Q 会社都合退職とは?自己都合退職の場合との違いは?
勤めている会社が経営難に陥り、退職することになりました。人事から、「会社都合退職になる」と言われていますが、自分から辞める「自己都合退職」の場合と何が異なるのでしょうか?(28歳/男性)
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A 会社都合退職の場合、失業保険の給付開始時期や給付日数などが自己都合退職の場合と異なります。
「会社都合退職」とは、会社側の都合により、労働者の意思に反して一方的に労働契約を解除し、退職を余儀なくさせることを言います。
具体的には、ご質問にあるような経営難によるリストラや、会社そのものの倒産、事業所の廃止などのほか、労働契約の締結時に示された職務内容が実際のものと大きく違うことを理由に自ら辞める場合や、パワハラに遭って退職を余儀なくされた場合なども、会社都合退職となるケースがあります。
会社都合退職と自己都合退職では、失業保険の給付に当たって違いがあります。
いずれの場合でも失業保険の給付は受けられますが、自己都合退職の場合は2カ月間の「給付制限(※)」があり、ハローワークに必要書類を提出して7日間の待機期間を終えたのち、2カ月待たなければ給付を受けられません(7日+2カ月)。一方、会社都合退職の場合は、必要書類を提出してから7日間の待機期間が設けられている点は同じですが、提出日から概ね1カ月後には最初の失業給付を受けられます。
※失業等給付の制度改正が2020年10月1日に実施され、給付制限期間が3カ月から2カ月へ短縮されました。給付制限期間が2カ月になるのは、最後の離職日からさかのぼって5年の間で2回の離職までに限ります。
また給付期間については、勤めていた期間(=雇用保険を納めていた期間)や年齢によって細かな規定がありますが、ほとんどの場合、会社都合退職の場合のほうが自己都合退職の場合よりも長く受給できるようになっています。
詳しく知りたい
会社都合で退職したことは、履歴書や職務経歴書に書かなければならないの?
原則として、退職理由を聞かれないうちは、自分から進んで会社都合退職であることを説明する必要はありません。ただ、面接などで質問された際に、本当は会社都合なのに自己都合だと偽ると、事実でない情報を伝えたことを理由に転職後に転職先から解雇される可能性があります。
ここで扱った法律
失業給付を受けるための条件や、給付される金額、受給開始のタイミング、給付期間等については、雇用保険法等で細かく定められています。ハローワークでも説明を受けられますので、分からないことがある場合は問い合わせるとよいでしょう。
弁護士:藥師寺正典(やくしじ・まさのり)
弁護士法人第一法律事務所 パートナー(社員弁護士)。経営法曹会議会員。企業の顧問業務をはじめ、労働審判・労働訴訟などの係争案件や、ユニオンなどとの団体交渉対応、労災対応、M&Aにおける労務デューデリジェンス対応など、経営者側での労働法務案件を数多く手掛ける。