スマートフォン版で表示

現在、お知らせはありません。

コラム・事例・インタビュー

連載【弁護士監修】知らなきゃ損する!転職と仕事の法律のQ&A

社用車で事故を起こしてしまいました。損害賠償を請求されることはありますか?

このエントリーをはてなブックマークに追加

Q 社用車で事故を起こしてしまいました。損害賠償を請求されることはありますか?

業務中に運転していて、社用車をガードレールにぶつけて一部壊してしまいました。会社から損害賠償を請求されることはありますか?また、請求された場合、応じる必要はありますか?(30歳/男性)

A 業務上の運転で、軽度の不注意・過失による事故であれば、会社から損害賠償を請求される可能性は低いでしょう。

一般的には、業務上での不注意・過失によって損害が生じた場合、会社が社員に損害賠償を請求するケースはそう多くありません。

損害の程度や事故の態様、どの程度の不注意だったのか、普通に仕事をしていて起こりうることだったのか…などが考慮される主なポイントになります。質問のケースは詳細が分かりませんが、故意ではなく、損害も甚大とはいえないようですので、会社から損害賠償を請求される可能性は低いでしょう。

イラスト
オンライン転職相談も実施中
エージェントサービスに申し込む(無料)

詳しく知りたい

損害賠償を請求されたら

不注意・過失で損害を生じさせた場合も、会社の考え方によっては損害賠償を請求される可能性はあります。また、故意によって会社に損害を生じさせた場合は、損害賠償を請求される可能性は十分あるでしょう。

会社から口頭または書面で直接請求されて、その請求に応じるべきか分からない場合は、弁護士または労働局に相談することをおすすめします。
会社からいきなり裁判に訴えられた場合は、裁判に応じないことにより請求が認容されるというリスクを避けるために、弁護士に相談したほうがよいでしょう。

不注意・過失による事故でも、第三者を巻き込んだ場合、例えば人身事故を起こしてしまった場合や、第三者の持ち物を壊すなどの損害を与えてしまった場合は、その損害を受けた第三者から損害賠償を直接請求されたり、第三者から会社に請求された損害賠償の一部を負担するよう、会社から請求(求償請求)されたりする可能性はあるでしょう。

「報償責任」の考え方

会社は、社員の業務活動によって利益を得ている以上、そこから生じるリスクも負担するべきだという考え方を、「報償責任」といいます。

社員が業務上の不注意で会社に損害を生じさせてしまったとしても、一般的には、「報償責任」の考え方や、会社と社員との間に経済力の差があることなどを考慮し、会社・社員間で損害の公平な負担を図るべきだと考えられています。

このような考え方の下、会社からの求償請求は制限されることが多く、請求額の4分の1までしか認められなかったという裁判例もあります。

社員が業務中の不注意で事故を起こしてしまった場合、会社としては、法的な損害賠償の請求という対応も可能ですが、実際は、人事評価で考慮したり、注意指導や懲戒処分により対処したりすることが多いでしょう。

ここで扱った法律

民法第715条第1項には、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」と定められ、同条第3項には、「前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。」と定められています。

弁護士:藥師寺正典(やくしじ・まさのり)

弁護士法人第一法律事務所 パートナー(社員弁護士)。経営法曹会議会員。企業の顧問業務をはじめ、労働審判・労働訴訟などの係争案件や、ユニオンなどとの団体交渉対応、労災対応、M&Aにおける労務デューデリジェンス対応など、経営者側での労働法務案件を数多く手掛ける。

転職の相談はキャリアアドバイザーに
エージェントサービスに申し込む(無料)
あなたの仕事の満足度は?なにを大切にするタイプ?
転職タイプ診断
今のあなたの適正年収を調べてみよう(約3分)
年収査定をする
このエントリーをはてなブックマークに追加

お悩み相談 一覧

doda年収査定サービス
ハイクラス転職サービスdodaX

  • 転職時の自己分析のやり方