〇月〇日付で退職いたします。」 |
| 会社の倒産や事業所の閉鎖の場合 |
「貴社〇〇事業所の閉鎖に伴い、〇月〇日付で退職いたします。」 「会社都合による解散に伴い、〇月〇日付で退職いたします。」 |
退職願・退職届の書き方は、別記事で分かりやすくまとめています。
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「退職願」「退職届」「辞表」の違いとは?
「退職願」「退職届」「辞表」は混同されがちですが、それぞれ役割や法的な効力、提出するタイミングが異なります。それぞれの書類の役割をしっかりと確認しておきましょう。
| 退職願 | 退職届 | 辞表 | |
|---|---|---|---|
| 役割 | 会社に退職の「合意」を 求める書類 |
退職を「正式に通知」する書類 | 「役職を辞する」ための書類 |
| タイミング | 退職を切り出すタイミング | 退職することが確定した タイミング |
- |
| 撤回できる? | 会社が正式に承諾する前なら 撤回できる可能性がある |
原則できない | - |
| 役割 | |
|---|---|
| 退職願 | 会社に退職の「合意」を 求める書類 |
| 退職届 | 退職を「正式に通知」する書類 |
| 辞表 | 「役職を辞する」ための書類 |
| タイミング | |
|---|---|
| 退職願 | 退職を切り出すタイミング |
| 退職届 | 退職することが確定した タイミング |
| 辞表 | - |
| 撤回できる? | |
|---|---|
| 退職願 | 会社が正式に承諾する前なら 撤回できる可能性がある |
| 退職届 | 原則できない |
| 辞表 | - |
退職願:会社に退職の「合意」を求める書類
退職願は、会社に対して、退職したいという意思を伝え、その合意を得るための「お願い」の書類です。退職を切り出し、退職日や業務の引き継ぎなどを会社と相談する段階で提出します。会社が正式に承諾する前であれば、撤回できる可能性があります。
退職届:退職を「正式に通知」する書類
退職届は、退職日などについて会社と合意し、退職することが確定した後に提出する、正式な「通知」の書類です。一度提出すると、原則として撤回することはできません。そのため、退職の意思が固まり、会社との合意が取れた後に提出するようにしましょう。
辞表:役員などが「役職を辞する」ための書類
辞表は、会社の取締役といった役員や、大臣などの公務員が、その「役職」を辞める際に提出する書類です。一般の会社員が退職する際に使用することはありません。テレビドラマなどの影響で混同しがちですが、「退職届」とはまったく異なるものだと認識しておきましょう。
退職願・退職届の書き方
退職願や退職届の書き方には、いくつかの基本的なルールがあります。ここでは、一般的な書き方のポイントをご紹介します。
- 退職願の例文
-
- 退職届の例文
-
-
① 書き出しは「私儀」と記載する
本文の書き出しには、「私儀(わたくしぎ)」と記載します。
これは「私事ではありますが」という意味を持つ、退職願・退職届で一般的に用いられる表現です。 -
② 自己都合退職の理由は「一身上の都合」とする
詳しい事情を書く必要はなく、簡潔にまとめるのがマナーです。
※会社都合は原則として退職願・退職届を提出しません -
③ 退職日は、書類の種類に応じて書き分ける
退職願:希望する退職日を記載
退職届:上司との話し合いで確定した退職日を記載 -
④ 文末表現は「願い」か「事実報告」かで変える
退職願:退職を願い出る表現を用います。
退職届:退職が確定した後に提出する書類のため、事実を報告する表現を使います。 -
⑤ 届出の年月日は「提出日」を書く
退職願・退職届ともに、実際に提出する日付を記載します。
-
⑥ 所属部署・氏名は宛名より下に書く
本文の下部、宛名よりも下の位置に所属部署と氏名を記入します。
氏名の下には押印し、スタンプ式の簡易印鑑は避けるのが一般的です。 -
⑦ 宛名は会社の代表者名を記載する
宛名には、代表取締役社長などの最高執行責任者の役職と氏名を記載します。
敬称は「殿」を使用し、自分の氏名よりも上に配置するのがポイントです。
退職願や退職届の詳しい書き方は、以下の記事を参考にしてください。
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退職願・退職届にまつわるQ&A
退職願・退職届の理由の書き方以外にも、退職に際しては実務的な疑問が多く生じるものです。ここでは、「上司への伝え方」や「書類を渡すタイミング」など、円満退職に向けて多くの人が悩むポイントをQ&A形式で解説します。細かい疑問や不安をここで解消し、自信を持って退職準備を進めましょう。
上司に口頭で伝える退職理由は、どう話せばいい?
上司に口頭で退職を伝える際は、給与や人間関係への不満といったネガティブな本音は避け、前向きな理由を伝えるのが基本です。 「新しい分野で専門性を高めたい」「〇〇のスキルを活かしてキャリアアップしたい」など、自身の将来のキャリアプランに結びつけた理由を伝えると、上司にも納得してもらいやすくなります。最後に、これまでの感謝の気持ちを伝えることも忘れないようにしましょう。
退職願・退職届はいつ、誰に渡すのがベスト?
まずは直属の上司に「ご相談したいことがあります」とアポイントを取ります。そして、退職の意思を口頭で伝える際に「退職願」を手渡すのが一般的です。周囲への配慮として、ほかの社員がいない会議室など、落ち着いて話せる場所を選びましょう。 「退職届」は、退職が正式に決まった後に会社の指示に従って提出します。原則として対面で手渡しするのがマナーですが、やむを得ない事情がある場合は、上司と相談の上、郵送やメールで送ることもできます。
退職願・退職届は手書き?パソコン作成でも大丈夫?
結論から言うと、法的な決まりはないため、手書きでもパソコン作成でもどちらでも有効です。
ただし、会社によっては独自のフォーマットが用意されていたり、慣習として手書きが望ましいとされていたりする場合があります。まずは就業規則を確認するか、上司に「指定のフォーマットはありますか?」と確認するのが最も確実です。
退職願・退職届を郵送で提出しても良い?
直接手渡しするのが原則的なマナーです。ただし、体調不良や遠隔地での勤務など、やむを得ない事情がある場合は郵送も認められます。
その際は、必ず事前に上司に連絡し、郵送の許可を得ましょう。郵送する際は、送付状を添え、「誰がいつ受け取ったか」という配達記録が残る「簡易書留」で送ると、後のトラブルを防ぐことができます。
会社都合退職で退職したけど、面接では自己都合退職と伝えたい。
退職届の理由と面接で伝える退職理由が異なるとどうなる?
退職届に書いた理由と面接で伝える退職理由が異なる内容でも、すぐに発覚するとは限りません。しかし、転職先から退職理由を確認するために「退職証明書」の提出を求められた場合、事実と異なる申告をしていたことが分かってしまう可能性があります。 経歴詐称を疑われると、仮に転職できたとしても解雇される可能性があります。基本的には、退職届に書く理由と面接で伝える転職理由は大きく乖離してはいけません。 そもそも、面接で会社都合(倒産・リストラなど)であることを伝えるのは、転職でハンデにはなりません。事実として淡々と伝えれば問題ありません。
退職届の理由だけで失業手当(失業保険)の受給区分が決まる?
退職届は、ハローワークが失業手当(失業保険)の受給区分を判断する材料の一つではありますが、それだけですべてが決まるわけではありません。
もし会社都合退職なのに自己都合にされてしまった場合は、ハローワークに異議申し立てができます。その際、退職理由を客観的に証明できるものや状況証拠を提出できると、あなたの主張が認められやすくなるでしょう。
失業手当(失業保険)とは?もらえる条件や期間、手続き方法を解説 失業手当(失業保険)の受給区分(特定受給資格者・特定理由離職者)とは?
退職願・退職届の理由は実態に即した内容を書こう
本記事では、退職願・退職届の理由の書き方について解説しました。自己都合の場合は「一身上の都合」とだけ書きます。会社都合の場合、提出は原則不要で、会社から提出を求められた場合は「客観的な事実」を記載します。これらの基本を押さえ、ご自身の状況に合わせて正確に伝えましょう。
もし、退職の伝え方や今後の転職活動に少しでも不安があれば、dodaエージェントサービスにぜひご相談ください。キャリアアドバイザー経由で内定すれば、退職交渉の進め方から退職願・退職届を提出するタイミングまで、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスを受けられます。
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この記事を監修した社会保険労務士
北 光太郎(きた・こうたろう)氏
きた社労士事務所 代表 大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士資格を取得し、不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善などさまざまな取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。読者に分かりやすく信頼できる情報を伝えるとともに、Webメディアの専門性と信頼性向上を支援している。
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