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コラム・事例・インタビュー

連載【弁護士監修】知らなきゃ損する!転職と仕事の法律のQ&A

フレックスタイム制とは?メリットとデメリットを教えてください。

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Q フレックスタイム制とは?メリットとデメリットを教えてください。

最近出産した友人が、「うちはフレックスタイム制だから、保育園の送り迎えがしやすい」と言っていました。フレックスタイム制とはどのような制度で、どのようなメリットとデメリットがありますか? 将来を考えて、フレックスタイム制の会社への転職も考えているのですが、どんな会社が導入しているのですか?(27歳/女性)

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A フレックスタイム制とは、始業時刻と終業時刻を各社員が自由に決められる制度です。

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通常の労働時間制度のイメージ

通常の労働時間制のイメージ
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フレックスタイム制のイメージ

フレックスタイム制のイメージ
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スーパーフレックスタイム制
(フルフレックス)のイメージ

スーパーフレックスタイム制(フルフレックス)のイメージ

フレックスタイム制とは?

フレックスタイム制とは、3カ月以内の一定の期間の総労働時間を定めておき、従業員はその範囲で日々の始業時刻と終業時刻、労働時間を自分で決めることができる制度を指します。

通常は、就業時間が一律で「9時〜18時」のように定められていますが、フレックスタイム制が導入されている職場では、「10時〜19時」「9時〜15時」のように個々の社員が始業時刻と終業時刻、労働時間を自分の都合に合わせて柔軟に決められます。

ただし、「完全に」自由ではなく、就業規則などによって一定のルール・制限が設けられている場合が一般的です。よくあるのは、「コアタイム」が設けられている場合です。コアタイムとは、「その時間は必ず勤務していなければならない」と決められた時間のことを指します。例えば「昼12時〜16時」がコアタイムとして設定されている場合、その間は必ず出勤していなければなりません。コアタイムの前後にあるフレキシブルタイムの時間内であれば、何時に出勤・退勤してもOKですが、13時に出社すると遅刻の扱いになります。

また、コアタイムもなく労働時間を自分で決められる「スーパーフレックスタイム制(フルフレックス)」というものもあります。詳しくは本記事の後半で説明します。

フレックスタイム制のメリット

フレックスタイム制のメリットは、ワーク・ライフ・バランスを整えやすいことが挙げられます。タスク状況や体調、通勤の混雑具合、天気の様子、プライベートの都合などに合わせて、働く時間を調整できます。
例えば、「夜遅くまで働いたので、翌日は少し遅めに始業する」「子どもの保育園の送り迎えに合わせて出勤・退勤する」といった調整が可能です。

フレックスタイム制のデメリット

フレックスタイム制のデメリットは、社内外の複数人でのコミュニケーションが難しくなることが挙げられます。フレックスタイム制の職場では、メンバー全員がそろう時間が少なくなるため、リアルタイムでのやりとりがしにくくなったり、会議などの日程調整が難しくなったりすることも。例えば、「上司に確認したいことがあっても、上司が不在で連絡を取りづらい」「ほかの部署の○○さんが朝出勤しているか分からない」といった感じです。

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フレックスタイム制を導入している企業が多い職種

企業の人材戦略でフレックスタイム制の導入をしている企業は年々増えています。特に導入しやすい職種は、仕事自体にある程度の裁量がある企画業務やエンジニア、クリエイターが挙げられます。

また、個人でスケジュール管理を行ったほうが、取引先との商談や出張などの予定が立てられやすい営業職での導入も増えてきています。営業職の中でも特に、IT・Web業界、人材業界などの無形商材を扱う分野でのフレックスタイム制の導入が進んでいます。

フレックスタイム制の導入企業の探し方・制度内容の確認方法

フレックスタイム制を導入している企業の探し方

フレックスタイム制を導入している企業の探し方は、求人サイトなどで検索条件としてフレックスタイム制を選択したり、フリーワード検索で「フレックスタイム制」と入力したりフラグ検索したりしてみるとよいでしょう。また、転職エージェントを利用している場合には、担当のキャリアアドバイザーにフレックスタイム制を導入しているおすすめの企業を紹介してもらうことも可能なので利用してみましょう。

フレックスタイム制の内容の確認方法

企業によって、コアタイムの時間帯や総労働時間などフレックスタイム制の内容には差があります。フレックスタイム制に関する規定は就業規則などに明記することになっています。フレックスタイム制を導入している企業の活用状況を確認する主な方法を4つご紹介します。

フレックスタイム制が実際に活用されているかを確認したい場合は、選考時や内定後の条件面談などで直接質問するか、キャリアアドバイザーに聞くとよいでしょう。

面接や条件面談などで企業に直接質問する際には、フレックスタイム制が目的で応募していると思われないように質問しましょう。例えば、「御社はフレックスタイム制を導入していますが、就業開始・終了時刻は各自どのように決めているのでしょうか? 就業イメージを膨らませたいため、皆さんどのように活用されているか伺えればと思います」など働くイメージを知りたいというスタンスで質問するとよいでしょう。

詳しく知りたい

フレックスタイム制の場合、残業代の扱いはどうなるの?

(フレックスタイム制の残業時間)=(清算期間における総労働時間)-(実労働時間)

フレックスタイム制でも残業代は出ます。ただし通常の勤務体系とは残業代の算出方法が異なります。

フレックスタイム制の場合は、3カ月以内の一定期間を清算期間として定めます。この清算期間における法定労働時間の総枠(総労働時間)が決まっており、この総労働時間より多く働いた分を残業時間として算出します。残業代は清算期間を終えた時点で計算されます。

例えば、ある清算期間の暦日数が30日で1週間の法定労働時間数が40時間の場合、法定労働時間の枠は以下のように計算されます。

(総労働時間)=(1週間の法定労働時間)×(清算期間の暦日数)÷7日
=(40時間)×(30日)÷7日
=(171.4時間)

このとき、実際に働いた時間が180時間であれば171.4時間との差分8.6時間分が残業代として支給されます。また、その中で深夜時間(22時~翌5時)に及んだ時間がある場合は、深夜割増賃金が出ます。

スーパーフレックスタイム制(フルフレックス)とは?

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スーパーフレックスタイム制
(フルフレックス)のイメージ

スーパーフレックスタイム制(フルフレックス)のイメージ

※労働時間が8時間超えで1時間、6時間超えで45分間の休息が必要

スーパーフレックスタイム制(フルフレックス)とは、コアタイムやフレキシブルタイムのないフレックスタイム制のことで「完全フレックスタイム制」とも呼ばれています。所定の期間内における総労働時間や所定労働日数を満たせば、従業員が働く日数や時間を自由に決められます。

スーパーフレックスタイム制(フルフレックス)と通常のフレックスタイム制との違いはコアタイムの有無になります。似た働き方に裁量労働制がありますが、裁量労働制は実労働時間に関係なく一定時間を働いたと見なす制度のことです。導入できる職種や仕事内容には制限があります。スーパーフレックスタイム制(フルフレックス)との違いは実労働時間に基づいているかどうかになります。

ここで扱った法律

フレックスタイム制は、労働基準法の第32条の3に基づく制度です。フレックスタイム制の導入に当たっては、労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数の代表者と会社の間でが協定を結ぶ必要があります。また、清算期間が1カ月を超えるフレックスタイム制の導入には、労使協定を所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

弁護士:藥師寺 正典(やくしじ・まさのり)

弁護士法人第一法律事務所 パートナー(社員弁護士)。経営法曹会議会員。企業の顧問業務をはじめ、労働審判・労働訴訟などの係争案件や、ユニオンなどとの団体交渉対応、労災対応、M&Aにおける労務デューデリジェンス対応など、経営者側での労働法務案件を数多く手掛ける。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

井上 寛子(いのうえ・ひろこ)

広告営業からキャリアをスタートし、2014年に人材派遣会社に転職。SIer向けにエンジニアの方の派遣営業に従事した後、2019年1月にパーソルキャリア株式会社へ入社。主に営業職の方の転職支援を担当し、転職市場を踏まえ、年収アップやキャリアチェンジなどどうすれば希望をかなえていけるかの提案を行い、実現する支援を行っています。

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