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コラム・事例・インタビュー

連載【弁護士監修】知らなきゃ損する!転職と仕事の法律のQ&A

内定承諾書を出した後の内定辞退は違法?損害賠償を請求されることはある?

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Q 内定承諾書を出した後の内定辞退は違法ですか?損害賠償を請求されることはありますか?

転職先が決まり、退職に向けていまの会社と話を進めていたのですが、先日遠方に住む父親が倒れたことをきっかけに、地元に戻って生活したいと考えるようになりました。

入社まであと1週間しかないものの、入社してすぐに辞めるのも良くないと思うので、内定辞退を考えています。内定承諾書や誓約書などの書類を提出しているのですが、内定を辞退した場合、損害賠償を請求されることはありますか?(34歳/男性)

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A 内定辞退が違法とされるケースは限定的であり、損害賠償を請求される可能性も低いでしょう。しかし、できるだけ早く、誠意をもって電話で会社にその旨を伝えるべきでしょう。

入社1週間前とのことですが、内定を辞退することは労働者の自由です。
一般的には、内定承諾書にサインをした段階で「労働契約を締結した」ものとして扱われます。そのため、内定辞退をすることは、「労働契約を解約する」ということになります。労働契約の解約については、民法において、いつでも解約の申し入れができることになっており、会社に対して解約の意思を伝えてから2週間後に契約が解消されると定められています。

しかし、あまりにも常識に反するような態様で内定を辞退した場合、例外的に会社から損害賠償を請求される可能性は残ります。会社はあなたの入社のために準備をしていたはずなので、内定辞退をすると決めたら、できるだけ早く、誠意をもって会社にその旨を伝えるべきでしょう。

今回のケースは事前に予知できなかったやむを得ない家庭の事情ですので、きちんと説明すれば、損害賠償を請求される可能性は低いと考えられます。

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内定辞退が違法となりうるケース

内定辞退だけをもって違法となる可能性は低いですが、会社の信頼を著しく損ねるような形で辞退した場合には、違法と判断されたり損害賠償を請求されたりすることもあり得ます。

ケースとして決して多くはないですが、内定を承諾したことによって、その人の入社を前提に会社が多額の設備投資などをしている場合などは、損害賠償を請求されることもあるでしょう。

また、法律上は問題なくても、約束を反故にしたことは事実として残ります。今後、いつか仕事でその会社と接点ができるかもしれません。やむを得ない事情であれば仕方がないものの、慎重に判断するようにしましょう。その上で、内定を辞退する場合は、終始、誠実な対応を心がけたほうがよいでしょう。

ここで扱った法律

民法627条では、期間の定めがない雇用の場合、いつでも解約の申し入れができるとしています。解約の申し入れから2週間が経つと、契約が終了します。これは、基本的に入社後の社員を想定していますが、内定者にも同様に適用されます。

弁護士:藥師寺正典(やくしじ・まさのり)

弁護士法人第一法律事務所 パートナー(社員弁護士)。経営法曹会議会員。企業の顧問業務をはじめ、労働審判・労働訴訟などの係争案件や、ユニオンなどとの団体交渉対応、労災対応、M&Aにおける労務デューデリジェンス対応など、経営者側での労働法務案件を数多く手掛ける。

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